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第二章 激闘の前に
第十二話 陽炎のトラウマと思い出
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チュンチュン、チュン・・・・・・・・・
窓の外から聞こえる雀のさえずり。
「んん・・・・・・・・・」
わたし―初霜実は瞼を開いた。
「あれ・・・・・・なんでわたしベッドで寝てるの・・・・・・・?」
確か昨日は夜の九時ごろまで永信と遺書を書いてて、そのあと永信がわたしをからかってそれに応戦して・・・・・・・・
(あっ・・・・・・)
そのまま永信に抱き着くように眠ったんだった。
(と、言うことはわたしをベッドに寝かせたのは永信)
そこまで考えたところで、わたしの顔が真っ赤になる。
「ち、違うし!永信なんて!」
大声で叫んだ。
「実ー!起きてるのー!?」
階下からお姉ちゃんの声が聞こえてきた。
「もう九時だよ!」
「えっ!?」
すぐに飛び起きると、確かに時計はマルキュウマルマルを指している。
「ヤバッ!」
確か今日は「陽炎」のオーバーホールの様子を見に行く予定だった!
JMU呉工場前での待ち合わせは十時・・・・・・・
「あと少しじゃん!」
空自の最新戦闘機F35並みの高速で身支度を済ませると、わたしは自転車にまたがった。
グォォォォォォォォォォ・・・・・・・
ドックをまたぐように据え付けられたクレーンが移動する。吊り下げられているのは、駆逐艦用12.7㎝砲の砲身。
「オーライ、オーライ・・・・・・・・あと二十ミリ奥に・・・・・・」
作業員さんの指示が無線を通して伝わり、クレーンが微調整を繰り返す。
「さすが熟練の作業員さんね・・・・・ゼエ、ゼエ」
「だね。っていうか大丈夫なの?実」
「これくらいで息が上がるようじゃまだまだね」
永信の言葉に息も荒く返答すると、ドック内に据え置かれた「陽炎」に乗り込んだ。
「陽炎はどこにいるかな?」
この艦の艦魂である陽炎を探し、永信がきょろきょろと周りを見回す。
「あっ!いたいた・・・・・」
永信が手を伸ばした。
「え?どこ?」
「艦橋のトップ。屋根の上だよ」
永信が示すほうを見ると、確かに艦橋トップの測距儀の上に人影が見える。
「よく見つけるわね」
「これでも零戦乗りだから」
わたしが言うと、永信が誇らしげに胸を張る。別に褒めてないんだけど。
カン、カン・・・・・・
ラッタルを上り、いつもわたしが指揮を執る艦橋内部に入る。そして、永信のほうを見た。
「永信」
「なに?」
「肩車して」
「は?」
永信がぽかんとした顔をする。
「艦橋の天井に点検用のハッチがあるでしょ。そっから顔出せるはずだから、届くようにわたしを肩車してほしいの」
「は!?なんで実を肩車しなきゃいけないんだ」
「つべこべ言わないで肩車しなさい!」
「嫌じゃぁ!」
永信の頭をつかんで強制的に乗ろうとしていると、点検用ハッチからさかさまの頭が飛び出した。
「あ、実さんに永信さん~。お久しぶりです」
『陽炎!』
わたしと永信の声が重なる。
「お元気そうで何よりです」
陽炎はハッチから身を躍らせると、艦橋内にひらりと着地した。
「わたしもこの通り元気ですよ♪」
いつもの笑みを浮かべる。
「よかった」
わたしも口元をほころばせた。
「それにわたし、前に比べて体が軽くなった気がするんです!」
陽炎が両手をぶんぶん振りながら言う。
「痩せたの?」
永信が訊くと、陽炎は首を横に振った。
「違うんです!なんか、体から余分な老廃物が抜けたみたいな、そんな感覚です!」
「だったら、洗罐したからじゃないかな?」
洗罐っていうのは、ボイラー内部にこびりついた水垢を落とすこと。普段から清缶剤を使ってるけど、どうしても水垢はついてしまう。
「確か、ボイラーの穴から針金を突っ込んでこそぎ取るんだっけ?」
「工しょ・・・・・・じゃなくて造船所の方々はそんなことしてましたよ!」
わたしが訊くと、陽炎はいつもにもまして元気に言った。
「そ、そうなんだ・・・・・・・・」
実を言うと、わたしは機械が苦手だ。艦長としては艦の細部まで知っておかなきゃとは思うけど、設計図を見ただけで眠くなってくる。
