僕の番が怖すぎる。〜旦那様は神様です!〜

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二章 あいつの存在が災厄

大好きだ朱。 参

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 耳長を嫌う鬼は僕の生活様式でも渋い顔をしているのに、朱天は無茶なことを言う。

『お前の本当の姿を隠すな、そのような必要はない』

 そんな事を言われその後は気もそぞろになってしまった愛の行為。
 お腹の子にも配慮して一回だけで終わらせたが、それでもこいつは満足したみたいだ。
 横になって休んでいる今は腕枕をして、僕の頭を撫でたり髪を手櫛で梳いたり、たまにお腹も撫でている。

 (本当に機嫌が良い)

 感謝や愛は伝えたが、まだ言いたいことは残っている。
 我慢できない不満や今置かれている境遇。これについて良く話し合わなくてはいけない。

 だが、嫌われてしまったらどうしよう?捨てられたらどうしよう?そんな気持ちは消えない。
 母のようにそれで気を病んでしまったりすれば、お腹の子にも影響が出てきてしまうし、最悪の場合は僕みたいなことになる。

 (もちろん僕はそんなことしないけど)

「朱、お前も知っているはずなのに、よくそんな無茶を言うよな…」
「何がだお姫様?」

 僕の言葉にいつもの「なんで?」って感じの不思議そうな顔をしている朱天。

 (ダメだこいつマジにわかってない…)

「僕の本当の姿を見せろなんて無理だろ」
「俺や親父は気にしておらぬ。寧ろ好ましい」

 平然と「問題などない」と言ってくれるが…こいつや義父は分かる。
 だが、他の鬼たちはそれを好まないことを思い出してほしい。

 耳長はその名が示すとおり、長く尖った耳が特徴だ。
 元耳長たちはそうでもないが、僕や姉は鬼であるがその特徴が色濃く出ていた。
 僕は朱天の宮以外の皇宮に勤めるものや、四家やそれに連なる者たちから半耳長と呼ばれている。

 (こいつの宮のやつらは『耳長びいき』くらいまでだ)

 亜神耳長ハイエルフより少し短いが一般の耳長よりも長い耳に、耳長が『ᚨ'ᛚᚠᚱ白き者』と呼ばれる所以の白子アルビノ特有の雪白の肌。
 そのうえ鬼特有の目の朱紋…それも無く、角が無ければ完全に耳長にしか見えない。

 僕と義母はそんな容姿をしている。

 流石にここまで耳長にしか見えないのは、鬼の中で生活するのはちょっとばかりよろしくない。
 そこで【青】に居た頃から姉に教えられた姿隠しの魔術を使い鬼に見えるようにしていた。
 耳長は美しさから攫われ、奴隷などにされたり散々な目に遭う事も多い。
 その為の耳長の特徴を消す魔術や護符などがあるくらいだ。

「俺が認めさせる」
「それをみんなはよく思わない」
「忘れたか?俺が言えばそうなる・・・・
「は?」

 しれっとした様子で不思議なことを言ってくれるがなんだろうか?

「箍が外れてうっかり言ってしまったが…俺も思案していた事ゆえ、よかろう?」

 ここで追い打ちのように言われたことで、僕はこいつのデタラメさを思い出し、その恐ろしさを知る。


『話す言葉の全ては【言霊】で呪い』
『言ったことが『本当』になる』


 そう、朱天はこの恐ろしい力を持っていた。
 今は普通に話しているからすっかり忘れていたが、こいつの普段の会話は単語を繋げただけのもの。
 物凄く気をつけて話をしなくてはいけない。

 そう悩んだ結果があれらしいが…酷い。

 でも、そうしないとこのような事故・・を起こすらしい………

 (お前、ホント怖いよ……)

「イヤイヤイヤイヤ!めちゃくちゃ良くないでしょう!」

 これには驚きよりも「どうしよう!」や「ヤバい!!」という気持ちになり、慌てて朱天に詰め寄るが、

「構わぬ」

 再び平然とした顔で返される。

「お前なにしてんの!!本当にダメだろう!!」
「まぁ…あまり世界に干渉するのは良くはないな。
禁にも触れるゆえ、そうそうせぬから安心しろ」
「やっぱり駄目じゃないか!」

 流石にこれはよろしくないので叱ろうかと思ったが…
 朱天はポリポリと頭を掻きながら驚愕の事実を教えてくれた。

「フレイヤから『お前なんとかしろ』と。だからした」
「姉様あなたかーーーーー!!!」

 なんだか物凄く脱力してしまった。
 まさかこれに自分の身内が関わっているとは思わなかったが……

 姉は僕の置かれている境遇を忌々しく思っていた。

『戦争をする!』
『耳長の怖さを教えてやる!!』

 (駄目だ!絶対にダメだ!!)

 僕の事をそれはそれは溺愛してくれている。

 確かにこれ・・でそれは回避できるだろう。

 …でも、姉様、これはちょっと良くないからやめようね?
 二度としちゃダメだからね?


 それから朱!お前はダメだろう!!完全にアウトだ!!!


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