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020 二人目の犠牲者
バリアを抜けきっちり封鎖して通用門に向かうが、騎士達が周囲を取り囲んで道を開けない。
〈覚悟は出来ているんだろうな〉
〈おのれぇ~、好き勝手をしてくれたな!〉
「あれえぇぇぇ、そんな事をして良いのぉぉ。公爵様の命が無くなるよ」
〈お前達・・・手を出すな! お通ししろぉぉ〉
遠くから公爵様が、必死で怒鳴っている。
「聞こえた? 公爵様はあんな事を言ってるけどね」
俺がバリアから離れたので、公爵を助けようと警備兵達が駆けつけたが、バリアに阻止されて助けられない。
君達に俺のバリア、結界を破れるとは思えないけど頑張れー、と心の中でエールを送っておく。
この屋敷ちょっと気になる事があるが、じっくり調べる訳にもいかないので諦める。
「せめて公爵様を解放して貰えないか」
この屋敷に来て以来、一人だけまともな対応をした騎士が頼んで来たが断る。
「2,3日したら消えるから其れ迄の辛抱だね、消えなかったら呼びに来て解除してあげるから。大小便垂れ流しになるけど、公爵様の部下なら見て見ぬ振りをしてあげてね。・・・ いい加減に道を開けないのなら、公爵を殺すよ」
俺の本気が判ったのか、パッと左右に下がり道が出来る。
通用門に回ると、先行した騎士達が通用門を開けさせている。
軽く手を振って外に出ると、貴族街の通路には多数の人が集まり、ワラント公爵邸を見て大騒ぎをしている。
通用門から出てきた俺を見て、何があったのかと問いかけてくる。
表の方で騒ぎが有ったけど、通用門近くに居たので判らないと言って惚ける。
一度貴族街から出ようと歩いていると、数人の男に取り囲まれた。
〈此奴だ!〉
〈間違いない、アキュラと名乗った奴だぞ〉
〈ファラナイト公爵様がお呼びだ、来い!〉
「あれっ『公爵様がお前の様なチンピラ冒険者を呼び付ける訳がないわ! 失せろ!』って言ってませんでしたか、もう遅いし明日にでもしてくれません」
「何を寝言を言っている。ファラナイト公爵様がお呼びだと言ったのが判らんのか!」
「今日は疲れているんですよぉ~」
「ツベコベ言わずに来い!」
まったく貴族って奴は、どうしてこうも横柄な部下ばかりを従えているんだ。
引き摺られる様にファラナイト公爵邸に向かっていると、段々人が増えてくる。
俺は公爵家の使用人に取り囲まれて回りが全然見えない。
おっさん連中の壁に囲まれて移動し、何時の間にかファラナイト邸に到着していた。
〈こっちだ、さっさと歩け!〉
今は機嫌が悪いんだぞ、あんまり偉そうにしていると命の保証はしないよ。
〈アキュラなる小娘を見付けました!〉
執事らしき男に報告しているが、事務処理をしているのか書類から顔を上げない。
「用が有って呼び付けたのなら、用件をさっさと言ってくれないかな」
〈黙れ!〉
ほんっと、嫌になるね。
耳元で怒鳴った男を球体のバリアで包み、少し小さくして身動き出来なくする。
〈えっ・・・何だ此れは? 糞ッ・・・出られないぞ〉
〈何をやっている〉
〈判らない・・・突然こうなったんだが、出られないんだ〉
〈静かにしろ!〉
〈ヒューマン様、突然こうなりまして・・・〉
「お前の仕業か?」
笑って肩を竦めておく。
「お前、此処が何処なのか判っているのか」
「多分、ファラナイト公爵邸」
「ふむー、子供の割に豪胆だな。此処に連れて来られた用件は判っているな」
「ポーション?」
「ネイセン伯爵が王家に献上したポーションは、お前が伯爵に渡した物に間違いないか」
無表情な顔で淡々と聞いてくるので、黙ってもう一度肩を竦めて笑う。
喚いたり見下したりして小突き回すよりマシだが、目を見れば見下す価値も無いと思っているのがよく判る。
