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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編
第31話 錬金術師ギルド長、ミーネさんと先代オディオ国王の関係。明かされる飛鳥の現在のステータスの件
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錬金術師ギルドのギルド長、ミーネさんと先代オディオ王国国王、ハルト・オディオ。2人の関係は学友で冒険者仲間。そして、恋人同士だった。
ハルト・オディオがまだ王子だったころ、彼は先々代オディオ国王の命で、このメルキオールの今も北西にある学園に留学していた。そこで彼は将来有望な錬金術師として切磋琢磨していたミーネさんと出会い、【錬金術】を知って、ミーネさんに頼み込んで師事したらしい。
故国では重要視されていない【錬金術】の重要性に気づいたハルトは熱心にミーネさんの教えを貪欲に吸収していく。その過程でミーネさんと共に錬金術師ギルドと冒険者ギルドに登録して、王国に帰るまでにBランク錬金術師とBランク冒険者になっていたそうだ。
ちなみにミーネさんとハルトは同時期にバルタザール騎士王国から留学してきた現国王夫妻(当事は王子とその婚約者)、そして、現カスパル帝国皇帝とも交友し、冒険者ギルドに登録した3人と意気投合してパーティを組んでいた。ハルトと現騎士王、現カスパル皇帝、3人の仲は良好で、親友だった。
現オディオ国王がハルトを暗殺しなければオディオ王国は今よりも遥かに栄えて世界は平和だったと思わざるをえない。
後からミーネさんから聞いた話だが、国境に展開したメルキオールとバルタザール、カスパルの連合軍の士気が異様に高かった背景にはバルタザール騎士王国国王が前線で陣頭指揮を執っていたかららしい。
騎士王はオディオ王国の軍が攻め込んで来たら、一気に返り討ちにして王都まで攻め込んで、現オディオ王国国王の首をとるつもりだったとか。それ程までに殺る気に満ちていた。この話は従軍していた街の衛兵の人に聞いた。
ミーネさんとハルトの楽しい時間は学園の終業式間際の先々代オディオ国王崩御という訃報によって唐突に終わりを告げた。この先々代オディオ国王崩御も現オディオ国王が行ったものだった。病死と公表されたが、その実食事に少しずつ毒を盛って弱らせていったのだ。
現オディオ国王は自分がそのまま国を継ぐつもりだったようだが、それは先々代の残していた遺言によって、ハルトが国王になることが記されていたため崩れた。先々代オディオ国王はまともな人物で、現オディオ国王に国を任せると国が滅亡することに気づいており、ハルトが卒業後に王太子として立太子させるつもりだったのだ。
これに焦ったのが現オディオ国王。彼を王に据えて甘い汁を吸うつもりだった貴族がギリギリになってハルト立太子の情報を得て、先々代オディオ国王の暗殺に至ってしまった。
ハルトは即位後、国の後々のためも考えて、【錬金術】の啓蒙をするためにゆくゆくはミーネさんを王妃として迎える用意を整えていたのだが、予てよりハルトが邪魔だった現オディオ国王に暗殺されてしまったのだった。
ハルトの訃報は当然ミーネさんにも伝わっており、彼女は多くの男性から求婚されていたが、全て蹴り、錬金術にそれまで以上に邁進。先代錬金術師ギルド長の後継者に指名されて今に至る。
俺がミーネさんに渡した錬金術の本は彼女がハルトに錬金術を教えていたときに彼女が手書きで作った錬金術の入門教科書だ。綺麗な字で綴られており、所々ハルトのものと思われる書き足しが付いている。
その最後のページには見つけた人が錬金術に興味があるなら是非活用してほしいことと、可能であれば自分はおそらく渡せない状態になっているので、ミーネさんに返して欲しいことが記されていた。
■
「すまない、待たせたね。あんたらのことはこの手紙に書いてあったから凡そのことはわかったが、悪いがあんたらの口から聞かせて欲しい」
涙を拭ったミーネさんが目つき鋭く俺達にそう言った。
