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071 騒動の予感
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一晩公爵邸の裏庭にお泊まりしたが、仕立屋に採寸されてドギマギしているアルカン達。
翌朝届けられた物は冒険者達が着る服と同色で目立たないが、左の胸には少し明るめの色でホールデンス公爵家の紋章熊ちゃんが浮かびあがっている。
男達の物は腰より少し下までの長さだが、フェリスの物はもっと長めで女性と判る。
「なかなか似合っているよ」
「ちょっと警備兵みたいだな」
「思ったよりも動きやすいな」
「目立たない色で助かるぜ」
「そいつを着ていれば、模擬戦を挑まれても公爵様に止められていると断れるよ。と言うか、その紋章を見て模擬戦を挑むって事は、公爵家に喧嘩を売るって事だからね。だけどあんまり薄汚れた格好は出来ないので気を付けてね」
「此を着ている以上は、ホールデンス公爵様の配下に見られるってことね」
「街の中だけだよ。外に出たら服の御利益は無いよ」
「当然だな」
「公爵様の顔に泥を塗らない様に気を付けるよ」
「此を着ている時だけは、だな」
「それ位の気楽な気分でいれば良いよ」
サディアスさんに挨拶をしてお暇しようとしたら「ゴールデンゴートと雛鳥のお礼です」と言われて、アルカン達に革袋が二つ渡された。
困惑するアルカンに、断るのは失礼なので受け取っておけば良いと言っておく。
受け取った革袋を俺に差し出すので、公爵様に提供したのはアルカン達なので俺が受け取る謂れはないと拒否。
困惑していたが、大金を持ち歩くのは嫌なので商業ギルドに預けに行くと言うのでお別れした。
* * * * * * *
「しかし、金貨の袋を持って商業ギルドに行く事になるとは思わなかったな」
「ランディスにファルを譲ってとお願いした上に、手解までしてもらってお世話になりっぱなしね」
「だけど、彼奴は公爵様相手でも平気な顔をしていたな」
「アッシュとグレイを連れているだけでも凄いのに、よく判らん奴だ」
「あら、噂を知らないの」
「噂ってなんでぇ?」
「ランディスって、此処から南の方の貴族のお坊ちゃまらしいのよ。それが家を放り出されて追われていた時に、あの二頭をテイムしたらしいの。エリンザスの近くで襲われて死にそうになった時に、公爵様の御子息と繋がりが出来たって話よ」
「あー、エリンザスの近くで、大爆発が起きたとかなんとかの話か」
「あれってランディスの事だったのか?」
「あの時は騎士崩れや冒険者達が多数捕らえられたって話だぞ」
「タイガーキャットの親子を見た時に、市場の小母ちゃん達の話を思い出したの。出会った時には、まさか賞金の掛かった幻獣の群れを追っていたとは知らなかったわ。グレイが倒した二頭を見てランディスが悩んでいたので、思わず一頭譲ってくれと言っちゃったの」
「言っちゃったのって、何だそれ」
「だって、テイマースキルを授かっていても、使役獣に出来る野獣なんて私達には捕まえられないでしょう」
「確かにドッグ系をテイムしても、キャンキャン吠えられたら獲物を逃がすだけだからな」
「死にそうでも幻獣をテイム出来るチャンスなんて先ずないので、テイム出来たら絶対に生き延びさせてやると思って、譲って下さいってお願いしたのよ」
「お陰で、思わぬ幸運に恵まれた訳か」
「彼には感謝しかないわ」
* * * * * * *
サディアスさんにツアイス伯爵の事を教えてもらったが、彼はバテスト街道沿いのハンフリー領テレンスの街が領都で、タイラント公爵の腰巾着だと教えてくれた。
タイラント公爵・・・何処かで聞いた事が有る様な気がするが、腰巾着と言われる男ならなら権力に擦り寄るタイプに違いない。
王都カンタスに伯爵が居れば良いが、領地に戻っているのなら王都から馬車で11日の距離、ハイムントからだと16日とは、遠い!
