猫被りの恋。

圭理 -keiri-

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《afterstory #02》砂糖菓子のように甘いひと眠り

3.寝ながらベッタリ〈蒼夜〉

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【恋人達に睡眠で6のお題︎︎】お借りしています。
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「ったくさあ~、ほんとあのクソ上司のやつさあ~…」



会社で飲み会だと言っていたスイが、足元がおぼつかない程酔っ払って帰宅した深夜。
ぐでんぐでんに酔っ払って絡んでくるスイは珍しいが、口から溢れる飲み会の様子は散々だったようだ。
この荒れようも納得できる。

あまりにも酷く酔っ払っているから介抱しているけれど、手負の猫みたいに全く言うことを聞かない。
水を飲むようにコップを渡してもそっぽを向いて「やだ」。
俺が手に持ったまま口元に近づけてもコップを叩き落とそうとする。
最後は俺が口移しで飲ませてやっと水を飲んだくらいに。
水ひとつでこんな調子だから、本当に手がかかって仕方ない。
スーツがシワになるからと脱がせようにも、さすがに俺一人では手に負えず。
それどころか俺にくっついたまま離れようとしないスイを落ち着かせることで精一杯だ。

二人で悩んで選んだフカフカのソファーに座った俺の腰に腕を回して、そのまま腹に顔を埋めるような姿勢でくっついているスイ。
酔っ払っていても、凹んでいる時の仕草は変わらないらしい。
甘えたい時に素直に甘えられないスイはかわいいけれど、本当は少し寂しい。
だからこういう時にここぞとばかりに甘やかすしかない。
自分の両足もソファーにあげて寝転ぶようにして、腹の上に埋まっているスイを抱きしめた。




「…スイ?」




しばらくして、口から溢れる呪詛のような言葉が途切れがちになって、いつしかパタリと病んだ。
不思議に思って覗き込むと…静かな寝息。
ほっぺたを引っ張っても鼻をつまんでも全く起きる気配がない。
それなのに、腰に回った手を解こうとすると、離さないようにきつく締め付けられる。
これはもう…ベッドに行くことすら難しそうだ。




「しかたない。ここで一眠りかな」




近くに置いてあったブランケットになんとか手を伸ばして、気持ちよさそうに眠るスイの背中にかける。
まあ、これで風邪をひいたら後でしっかり看病してもらおう、そう思って。



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