(最近は夏芽や春奈に任せっぱなしだったわね・・・・・・)
今度教えてもらおうかな・・・・
「まあ、水管式ボイラーと煙管式ボイラーの違いも判らない実さんには難しいでしょうけど」
「陽炎!?あんた毒舌になった?」
「艦は艦長に似るってよく言いますよ~」
陽炎はそう言うとラッタルを駆け下っていく。
「ちょっと!待ちなさい!」
わたしと永信もそのあとを追って艦橋から出た。
「ついてこれますか~?」
わたしたちの先で陽炎が軽快にステップを踏む。
「わたしたちだって伊達に艦乗りやってないよ!」
ヴァラララララララ・・・・・・・・・・・
わたしたちが追いかけようとした時、遠くからレシプロエンジンの音が聞こえてきた。
「ウォーホークにドーントレスか・・・・・・・・・」
空を見上げた永信がつぶやく。次の瞬間、この世のものとは思えないような悲鳴が響き渡った。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
陽炎が我を忘れたように手を振り回し、逃げ惑う。
「P40にSBD!嫌!嫌ぁぁぁぁぁ!来ないで!来ないで!」
悲痛な声を上げて逃げ惑う陽炎。陽炎の意思により、対空機銃がひとりでに動き始めた。
「そうだった・・・・・・!」
永信が真剣な顔で陽炎に駆け寄ると、その目をふさいだ。
「大丈夫、俺たちがいれば沈まない・・・・・・」
優しい声で陽炎に言い聞かせる。わたしのほうを見た。
「実!あのウォーホークとドーントレスに離れるよう無線連絡を頼む!」
「り、了解!」
わたしは電信室に走ると、無線機を手に取った。航空無線の周波数に合わせる。
「こちらDD―KG1『陽炎』。上空を航行中の航空機に要請します。今すぐにこの場を離れてください!」
《なぜだ?》
「対空火器が誤作動を起こし、貴機を捕捉しようとしています。このままだと撃墜されますよ!」
《わかった、すぐに離れよう》
ウォーホークとドーントレスが翼を翻して方向を変える。その様子を見届けると、わたしは甲板上に急いだ。
「永信、とりあえずあの飛行機は離れさせたわよ」
永信はうなずくと言った。
「ありがとう。ほら陽炎、もうウォーホークもドーントレスもいなくなったよ・・・・・・・。陽炎は沈まなかった」
陽炎の目を覆っていた手を放す。
「ホントに?」
周りをきょろきょろ見回す。
「ホントだよ」
永信がやさしく言うと、陽炎の手を取った。
「よかったぁ・・・・・・・・・」
陽炎は心底安心したように微笑むと、立ち上がる。
「永信、いったいどういうことな・・・・・・・」
永信に問おうとしたわたしの口を永信の手がふさぐ。
(今は言わない方がいい)
アイコンタクトで伝えてくる。
(了解)
わたしがうなずくと、永信は手を離した。
「じゃ、わたしは少し艦首を見てきますね~」
陽炎が艦首の方に走っていく。その様子を見て、わたしと永信は艦を降りた。
「ねえ・・・・・・・・」
艦から地上に降り立ったとこで、わたしは永信に問う。
「さっきの陽炎の行動、尋常じゃ無かったよね。何があったの?」
永信が口を開いた。
「実は『陽炎』の沈没した状況を知ってる?」
「知らない」
わたしは首を横に振る。永信は、その様子を見ると言葉を継いだ。
「昭和十八年五月八日。『陽炎』は第十五駆逐隊の僚艦『親潮』、『黒潮』とともにコロンバンガラ島にて補充兵員の揚陸と帰還者の収容を行った。コロンバンガラ島ビラ沖を出港したのは午前三時十分のこと。そのおよそ四十分後、『親潮』が被雷。機雷によるものだった」
うん、そこまでは分かった。
「それで?その後どうなったの?」
永信は淡々と言う。
「当初潜水艦の攻撃と勘違いしていた『陽炎』と『黒潮』は爆雷を投下したけど、もちろん当たるわけない。そして・・・・・・・」
永信は声を詰まらせた。
「それで?」
わたしはせかすように問う。
「・・・・・・数分後に『陽炎』が触雷。航行不能に陥った。その後に『黒潮』も被雷。その様子は米側の沿岸監視員に目撃され、航空攻撃が加えられることになった。出動したのはP40ウォーホーク八機にSBDドーントレス十九機。『陽炎』は機銃掃射を受けた」
(ウォーホークに、ドーントレス!!)
