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48.条約締結前の腹ごしらえ
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話し合いから戻ってきたベル様は、平和条約の締結に行くみたい。僕も行きたいと強請ったら、許可が降りた。約束は二つ、ベル様以外とお話ししないこと。それから抱っこのままでいること。両方とも平気だよ。
一緒に行くのは、吸血鬼のおじさんとお父さん。お祖父ちゃんは守りの要? というお役目があるんだ。お留守番の一番偉い人と言い直されて、僕も理解できた。お祖父ちゃんが魔族を守っている間に、ベル様が人間と会うんだね。
「こないだも、こっそり攻めてきたからだね」
「ああ、よく覚えている。その通りだ」
人間が一万も集まって攻めてきた時、僕達の巣を壊そうとした。もしかしたら誰かを攫うつもりだったかも。それを結界で防いだベル様は、凄い。近くじゃなくて遠い場所なのに、雷で攻撃もしていた。
その話はお祖父ちゃん以外知らなかった。だからお母さん達に、身振り手振りを添えて説明する。僕が説明したんだよ。いつもと逆で、何だか不思議な感じだった。また何か説明したいな。説明する間は賢い感じがする。
「食料だぞ」
お父さんが肉を捕まえてきた。大きな……牛? 首を傾げて呟いたら、鹿だった。木の枝みたいなツノが生えている。それを切り落として、洞窟の隅に積んだ。皮は別の魔族が欲しがるからあげて、僕達はお肉を食べる。
「今日は生?」
「炙るか」
あぶる……表面だけ火を通す方法みたい。それって生焼けのことかな。お外が焦げて、中は生だよね。ベル様に尋ねたら「同じだな」と言われた。でも名前は炙るの方がカッコいい。生焼けだと失敗した感じだった。
器用に皮を剥いで、お肉を串に刺したベル様。僕を手招きする。とことこ近づいたら、お塩を渡された。塊になっている。
「これを上で擦って、肉に掛けるんだ」
出来るな? とベル様は言わなかった。僕が出来ると信じてくれている。だから頷いて塩の塊を両手にひとつずつ握る。脇に手を入れて抱っこされた僕は、お肉の上で塩を擦った。
ごりごりと音がして、お肉に塩が落ちる。腕を伸ばしたりして、満遍なく塩を降らせた。お母さんが手でごろりとお肉を回す。裏側も塩をいっぱい撒いたら終わり。塩を片付けて、下ろしてもらった。
お父さんが噴いた火で乾いた木が燃える。この木は、森で倒れたのを洞窟に積んでおくの。生だと煙が凄いけど、乾けばよく燃えるんだ。その上でお肉はくるくると回った。棒もないのに、一人で浮いて回っている。
「このお肉すごいね」
「魔法で回しているのよ。これは繊細な調整が必要なの」
お母さんが教えてくれた。お肉を回しているのはベル様だ。
「俺だって出来る!」
「わしもじゃ」
なぜかお父さんとお祖父ちゃんが興奮していた。ちらりとベル様を見上げると、笑って頷く。だから「凄いね」と二人を褒めた。すごく喜んでくれて、その間にお肉から汁がぽたりと落ちる。脂という汁だよ。あれはベタベタして美味しい。
「まだ食べられない?」
「そろそろいいか」
お肉は火から下ろして食べた。お父さん達は明日の約束をして帰っていく。お風呂で星を見上げながら、ベル様のお膝に座った。お湯の温かさに目を細める。
「明日行くの?」
「早い方がいいからな」
何か悪いことを考える前に、やっつけに行くんだって。吸血鬼のおじさんやお父さんが朝早く来るから、今夜は早く寝なくちゃね。
一緒に行くのは、吸血鬼のおじさんとお父さん。お祖父ちゃんは守りの要? というお役目があるんだ。お留守番の一番偉い人と言い直されて、僕も理解できた。お祖父ちゃんが魔族を守っている間に、ベル様が人間と会うんだね。
「こないだも、こっそり攻めてきたからだね」
「ああ、よく覚えている。その通りだ」
人間が一万も集まって攻めてきた時、僕達の巣を壊そうとした。もしかしたら誰かを攫うつもりだったかも。それを結界で防いだベル様は、凄い。近くじゃなくて遠い場所なのに、雷で攻撃もしていた。
その話はお祖父ちゃん以外知らなかった。だからお母さん達に、身振り手振りを添えて説明する。僕が説明したんだよ。いつもと逆で、何だか不思議な感じだった。また何か説明したいな。説明する間は賢い感じがする。
「食料だぞ」
お父さんが肉を捕まえてきた。大きな……牛? 首を傾げて呟いたら、鹿だった。木の枝みたいなツノが生えている。それを切り落として、洞窟の隅に積んだ。皮は別の魔族が欲しがるからあげて、僕達はお肉を食べる。
「今日は生?」
「炙るか」
あぶる……表面だけ火を通す方法みたい。それって生焼けのことかな。お外が焦げて、中は生だよね。ベル様に尋ねたら「同じだな」と言われた。でも名前は炙るの方がカッコいい。生焼けだと失敗した感じだった。
器用に皮を剥いで、お肉を串に刺したベル様。僕を手招きする。とことこ近づいたら、お塩を渡された。塊になっている。
「これを上で擦って、肉に掛けるんだ」
出来るな? とベル様は言わなかった。僕が出来ると信じてくれている。だから頷いて塩の塊を両手にひとつずつ握る。脇に手を入れて抱っこされた僕は、お肉の上で塩を擦った。
ごりごりと音がして、お肉に塩が落ちる。腕を伸ばしたりして、満遍なく塩を降らせた。お母さんが手でごろりとお肉を回す。裏側も塩をいっぱい撒いたら終わり。塩を片付けて、下ろしてもらった。
お父さんが噴いた火で乾いた木が燃える。この木は、森で倒れたのを洞窟に積んでおくの。生だと煙が凄いけど、乾けばよく燃えるんだ。その上でお肉はくるくると回った。棒もないのに、一人で浮いて回っている。
「このお肉すごいね」
「魔法で回しているのよ。これは繊細な調整が必要なの」
お母さんが教えてくれた。お肉を回しているのはベル様だ。
「俺だって出来る!」
「わしもじゃ」
なぜかお父さんとお祖父ちゃんが興奮していた。ちらりとベル様を見上げると、笑って頷く。だから「凄いね」と二人を褒めた。すごく喜んでくれて、その間にお肉から汁がぽたりと落ちる。脂という汁だよ。あれはベタベタして美味しい。
「まだ食べられない?」
「そろそろいいか」
お肉は火から下ろして食べた。お父さん達は明日の約束をして帰っていく。お風呂で星を見上げながら、ベル様のお膝に座った。お湯の温かさに目を細める。
「明日行くの?」
「早い方がいいからな」
何か悪いことを考える前に、やっつけに行くんだって。吸血鬼のおじさんやお父さんが朝早く来るから、今夜は早く寝なくちゃね。
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