「同じポーションを持っているのなら。金貨50枚で買い上げてやろう」
ちょっと安いな、ネイセン伯爵は金貨300枚呉れたのに。
再び肩を竦め、小首を傾げておく。
〈お前! ヒューマン様に対し失礼だぞ!〉
又耳元で怒鳴る男をバリアで包んで小さくし、部屋の隅へ向かって蹴る。
残る二人の騎士が、変なものを見る様に俺と転がって行った男を見比べている。
最初に丸めた男も邪魔なので続けて蹴ると、部屋の隅でごっつんこしている。
まるでビー玉だね。
「ふむ、不思議な魔法だが、それがお前の自信の源なのか」
この男の胆力なのか、公爵家の権力を笠に着ての物言いかは知らないが冷静だねぇ。
「帰っても良い」
「あのポーションを持っていないのなら、何処から手に入れたのかを喋れば帰って良いぞ。但し嘘であった時の事を考えて喋る様に」
「言えば帰って良いんだね。二度と俺を追い回すのを止める?」
「出所さえ別れば、お前に用はない」
「俺が作ったの♪ 約束だよ、二度と追い回さないでね」
硬直している男に背を向け、騎士に出口まで送ってと頼む。
周囲も見えない状態で連れて来られたので、帰り道が判らないや。
〈えっ、あっ〉なんて変な声を出す男を少し脅す。
「こんな所で迷子になりたく無いんだ、道案内をしてくれないのなら君も丸めて放置するよ」
「待て! 娘・・・お前が作っただと。それは本当か」
「未だ引き留める気なの、帰って良いと言ったのは嘘なの」
「お前が作ったのが本当なら、帰らせる訳にはいかん」
面倒なのでこの男も丸める事にしたが、椅子に座っているので椅子ごと丸めてしまった。
椅子に座ったまま変な姿勢で丸くなっても、意外と冷静。
「その娘を帰らせるな! 屋敷から出してはならんぞ!」
煩いのでもう少し小さくしてやると〈ウゲッ〉なんて変な声を出している。
机の向こう側なので、蹴るのは勘弁してやるよ。
〈人を呼べ、絶対に逃がすな!〉
職務に忠実なのはよく判ったが、自分の状況を考えろよ。
もう一人の騎士が壁際の房飾りのついた紐を引いている。
パッシブで観察すると、大勢の人が駆けてくる気配が有る。
・・・・・・
「何事だ騒々しい」
「はっ、執事ヒューマン殿の部屋で緊急を知らせるベルが鳴った様です」
「ヒューマン? 彼奴は何をしているんだ」
「アキュラとか言った、冒険者を探していたようですが」
アキュラと聞き、聞き覚えがあると考え込むファラナイト公爵、護衛の騎士に様子を見に行かせる。
戻って来た騎士の報告は、『ポーションを持っていないとか、作ったとか』言っている様ですと報告するが要領を得ない。
「ヒューマンを呼べ!」
そう言われた騎士が、ヒューマン殿の部屋に入れないのですと返事をする。
部屋に入ろうにも見えない壁が有り、誰も部屋に入れないのだと言う
「どうも結界魔法の様なんですが、数人がかりで打ち破ろうとしていますが恐ろしく強固なものです」
「待て・・・ポーションと言ったな。冒険者の名前は?」
「アキュラだったと思います」
「呼べ! 此処へ呼んで来い。我が自ら問いただしてくれる」
漸くアキュラの名に思い至った公爵が、慌てた様に声を出す。
限りなくエリクサーに近いポーションの提供者、何処から手に入れたのかが判れば無限の富を手に入れたも同然だ。
最高品位な怪我の回復ポーション5本と、限りなくエリクサーに近い怪我の回復ポーションと病気を全て治すポーション。
たった7本だけの筈が無い、誰も知らぬ凄腕の薬師から手に入れた筈だ。
是が非でも其の薬師の居所を見付けて、配下に加えなければならない。
王家には1本くらい献上しても良いが、後は豪商や貴族共に高く売りつけてやる。
金の卵を産む鶏を手に入れた気になっているファラナイト公爵、10人以上の騎士に囲まれてやって来た少女を見て呆気にとられる。
「誰だ其奴は?」
「はっ、アキュラと申す冒険者で御座います」