もしかして、陽炎があの飛行機たちに対してこんなに取り乱してたのも・・・・・
永信が続ける。
「空襲による損害は軽微だったものの、漂流し始めた『陽炎』を救うことはできず、艦長は総員退艦を命令。その後、陽炎は沈没。続くように『親潮』と『黒潮』も沈没。第十五駆逐隊はわずか半日で壊滅した」
永信は大きく息をついた。
「きっと、陽炎にとってウォーホークとドーントレスは自分の沈没。そして、第十五駆逐隊壊滅の象徴なんだ」
「だからあんなに取り乱してたのね」
「たぶんそうだと思う」
そういうと、永信はドック内の「陽炎」を見た。艦魂の陽炎は艦首の旗竿の周りを楽しそうに走り回っている、
「実さーん!一緒に走りませんか?」
こっちを見て手を振った。
「ちょっと遠慮しとくよ」
わたしはひらひらと手を振る。
「そんなー、実さんのケチー」
陽炎が姿を消すと、わたしと永信のすぐ横に転移してきた。
「ちょっとくらいいいじゃないですか~。減るもんじゃないですし」
「わたしの体力と寿命が減るわ!」
まったく、艦魂と人間は基本的な体力自体が違うってことを自覚してほしい。
「じゃあ、もうちょっとお話しませんか?」
「それならいいけど・・・・・・・・」
わたしはうなずく。
「じゃ、決まりですね。実さん、永信さん、わたしと手をつないでください」
わたしは陽炎の右手。永信は左手を握る。
「じゃ、行きますよ!」
陽炎が目をつぶって体に力を籠める。
「えいやー!」
陽炎の体から金色の光が放たれ、わたしたちを包み込んだ。
次の瞬間・・・・・・・・
ドスン!
「痛ったぁ!」
「キャァ!」
「大丈夫ですか!?実さんに永信さん!」
思いっきり地面にたたきつけられるわたしと永信。眼を開けると、リノリウム張りの甲板が目に入った。
「ここは・・・・・・・?」
「駆逐艦『陽炎』の最上甲板後部。ちょうど軍艦旗用の旗竿のあたりです」
陽炎がニコニコと笑って言う。すぐにシュンとした顔になった。
「すいません。複数人を同時に転移させるのは初めてだったので・・・・・・・」
陽炎がすまなそうに言う。
「ううん、大丈夫だよ」
わたしは立ち上がると、体についたほこりを払った。
「お二人とも、ここなら大丈夫ですよ」
陽炎が後甲板に移動すると、手をかざした。
ふわぁっ
陽炎の手元から光が放たれる。
「よいしょっと・・・・・・」
光が収まると、そこには木製のテーブルと本格的なティーセットが出現していた。
「どうぞどうぞ。わたしは実は紅茶を淹れるのも得意なんですよ」
陽炎が手早くティーポットとティーカップ、ソーサーを用意する。
「陽炎が紅茶・・・・・・・・・意外だな」
永信がぽつりとつぶやく。
「三笠閣下に教えていただいたんです。呉開陽高校に来る前は横須賀にいたので」
陽炎が答えた。ん?今「三笠」って言った?
「陽炎、『三笠閣下』ってあの『三笠』?」
帝国海軍で「三笠」の名をいただいた艦は一隻しかありえない。
陽炎はきょとんとした顔をしていった。
「はい、元聯合艦隊旗艦、敷島型戦艦四番艦。軍神三笠閣下です」
「マジか・・・・・・」
永信がつぶやく。それほどまでに「三笠」は特別な存在だ。陽炎が「軍神」と言ったように。
「あの『三笠』にね・・・・・・・それなら納得」
世界各国を驚愕させ、有色人種が白人に勝った最初の戦い、日露戦争。そのターニングポイントの一つともいえるのが日本海海戦だ。
敷島型四番艦、戦艦「三笠」はその日本海海戦で聯合艦隊旗艦を務めた艦。ワシントン海軍軍縮条約で廃艦となるも保存され、横須賀で後輩たちを見つめ続けている。
(確かに、彼女なら「軍神」とあがめられててもおかしくないし、陽炎は前は横須賀にいたしね)
三笠はイギリスのヴィッカース・バロー・イン・ファーネスで建造されたから、英国式のマナーを身に着けててもおかしくない。
「駆逐艦みたいな下っ端とは縁がないお方と思ってましたけど、そうでもなかったですよ」
陽炎が笑いながら言う。
「まあ、さすがに『軍神』って言われてる人だしね。みんな最初は自分から遠い人だと思うよ」
「でも、いい艦魂でしたよ。呉に向かって出発するときも激励してくれましたし」
わたしが言うと、陽炎は紅茶を淹れながら返した。
「そうなんだ」
「はい!日本海海戦での武勇伝とか、東郷元帥との思い出とかも話してくれましたよ」
陽炎は嬉々として話始める。曰く、三笠はすっごく素敵な艦魂で、国を問わず様々な艦魂から尊敬されてるらしい。
「楽しみだなぁ、横須賀。レーガンさんにも最近会ってないし・・・・・・」
レーガンって、もしかして米海軍第七艦隊の原子力空母「ロナルドレーガン」のこと?
