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第17話 ドレスコード
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シン達がクリムゾンドラゴンを倒したという噂は瞬く間に広がった。最初はギルドも全く信じていなかったのだが痺れを切らしたシンがクリムゾンドラゴンの頭部を持ち帰りそれをギルドの前に放り投げようやくクエストクリアの運びとなった。
長きにわたりミルミナーゼを苦しめてきたクリムゾンドラゴン。もう国民はお祭り騒ぎだ。
「ねぇ.......これ幾らなの?」
「さぁ?興味ねぇな」
「なんで!?億万長者だよ!」
「お前は馬鹿か。ここ救ったらまた直ぐに他の世界だ。使い切れねぇ金があったって荷物にしかならねぇよ」
「そ、そっか.......」
クエストには多額の報酬が掛けられていた。
亜里朱が言うにはキャリーオーバーしまくった宝くじで1等引いた並の金額らしい。
しかしそんなお金使い切れるはずも無かった。元よりシンは「勇者」の使命によってこの世界を救済したのち時間差はあれど直ぐに他の世界に転移させられる。一瞬だった時もあれば半日留まった事もある。
「んー、けど勿体ないなぁ」
「じゃあ派手に使うか?」
「って言っても何に使うの?」
「そうだな。じゃあ今度社交界に着ていくドレスコードとか確認ついでにドレスとか見て行くか?」
「え、行く!」
食い気味にそういう亜里朱に若干たじろぐシン。
もう既に社交界への招待状は貰っている。しかし元より別世界からやってきた2人がドレスコードに相応しい服やドレスなんて持っていない。故に買い揃える必要があった。
「でもそんなお店にあてはあるの?」
「大丈夫だ。任せろ」
幸いな事にシンには宛があった。
やはりというか外に出ると遠巻きにヒソヒソと噂話をする者や興味の視線を向けられる。分かっていた事だがあまり良い気分はしない。黙って見世物になるつもりはないのでそそくさと目的地へ向かう。
辿り着いた場所はエルミナーゼでも一等地に位置するお屋敷。ここに住む人物はこの国の騎士団長であり中心人物でもある。
「止まれ!個々はケルト様のお屋敷。見物に来たのなら帰りたまえ」
「用があって来たんだ。これ、見せてきてくれよ」
「それは.......分かった。今見せてこよう」
取り出したのは宝石。表面に薄らと文字が刻まれたそれを見た門番の男は少し考える素振りを見せ直ぐに宝石を持って屋敷の中へと走り去って行った。
何それ?と目線で訴えかけて来る亜里朱。
「前賊に襲われてな」
「えぇ!?何それ聞いてないよ!?」
「まぁ言ってないし。そんでそんときちょうどここの屋敷の主にナンパされててさ。一緒に戦ったんだ」
「どういう状況なのそれ.......」
亜里朱の顔は引き攣っていた。
「良く来てくれたね!僕は君が来てくれると信じていたんだ」
「そりゃどーも。けど今日は社交界に行く為のドレスコードを整える店を紹介して欲しくて来たんだ」
「なるほど!それは聞き及んでいるよ。ふっ、流石だな。よもやクリムゾンドラゴンを倒すなんて!どうだい。その後僕と.......」
「あー、どうせ社交界にも来るんだろ?そん時まで楽しみにしといてくれよ」
それもそうだ!と満面の笑みを浮かべるケルト。やたらと距離が近かった。シン(亜里朱の身体)の肩を抱き寄せるケルトを亜里朱が睨み付ける。どうも亜里朱はこういう手合いの相手は苦手らしい。
そしてここからが地獄だった。
案内だけしてケルトは帰って行ったまでは良かった。しかし2人は失念していた。
今まさに2人は身体が入れ替わっている。そして亜里朱の容姿は少し幼さはあるが十分整っていて寧ろ触れてはいけない神聖さがある。
故に。
「お客様。こっちのドレスなんてどうですか?あぁこっちのもきっと似合いますわ!」
「勘弁してくれ.......」
亜里朱の可愛らしい容姿に店員がやたらと乗り気になってしまい次から次へとドレスを持ってくる。その光景に亜里朱は苦笑い。
視線で助けを求めるシンに亜里朱は心の中で合掌した。
「似合ってると思うよ。自分だと思うと何だか気恥しいけどね」
「くそ.......なんで俺がこんな目に」
「けど社交界の時もシンがそのドレスを着るんでしょ?その.......大丈夫?」
その大丈夫には色々な意味が含まれている。マナーだとか女性としての振る舞い方だとか。お世辞にも普段の姿からはそういうマナーだとかましてや男であるシンが女性としての振る舞い方が出来るとは思えなかった。
