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072 貴族同盟
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比較的元気な騎士二人を俺達の馬車に乗せ、ボルヘンとバンズに頼んでザブランド侯爵邸へ迎えを呼びに行かせる。
俺達は野営の準備だが、侯爵様一行は野獣討伐中だったので馬や馬車は遠くに置いてある。
それらを回収をしなければならないが、治癒魔法で怪我は治ったが万全では無い。
動くのも怠そうなので、大型のバリアで彼等の野営地を作ってやる。
疲労体力回復ポーションも、こうも大人数ではとても数が足りないので黙っておく。
「あんた模擬戦の腕も大したものだったが、魔法も凄いな」
「ああ、それに治癒魔法も並みじゃないが、噂の精霊を従える者とはねぇ」
「草原の牙の奴等じゃ、歯が立たない訳だよ」
「あんた達が来てくれて生き延びたよ、すまねぇ」
「然し、この結界魔法も凄いが雷撃魔法と氷結魔法も超一流だな」
「助けた礼は要らないから、俺達の事は黙ってて欲しいんだが」
「判っているよ。教会の奴等と揉めているんだろう」
「皆に口止めしておくよ。命の恩人を売るような真似はさせないから」
夜も更けて寝ようとしているところで、ザブランド侯爵様がやって来て改めて礼を言われた。
冒険者達にも口止めしたが、侯爵様配下の者が治癒魔法と精霊のこと公に話さないようにお願いする。
侯爵様を送り出しバリアを封鎖すると、アリシアが新たな厄介事の到来を告げる。
「アキュラお客さんよ。ラッシュウルフみたいね」
「此れだけ派手に争って、大量の血が流れたからなぁ。放っておくとウルフ系やキラードッグ等が集まって来るぞ」
「んじゃ、俺達も野獣討伐に参加しますか。メリンダお願いね、魔力回復ポーションはたっぷり有るから」
「アキュラ、私は?」
「アリシアの雷撃は群れを追い散らすから駄目! メリンダのアイスランスで静かにやらなくっちゃ」
バリアを半透明にして小窓を開け、そこから近づいて来るラッシュウルフを攻撃させる。
俺の結界魔法の拘束は余り知らせたくないので、バリアに体当たりしてくるラッシュウルフのみ討伐だ。
嘗てランカン達に呆れられたバリアからウニのように棘を伸ばす方法だが、棘の代わりに剣の形にして伸ばしてプスリ。
侯爵様達と冒険者達のバリアは不透明にしているので、俺達のラッシュウルフ討伐は見られる事も無く終わった。
流石は突撃有るのみと言われるラッシュウルフ、群れが1/3になって初めて突撃を諦めて引き上げた。
ラッシュウルフの気配が消えたので獲物の回収に向かったが、16頭もいたとはね。
夜明け前には10数頭のファングドッグの群れが現れたが、体長約2m長さ6~7センチ程の牙を持つ獰猛なワンコ。
ワンワン,キャンキャンと煩いこと、安眠妨害に腹が立ち侯爵様や冒険者達から見えないのを良いことに、結界の首輪で皆殺しにしてしまった。
無傷のオークキングやシルバータイガーをギルドに売っているので、今回も何も言われないだろうと思う。
明るくなる前に、絞め殺したファングドッグをマジックバッグに仕舞い証拠を隠滅しておく。
起き出して来た騎士や冒険者達のバリアを解除して、自由に行動出来る様にする。
冒険者達からファングドックが煩かったがと聞かれたが、笑って誤魔化す。
陽が高くなり始めた頃に、ザブランド侯爵家から迎えの馬車や騎士達が多数現れたので、此処でお別れし一足先に王都に向かう事にした。
ザブランド侯爵様からは『王都内で人手が必要なら何時なりと命じて下さい』との申し出が在り、救援の礼を改めて言われて頭を下げられる。
ランカン達が王都の出入り口での一件を思い出したのか、苦笑いで見ている。
一度女神教に顔を出して状況確認の必要が有るので、アリシアの新しい魔法の練習は女神教の魔法訓練場ですることにした。
王都に向かって一時間もせず、前方からやって来た隊列に進路を塞がれた。
アクティブ探査で大集団が接近しているのは知っていたが、王都に近い人族の集団で敵意は無かった。