「横須賀では補給と護衛対象の『あきつ丸』、『神州丸』、『速吸』、『間宮』との会合を予定してるね」
永信が行動予定を見ながら言う。
「やった!三笠閣下にお会いするのが楽しみです」
陽炎が嬉しそうに言うと、わたしたちに紅茶を差し出した。
「ありがとう」
わたしは受け取ると、ティーカップを口元に寄せた。紅茶のいい香りが鼻をくすぐる。
「今回は結構いい茶葉を用意したんですけど、いかがですか?」
陽炎がお茶菓子を出しながら言う。
「うん、いい香り・・・・・」
わたしはカップに口をつけると、中の紅茶を口に含んだ。口の中に紅茶の味が広がる。
「おいしいよ。ありがとう」
わたしが言うと、陽炎の顔がぱぁっと明るくなった。
「ありがとうございます!!これも三笠閣下から習ったんですよ」
ここまでの言動を見るに、陽炎は三笠とよっぽど仲良しだったみたい。
「大東亜戦争のころは戦ってばかりでこんなことしてる余裕なかったですけど、平成の世に生まれ直して、少しはいろいろ習えるようになりました」
陽炎がお茶菓子を用意しながら言う。
「そう・・・・・・・・」
そうだった。見かけはわたしたちと同じくらいの女の子でも、陽炎は駆逐艦「陽炎」の艦魂。
あの大戦を戦い、多くの人が生活し、傷つき、死んでいった艦。
「どうしたんですか?実さん。少し顔色が暗いですよ」
陽炎がわたしの顔をのぞき込んでくる。
「ううん、何でもない。それより、あの永信にもお茶を出してあげて」
「あっ、すっかり忘れてました。ごめんなさい!」
わたしが言うと、陽炎はハッとして紅茶を用意し始めた。
「いいよ、僕は紅茶よりコーヒー派なんだけ・・・・・・」
「この馬鹿永信っ!」
パシッ!
永信が言い終わるより早く、その頭に手刀を打ち込む。
「ぐほっ」
頭を抱えて机に突っ伏す永信。
「人がせっかく淹れてくれる紅茶を断るんじゃないわよ!」
「はぁい」
わたしが手を拭きながら言うと、永信は力ない声を上げる。
「あわわわわ・・・・永信さん、大丈夫ですか?」
「馬鹿はケガしないから大丈夫よ」
「誰が馬鹿じゃ・・・・・・・・・・」
広島弁でボソボソ言ってる永信は置いといて、わたしは陽炎を見る。
「陽炎。三笠閣下はどんな人なの?」
「すっごいお方ですよ!」
陽炎がニコニコしながら言う。
「とにかく素敵で、大人で、かっこよくて、美人で、強くて、優しくて・・・・・とってもいい方なんです!」
「お、おう・・・・・・・・・・」
わたしは多少引き気味にその言葉を受け取る。
「ああ、三笠閣下・・・・・・・きっと今日も凛としたお姿で来館者を迎えられてるんでしょうね・・・・・・・・・もうすぐわたしも行きますよ。実さんたちも一緒に・・・・・・・」
恍惚の目で空を見ながら言う陽炎。
「陽炎?陽炎さーん?」
永信が陽炎の目の前でひらひらと手を振るも無反応。
「ダメ。もう完全にあっちの世界に行っちゃってる」
わたしが言うと、永信はこっちを向いた。
「どうする?これ」
ティーセット一式を指さす。
「置いとくほかないでしょ。とりあえず、書置きだけは残しておこう」
永信は言うと、胸ポケットから万年筆と便箋を取り出した。
「これで良し・・・・・ッと」
さらさらと何か書くと、カップの下に挟む。
「じゃ、行こうか」
「うん。じゃあね、陽炎」
わたしはまだ自分の世界に行ってる陽炎に手を振ると、舷梯を降りた。
その十分後・・・・・・
「その時、東郷長官がサッと右手を下ろして、それを境に艦隊は三笠閣下から順に会頭、そして主砲を発射したんです。たちまち無数の砲弾を受けて沈むクニャージ・スワロフ。日本艦隊の圧勝です!・・・・・・・ってあれ?実さんと永信さんは?」
陽炎は一気に我に返り、周りを見回す。
「ん?これは・・・・・・」
永信の書置きを見つけた。
「永信さんからだ・・・・・どれどれ」
陽炎は紙を開き、読み始める。
「『もう時間なので帰ります』。ふむふむ、片付けよう。そして・・・・」
さらに後ろを読み始めた陽炎の目が見開かれる。
「『僕はもしかしたらこの戦いで死ぬかもしれない。その場合、実のことをよろしく頼む』。これって・・・・・・・・遺書?」
陽炎は便箋を折りたたんでポケットにしまうと、ティーセットを片付け始めた。
窓の外から聞こえる雀のさえずり。
「んん・・・・・・・・・」
わたし―初霜実は瞼を開いた。
「あれ・・・・・・なんでわたしベッドで寝てるの・・・・・・・?」
確か昨日は夜の九時ごろまで永信と遺書を書いてて、そのあと永信がわたしをからかってそれに応戦して・・・・・・・・
(あっ・・・・・・)
そのまま永信に抱き着くように眠ったんだった。
(と、言うことはわたしをベッドに寝かせたのは永信)
そこまで考えたところで、わたしの顔が真っ赤になる。
「ち、違うし!永信なんて!」
大声で叫んだ。
「実ー!起きてるのー!?」
階下からお姉ちゃんの声が聞こえてきた。
「もう九時だよ!」
「えっ!?」
すぐに飛び起きると、確かに時計はマルキュウマルマルを指している。
「ヤバッ!」
確か今日は「陽炎」のオーバーホールの様子を見に行く予定だった!