* * * * * * *
ランディスから、ツアイス伯爵の事を尋ねられたとの報告を受けたホールデンス公爵は、厄介事の匂いを嗅ぎつけて急ぎ報告の為に王都に向かった。
ランディスは街道から外れて王都に向かっていたので出会う事もなく、王都に到着するとそのまま王城に出向いた。
控えの間に足を踏み入れることもなくヒューヘン宰相の執務室に向かう。
「此はホールデンス公爵殿、先触れも無く何事ですか?」
「ツアイス伯爵は王都に居ますか?」
「今は領地に戻っているはずですが、それが何か」
「ランディスが、ツアイス伯爵に会うために此方に向かっている」
「それは・・・陛下にお報せしてまいりますので暫しお待ちを」
ヒューヘン宰相は慌てて執務室で出て行ったが、暫くすると陛下の側仕えが公爵を迎えに来て陛下の執務室に招き入れられた。
「叔父上、彼がツアイス伯爵に会うために此方に向かっているとは本当ですか?」
「領地の執事が伯爵の事を尋ねられたと報告してきました。何の為にとは聞けずに、領地のことは教えたそうです」
「ツアイス伯爵は領地に戻っています。彼がバテスト街道を下ることになれば・・・」
「タイラントの領地を通る事になるか」
「ツアイスと何かあったのか、それとも・・・」
「タイラントと通じたとは思えません。彼はここ数ヶ月、我が領地の奥へ二度ほど行っていますが、それは野獣討伐とテイムした野獣の訓練のためです」
「えっ、彼はまた新たな野獣をテイムしたのですか?」
「王家の領地から我が領地一帯で、ファイヤーボールを使うフォレストウルフの群れがいたので討伐を依頼していたのですが、戻ってきた時には二頭の幻獣を従えていました。正確には討伐途中で出会った冒険者パーティーに一頭を譲っていました。その彼等と共に幻獣の訓練のために再び森に向かい、戻ってくるとツアイス伯爵の事を執事に尋ねました」
「タイラント公爵も領地に戻っていますが、何時もの様に取り巻き達を集めて密談に忙しいそうです。国境を守るブリスト伯爵からは、クラウディオ王国に変化なしとの報告を受けたばかりです」
「すると個人的な事か?」
「彼とツアイス伯爵の接点が判りませんが、伯爵とタイラントとの仲を考えれば一騒動起きかねませんね」
「王城での魔法披露の時の事もあるので一騒動で終われば良いが、タイラントの領地に送り込んでいる者からの報告は?」
「タイラント公爵の屋敷を取り巻き達が訪れていると、何時もと変わらぬ報告のみです」
「バテスト街道沿いに配置している者達に、彼に危険が及ぶ様なら支援をする様に通達を出しておけ」
ホールデンス公爵を残してヒューヘン宰相が下がると「叔父上〔幻獣を従える者〕の事を御存知ですか?」
「幻獣を従える者? 聞いた事が無いが、それが何か?」
「ヒューヘンが古い記録の中で読んだ事があるそうですが、詳しい記録が見つからないそうです。さっきの話だと一頭増えて、彼は幻獣を五頭従えている事になる」
「五頭? もしや彼の肩に乗る小さなものも幻獣なのですか?」
「あれも立派な幻獣で、土魔法と結界魔法を使うそうです。報告では針の様なものから、ストーンアローやシールドと呼ばれる楯を瞬時に使ったそうです」
「やれやれ、とんでもない男ですな。先程話した二頭のうち一頭は冒険者パーティーに譲り、共に幻獣の訓練をして戻ってきたのですが、此方もとんでもない幻獣でしたよ」
「とんでもないとは?」
「あのグレイ程ではありませんが、ファイヤーボールと雷撃魔法の威力は中々のもので、王国の魔法部隊の者を凌ぐと思われます。その上爆風を避けるために立てたシールドもビクともしませんでした」
「なんと、三種の魔法を使うのか。それを捨て置いて彼等に取り込まれては・・・」
「既に私の身分証を与えており、紋章を身に付ける事を許しています。ただ配下に加える事は彼との繋がりから難しいかと」
「それで良い。我等に敵対しないのなら恩を売っておけば良い」
