猫被りの恋。

《afterstory #02》砂糖菓子のように甘いひと眠り

４．いつの間に潜り込んできてたんだ…？〈蒼夜〉

【恋人達に睡眠で6のお題︎︎】お借りしています。
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「…あ、れ…？？」




口から零れたガラガラにかすれた声。
まるで悪魔か魔物の唸り声のような酷い音と、呼吸とともにつきりと走る痛みに眉をしかめた。
首元に触れようと手を上げようとしたら、右腕にかかる重みにようやく気づいた。
暗闇の中で目を凝らすと、すやすやと寝息を立てる愛しい人。

スイだ。




起こさないようにそっと空いている手を伸ばして、枕元のスポーツドリンクを手に取る。
発熱で乾ききった身体に染み渡る水分に、ほっと息をついた。


ずいぶんと久しぶりの風邪。
受け持ちのクラスで流行っていたから、ひろってしまったんだろう。
朝から違和感はあったものの、休める仕事ではないからと重い身体を引きずりながら一日過ごしていた。
さすがに退勤時間のころには身体も限界で、残業無しで帰宅したのは夕方6時ころだったか。
食事もそこそこに、スイには置き手紙だけして、飲み物や熱冷ましのジェルシートなどを抱えて自分の部屋にひきこもった。
薬を飲んで横になったところまでは覚えているけれど…いつの間にかぐっすり寝ていたらしい。
時計を見れば、夜中の2時。
スイが帰宅していたことも、こうして部屋に忍び込んできたことも、ちっとも気づかなかった。





「風邪うつると困るから、今日は来ちゃダメだって書いたのにな…」




書き置きには今日は別々に寝ると書いたのに、こうして潜り込んできてしまうスイ。
まあ、俺がかつて死にかけてたことを思い出して、心配をかけてしまったのだろうけれど。
起きる気配のないスイを、いつもは俺よりずっと温かい体温の身体を、そっと抱きしめて…もう一度眠りについた。

もし風邪をうつしてたら、責任をもって看病しなくちゃな、と思いながら。







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蒼夜くんは、高校生のときに病気の治療でドイツに行っていました。
水都くんは、その事を思い出して心配してしまう。
そんなシチュエーションです。
このシリーズは、どれも短めのお話になりそうです。



ちょっと更新できてなくてすみません。
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