JMU呉工場前での待ち合わせは十時・・・・・・・
「あと少しじゃん!」
空自の最新戦闘機F35並みの高速で身支度を済ませると、わたしは自転車にまたがった。
グォォォォォォォォォォ・・・・・・・
ドックをまたぐように据え付けられたクレーンが移動する。吊り下げられているのは、駆逐艦用12.7㎝砲の砲身。
「オーライ、オーライ・・・・・・・・あと二十ミリ奥に・・・・・・」
作業員さんの指示が無線を通して伝わり、クレーンが微調整を繰り返す。
「さすが熟練の作業員さんね・・・・・ゼエ、ゼエ」
「だね。っていうか大丈夫なの?実」
「これくらいで息が上がるようじゃまだまだね」
永信の言葉に息も荒く返答すると、ドック内に据え置かれた「陽炎」に乗り込んだ。
「陽炎はどこにいるかな?」
この艦の艦魂である陽炎を探し、永信がきょろきょろと周りを見回す。
「あっ!いたいた・・・・・」
永信が手を伸ばした。
「え?どこ?」
「艦橋のトップ。屋根の上だよ」
永信が示すほうを見ると、確かに艦橋トップの測距儀の上に人影が見える。
「よく見つけるわね」
「これでも零戦乗りだから」
わたしが言うと、永信が誇らしげに胸を張る。別に褒めてないんだけど。
カン、カン・・・・・・
ラッタルを上り、いつもわたしが指揮を執る艦橋内部に入る。そして、永信のほうを見た。
「永信」
「なに?」
「肩車して」
「は?」
永信がぽかんとした顔をする。
「艦橋の天井に点検用のハッチがあるでしょ。そっから顔出せるはずだから、届くようにわたしを肩車してほしいの」
「は!?なんで実を肩車しなきゃいけないんだ」
「つべこべ言わないで肩車しなさい!」
「嫌じゃぁ!」
永信の頭をつかんで強制的に乗ろうとしていると、点検用ハッチからさかさまの頭が飛び出した。
「あ、実さんに永信さん~。お久しぶりです」
『陽炎!』
わたしと永信の声が重なる。
「お元気そうで何よりです」
陽炎はハッチから身を躍らせると、艦橋内にひらりと着地した。
「わたしもこの通り元気ですよ♪」
いつもの笑みを浮かべる。
「よかった」
わたしも口元をほころばせた。
「それにわたし、前に比べて体が軽くなった気がするんです!」
陽炎が両手をぶんぶん振りながら言う。
「痩せたの?」
永信が訊くと、陽炎は首を横に振った。
「違うんです!なんか、体から余分な老廃物が抜けたみたいな、そんな感覚です!」
「だったら、洗罐したからじゃないかな?」
洗罐っていうのは、ボイラー内部にこびりついた水垢を落とすこと。普段から清缶剤を使ってるけど、どうしても水垢はついてしまう。
「確か、ボイラーの穴から針金を突っ込んでこそぎ取るんだっけ?」
「工しょ・・・・・・じゃなくて造船所の方々はそんなことしてましたよ!」
わたしが訊くと、陽炎はいつもにもまして元気に言った。
「そ、そうなんだ・・・・・・・・」
実を言うと、わたしは機械が苦手だ。艦長としては艦の細部まで知っておかなきゃとは思うけど、設計図を見ただけで眠くなってくる。
(最近は夏芽や春奈に任せっぱなしだったわね・・・・・・)
今度教えてもらおうかな・・・・
「まあ、水管式ボイラーと煙管式ボイラーの違いも判らない実さんには難しいでしょうけど」
「陽炎!?あんた毒舌になった?」
「艦は艦長に似るってよく言いますよ~」
陽炎はそう言うとラッタルを駆け下っていく。
「ちょっと!待ちなさい!」
わたしと永信もそのあとを追って艦橋から出た。
「ついてこれますか~?」
わたしたちの先で陽炎が軽快にステップを踏む。
「わたしたちだって伊達に艦乗りやってないよ!」
