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第4章 やらなきゃやられる!

17.教育は情熱だ!!(4)

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 ベッドの中で目が覚める。

 過去のオレは早起きとは縁遠い生活をしていた。いや、はっきり言おうか。お昼まできっちり惰眠を貪る生活が日常だった。

 部屋の中は薄暗い。ほんのり朝日が差し込みつつあるが、まだ早朝と呼ぶ時間帯のようだ。窓の外は青紫色で、朝焼けに移行し始めたばかり。目が覚めるには早すぎた。

 背中の傷も『絆創膏もどき』のお陰でしっかり癒えたため、俯せではなく仰向けに寝ている。うっすら目を開けて探るが、特に奇妙なものはなさそう。とすれば、気配か?

 魔力探知だか感知だか知らないが、網の目を広げるように感覚を拡散していく。これは説明されなくても勝手に使えた魔法だが、どうやら赤瞳の竜に覚醒してビルを溶かしてから敏感になったようで。

 1回目のサーチには違和感だけ。少し考えて方法を切り替えた。絶対に何かいると本能に近い部分が警鐘を鳴らすのだから、感知の方法が間違っているのだろう。網の目は隙間が多いので、水の波紋をイメージした。さっきと違い、遠くまで伸びない。

 遠方を調べるときは荒い網の目が向いており、近くを調べるには波紋が適してるらしい。頭の片隅にメモしながら、波紋を乱す4つの点に気付いた。

 ジャック、サシャ、ノア、……たぶんシフェル。この部屋を包囲する形で潜む彼らの気配が、オレを眠りから覚ましたようだ。なんか人間離れしてきた。異世界にきた時点で、普通の人間はやめてるけど……。

 サバゲーしてた頃に、この能力があれば便利だっただろう。少なくとも頭上の敵を見落として、転げた挙句に頭をぱっかんな目に遭わなかった筈。

 ――ところで、この後どうしたらいい? 昨日みたいに早朝の訓練と言う戦闘が始まるなら、飛び起きる。起こされるまで待っててもいいのか。迷う耳に、ガチャンと撃鉄を上げる音が聞こえた。

 本来なら聞こえる距離ではないのだろうが、感知を切らずにいたため耳元で聞こえて肩を震わせた。枕の下に手を伸ばす。用心のため武器を隠しておいて良かった。

 グッジョブ、昨夜のオレ!! 就寝時に銃を隠した自分を褒めながら、枕の下で安全装置を外す。銃弾は込めてある。ゆっくり寝返りを打つと、窓の外にいた気配が動いた。

 朝焼けで真っ赤になった窓から光が差し込み、視界が眩む。逆光だ! 気配だけを頼りに銃口を覗かせ、引き金を引いた。
 
 そして今日も――物騒な朝の訓練が始まる。
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