婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました

宵闇 月

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王子様のプロポーズ ①

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リュオン殿下から口に出すのも憚れる程の熱烈なラブレターで会いたいと伝えられ、お父様の用事にくっ付いて王城にやってきたのは初デートから一ヶ月と少し経った頃だ。

王城に入ったところでお父様と別れ、マリーと一緒にリュオン殿下の自室に向かう。

私は最推しの生部屋に密かに興奮した。

通されたリュオン殿下の自室は前世のスチルと同様に青と白を基調にした至ってシンプルな、そして生活感が全く感じられない部屋だった。

同時に歴史あるお城にもかかわらず、前世でいうところの満載なその部屋の様子にとても驚く。

そこには王城のメイドさんたちの凄さが垣間見える気がした。

流石である。

そしてよく考えなくとも、オフィーリアがこの部屋に入ったのは初めてで、婚約期間を考えると元オフィーリアがどれだけ疎まれていたかが想像できてドン引いた。

私はマリーしかいないのをいいことにキョロキョロと視線を彷徨わせる。

しかし最推しのお部屋初訪問なのだから淑女でいられないのは仕方ないよね☆キャハッ☆

などと思うのはどうやら私だけのようで、その行動にマリーが睨みながらンンッと咳払いをした。

そして私がそのマリーの表情にスッと淑女に戻った瞬間、扉がノックされて待ち人であるこの部屋の主が戻ってきたのだ。

そのあまりのタイミングに慌てた私は即座に何も見てませんよ~の体で美しいカーテシーを披露しつつ挨拶をしたのだがマリーは変わらず睨んでいた。

これは帰ってからお説教一時間コースだわ…

私は密かに腹を括る。

現れたリュオン殿下は今日も素晴らしく麗しいお姿である。

「今日は来てくれてありがとう。元気そうだね?会いたかったよ。あ、今お茶を準備させるから座って?実はオフィが好きそうなお菓子を用意しておいたんだ」

「ありがとうございます。リュオン殿下もお元気そうで安心致しました」

「まぁ、それなりにね」

「ふふっ。私もですわ。それで、手紙にあった伝えたいこととはどのような…?」

「ああ、それ…なんだけど…その…。とりあえずここではなんだし、ひとまず城の薔薇園にでも行かないか?ちょうど薔薇が綺麗なんだ」

「……はい」

しかし私はリュオン殿下のどこかソワソワした様子とお茶に誘った直後に薔薇園に誘うという謎の言動に首を傾げるのだった。






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