ヴァラララララララ・・・・・・・・・・・
わたしたちが追いかけようとした時、遠くからレシプロエンジンの音が聞こえてきた。
「ウォーホークにドーントレスか・・・・・・・・・」
空を見上げた永信がつぶやく。次の瞬間、この世のものとは思えないような悲鳴が響き渡った。
「キャァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」
陽炎が我を忘れたように手を振り回し、逃げ惑う。
「P40にSBD!嫌!嫌ぁぁぁぁぁ!来ないで!来ないで!」
悲痛な声を上げて逃げ惑う陽炎。陽炎の意思により、対空機銃がひとりでに動き始めた。
「そうだった・・・・・・!」
永信が真剣な顔で陽炎に駆け寄ると、その目をふさいだ。
「大丈夫、俺たちがいれば沈まない・・・・・・」
優しい声で陽炎に言い聞かせる。わたしのほうを見た。
「実!あのウォーホークとドーントレスに離れるよう無線連絡を頼む!」
「り、了解!」
わたしは電信室に走ると、無線機を手に取った。航空無線の周波数に合わせる。
「こちらDD―KG1『陽炎』。上空を航行中の航空機に要請します。今すぐにこの場を離れてください!」
《なぜだ?》
「対空火器が誤作動を起こし、貴機を捕捉しようとしています。このままだと撃墜されますよ!」
《わかった、すぐに離れよう》
ウォーホークとドーントレスが翼を翻して方向を変える。その様子を見届けると、わたしは甲板上に急いだ。
「永信、とりあえずあの飛行機は離れさせたわよ」
永信はうなずくと言った。
「ありがとう。ほら陽炎、もうウォーホークもドーントレスもいなくなったよ・・・・・・・。陽炎は沈まなかった」
陽炎の目を覆っていた手を放す。
「ホントに?」
周りをきょろきょろ見回す。
「ホントだよ」
永信がやさしく言うと、陽炎の手を取った。
「よかったぁ・・・・・・・・・」
陽炎は心底安心したように微笑むと、立ち上がる。
「永信、いったいどういうことな・・・・・・・」
永信に問おうとしたわたしの口を永信の手がふさぐ。
(今は言わない方がいい)
アイコンタクトで伝えてくる。
(了解)
わたしがうなずくと、永信は手を離した。
「じゃ、わたしは少し艦首を見てきますね~」
陽炎が艦首の方に走っていく。その様子を見て、わたしと永信は艦を降りた。
「ねえ・・・・・・・・」
艦から地上に降り立ったとこで、わたしは永信に問う。
「さっきの陽炎の行動、尋常じゃ無かったよね。何があったの?」
永信が口を開いた。
「実は『陽炎』の沈没した状況を知ってる?」
「知らない」
わたしは首を横に振る。永信は、その様子を見ると言葉を継いだ。
「昭和十八年五月八日。『陽炎』は第十五駆逐隊の僚艦『親潮』、『黒潮』とともにコロンバンガラ島にて補充兵員の揚陸と帰還者の収容を行った。コロンバンガラ島ビラ沖を出港したのは午前三時十分のこと。そのおよそ四十分後、『親潮』が被雷。機雷によるものだった」
うん、そこまでは分かった。
「それで?その後どうなったの?」
永信は淡々と言う。
「当初潜水艦の攻撃と勘違いしていた『陽炎』と『黒潮』は爆雷を投下したけど、もちろん当たるわけない。そして・・・・・・・」
永信は声を詰まらせた。
「それで?」
わたしはせかすように問う。
「・・・・・・数分後に『陽炎』が触雷。航行不能に陥った。その後に『黒潮』も被雷。その様子は米側の沿岸監視員に目撃され、航空攻撃が加えられることになった。出動したのはP40ウォーホーク八機にSBDドーントレス十九機。『陽炎』は機銃掃射を受けた」
(ウォーホークに、ドーントレス!!)