敵意は無いが傲慢不遜な集団で、馬車の前を塞ぎ〈この辺りでラッシュウルフの群れを見なかったか〉と聞いてくる。
ボルヘンが朝からゴブリン程度しか見ていないと答えると〈では昨日、この辺で落雷の音を聞かなかったか〉と問いかけて来る。
「騎士様、俺達は隣町から王都に向かっているんですよ。昨日この辺でと言われても困るんですが」
のんびりと返答するバンズの声が聞こえるが、パッシブで受ける気配が変わってくる。
隊列の中程の気配が明らかに敵意を含んだものに変わり、その背後の者達と何か遣り取りをしている。
ガルムとアリシアも気付いた様で緊張で顔が引き締まる。
御者席後ろの壁をバンズが〈コンコンコン〉と三度叩き注意喚起をしてくる。
「今度は何だよぅ。王都の周辺って中より厄介だね」
「でも明らかに相手の気配が変わったわよ」
「敵意が膨れ上がるって此の事かと思うほどにな」
小窓の隙間から馬車を塞ぐ集団を見るが、膨れ上がる敵意は別にして貴族の一団としか判らない。
俺達が見ても貴族とは判るが紋章を見ても何処の誰とも判別がつかない。
取り敢えず降りていき、荒ぶる貴族に天下御免の通行証が通用するか試してみようとドアに手を掛けた。
「お前達のその服は、アキュラとか抜かす小娘に使われている奴等の物と同じだな!」
あららら、素速く全員にシールドを張ってから馬車を降りる。
「俺がアキュラだが何の用だ、お前達に敵意を向けられる意味が判らないぞ」
「ふざけるな! 先年王都の館にて我が父を虐殺した小娘が! 父の敵、この場で成敗してくれるわ!」
おいおい、何て時代錯誤な言い回しだよ。
「済まんが、あんたの名を聞かせてくれないかな。人違いって事もあるかもね」
「キャンデル・ワラント公爵が次男にして、父と兄亡き後ワラント侯爵家を継承したマルド・ワラント侯爵だ!」
「ご丁寧に有り難うね、思い出したよ。偉そうにポーションを寄越せなんてほざいていた貴族の筆頭だったかな」
「おのれぇぇぇ、公爵たる父と兄を無残な死に追いやり、尚且つ愚弄するか! 許せん、取り囲んで討ち取れ!」
取り敢えず馬と馬車にバリアを張り、誰も出て来ないように命じておく。
この時代考証と言うか出て来る世界を間違えた様な馬鹿を、どうしてくれようと思ったが『討ち取れって』言った以上遠慮は無用だな。
奴の部下で剣を抜いている奴等は全て、腕を胸のところで拘束する。
〈おっ、何だこれは〉
〈えっ・・・何で〉
〈糞ッ、外れないぞ!〉
〈此れが噂の結界魔法なのか〉
〈無詠唱でか、話とちがうぞ!〉
俺と主人を交互に見ている奴等は放置し、一番煩い時代錯誤な馬鹿を球状のバリアで包み込む。
〈何だ此れは・・・不思議な魔法を使う奴め! お前達も小娘を射ち取ったら、家臣として召し抱えて使わすぞぉぉ!〉
ワラント侯爵の雄叫びに、騎士達の背後に控えていた冒険者達が戸惑っている。
「ああ、止めときな。こんな間抜けな貴族の言う事に乗っかると、死ぬだけだぞ。と言うか、此の男はもうすぐ死ぬから無視しておけ」
20人以上の騎士が腕を拘束されて剣すら持てずに足掻いている。
躊躇っている騎士達と拘束された騎士達を交互に見て、逆らうのは不利と悟ったのか冒険者達は傍観することを選んだようだ。
ザブランド侯爵と出会ってから碌な事が起きないな、奴さん若しかして疫病神かなんかを連れているのかしら。
「ワラント公爵って、貴族だと思ってろくに顔も見せず配下に好き勝手やらせた奴だよな。ファラナイト公爵や他の貴族がどうなったのか、聞いてないのか?」
「そんな事は知らん! 我は己を討ち取り、父ワラント公爵の汚名を雪ぐだけだ! 覚悟しろ!」
阿呆らしくなってきたので、自分が死ぬことを実感させるためにじんわりと球体のバリアを絞り込んでいく。
〈何だ此れは・・・何故狭くなっているんだ? たっ、たた助けて〉
「残念だな、卑怯なパパの無念や貴族の体面に固執するから死ぬことになるんだ」
〈糞うぅぅ俺を殺したら、必ず我等の貴族同盟が己やネイセン伯爵達に鉄槌を下すだから覚え・・・ウギャーァァァ〉
おっと・・・面白い事を言ってたな。
我等貴族同盟とかネイセン伯爵達・・・達って?
