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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編
第45話 俺が柄にもないことをする羽目になった件
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北門に到着し、治療を受けているという冒険者と俺達は面会した。したのだが……。
「なんで完治してないんだ?」
問題の冒険者はバツガスのとっつぁん情報で飛鳥よりも2歳歳下の斥候職の少年。峠こそ越えたようだが、手足に包帯を巻いて呆然自失状態でその瞳は虚ろだった。
近くには【回復魔術】が使える魔術師がいる魔術師ギルドがあるので、彼のこの状態はおかしい。更にいえば、ポーションが使われた形跡が全くない。
「魔術師ギルドの本部は営業時間は終了したと、使いの者が追い返されてしまいました。通常以下のポーションはここの在庫も冒険者ギルドも在庫切れで、薬品ギルドに上級ポーションの打診をしたのですが、魔術師ギルドと同様で門前払いにされました」
北門の衛兵の人が悔しそうに教えてくれた。
「あいつらあああ!」
「これは明日は緊急ギルド長会議を開かねばなるまいな」
バルガスのとっつぁんは憤り、ヘリオスギルド総長は暗い笑みを浮かべていた。
人命がかかった時間との勝負なのに、ここで無為に時間を浪費するのも馬鹿らしいので、自重を辞めて、俺は動くことにした。全ては俺の安眠、快眠、心の平穏のために。
「【最上級回復】」
包帯を巻かれたいた少年は一瞬光に包まれ、次の瞬間には怪我は完治。
「んなっ」
とっつぁんは絶句したが、俺は未だ呆然自失状態の少年の胸倉を掴んで、その眼を真っ向から睨む。
「俺達はこれからお前の仲間を助けに行く。お前はここでその馬鹿面を晒し続けるつもりか? 付いてくるなら、俺が5つ数える前に決めろ。時間が勝負だ。遅くなればそれだけお前の仲間は死に近づく。1……2……」
「おれも行く! おれを連れて行ってください!!」
瞳に光を取り戻した少年はガシッ胸倉を掴んでいる俺の両手を握って俺が3を数える前に返答した。俺は掴んでいた手を離し、バルガス冒険者ギルド長とヘリオスギルド総長に方を向く。
「お聞きの通りです。俺達は急行して彼の仲間達の救出に向かいます」
俺の言葉にバルガス冒険者ギルド長は俺が【最上級回復】を平然と使ったことに唖然としていたが、
「くっくっく、本当に面白いな君はいいだろう。認めよう。彼の仲間の救出の指揮は私の名の下に君が執りたまえ。そして、戦力としてそこの男も連れて行きなさい。今はそんな顔をしているが実力は折り紙つきだからね」
ヘリオスギルド総長はそう言って、バルガス冒険者ギルド長を指して言った。
「バルガス冒険者ギルド長!」
「! はっ!」
ヘリオスギルド総長が声高に呼ぶと固まっていたバルガス冒険者ギルド長が再起動した。
「そこの少年の仲間の救出まで、冒険者バルガスに戻り、ユウの指揮下に入れ。そして、補佐せよ」
「了解しました。不肖、バルガス、微力を尽くします」
「というわけで、頑張ってくれたまえ」
ヘリオスギルド総長は笑みを浮かべて俺にそう言った。
「ありがとうございます」
俺はヘリオスギルド総長に頭を下げ、やる気に満ちたバルガス冒険者ギルド長もとい、バルガスのとっつぁんと斥候職の少年、キリオと共にメルキオールの北門を出発した。
■
夜間の街道を爆走するケイロンの牽く馬車、いや装甲馬車。まだ試作品なれども、運用試験に丁度いいと判断。俺は北門まで乗っていた箱馬車をしまって、これを出した。