もしかして、陽炎があの飛行機たちに対してこんなに取り乱してたのも・・・・・
永信が続ける。
「空襲による損害は軽微だったものの、漂流し始めた『陽炎』を救うことはできず、艦長は総員退艦を命令。その後、陽炎は沈没。続くように『親潮』と『黒潮』も沈没。第十五駆逐隊はわずか半日で壊滅した」
永信は大きく息をついた。
「きっと、陽炎にとってウォーホークとドーントレスは自分の沈没。そして、第十五駆逐隊壊滅の象徴なんだ」
「だからあんなに取り乱してたのね」
「たぶんそうだと思う」
そういうと、永信はドック内の「陽炎」を見た。艦魂の陽炎は艦首の旗竿の周りを楽しそうに走り回っている、
「実さーん!一緒に走りませんか?」
こっちを見て手を振った。
「ちょっと遠慮しとくよ」
わたしはひらひらと手を振る。
「そんなー、実さんのケチー」
陽炎が姿を消すと、わたしと永信のすぐ横に転移してきた。
「ちょっとくらいいいじゃないですか~。減るもんじゃないですし」
「わたしの体力と寿命が減るわ!」
まったく、艦魂と人間は基本的な体力自体が違うってことを自覚してほしい。
「じゃあ、もうちょっとお話しませんか?」
「それならいいけど・・・・・・・・」
わたしはうなずく。
「じゃ、決まりですね。実さん、永信さん、わたしと手をつないでください」
わたしは陽炎の右手。永信は左手を握る。
「じゃ、行きますよ!」
陽炎が目をつぶって体に力を籠める。
「えいやー!」
陽炎の体から金色の光が放たれ、わたしたちを包み込んだ。
次の瞬間・・・・・・・・
ドスン!
「痛ったぁ!」
「キャァ!」
「大丈夫ですか!?実さんに永信さん!」
思いっきり地面にたたきつけられるわたしと永信。眼を開けると、リノリウム張りの甲板が目に入った。
「ここは・・・・・・・?」
「駆逐艦『陽炎』の最上甲板後部。ちょうど軍艦旗用の旗竿のあたりです」
陽炎がニコニコと笑って言う。すぐにシュンとした顔になった。
「すいません。複数人を同時に転移させるのは初めてだったので・・・・・・・」
陽炎がすまなそうに言う。
「ううん、大丈夫だよ」
わたしは立ち上がると、体についたほこりを払った。
「お二人とも、ここなら大丈夫ですよ」
陽炎が後甲板に移動すると、手をかざした。
ふわぁっ
陽炎の手元から光が放たれる。
「よいしょっと・・・・・・」
光が収まると、そこには木製のテーブルと本格的なティーセットが出現していた。
「どうぞどうぞ。わたしは実は紅茶を淹れるのも得意なんですよ」
陽炎が手早くティーポットとティーカップ、ソーサーを用意する。
「陽炎が紅茶・・・・・・・・・意外だな」
永信がぽつりとつぶやく。
「三笠閣下に教えていただいたんです。呉開陽高校に来る前は横須賀にいたので」
陽炎が答えた。ん?今「三笠」って言った?
「陽炎、『三笠閣下』ってあの『三笠』?」
帝国海軍で「三笠」の名をいただいた艦は一隻しかありえない。
陽炎はきょとんとした顔をしていった。
「はい、元聯合艦隊旗艦、敷島型戦艦四番艦。軍神三笠閣下です」
「マジか・・・・・・」
永信がつぶやく。それほどまでに「三笠」は特別な存在だ。陽炎が「軍神」と言ったように。
「あの『三笠』にね・・・・・・・それなら納得」
世界各国を驚愕させ、有色人種が白人に勝った最初の戦い、日露戦争。そのターニングポイントの一つともいえるのが日本海海戦だ。
敷島型四番艦、戦艦「三笠」はその日本海海戦で聯合艦隊旗艦を務めた艦。ワシントン海軍軍縮条約で廃艦となるも保存され、横須賀で後輩たちを見つめ続けている。
(確かに、彼女なら「軍神」とあがめられててもおかしくないし、陽炎は前は横須賀にいたしね)
三笠はイギリスのヴィッカース・バロー・イン・ファーネスで建造されたから、英国式のマナーを身に着けててもおかしくない。
「駆逐艦みたいな下っ端とは縁がないお方と思ってましたけど、そうでもなかったですよ」
陽炎が笑いながら言う。
「まあ、さすがに『軍神』って言われてる人だしね。みんな最初は自分から遠い人だと思うよ」
「でも、いい艦魂でしたよ。呉に向かって出発するときも激励してくれましたし」
わたしが言うと、陽炎は紅茶を淹れながら返した。
「そうなんだ」
「はい!日本海海戦での武勇伝とか、東郷元帥との思い出とかも話してくれましたよ」
陽炎は嬉々として話始める。曰く、三笠はすっごく素敵な艦魂で、国を問わず様々な艦魂から尊敬されてるらしい。
「楽しみだなぁ、横須賀。レーガンさんにも最近会ってないし・・・・・・」
レーガンって、もしかして米海軍第七艦隊の原子力空母「ロナルドレーガン」のこと?