簡単に死なせる訳にいかなくなったので結界を解除し、彼方此方の骨が折れているようなので(すこーし治れ♪)と取り敢えず死なない様にしておく。
こうなるとワラント侯爵の配下を逃がす訳にはいかないので、全員拘束して・・・どうしよう。
後顧の憂いを断つために、此処は一発大盤振る舞いだ。
腕だけてなく足も拘束してギャンギャン喚く騎士達を放置し、ワラント侯爵に雇われた冒険者に声を掛ける。
「済まないが、あんた達を雇ったワラント侯爵は拘束した。此の男は王家に引き渡すことになるので、あんた達の稼ぎがパーになる」
〈おいおい、あんた達も冒険者の様だが、何の権限が有ってそんな事をしているんだ〉
〈俺達を貴族との揉め事に引き込むなよ〉
〈お前のせいで、俺達は稼ぎが無くなるのかよ〉
〈お前を討ち取ったら家臣として雇ってくれ・・・〉
「止めとけよ! 今の状況を見て俺に勝てると思うか? それと俺には此れが有るからな」
そう言って天下御免の身分証を見せてやる。
「見ても何の身分証か判らないだろうけど、王家の紋章入り身分証なのは判るだろう。俺以外の六人も似たようなのを持っていて、其方は王国の宰相閣下の部下を示すものだ」
冒険者達が俺の身分証を見て判断がつかず、ざわざわと騒いでいる。
俺達は野営の準備だが、侯爵様一行は野獣討伐中だったので馬や馬車は遠くに置いてある。
それらを回収をしなければならないが、治癒魔法で怪我は治ったが万全では無い。
動くのも怠そうなので、大型のバリアで彼等の野営地を作ってやる。
疲労体力回復ポーションも、こうも大人数ではとても数が足りないので黙っておく。
「あんた模擬戦の腕も大したものだったが、魔法も凄いな」
「ああ、それに治癒魔法も並みじゃないが、噂の精霊を従える者とはねぇ」
「草原の牙の奴等じゃ、歯が立たない訳だよ」
「あんた達が来てくれて生き延びたよ、すまねぇ」
「然し、この結界魔法も凄いが雷撃魔法と氷結魔法も超一流だな」
「助けた礼は要らないから、俺達の事は黙ってて欲しいんだが」
「判っているよ。教会の奴等と揉めているんだろう」
「皆に口止めしておくよ。命の恩人を売るような真似はさせないから」
夜も更けて寝ようとしているところで、ザブランド侯爵様がやって来て改めて礼を言われた。
冒険者達にも口止めしたが、侯爵様配下の者が治癒魔法と精霊のこと公に話さないようにお願いする。
侯爵様を送り出しバリアを封鎖すると、アリシアが新たな厄介事の到来を告げる。
「アキュラお客さんよ。ラッシュウルフみたいね」
「此れだけ派手に争って、大量の血が流れたからなぁ。放っておくとウルフ系やキラードッグ等が集まって来るぞ」
「んじゃ、俺達も野獣討伐に参加しますか。メリンダお願いね、魔力回復ポーションはたっぷり有るから」
「アキュラ、私は?」
「アリシアの雷撃は群れを追い散らすから駄目! メリンダのアイスランスで静かにやらなくっちゃ」
バリアを半透明にして小窓を開け、そこから近づいて来るラッシュウルフを攻撃させる。
俺の結界魔法の拘束は余り知らせたくないので、バリアに体当たりしてくるラッシュウルフのみ討伐だ。
嘗てランカン達に呆れられたバリアからウニのように棘を伸ばす方法だが、棘の代わりに剣の形にして伸ばしてプスリ。
侯爵様達と冒険者達のバリアは不透明にしているので、俺達のラッシュウルフ討伐は見られる事も無く終わった。
流石は突撃有るのみと言われるラッシュウルフ、群れが1/3になって初めて突撃を諦めて引き上げた。