「ヒューマンはどうした?」
騎士達が返事に困り、お互いの顔を見合わせている。
アキュラを呼びに行った騎士が言いにくそうに「この娘の不思議な魔法にて身動き出来ません」と答えた。
こんな子供にあれ程のポーションが作れるはずは無い、ならばこの子供がポーションの作り手から受け取りネイセン伯爵に渡したに違いない。
アキュラとはポーションを伯爵に渡した者の名かと、一人納得する。
不思議な魔法で騎士達を翻弄する腕なら、貴重なポーションを預け届けさせるのにうってつけだ。
「娘、お前がネイセン伯爵に渡したポーション、誰が作っているのだ。素直に喋れば褒美を使わすぞ」
「お前がファラナイト公爵で間違いなさそうだな」
ヒューマン達を丸めた後、ファラナイト公爵を探すのが面倒だと思案している時、騎士がやって来て主人がお呼びだと言ってきた。
これ幸いと付いてきたが、この男もポーションに目が眩んだ一人と判った。
まぁ、欲の皮が突っ張っているからこそ、ネイセン伯爵にごり押しをしたんだろうけど、うんざりだ。
治癒魔法の隠れ蓑にと薬草の勉強をし、エブリネ婆さんに師事したが藪蛇もいいところ。
欲の皮が突っ張った連中を引き寄せてしまい、名前も売れて有名人だよ。
それにしても結界魔法が此れほど有能だとは計算違いだね。
・・・〈聞いているのか! 公爵様にご返答申し上げろ!〉
「煩いよ、考え事をしているんだから喚くな」
「我を無視するとはな、少し痛めつけてやれ! 痛い思いをすれば、少しは素直になるだろう」
「その意見には賛成だね。痛い思いをするのはお前達だけど」
ファラナイト公爵を丸め身動き出来なくし、護衛の騎士達も全て丸めてアルマジロの集団を作る。
誰も部屋に入れない様にバリアを張り、アルマジロの集団を全員天井が見える様に配置する。
〈何だ、此れは〉
〈出せ! 無礼者!〉
〈止めてくれー、潰れるぅぅ〉
今から恐怖のどん底に落としてやるからな。
直径5~6メートル程の円筒を作り上にゆっくり伸ばしていく。
〈覚悟は出来ているんだろうな〉
〈おのれぇ~、好き勝手をしてくれたな!〉
「あれえぇぇぇ、そんな事をして良いのぉぉ。公爵様の命が無くなるよ」
〈お前達・・・手を出すな! お通ししろぉぉ〉
遠くから公爵様が、必死で怒鳴っている。
「聞こえた? 公爵様はあんな事を言ってるけどね」
俺がバリアから離れたので、公爵を助けようと警備兵達が駆けつけたが、バリアに阻止されて助けられない。
君達に俺のバリア、結界を破れるとは思えないけど頑張れー、と心の中でエールを送っておく。
この屋敷ちょっと気になる事があるが、じっくり調べる訳にもいかないので諦める。
「せめて公爵様を解放して貰えないか」
この屋敷に来て以来、一人だけまともな対応をした騎士が頼んで来たが断る。
「2,3日したら消えるから其れ迄の辛抱だね、消えなかったら呼びに来て解除してあげるから。大小便垂れ流しになるけど、公爵様の部下なら見て見ぬ振りをしてあげてね。・・・ いい加減に道を開けないのなら、公爵を殺すよ」
俺の本気が判ったのか、パッと左右に下がり道が出来る。
通用門に回ると、先行した騎士達が通用門を開けさせている。
軽く手を振って外に出ると、貴族街の通路には多数の人が集まり、ワラント公爵邸を見て大騒ぎをしている。
通用門から出てきた俺を見て、何があったのかと問いかけてくる。
表の方で騒ぎが有ったけど、通用門近くに居たので判らないと言って惚ける。
一度貴族街から出ようと歩いていると、数人の男に取り囲まれた。
〈此奴だ!〉
〈間違いない、アキュラと名乗った奴だぞ〉
〈ファラナイト公爵様がお呼びだ、来い!〉
「あれっ『公爵様がお前の様なチンピラ冒険者を呼び付ける訳がないわ! 失せろ!』って言ってませんでしたか、もう遅いし明日にでもしてくれません」
