とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

文字の大きさ
44 / 108
第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編

第44話 厄介ごとは俺達の事情を考慮してくれないとはいえ、俺達に対する発生率が高過ぎて酷い件

しおりを挟む
カレーライスを堪能した終えた後、俺と完全にカレーライスの虜となったバルガス冒険者ギルド長とヘリオスギルド総長、宿木亭の料理長を交えて、カレーライスについての交渉が行われることになった。

女将さんと飛鳥、クロエ、ミーネさん、ジェシカさんは後片付けを買って出てくれた。

バルガスのとっつぁんとヘリオスギルド総長がなんでカレーライスに即堕ちしたのか疑問だったのだが、元々この2人は宿木亭のカレーを冒険者時代に何度か食していたという下地があったそうだ。

しかし、今の地位になってからおいそれと宿木亭に来ることができなくなってしまっていろいろ溜まって今回爆発してしまったとか。

奇しくも今回、俺が招待したことを機に、自分達の職場にある職員食堂のメニューに宿木亭のカレーを職権乱用の謗りを受けようとも、ねじ込むつもりらしい。

そこで問題になるのは当然、”質”すなわち”味”だ。食堂のメニューとするには当然大量に作らねばならない。言うまでもなく宿木亭の料理長の体は1つだ。出張して造る訳にはいかないし、宿木亭で作ったものを各食堂の厨房に輸送するのはリスクが高いため取れない。

行き詰まった3人から意見を求められた俺は各食堂の料理長に実際に宿木亭のカレーライスを食べて、再現するために分析してもらうことを提案。

更に、宿木亭のカレールウのレシピを登録して、使用している香辛料スパイス公開するよう進言した。

「なぜ、使用している香辛料スパイスの全てを公開しないんだ?」

「宿木亭のカレーは料理長が受け継いだものですから、おいそれと公開して”宿木亭のカレー”を名乗らせる訳にはいかないからですよ。それに一口も実際に食べに来もしないでそれを名乗ろうと言うのは虫が良すぎると思いませんか」

先人が生み出した苦労を踏みにじって暴利を貪ろうとする輩に対する牽制である。

「それにカレーは素材に併せて香辛料を変えたり配合割合も調整することで多彩になります。一部公開されたレシピを改良していろいろなカレーが生まれてくる余地ができます」

俺の本当の思惑はこっち。多くの派生カレー料理が生まれてくるのは大賛成だ。需要による淘汰という厳しい戦いのなか生き残る新たなカレーに期待したい。

そして、カレーライスの要となるライスについては明日、技師ギルドに精米機の開発をお願いする予定であることを伝えた。

ヘリオスギルド総長はお米様のもつ多くの可能性について確信をもっているようで、商人ギルドに商品登録することを俺は確約させられた。

なにはともあれ、各職員食堂の料理長達が宿木亭のカレー、カレーライスを食べに来る日の日程調整を行い、詳しい契約についても後日まとめることになった。



後片付けも終わり、皆で食後のお茶やジュースを飲んで一服し、この場はこれでお開きかと思われた矢先、バルガスのとっつぁんに”緊急コール”が入った。

「なにぃ? 北門で魔物と交戦して重傷のDランク冒険者1名を保護? 相手は?……ちっ、分かった北門に向かう」

とっつぁんは先ほどとは一転して苛立たしげにコールを終えた。

「どうしたのかね?」

ヘリオスギルド総長はが仕事モードの鋭い眼光でバルガス冒険者ギルド長に尋ねた。

「はっ! 本日、メルキオール北方の村落の依頼から帰還予定だったDランク冒険者パーティ4名が帰還途中で豚鬼オークの集団と交戦。1名は重傷を負いつつ、離脱に成功し、救援を求めメルキオールの北門に到達。保護され、現在は治療と聴取を受けているそうです」