* * * * * * *
王都に到着したが、ツアイス伯爵の消息を知る手立てがない。
ハイムントに公爵様が居たのなら、王都の屋敷にはヘイラートが居るはずだ。
フラッグだけを連れて南門から王都に入ると辻馬車を雇い、貴族街のホールデンス公爵邸に向かわせた。
貴族街の入り口で辻馬車は止められたが、質問攻めが始まる前に公爵様の身分証を示して無事に通過。
ホールデンス公爵邸の通用門に向かわせて、執事長のフェルラントさんに会いたいと告げると即座に中へ入れてもらえた。
門衛の知らせで待つ事も無くフェルラントさんがやって来たので、ツアイス伯爵が王都に居るのか知りたいと尋ねた。
フェルラントさんは胡散臭げに俺を見て「ツアイス伯爵ですか」と聞き返してくる。
少し考えて「公爵様にお尋ねください」と言ってサロンに連れて行かれたが、なんで公爵様が王都に居るのよ。
フェルラントさんの説明を受けた公爵様は、俺を見て溜め息を吐いている。
「ツアイス伯爵は領地に戻っているが、会いに行くつもりか?」
「ちょっと直接聞きたい事・・・伯爵の執事エリックって人に、確認しなきゃならない事が出来まして」
「伯爵本人ではなく執事にか? 訳をお聞かせてもらえないか」
「俺達、正確には、アッシュとグレイに賞金が掛けられている様なんです」
「賞金とな・・・伯爵と言うよりもエリックなる執事の居場所なら、フェルラントに。調べさせるので少し待て」
そうだった、王都屋敷と領地の二ヶ所に執事がいるんだった。
伯爵に会った所で問題の執事が居るとは限らないので、此処に来たのは正解だった。
暫くするとフェルラントさんが戻ってきて、エリックなる執事はツアイス伯爵の領地屋敷の執事だと教えてくれた。
「ランディスよ、ツアイス伯爵に会う気ならバテスト街道を下る事になるが、あの道は少々厄介だぞ」
「厄介とは?」
「王家の領地を過ぎればタイラント公爵の領地を通る事になる」
「タイラント公爵、それが何か問題でも?」
「忘れたのか、王城での魔法披露の時に大怪我をした連中の事を」
翌朝届けられた物は冒険者達が着る服と同色で目立たないが、左の胸には少し明るめの色でホールデンス公爵家の紋章熊ちゃんが浮かびあがっている。
男達の物は腰より少し下までの長さだが、フェリスの物はもっと長めで女性と判る。
「なかなか似合っているよ」
「ちょっと警備兵みたいだな」
「思ったよりも動きやすいな」
「目立たない色で助かるぜ」
「そいつを着ていれば、模擬戦を挑まれても公爵様に止められていると断れるよ。と言うか、その紋章を見て模擬戦を挑むって事は、公爵家に喧嘩を売るって事だからね。だけどあんまり薄汚れた格好は出来ないので気を付けてね」
「此を着ている以上は、ホールデンス公爵様の配下に見られるってことね」
「街の中だけだよ。外に出たら服の御利益は無いよ」
「当然だな」
「公爵様の顔に泥を塗らない様に気を付けるよ」
「此を着ている時だけは、だな」
「それ位の気楽な気分でいれば良いよ」
サディアスさんに挨拶をしてお暇しようとしたら「ゴールデンゴートと雛鳥のお礼です」と言われて、アルカン達に革袋が二つ渡された。
困惑するアルカンに、断るのは失礼なので受け取っておけば良いと言っておく。
受け取った革袋を俺に差し出すので、公爵様に提供したのはアルカン達なので俺が受け取る謂れはないと拒否。
困惑していたが、大金を持ち歩くのは嫌なので商業ギルドに預けに行くと言うのでお別れした。
* * * * * * *
「しかし、金貨の袋を持って商業ギルドに行く事になるとは思わなかったな」
「ランディスにファルを譲ってとお願いした上に、手解までしてもらってお世話になりっぱなしね」
「だけど、彼奴は公爵様相手でも平気な顔をしていたな」
「アッシュとグレイを連れているだけでも凄いのに、よく判らん奴だ」
「あら、噂を知らないの」
「噂ってなんでぇ?」