「横須賀では補給と護衛対象の『あきつ丸』、『神州丸』、『速吸』、『間宮』との会合を予定してるね」
永信が行動予定を見ながら言う。
「やった!三笠閣下にお会いするのが楽しみです」
陽炎が嬉しそうに言うと、わたしたちに紅茶を差し出した。
「ありがとう」
わたしは受け取ると、ティーカップを口元に寄せた。紅茶のいい香りが鼻をくすぐる。
「今回は結構いい茶葉を用意したんですけど、いかがですか?」
陽炎がお茶菓子を出しながら言う。
「うん、いい香り・・・・・」
わたしはカップに口をつけると、中の紅茶を口に含んだ。口の中に紅茶の味が広がる。
「おいしいよ。ありがとう」
わたしが言うと、陽炎の顔がぱぁっと明るくなった。
「ありがとうございます!!これも三笠閣下から習ったんですよ」
ここまでの言動を見るに、陽炎は三笠とよっぽど仲良しだったみたい。
「大東亜戦争のころは戦ってばかりでこんなことしてる余裕なかったですけど、平成の世に生まれ直して、少しはいろいろ習えるようになりました」
陽炎がお茶菓子を用意しながら言う。
「そう・・・・・・・・」
そうだった。見かけはわたしたちと同じくらいの女の子でも、陽炎は駆逐艦「陽炎」の艦魂。
あの大戦を戦い、多くの人が生活し、傷つき、死んでいった艦。
「どうしたんですか?実さん。少し顔色が暗いですよ」
陽炎がわたしの顔をのぞき込んでくる。
「ううん、何でもない。それより、あの永信にもお茶を出してあげて」
「あっ、すっかり忘れてました。ごめんなさい!」
わたしが言うと、陽炎はハッとして紅茶を用意し始めた。
「いいよ、僕は紅茶よりコーヒー派なんだけ・・・・・・」
「この馬鹿永信っ!」
パシッ!
永信が言い終わるより早く、その頭に手刀を打ち込む。
「ぐほっ」
頭を抱えて机に突っ伏す永信。
「人がせっかく淹れてくれる紅茶を断るんじゃないわよ!」
「はぁい」
わたしが手を拭きながら言うと、永信は力ない声を上げる。
「あわわわわ・・・・永信さん、大丈夫ですか?」
「馬鹿はケガしないから大丈夫よ」
「誰が馬鹿じゃ・・・・・・・・・・」
広島弁でボソボソ言ってる永信は置いといて、わたしは陽炎を見る。
「陽炎。三笠閣下はどんな人なの?」
「すっごいお方ですよ!」
陽炎がニコニコしながら言う。
「とにかく素敵で、大人で、かっこよくて、美人で、強くて、優しくて・・・・・とってもいい方なんです!」
「お、おう・・・・・・・・・・」
わたしは多少引き気味にその言葉を受け取る。
「ああ、三笠閣下・・・・・・・きっと今日も凛としたお姿で来館者を迎えられてるんでしょうね・・・・・・・・・もうすぐわたしも行きますよ。実さんたちも一緒に・・・・・・・」
恍惚の目で空を見ながら言う陽炎。
「陽炎?陽炎さーん?」
永信が陽炎の目の前でひらひらと手を振るも無反応。
「ダメ。もう完全にあっちの世界に行っちゃってる」
わたしが言うと、永信はこっちを向いた。
「どうする?これ」
ティーセット一式を指さす。
「置いとくほかないでしょ。とりあえず、書置きだけは残しておこう」
永信は言うと、胸ポケットから万年筆と便箋を取り出した。
「これで良し・・・・・ッと」
さらさらと何か書くと、カップの下に挟む。
「じゃ、行こうか」
「うん。じゃあね、陽炎」
わたしはまだ自分の世界に行ってる陽炎に手を振ると、舷梯を降りた。
その十分後・・・・・・
「その時、東郷長官がサッと右手を下ろして、それを境に艦隊は三笠閣下から順に会頭、そして主砲を発射したんです。たちまち無数の砲弾を受けて沈むクニャージ・スワロフ。日本艦隊の圧勝です!・・・・・・・ってあれ?実さんと永信さんは?」
陽炎は一気に我に返り、周りを見回す。
「ん?これは・・・・・・」
永信の書置きを見つけた。
「永信さんからだ・・・・・どれどれ」
陽炎は紙を開き、読み始める。
「『もう時間なので帰ります』。ふむふむ、片付けよう。そして・・・・」
さらに後ろを読み始めた陽炎の目が見開かれる。
「『僕はもしかしたらこの戦いで死ぬかもしれない。その場合、実のことをよろしく頼む』。これって・・・・・・・・遺書?」
陽炎は便箋を折りたたんでポケットにしまうと、ティーセットを片付け始めた。
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