バルガス冒険者ギルド長の報告を聞いてこの場にいた全員が眉根を顰めた。

豚鬼オーク
異世界ファンタジーの創作物に出てくる豚の頭を持った魔物。小鬼ゴブリン水妖スライムと並んだポピュラーな魔物だ。

出てくる作品毎にその設定は多岐に渡っているが、共通しているのはその脅威的な繁殖力と戦闘能力、社会的な群れを形成する生態。

雄しかいない場合もあるが、この世界の豚鬼オークには雌の豚女鬼オークレディ、その進化系である豚女王鬼オーククィーンがいるそうだ。

同種族だけでなく異種族の異性とも交配が可能で、雄の数が圧倒的に多いため、女性冒険者には特に強い警戒が呼びかけられている。

それにしても、ここにきて豚鬼オークねぇ。街道沿いは常に警戒されるはずだから、もっと早期に発見連絡があってもおかしくないのはなぜだろう? などと疑惑がどんどん膨れ上がってくる。

そして、出た結論は本件は後顧の憂いに確実になるパターン。しかも、放置すると、今夜は気になって眠れないケ-スだ。

「私も行こう。豚鬼オークが出たのならばより早く詳しい情報が必要だ」

ヘリオスギルド総長がそう言う。俺は

「ミーネさん、この話題の豚鬼オークの件に俺が首を突っ込んで構いませんか?」

念のため上司にお伺いを立てる。

「部外者で無関係なあんたはなぜそう思ったんだい?」

ミーネさんは無表情でそう問い返してきた。

「重傷者がいるのであればポーションがいるかもしれません。それに急げば襲撃を受けた冒険者を助け出せるかもしれません。幸い、俺のケイロン愛馬の速力はどんな駿馬をも上回る自信があります」

最後は誇張し過ぎた感はあるが、人造人馬ゴーレムケンタウロスのしかも、動力が通常の人造石兵ゴーレムと比べるのも馬鹿馬鹿しい代物だ。

「ふぅうん、それで本音は?」

ぬぅ、やはりは見透かされたか。仕方ない。

「勘ですが、本件は俺達の助力がないと被害が拡大するという判断。それと、飛鳥とクロエの身に危険を及ぼす危険な害虫共を滅ぼしたいからです」

「……わかった。相手が相手だけに後衛の生産職である、あたしやジェシカが出張ると足を引っ張るだけかもしれないから、ユウ、あんたに錬金術師ギルドの代表として任せるよ。協力してやりな」

「ありがとうございます」

「ただし! きちんと報告書をあげるように。それと、きちんと無事で帰って来るんだよ」

「はい」

俺の返答に満足したのか、ミーネさんは頷いてくれた。俺は冒険者ギルド長とギルド総長に向き直り、

「という訳ですので、俺も協力します」

「そうか、ありがたい」

2人とも俺の協力に賛同してくれた。

『当然、我らも行くぞ!』

「お供いたします」

クロエと飛鳥もついてくる気満々で、却下しても無理矢理ついてくるつもりであるのは明白だった。

「どうするつもりかね?」

ヘリオスギルド総長が俺に問う。

「……自己責任ということで申し訳ございませんが。2人とも、戦闘になったら、背中を合わせて死角を補って防戦に徹することを約束してくれ、でなければ実力行使で留守番させる」

俺は冒険者ギルド長とギルド総長に頭を下げ、クロエと飛鳥に警告した。

『心得た』

「わかりました」

2人が返事したのを聞き届け、俺達はミーネさん達に見送られて、ケイロンの牽く馬車で北門へ急いだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

幼馴染パーティーから追放された冒険者~所持していたユニークスキルは限界突破でした~レベル1から始まる成り上がりストーリー

すもも太郎
ファンタジー
 この世界は個人ごとにレベルの上限が決まっていて、それが本人の資質として死ぬまで変えられません。(伝説の勇者でレベル65)  主人公テイジンは能力を封印されて生まれた。それはレベルキャップ1という特大のハンデだったが、それ故に幼馴染パーティーとの冒険によって莫大な経験値を積み上げる事が出来ていた。(ギャップボーナス最大化状態)  しかし、レベルは1から一切上がらないまま、免許の更新期限が過ぎてギルドを首になり絶望する。  命を投げ出す決意で訪れた死と再生の洞窟でテイジンの封印が解け、ユニークスキル”限界突破”を手にする。その後、自分の力を知らず知らずに発揮していき、周囲を驚かせながらも一人旅をつづけようとするが‥‥ ※1話1500文字くらいで書いております

処理中です...