ラッシュウルフの気配が消えたので獲物の回収に向かったが、16頭もいたとはね。
夜明け前には10数頭のファングドッグの群れが現れたが、体長約2m長さ6~7センチ程の牙を持つ獰猛なワンコ。
ワンワン,キャンキャンと煩いこと、安眠妨害に腹が立ち侯爵様や冒険者達から見えないのを良いことに、結界の首輪で皆殺しにしてしまった。
無傷のオークキングやシルバータイガーをギルドに売っているので、今回も何も言われないだろうと思う。
明るくなる前に、絞め殺したファングドッグをマジックバッグに仕舞い証拠を隠滅しておく。
起き出して来た騎士や冒険者達のバリアを解除して、自由に行動出来る様にする。
冒険者達からファングドックが煩かったがと聞かれたが、笑って誤魔化す。
陽が高くなり始めた頃に、ザブランド侯爵家から迎えの馬車や騎士達が多数現れたので、此処でお別れし一足先に王都に向かう事にした。
ザブランド侯爵様からは『王都内で人手が必要なら何時なりと命じて下さい』との申し出が在り、救援の礼を改めて言われて頭を下げられる。
ランカン達が王都の出入り口での一件を思い出したのか、苦笑いで見ている。
一度女神教に顔を出して状況確認の必要が有るので、アリシアの新しい魔法の練習は女神教の魔法訓練場ですることにした。
王都に向かって一時間もせず、前方からやって来た隊列に進路を塞がれた。
アクティブ探査で大集団が接近しているのは知っていたが、王都に近い人族の集団で敵意は無かった。
敵意は無いが傲慢不遜な集団で、馬車の前を塞ぎ〈この辺りでラッシュウルフの群れを見なかったか〉と聞いてくる。
ボルヘンが朝からゴブリン程度しか見ていないと答えると〈では昨日、この辺で落雷の音を聞かなかったか〉と問いかけて来る。
「騎士様、俺達は隣町から王都に向かっているんですよ。昨日この辺でと言われても困るんですが」
のんびりと返答するバンズの声が聞こえるが、パッシブで受ける気配が変わってくる。
隊列の中程の気配が明らかに敵意を含んだものに変わり、その背後の者達と何か遣り取りをしている。
ガルムとアリシアも気付いた様で緊張で顔が引き締まる。
御者席後ろの壁をバンズが〈コンコンコン〉と三度叩き注意喚起をしてくる。
「今度は何だよぅ。王都の周辺って中より厄介だね」
「でも明らかに相手の気配が変わったわよ」
「敵意が膨れ上がるって此の事かと思うほどにな」
小窓の隙間から馬車を塞ぐ集団を見るが、膨れ上がる敵意は別にして貴族の一団としか判らない。
俺達が見ても貴族とは判るが紋章を見ても何処の誰とも判別がつかない。
取り敢えず降りていき、荒ぶる貴族に天下御免の通行証が通用するか試してみようとドアに手を掛けた。
「お前達のその服は、アキュラとか抜かす小娘に使われている奴等の物と同じだな!」
あららら、素速く全員にシールドを張ってから馬車を降りる。
「俺がアキュラだが何の用だ、お前達に敵意を向けられる意味が判らないぞ」
「ふざけるな! 先年王都の館にて我が父を虐殺した小娘が! 父の敵、この場で成敗してくれるわ!」
おいおい、何て時代錯誤な言い回しだよ。
「済まんが、あんたの名を聞かせてくれないかな。人違いって事もあるかもね」
「キャンデル・ワラント公爵が次男にして、父と兄亡き後ワラント侯爵家を継承したマルド・ワラント侯爵だ!」
「ご丁寧に有り難うね、思い出したよ。偉そうにポーションを寄越せなんてほざいていた貴族の筆頭だったかな」