その問いに対してシンは顔が真っ青になったと思うと光の失った何処か焦点の合ってない目で答えた。
「ふふふ.......何も問題ない。なんにもな.......」
分かったのは絶対触れてほしくないんだろうなと言う事と長生きしてたら色々な事があるんだなということ。亜里朱の思考は何処までも他人事だった。
長きにわたりミルミナーゼを苦しめてきたクリムゾンドラゴン。もう国民はお祭り騒ぎだ。
「ねぇ.......これ幾らなの?」
「さぁ?興味ねぇな」
「なんで!?億万長者だよ!」
「お前は馬鹿か。ここ救ったらまた直ぐに他の世界だ。使い切れねぇ金があったって荷物にしかならねぇよ」
「そ、そっか.......」
クエストには多額の報酬が掛けられていた。
亜里朱が言うにはキャリーオーバーしまくった宝くじで1等引いた並の金額らしい。
しかしそんなお金使い切れるはずも無かった。元よりシンは「勇者」の使命によってこの世界を救済したのち時間差はあれど直ぐに他の世界に転移させられる。一瞬だった時もあれば半日留まった事もある。
「んー、けど勿体ないなぁ」
「じゃあ派手に使うか?」
「って言っても何に使うの?」
「そうだな。じゃあ今度社交界に着ていくドレスコードとか確認ついでにドレスとか見て行くか?」
「え、行く!」
食い気味にそういう亜里朱に若干たじろぐシン。
もう既に社交界への招待状は貰っている。しかし元より別世界からやってきた2人がドレスコードに相応しい服やドレスなんて持っていない。故に買い揃える必要があった。
「でもそんなお店にあてはあるの?」
「大丈夫だ。任せろ」
幸いな事にシンには宛があった。
やはりというか外に出ると遠巻きにヒソヒソと噂話をする者や興味の視線を向けられる。分かっていた事だがあまり良い気分はしない。黙って見世物になるつもりはないのでそそくさと目的地へ向かう。
辿り着いた場所はエルミナーゼでも一等地に位置するお屋敷。ここに住む人物はこの国の騎士団長であり中心人物でもある。
「止まれ!個々はケルト様のお屋敷。見物に来たのなら帰りたまえ」
「用があって来たんだ。これ、見せてきてくれよ」
「それは.......分かった。今見せてこよう」
取り出したのは宝石。表面に薄らと文字が刻まれたそれを見た門番の男は少し考える素振りを見せ直ぐに宝石を持って屋敷の中へと走り去って行った。
何それ?と目線で訴えかけて来る亜里朱。
「前賊に襲われてな」
「えぇ!?何それ聞いてないよ!?」
「まぁ言ってないし。そんでそんときちょうどここの屋敷の主にナンパされててさ。一緒に戦ったんだ」
「どういう状況なのそれ.......」
亜里朱の顔は引き攣っていた。
「良く来てくれたね!僕は君が来てくれると信じていたんだ」
「そりゃどーも。けど今日は社交界に行く為のドレスコードを整える店を紹介して欲しくて来たんだ」
「なるほど!それは聞き及んでいるよ。ふっ、流石だな。よもやクリムゾンドラゴンを倒すなんて!どうだい。その後僕と.......」
「あー、どうせ社交界にも来るんだろ?そん時まで楽しみにしといてくれよ」
それもそうだ!と満面の笑みを浮かべるケルト。やたらと距離が近かった。シン(亜里朱の身体)の肩を抱き寄せるケルトを亜里朱が睨み付ける。どうも亜里朱はこういう手合いの相手は苦手らしい。
そしてここからが地獄だった。
案内だけしてケルトは帰って行ったまでは良かった。しかし2人は失念していた。
今まさに2人は身体が入れ替わっている。そして亜里朱の容姿は少し幼さはあるが十分整っていて寧ろ触れてはいけない神聖さがある。
故に。
「お客様。こっちのドレスなんてどうですか?あぁこっちのもきっと似合いますわ!」
「勘弁してくれ.......」
亜里朱の可愛らしい容姿に店員がやたらと乗り気になってしまい次から次へとドレスを持ってくる。その光景に亜里朱は苦笑い。
視線で助けを求めるシンに亜里朱は心の中で合掌した。
「似合ってると思うよ。自分だと思うと何だか気恥しいけどね」
「くそ.......なんで俺がこんな目に」
「けど社交界の時もシンがそのドレスを着るんでしょ?その.......大丈夫?」
その大丈夫には色々な意味が含まれている。マナーだとか女性としての振る舞い方だとか。お世辞にも普段の姿からはそういうマナーだとかましてや男であるシンが女性としての振る舞い方が出来るとは思えなかった。
その問いに対してシンは顔が真っ青になったと思うと光の失った何処か焦点の合ってない目で答えた。
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