「わかりました。薄々気づかれていると思いますが、以前、巷で噂になっていたオディオ王国の勇者召喚は実行され、勇者は召喚されました。飛鳥がその1人です。これは鑑定の魔導具を使うことで確認できるでしょう。そして、私はその勇者召喚に巻き込まれた彼女達と同じ世界の者です。こちらのクロエは初代オディオ王国国王に封印されていた闇黒魔竜の生まれ変わりです」
俺が端的に伝えると、ミーネさんは額に手を当て、ため息をついた。
「なるほど、確かにそれはおいそれと知られていいことではないな。念のため、この鑑定魔導具で調べさせてくれ。まず、アスカからこの板のここに手を当ててみな」
「わかりました」
名前:アスカ・キサラギ
性別:女
クラス:サムライ
筋力:B
耐久:C
敏捷:A
器用さ:B
魔力:B
精神力:B
幸運:C+
スキル:【剣術LV5】【体術LV5】
SRスキル:【生活魔術LV3】【水魔術LV4】【火魔術LV4】【風魔術LV3】【土魔術LV3】【錬金術LV3】【回復魔術LV3】【強化魔術LV 3】
称号:勇者、苦労人、大和撫子、如月一刀流師範代、令嬢、ユウ・アンドウの婚約者
飛鳥が鑑定魔導具に触れる前に俺は【偽装】を解除した。どうやら、この魔導具はSSR以上のスキルは表示できないようだ。また、飛鳥のステータスは前回【鑑定】したときと変わっていた。
「……」
ミーネさんは目を擦った後、懐から徐に目薬を取り出して両目に点眼。そして再度、飛鳥の触れた鑑定魔導具の結果を凝視し、ミーネさんはため息を吐いた。
「勇者のステータスと保有スキルは常軌を逸していると聞いてはいたけど、ここまで化け物とはねえ。念のため教えておくと、魔術師どもの間の常識では、”常人で【魔術】系のスキルは普通に覚えることができて1つ。努力してギリギリに相殺関係にない2つ。才能ある天才で3つ。天才の中の天才で4つが限度”と言われている。それから考えると本当に破格だね勇者は」
驚くのを通り越した声をあげるミーネさん。
正直に本当のことを言うならば「すいません。飛鳥の【魔術】スキルは俺が自分のURスキルで彼女にあげたものです」と俺が言うべきなのだろうが、事態がややこしくなることが目に見えているので、俺はこの場では口にしないことにした。
飛鳥とクロエにも、俺のURスキル【想技想像】は最重要機密として、絶対に信頼できる確証が得られた人物にのみ伝えることを共有している
飛鳥はミーネさんの言葉に苦笑いを浮かべていたが、幸運が向上していたことに喜び、称号に”ユウ・アンドウの婚約者”と出ていたことに気づいて可愛らしく顔を赤く染めた。
ハルト・オディオがまだ王子だったころ、彼は先々代オディオ国王の命で、このメルキオールの今も北西にある学園に留学していた。そこで彼は将来有望な錬金術師として切磋琢磨していたミーネさんと出会い、【錬金術】を知って、ミーネさんに頼み込んで師事したらしい。
故国では重要視されていない【錬金術】の重要性に気づいたハルトは熱心にミーネさんの教えを貪欲に吸収していく。その過程でミーネさんと共に錬金術師ギルドと冒険者ギルドに登録して、王国に帰るまでにBランク錬金術師とBランク冒険者になっていたそうだ。
ちなみにミーネさんとハルトは同時期にバルタザール騎士王国から留学してきた現国王夫妻(当事は王子とその婚約者)、そして、現カスパル帝国皇帝とも交友し、冒険者ギルドに登録した3人と意気投合してパーティを組んでいた。ハルトと現騎士王、現カスパル皇帝、3人の仲は良好で、親友だった。
現オディオ国王がハルトを暗殺しなければオディオ王国は今よりも遥かに栄えて世界は平和だったと思わざるをえない。
後からミーネさんから聞いた話だが、国境に展開したメルキオールとバルタザール、カスパルの連合軍の士気が異様に高かった背景にはバルタザール騎士王国国王が前線で陣頭指揮を執っていたかららしい。
騎士王はオディオ王国の軍が攻め込んで来たら、一気に返り討ちにして王都まで攻め込んで、現オディオ王国国王の首をとるつもりだったとか。それ程までに殺る気に満ちていた。この話は従軍していた街の衛兵の人に聞いた。
ミーネさんとハルトの楽しい時間は学園の終業式間際の先々代オディオ国王崩御という訃報によって唐突に終わりを告げた。この先々代オディオ国王崩御も現オディオ国王が行ったものだった。病死と公表されたが、その実食事に少しずつ毒を盛って弱らせていったのだ。