「ランディスって、此処から南の方の貴族のお坊ちゃまらしいのよ。それが家を放り出されて追われていた時に、あの二頭をテイムしたらしいの。エリンザスの近くで襲われて死にそうになった時に、公爵様の御子息と繋がりが出来たって話よ」
「あー、エリンザスの近くで、大爆発が起きたとかなんとかの話か」
「あれってランディスの事だったのか?」
「あの時は騎士崩れや冒険者達が多数捕らえられたって話だぞ」
「タイガーキャットの親子を見た時に、市場の小母ちゃん達の話を思い出したの。出会った時には、まさか賞金の掛かった幻獣の群れを追っていたとは知らなかったわ。グレイが倒した二頭を見てランディスが悩んでいたので、思わず一頭譲ってくれと言っちゃったの」
「言っちゃったのって、何だそれ」
「だって、テイマースキルを授かっていても、使役獣に出来る野獣なんて私達には捕まえられないでしょう」
「確かにドッグ系をテイムしても、キャンキャン吠えられたら獲物を逃がすだけだからな」
「死にそうでも幻獣をテイム出来るチャンスなんて先ずないので、テイム出来たら絶対に生き延びさせてやると思って、譲って下さいってお願いしたのよ」
「お陰で、思わぬ幸運に恵まれた訳か」
「彼には感謝しかないわ」
* * * * * * *
サディアスさんにツアイス伯爵の事を教えてもらったが、彼はバテスト街道沿いのハンフリー領テレンスの街が領都で、タイラント公爵の腰巾着だと教えてくれた。
タイラント公爵・・・何処かで聞いた事が有る様な気がするが、腰巾着と言われる男ならなら権力に擦り寄るタイプに違いない。
王都カンタスに伯爵が居れば良いが、領地に戻っているのなら王都から馬車で11日の距離、ハイムントからだと16日とは、遠い!
* * * * * * *
ランディスから、ツアイス伯爵の事を尋ねられたとの報告を受けたホールデンス公爵は、厄介事の匂いを嗅ぎつけて急ぎ報告の為に王都に向かった。
ランディスは街道から外れて王都に向かっていたので出会う事もなく、王都に到着するとそのまま王城に出向いた。
控えの間に足を踏み入れることもなくヒューヘン宰相の執務室に向かう。
「此はホールデンス公爵殿、先触れも無く何事ですか?」
「ツアイス伯爵は王都に居ますか?」
「今は領地に戻っているはずですが、それが何か」
「ランディスが、ツアイス伯爵に会うために此方に向かっている」
「それは・・・陛下にお報せしてまいりますので暫しお待ちを」
ヒューヘン宰相は慌てて執務室で出て行ったが、暫くすると陛下の側仕えが公爵を迎えに来て陛下の執務室に招き入れられた。
「叔父上、彼がツアイス伯爵に会うために此方に向かっているとは本当ですか?」
「領地の執事が伯爵の事を尋ねられたと報告してきました。何の為にとは聞けずに、領地のことは教えたそうです」
「ツアイス伯爵は領地に戻っています。彼がバテスト街道を下ることになれば・・・」
「タイラントの領地を通る事になるか」
「ツアイスと何かあったのか、それとも・・・」
「タイラントと通じたとは思えません。彼はここ数ヶ月、我が領地の奥へ二度ほど行っていますが、それは野獣討伐とテイムした野獣の訓練のためです」
「えっ、彼はまた新たな野獣をテイムしたのですか?」
「王家の領地から我が領地一帯で、ファイヤーボールを使うフォレストウルフの群れがいたので討伐を依頼していたのですが、戻ってきた時には二頭の幻獣を従えていました。正確には討伐途中で出会った冒険者パーティーに一頭を譲っていました。その彼等と共に幻獣の訓練のために再び森に向かい、戻ってくるとツアイス伯爵の事を執事に尋ねました」
「タイラント公爵も領地に戻っていますが、何時もの様に取り巻き達を集めて密談に忙しいそうです。国境を守るブリスト伯爵からは、クラウディオ王国に変化なしとの報告を受けたばかりです」
「すると個人的な事か?」
「彼とツアイス伯爵の接点が判りませんが、伯爵とタイラントとの仲を考えれば一騒動起きかねませんね」