「何を寝言を言っている。ファラナイト公爵様がお呼びだと言ったのが判らんのか!」
「今日は疲れているんですよぉ~」
「ツベコベ言わずに来い!」
まったく貴族って奴は、どうしてこうも横柄な部下ばかりを従えているんだ。
引き摺られる様にファラナイト公爵邸に向かっていると、段々人が増えてくる。
俺は公爵家の使用人に取り囲まれて回りが全然見えない。
おっさん連中の壁に囲まれて移動し、何時の間にかファラナイト邸に到着していた。
〈こっちだ、さっさと歩け!〉
今は機嫌が悪いんだぞ、あんまり偉そうにしていると命の保証はしないよ。
〈アキュラなる小娘を見付けました!〉
執事らしき男に報告しているが、事務処理をしているのか書類から顔を上げない。
「用が有って呼び付けたのなら、用件をさっさと言ってくれないかな」
〈黙れ!〉
ほんっと、嫌になるね。
耳元で怒鳴った男を球体のバリアで包み、少し小さくして身動き出来なくする。
〈えっ・・・何だ此れは? 糞ッ・・・出られないぞ〉
〈何をやっている〉
〈判らない・・・突然こうなったんだが、出られないんだ〉
〈静かにしろ!〉
〈ヒューマン様、突然こうなりまして・・・〉
「お前の仕業か?」
笑って肩を竦めておく。
「お前、此処が何処なのか判っているのか」
「多分、ファラナイト公爵邸」
「ふむー、子供の割に豪胆だな。此処に連れて来られた用件は判っているな」
「ポーション?」
「ネイセン伯爵が王家に献上したポーションは、お前が伯爵に渡した物に間違いないか」
無表情な顔で淡々と聞いてくるので、黙ってもう一度肩を竦めて笑う。
喚いたり見下したりして小突き回すよりマシだが、目を見れば見下す価値も無いと思っているのがよく判る。
「同じポーションを持っているのなら。金貨50枚で買い上げてやろう」
ちょっと安いな、ネイセン伯爵は金貨300枚呉れたのに。
再び肩を竦め、小首を傾げておく。
〈お前! ヒューマン様に対し失礼だぞ!〉
又耳元で怒鳴る男をバリアで包んで小さくし、部屋の隅へ向かって蹴る。
残る二人の騎士が、変なものを見る様に俺と転がって行った男を見比べている。
最初に丸めた男も邪魔なので続けて蹴ると、部屋の隅でごっつんこしている。
まるでビー玉だね。
「ふむ、不思議な魔法だが、それがお前の自信の源なのか」
この男の胆力なのか、公爵家の権力を笠に着ての物言いかは知らないが冷静だねぇ。
「帰っても良い」
「あのポーションを持っていないのなら、何処から手に入れたのかを喋れば帰って良いぞ。但し嘘であった時の事を考えて喋る様に」
「言えば帰って良いんだね。二度と俺を追い回すのを止める?」
「出所さえ別れば、お前に用はない」
「俺が作ったの♪ 約束だよ、二度と追い回さないでね」
硬直している男に背を向け、騎士に出口まで送ってと頼む。
周囲も見えない状態で連れて来られたので、帰り道が判らないや。
〈えっ、あっ〉なんて変な声を出す男を少し脅す。
「こんな所で迷子になりたく無いんだ、道案内をしてくれないのなら君も丸めて放置するよ」
「待て! 娘・・・お前が作っただと。それは本当か」
「未だ引き留める気なの、帰って良いと言ったのは嘘なの」
「お前が作ったのが本当なら、帰らせる訳にはいかん」
面倒なのでこの男も丸める事にしたが、椅子に座っているので椅子ごと丸めてしまった。
椅子に座ったまま変な姿勢で丸くなっても、意外と冷静。
「その娘を帰らせるな! 屋敷から出してはならんぞ!」
煩いのでもう少し小さくしてやると〈ウゲッ〉なんて変な声を出している。
机の向こう側なので、蹴るのは勘弁してやるよ。
〈人を呼べ、絶対に逃がすな!〉
職務に忠実なのはよく判ったが、自分の状況を考えろよ。
もう一人の騎士が壁際の房飾りのついた紐を引いている。