現オディオ国王は自分がそのまま国を継ぐつもりだったようだが、それは先々代の残していた遺言によって、ハルトが国王になることが記されていたため崩れた。先々代オディオ国王はまともな人物で、現オディオ国王に国を任せると国が滅亡することに気づいており、ハルトが卒業後に王太子として立太子させるつもりだったのだ。
これに焦ったのが現オディオ国王。彼を王に据えて甘い汁を吸うつもりだった貴族がギリギリになってハルト立太子の情報を得て、先々代オディオ国王の暗殺に至ってしまった。
ハルトは即位後、国の後々のためも考えて、【錬金術】の啓蒙をするためにゆくゆくはミーネさんを王妃として迎える用意を整えていたのだが、予てよりハルトが邪魔だった現オディオ国王に暗殺されてしまったのだった。
ハルトの訃報は当然ミーネさんにも伝わっており、彼女は多くの男性から求婚されていたが、全て蹴り、錬金術にそれまで以上に邁進。先代錬金術師ギルド長の後継者に指名されて今に至る。
俺がミーネさんに渡した錬金術の本は彼女がハルトに錬金術を教えていたときに彼女が手書きで作った錬金術の入門教科書だ。綺麗な字で綴られており、所々ハルトのものと思われる書き足しが付いている。
その最後のページには見つけた人が錬金術に興味があるなら是非活用してほしいことと、可能であれば自分はおそらく渡せない状態になっているので、ミーネさんに返して欲しいことが記されていた。
■
「すまない、待たせたね。あんたらのことはこの手紙に書いてあったから凡そのことはわかったが、悪いがあんたらの口から聞かせて欲しい」
涙を拭ったミーネさんが目つき鋭く俺達にそう言った。
「わかりました。薄々気づかれていると思いますが、以前、巷で噂になっていたオディオ王国の勇者召喚は実行され、勇者は召喚されました。飛鳥がその1人です。これは鑑定の魔導具を使うことで確認できるでしょう。そして、私はその勇者召喚に巻き込まれた彼女達と同じ世界の者です。こちらのクロエは初代オディオ王国国王に封印されていた闇黒魔竜の生まれ変わりです」
俺が端的に伝えると、ミーネさんは額に手を当て、ため息をついた。
「なるほど、確かにそれはおいそれと知られていいことではないな。念のため、この鑑定魔導具で調べさせてくれ。まず、アスカからこの板のここに手を当ててみな」
「わかりました」
名前:アスカ・キサラギ
性別:女
クラス:サムライ
筋力:B
耐久:C
敏捷:A
器用さ:B
魔力:B
精神力:B
幸運:C+
スキル:【剣術LV5】【体術LV5】
SRスキル:【生活魔術LV3】【水魔術LV4】【火魔術LV4】【風魔術LV3】【土魔術LV3】【錬金術LV3】【回復魔術LV3】【強化魔術LV 3】
称号:勇者、苦労人、大和撫子、如月一刀流師範代、令嬢、ユウ・アンドウの婚約者
飛鳥が鑑定魔導具に触れる前に俺は【偽装】を解除した。どうやら、この魔導具はSSR以上のスキルは表示できないようだ。また、飛鳥のステータスは前回【鑑定】したときと変わっていた。
「……」
ミーネさんは目を擦った後、懐から徐に目薬を取り出して両目に点眼。そして再度、飛鳥の触れた鑑定魔導具の結果を凝視し、ミーネさんはため息を吐いた。
「勇者のステータスと保有スキルは常軌を逸していると聞いてはいたけど、ここまで化け物とはねえ。念のため教えておくと、魔術師どもの間の常識では、”常人で【魔術】系のスキルは普通に覚えることができて1つ。努力してギリギリに相殺関係にない2つ。才能ある天才で3つ。天才の中の天才で4つが限度”と言われている。それから考えると本当に破格だね勇者は」
驚くのを通り越した声をあげるミーネさん。
正直に本当のことを言うならば「すいません。飛鳥の【魔術】スキルは俺が自分のURスキルで彼女にあげたものです」と俺が言うべきなのだろうが、事態がややこしくなることが目に見えているので、俺はこの場では口にしないことにした。
飛鳥とクロエにも、俺のURスキル【想技想像】は最重要機密として、絶対に信頼できる確証が得られた人物にのみ伝えることを共有している
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