「王城での魔法披露の時の事もあるので一騒動で終われば良いが、タイラントの領地に送り込んでいる者からの報告は?」
「タイラント公爵の屋敷を取り巻き達が訪れていると、何時もと変わらぬ報告のみです」
「バテスト街道沿いに配置している者達に、彼に危険が及ぶ様なら支援をする様に通達を出しておけ」
ホールデンス公爵を残してヒューヘン宰相が下がると「叔父上〔幻獣を従える者〕の事を御存知ですか?」
「幻獣を従える者? 聞いた事が無いが、それが何か?」
「ヒューヘンが古い記録の中で読んだ事があるそうですが、詳しい記録が見つからないそうです。さっきの話だと一頭増えて、彼は幻獣を五頭従えている事になる」
「五頭? もしや彼の肩に乗る小さなものも幻獣なのですか?」
「あれも立派な幻獣で、土魔法と結界魔法を使うそうです。報告では針の様なものから、ストーンアローやシールドと呼ばれる楯を瞬時に使ったそうです」
「やれやれ、とんでもない男ですな。先程話した二頭のうち一頭は冒険者パーティーに譲り、共に幻獣の訓練をして戻ってきたのですが、此方もとんでもない幻獣でしたよ」
「とんでもないとは?」
「あのグレイ程ではありませんが、ファイヤーボールと雷撃魔法の威力は中々のもので、王国の魔法部隊の者を凌ぐと思われます。その上爆風を避けるために立てたシールドもビクともしませんでした」
「なんと、三種の魔法を使うのか。それを捨て置いて彼等に取り込まれては・・・」
「既に私の身分証を与えており、紋章を身に付ける事を許しています。ただ配下に加える事は彼との繋がりから難しいかと」
「それで良い。我等に敵対しないのなら恩を売っておけば良い」
* * * * * * *
王都に到着したが、ツアイス伯爵の消息を知る手立てがない。
ハイムントに公爵様が居たのなら、王都の屋敷にはヘイラートが居るはずだ。
フラッグだけを連れて南門から王都に入ると辻馬車を雇い、貴族街のホールデンス公爵邸に向かわせた。
貴族街の入り口で辻馬車は止められたが、質問攻めが始まる前に公爵様の身分証を示して無事に通過。
ホールデンス公爵邸の通用門に向かわせて、執事長のフェルラントさんに会いたいと告げると即座に中へ入れてもらえた。
門衛の知らせで待つ事も無くフェルラントさんがやって来たので、ツアイス伯爵が王都に居るのか知りたいと尋ねた。
フェルラントさんは胡散臭げに俺を見て「ツアイス伯爵ですか」と聞き返してくる。
少し考えて「公爵様にお尋ねください」と言ってサロンに連れて行かれたが、なんで公爵様が王都に居るのよ。
フェルラントさんの説明を受けた公爵様は、俺を見て溜め息を吐いている。
「ツアイス伯爵は領地に戻っているが、会いに行くつもりか?」
「ちょっと直接聞きたい事・・・伯爵の執事エリックって人に、確認しなきゃならない事が出来まして」
「伯爵本人ではなく執事にか? 訳をお聞かせてもらえないか」
「俺達、正確には、アッシュとグレイに賞金が掛けられている様なんです」
「賞金とな・・・伯爵と言うよりもエリックなる執事の居場所なら、フェルラントに。調べさせるので少し待て」
そうだった、王都屋敷と領地の二ヶ所に執事がいるんだった。
伯爵に会った所で問題の執事が居るとは限らないので、此処に来たのは正解だった。
暫くするとフェルラントさんが戻ってきて、エリックなる執事はツアイス伯爵の領地屋敷の執事だと教えてくれた。
「ランディスよ、ツアイス伯爵に会う気ならバテスト街道を下る事になるが、あの道は少々厄介だぞ」
「厄介とは?」
「王家の領地を過ぎればタイラント公爵の領地を通る事になる」
「タイラント公爵、それが何か問題でも?」
「忘れたのか、王城での魔法披露の時に大怪我をした連中の事を」
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