119 / 131
119 寄贈感謝会の日に⑤
しおりを挟む
腕を拘束された状態でヨシイ古書店に連れて行かれた。以前に立ち寄った店舗側ではなく、その奥のスペースだ。前に見たことのある店主がにこやかに出迎えてくれるが、完全にミスマッチだ。
「お嬢さんにこんなことしてごめんね? いらっしゃいませ。門木氏なら先に来てるよ」
店主はそう言うと、奥の壁にもたれ掛かっている猿マスクの男を指さした。こちらもガムテープでぐるぐるに巻かれて、口も塞がれている。
「ひびの・けいさんは、池上くんと恋人なの? 違うとしてもそういうことにしようか? それでさ、噂の覆面男ニッコー門木氏が殺人者だって告白してきて、一緒に心中するってことにしよう!」
男から荒っぽく猿マスクを剥ぎ取ると、そこにはグッタリした池上の顔があった。
「池上さん!」
「大丈夫だよ、日比野さん。彼には日比野さんが危ないよって言って、急いで来てもらったから、ちょっと疲れてるんじゃないかな」
優しい声で言いながらも、井ノ口の動きは荒い。そのままベリッと口のガムテープを剥がす。池上の息が浅い。
「平気だよ、日比野ちゃん」
苦しげな池上の腹を井ノ口が強く蹴る。
「ううっ······」
「勝手に喋らないでね」
私は池上の隣に座らされた。
「じゃあ、二人の心中のシナリオを書いたから説明するね。『曽根崎心中』みたいには作れなかったけど、許して」
井ノ口はいつも図書室で見るような笑顔でスラスラと話し出した。
「まずは、池上はニッコー門木だった。学生の頃から無記名で書いてた映画評論が人気となり、顔出しNGで活動を開始。国立映画資料館の研究員になってからも、こっそり続けていたんだ。
それで新しく入って来た日比野さんと恋人になる。でも池上は門木であることだけでなく、他にも秘密があった。
たまたま知り合った牧田君から『夜を殺めた姉妹』の資料のことを聞いて、どうしても欲しくなったんだ。それでヨシイ古書店さんに相談して、川真田とともに古紙回収者に扮して、いい資料があると佐山さんを唆してトラックの荷台にあがらせて、突き落として殺した」
「私は池上君がそんなことをするなんて知らなかったから驚きましたよ」
両手を挙げて驚きのジェスチャーをして来るヨシイ古書店店主。おどけたような表情が憎たらしい。
「お嬢さんにこんなことしてごめんね? いらっしゃいませ。門木氏なら先に来てるよ」
店主はそう言うと、奥の壁にもたれ掛かっている猿マスクの男を指さした。こちらもガムテープでぐるぐるに巻かれて、口も塞がれている。
「ひびの・けいさんは、池上くんと恋人なの? 違うとしてもそういうことにしようか? それでさ、噂の覆面男ニッコー門木氏が殺人者だって告白してきて、一緒に心中するってことにしよう!」
男から荒っぽく猿マスクを剥ぎ取ると、そこにはグッタリした池上の顔があった。
「池上さん!」
「大丈夫だよ、日比野さん。彼には日比野さんが危ないよって言って、急いで来てもらったから、ちょっと疲れてるんじゃないかな」
優しい声で言いながらも、井ノ口の動きは荒い。そのままベリッと口のガムテープを剥がす。池上の息が浅い。
「平気だよ、日比野ちゃん」
苦しげな池上の腹を井ノ口が強く蹴る。
「ううっ······」
「勝手に喋らないでね」
私は池上の隣に座らされた。
「じゃあ、二人の心中のシナリオを書いたから説明するね。『曽根崎心中』みたいには作れなかったけど、許して」
井ノ口はいつも図書室で見るような笑顔でスラスラと話し出した。
「まずは、池上はニッコー門木だった。学生の頃から無記名で書いてた映画評論が人気となり、顔出しNGで活動を開始。国立映画資料館の研究員になってからも、こっそり続けていたんだ。
それで新しく入って来た日比野さんと恋人になる。でも池上は門木であることだけでなく、他にも秘密があった。
たまたま知り合った牧田君から『夜を殺めた姉妹』の資料のことを聞いて、どうしても欲しくなったんだ。それでヨシイ古書店さんに相談して、川真田とともに古紙回収者に扮して、いい資料があると佐山さんを唆してトラックの荷台にあがらせて、突き落として殺した」
「私は池上君がそんなことをするなんて知らなかったから驚きましたよ」
両手を挙げて驚きのジェスチャーをして来るヨシイ古書店店主。おどけたような表情が憎たらしい。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる