映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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120 寄贈感謝会の日に⑥

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「そしたらちょうど比江島さんが由紀子夫人とあの家で不倫してたんだ。それで比江島に見られちゃったから、池上は比江島を殺した。
 不倫してたから痴情のもつれってことにしようとして、あそこをちょん切ったんだけど、比江島さんが八頭さんとも付き合ってたから、そっちに疑いがかかっちゃったんだよね。

 そしたら、知らなかったんだけど、八頭さんは昔佐山さんと不倫してたんだって。不倫だらけだね! で、『夜を殺めた姉妹』の資料は一部八頭さんが持ってる、と。寄越すように話しても断られたから、彼女のことも殺しちゃったみたいだね。なのに川真田が欲かいて、彼女と結婚したことに偽造してあの家もコレクションも独り占めしようとしたから、悔しくてまた殺しちゃった。殺してばっかりだね。

 佐山さん家の裏山にトウゴマっていうのが育ってて、それを精製するとリシンっていう毒物が出来るんだ。牧田さんは佐山さんに頼まれてひまし油を作ってたからね。その時の残りでリシンを作ることを覚えてた。牧田さんと仲良しの池上は、リシンを手に入れて睡眠薬と合わせて使って殺しまくった。

 牧田さんは池上の片棒を掴まされるのは嫌になった。なのに逆に脅されて、リシンで殺されそうになった。でももう牧田さんは死を持って告発することに決めてしまったらしいんだよね。それで恋人に全て話して人生を悲嘆した日比野さんと自殺した。
 ――というのでどうかな?」

 自信作を提示し終えて、賞賛を求めるような目線を向けてくるが、井ノ口の瞳に光はなくどんよりと暗い。

「どうかなって言われても······。でも牧田さんは、自殺するんですか? さっき会場にいたじゃないですか!」
「牧田君は警察に手紙を書いてから、今日死ぬらしいよ。様子は見に行こうと思うけど、止められなくてねえ」
「そんな······」

 私は震えが止まらず、ガクリと体の力が抜けてしまった。殺人を繰り返すのになんのためらいもない。そんな様子の井ノ口に、天気の話の相槌を打つように笑いかける店主。異常だ。

「日比野さん、あのブレスレットから何が分かったの? 『素晴らしき石』の在処とか?」
「······そうです。あの赤い心臓のマークが書かれた石のことでしょう? それなら知ってます」

 私がそう答えると、急に井ノ口の目が血走った。

「どこにある? 資料館に持ち帰ったのか!」
「いえ、でも場所は分かります。あれは八頭家の持っているキリスト教の納骨堂に収められています」
「ふふふ、大悪魔の石がキリスト教に? 映画みたいな話だ。その場所はどこだ?」
「どうせここで殺されるなら、教えてもいいですが」
「日比野ちゃん! そんな!!」
「その代わり教えてもらえませんか。井ノ口さんとヨシイ古書店さん、お二人があの人達を殺したんですか?」

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