「おのれぇぇぇ、公爵たる父と兄を無残な死に追いやり、尚且つ愚弄するか! 許せん、取り囲んで討ち取れ!」
取り敢えず馬と馬車にバリアを張り、誰も出て来ないように命じておく。
この時代考証と言うか出て来る世界を間違えた様な馬鹿を、どうしてくれようと思ったが『討ち取れって』言った以上遠慮は無用だな。
奴の部下で剣を抜いている奴等は全て、腕を胸のところで拘束する。
〈おっ、何だこれは〉
〈えっ・・・何で〉
〈糞ッ、外れないぞ!〉
〈此れが噂の結界魔法なのか〉
〈無詠唱でか、話とちがうぞ!〉
俺と主人を交互に見ている奴等は放置し、一番煩い時代錯誤な馬鹿を球状のバリアで包み込む。
〈何だ此れは・・・不思議な魔法を使う奴め! お前達も小娘を射ち取ったら、家臣として召し抱えて使わすぞぉぉ!〉
ワラント侯爵の雄叫びに、騎士達の背後に控えていた冒険者達が戸惑っている。
「ああ、止めときな。こんな間抜けな貴族の言う事に乗っかると、死ぬだけだぞ。と言うか、此の男はもうすぐ死ぬから無視しておけ」
20人以上の騎士が腕を拘束されて剣すら持てずに足掻いている。
躊躇っている騎士達と拘束された騎士達を交互に見て、逆らうのは不利と悟ったのか冒険者達は傍観することを選んだようだ。
ザブランド侯爵と出会ってから碌な事が起きないな、奴さん若しかして疫病神かなんかを連れているのかしら。
「ワラント公爵って、貴族だと思ってろくに顔も見せず配下に好き勝手やらせた奴だよな。ファラナイト公爵や他の貴族がどうなったのか、聞いてないのか?」
「そんな事は知らん! 我は己を討ち取り、父ワラント公爵の汚名を雪ぐだけだ! 覚悟しろ!」
阿呆らしくなってきたので、自分が死ぬことを実感させるためにじんわりと球体のバリアを絞り込んでいく。
〈何だ此れは・・・何故狭くなっているんだ? たっ、たた助けて〉
「残念だな、卑怯なパパの無念や貴族の体面に固執するから死ぬことになるんだ」
〈糞うぅぅ俺を殺したら、必ず我等の貴族同盟が己やネイセン伯爵達に鉄槌を下すだから覚え・・・ウギャーァァァ〉
おっと・・・面白い事を言ってたな。
我等貴族同盟とかネイセン伯爵達・・・達って?
簡単に死なせる訳にいかなくなったので結界を解除し、彼方此方の骨が折れているようなので(すこーし治れ♪)と取り敢えず死なない様にしておく。
こうなるとワラント侯爵の配下を逃がす訳にはいかないので、全員拘束して・・・どうしよう。
後顧の憂いを断つために、此処は一発大盤振る舞いだ。
腕だけてなく足も拘束してギャンギャン喚く騎士達を放置し、ワラント侯爵に雇われた冒険者に声を掛ける。
「済まないが、あんた達を雇ったワラント侯爵は拘束した。此の男は王家に引き渡すことになるので、あんた達の稼ぎがパーになる」
〈おいおい、あんた達も冒険者の様だが、何の権限が有ってそんな事をしているんだ〉
〈俺達を貴族との揉め事に引き込むなよ〉
〈お前のせいで、俺達は稼ぎが無くなるのかよ〉
〈お前を討ち取ったら家臣として雇ってくれ・・・〉
「止めとけよ! 今の状況を見て俺に勝てると思うか? それと俺には此れが有るからな」
そう言って天下御免の身分証を見せてやる。
「見ても何の身分証か判らないだろうけど、王家の紋章入り身分証なのは判るだろう。俺以外の六人も似たようなのを持っていて、其方は王国の宰相閣下の部下を示すものだ」
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