パッシブで観察すると、大勢の人が駆けてくる気配が有る。
・・・・・・
「何事だ騒々しい」
「はっ、執事ヒューマン殿の部屋で緊急を知らせるベルが鳴った様です」
「ヒューマン? 彼奴は何をしているんだ」
「アキュラとか言った、冒険者を探していたようですが」
アキュラと聞き、聞き覚えがあると考え込むファラナイト公爵、護衛の騎士に様子を見に行かせる。
戻って来た騎士の報告は、『ポーションを持っていないとか、作ったとか』言っている様ですと報告するが要領を得ない。
「ヒューマンを呼べ!」
そう言われた騎士が、ヒューマン殿の部屋に入れないのですと返事をする。
部屋に入ろうにも見えない壁が有り、誰も部屋に入れないのだと言う
「どうも結界魔法の様なんですが、数人がかりで打ち破ろうとしていますが恐ろしく強固なものです」
「待て・・・ポーションと言ったな。冒険者の名前は?」
「アキュラだったと思います」
「呼べ! 此処へ呼んで来い。我が自ら問いただしてくれる」
漸くアキュラの名に思い至った公爵が、慌てた様に声を出す。
限りなくエリクサーに近いポーションの提供者、何処から手に入れたのかが判れば無限の富を手に入れたも同然だ。
最高品位な怪我の回復ポーション5本と、限りなくエリクサーに近い怪我の回復ポーションと病気を全て治すポーション。
たった7本だけの筈が無い、誰も知らぬ凄腕の薬師から手に入れた筈だ。
是が非でも其の薬師の居所を見付けて、配下に加えなければならない。
王家には1本くらい献上しても良いが、後は豪商や貴族共に高く売りつけてやる。
金の卵を産む鶏を手に入れた気になっているファラナイト公爵、10人以上の騎士に囲まれてやって来た少女を見て呆気にとられる。
「誰だ其奴は?」
「はっ、アキュラと申す冒険者で御座います」
「ヒューマンはどうした?」
騎士達が返事に困り、お互いの顔を見合わせている。
アキュラを呼びに行った騎士が言いにくそうに「この娘の不思議な魔法にて身動き出来ません」と答えた。
こんな子供にあれ程のポーションが作れるはずは無い、ならばこの子供がポーションの作り手から受け取りネイセン伯爵に渡したに違いない。
アキュラとはポーションを伯爵に渡した者の名かと、一人納得する。
不思議な魔法で騎士達を翻弄する腕なら、貴重なポーションを預け届けさせるのにうってつけだ。
「娘、お前がネイセン伯爵に渡したポーション、誰が作っているのだ。素直に喋れば褒美を使わすぞ」
「お前がファラナイト公爵で間違いなさそうだな」
ヒューマン達を丸めた後、ファラナイト公爵を探すのが面倒だと思案している時、騎士がやって来て主人がお呼びだと言ってきた。
これ幸いと付いてきたが、この男もポーションに目が眩んだ一人と判った。
まぁ、欲の皮が突っ張っているからこそ、ネイセン伯爵にごり押しをしたんだろうけど、うんざりだ。
治癒魔法の隠れ蓑にと薬草の勉強をし、エブリネ婆さんに師事したが藪蛇もいいところ。
欲の皮が突っ張った連中を引き寄せてしまい、名前も売れて有名人だよ。
それにしても結界魔法が此れほど有能だとは計算違いだね。
・・・〈聞いているのか! 公爵様にご返答申し上げろ!〉
「煩いよ、考え事をしているんだから喚くな」
「我を無視するとはな、少し痛めつけてやれ! 痛い思いをすれば、少しは素直になるだろう」
「その意見には賛成だね。痛い思いをするのはお前達だけど」
ファラナイト公爵を丸め身動き出来なくし、護衛の騎士達も全て丸めてアルマジロの集団を作る。
誰も部屋に入れない様にバリアを張り、アルマジロの集団を全員天井が見える様に配置する。
〈何だ、此れは〉
〈出せ! 無礼者!〉
〈止めてくれー、潰れるぅぅ〉
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