ただの平凡田舎男子は勇者な幼馴染と精霊に愛されます。

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家の中に入ったら早速夕食の準備を始める。
今日のメニューはシチュー、野菜炒め、白米。
食べ合わせはどうなんだって感じな気もしなくもないがまぁいつものことだ。


「んー!やっぱりおっちゃんの作るシチュー美味しい。」

「おーそうか。良かった。」

「てかルイも作れるようになったんだな。シチュ以外はルイが作ったんだろ?」

「え、あぁまぁ簡単なのだけどね。自分の作った野菜で作るの楽しいし。」

「でもすごい。俺も作れるようになるかな。」

「やってればできるようになるよ。てか王都に帰ったら料理なんて作らなくていいでしょ。」
(ランは平民生まれとはいえ今は勇者だから貴族と同じくらいの身分なはず。なんなら王様と…。)

「俺王都帰らないよ?」

「え?」

「だって魔王はもう討伐したんだしお役御免だろ。」

驚いた俺にランはさも当たり前かのように答える。

「いやそんなことは無いだろ!絶対!」

「勇者は魔王が生まれて生まれる。居なくなったら勇者でもなんでもないよ。」

「いやでも…。」
(そう簡単に王様がランを手放す気がしないんだけど…。)

勇者は魔王を倒すためにある。
なら魔王を倒してしまった後は何もしなくていい。普通ならそうなのだろう。
でも勇者に選ばれた者が持っている力は強力できっとこの国の誰よりも強い。
潰そうと思えば国さえ潰せる。そんな人材を王家が自分の近くに置いておかないわけがない。
しかも仲良くしてれば他国と何かあった時の牽制として使える。

(「この国は勇者がいて仲もいいから下手に手を出すなよ。へっへっへっ。」的なね。)

「もし…。」
「もしまた俺をこの町から、ルイから引き剥がすって言うなら俺は王だろうとなんだろうと殺す。」

「…ラン。」

少しの沈黙の後ランが低い声で言った一言はとても重かった。
勇者になった日から今日まで、やりたくもないことを沢山やらされたのだろう。
どんだけ辛かったか、寂しかったか。僕には計り知れないものだった。

「じゃあこれからはルイだけじゃなくてランにも料理教えてやらなきゃな!」

「っうん。任せて俺覚えるのは早いから。」

「あ~!俺よりも上手くならないでよ?俺のが先輩なんだから。」

「ははっ!それはどうかな。まぁでも今はまだ後輩として沢山教えてくださいね。せ、ん、ぱ、い。」

「あ~!なんかムカつく!」

「ははは!」

「もうお前らは…少しは静かに食べなさい。」

「「はーい。」」

(分からないならせめて、これから先のランの未来が少しでも楽しく幸せになれるように全力でできることをやろう。)

そう僕は強く誓った。


「ふぁーぁ。今日は疲れたァ。ぐっすり寝れそう。」

コンコン

「はーい。」

「あのルイ?」

「ランどうしたの?」

「今日一緒に寝てもいい?久しぶりに。」

「っえ!あぁ、前はよく寝てたんだっけ。」
(もうすっかり1人になれてたんだなぁ。)

「うん。」

「ラン相当眠いでしょ。」

「え、なんでわかるの?」

「ランって眠いと少し話し方が子供っぽくなるんだよ。」

「そーなんだ。無意識だわ。」

「いいよ。一緒に寝ようか。」

「いいの!うん。」

そういうとランはゴソゴソと僕のベットに入ってきた。
そんなランの頭をポンポンとリズムよく撫でてあげるとランはすぐに眠ってしまった。

「3年経っても変わらないなぁ。」
「…おかえり。ラン。」

勇者としてランが連れていかれた日からずっとランのことを忘れた日なんてなくて、
酷いことはされてないだろうか、
ご飯は食べれているのか、
辛い鍛錬はないだろうか、
楽しく過ごせているだろうか。
会いたいけど会えないことがわかっていたからせめて、
君が幸せであるようにずっと願っていた。

でも帰ってきてくれた。また会えた。
それだけで僕は今日まで生きててよかったと思う。
兄弟みたいに育った君とまた暮らせるのならそんな幸せなことはない。

「今度は無理やり連れてかれないように何がなんでも守るからね。」

僕は小さく呟いて昔(いつも)のようにおでこに小さくキスをするとそのまま夢の中へ落ちていった。
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