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47.教えてもらったら謎が増えた

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 条約について、お祖父ちゃんにも話を聞いた。今日のベル様は、魔族の会議に出ている。ドラゴンの代表はお父さんが参加したんだ。お祖母ちゃんと一緒に遊びに来たお祖父ちゃんは、僕の疑問にふむと考え込む。

「条約は決して破っては行けない約束じゃな。分かるか?」

「うん」

「魔王陛下が罠だと言ったなら、おかしな点があったのだろう。騙そうとしている。それをひっくり返すおつもりだな」

「ベル様は騙されないよ。もう見抜いてるもん」

「ああ、そうじゃ! 立派な婿様を見つけて偉いぞ、ウェパル」

「本当に、いいご縁だったわね」

 お祖母ちゃんも褒めてくれた。僕は最高の……えっと、婿様? を見つけたの。旦那さんはベル様と二人の時に使うんだ。お家の縦穴から、お母さんが顔を覗かせる。

「あら、お父さん達も来てたのね」

 お祖父ちゃんはお母さんのお父さん。お父さんはもうお父さんやお母さんがいないの。よく分からないけど、前にそう言ってた。悲しそうだったから、いっぱい抱っこして撫でたよ。

「お母さん」

「お土産よ、ウェパル」

 大きな氷だった。お祖父ちゃんも作れるけど、湖の横に大きな氷を置いてもらう。頬をぺたりとつけたら、ひんやりして気持ちよかった。

「もうすぐ暑くなる季節でしょう。定期的に差し入れるわね」

「ありがとう」

 ベル様も喜ぶと思う。結界を張って涼しくできるし、ベル様も氷を作れる。魚を凍らせた氷は、もう溶かして食べてしまった。でも、お母さんが時々来てくれるのは嬉しい。とてとて走って近づき、お母さんに抱き付いた。

「あらあら、甘えん坊ね。お嫁に行くのに、困った子」

 困ったと言いながら、お母さんは嬉しそうだった。だから離れないで、そのまましがみ付く。

「魔王陛下がおられれば、魔族は安泰だ」

 お祖父ちゃんの言葉に、僕達は大きく頷いた。ベル様は強いし、優しいし、綺麗だ。そんな王様がいるのは安心だし、幸せなことだよ。

「お母さん、お嫁さんって何するの? 僕はベル様に喜んでほしい」

 ベル様がいないときに聞いておきたい。だって、ベル様は僕がいるだけでいいって答えるんだもん。時々、辛そうな顔をするから、それを楽にしてあげたい。お風呂で前屈みになった時、どうしたらいいのかな。頭を撫でる?

「頭……間違ってはおらんが」

「ちょっと! 変なこと教えると怒られますよ」

「そうよ、お父さん。やめて」

 お祖父ちゃんは心当たりがあるみたい。でもお祖母ちゃんとお母さんに叱られた。結局、僕は教えてもらえていない。

「そういったことは、夫になる魔王陛下に聞くものよ。耳年増はいけません」

 耳年増……知らない言葉だけど、聞きづらい。怖い顔をしたお母さん達の陰で、お祖父ちゃんはしょんぼり肩を落としていた。雄にしか分からない何かがあるみたい。いずれ僕も分かるようになるのかな……雄だし。
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