中は通常の馬車よりも広く取っている。座席は横3列縦3列の補助席付きのリクライニングシート。サスペンションもつかっているので、車体にかかる振動も減り、走破力はこの世界の現存馬車より優れている。
さて、キリオの話では彼のパーティは片道徒歩で3日の北方の村の採集依頼を終えて、行きで立ち寄った村で今夜は一泊して、明日メルキオールに到着する予定だったらしい。
しかし、帰りに立ち寄った村は死体が散乱している無残な状態で壊滅しており、生存者はいなかった。
戦闘の痕跡があったことから、外敵の存在に危機感を覚えて皆と相談し、危険を顧みずメルキオールへの到着を優先することに決まって、村を離れた。
俺だったら周囲に残敵がいないか確認した上で安全を確保して交代で損壊していない家屋を借りて村で仮眠をとってから翌朝移動を開始する。
そして、メルキオールまで徒歩でおよそ半日の地点で街道を北上する豚鬼の50匹超えの集団と遭遇し、戦闘に入ったそうだ。
集団をなんとか突破しようとするも、多勢に無勢。キリオ少年のパーティは徐々に押され始めてしまう。
そんな中、パーティのリーダーがメンバーの中で1番足が速いキリオを単独突破させて救援を送ってもらう賭け出たという流れらしい。
「マスター、間モ無ク目標地点二到達シマス」
「わかった。ありがとう、ケイロン。では先ほど話した作戦で」
離した作戦とはシンプルだ。オークの集団に一当てして注意を逸らし、その隙にキリオの仲間を回収。
ケイロン装甲馬車はそのままメルキオールに帰還して、俺とバルガスのとっつぁんが豚鬼共の足止めとして残る。
今頃メルキオールを出発している救助隊が到着するまで持ち堪える。
ケイロン装甲馬車もキリオ達をミーネさんに預け次第引き返してくる算段になっている。
『ぬぬ、仕方あるまいの』
「優さん、すぐに戻りますから、無理だけはしないでくださいよ」
クロエは不満そうに、飛鳥は心配そうに言う。
「やはり、おれも残った方が……」
キリオはそう言うが、
「悪いがそれは許可できないな。豚鬼は単体でもランクCの戦士系クラスでギリギリ。集団となると、ランクAパーティでも下手するとヤバイ相手なんだぜ」
バルガスのとっつぁんがそう言う。
「それだったら、この人は後衛職の錬金術師じゃないですか!」
キリオは声を荒げた。まぁ、君の言い分は普通であれば間違ってないよ。俺がその普通であればね。
クロエと飛鳥がキリオに向ける視線は既に氷点下だ。
「馬鹿者! 目的を履き違えるな! 俺達の最優先目的はお前の仲間の救出だろうが!! ユウの指示に従えないお荷物はいらん。ここで大人しく留守番していろ!」
バルガスのとっつぁんが激昂して、キリオの胸ぐらを掴んで頭突きをかました。あれは痛い。
「……わかりました」
キリオは涙目で渋々了承し、とっつぁんは彼を解放した。
「マスター、保護対象及ビ敵対勢力ヲ確認シマシタ。保護対象ハ全員重傷デス」
ケイロンから報告があがる。
「わかった。ケイロンは弓矢による援護をしつつ、敵対勢力に接近してくれ」
「了解!」
頼もしい返事と共にケイロンが左手に持った弓に番た矢が音の壁を轟音と共に突き破って次々に豚鬼共の頭を射抜いていく。頭を失った体は俺の【空間収納】にドロップアイテムとしてどんどん収納されていく。
そして、追い込まれていたパーティが驚愕する中、俺達は全員馬車から飛び降りた。
その直後、俺達を包み込む閃光が迸って、辺りを白一色に染めた。
「なんで完治してないんだ?」
問題の冒険者はバツガスのとっつぁん情報で飛鳥よりも2歳歳下の斥候職の少年。峠こそ越えたようだが、手足に包帯を巻いて呆然自失状態でその瞳は虚ろだった。
近くには【回復魔術】が使える魔術師がいる魔術師ギルドがあるので、彼のこの状態はおかしい。更にいえば、ポーションが使われた形跡が全くない。
「魔術師ギルドの本部は営業時間は終了したと、使いの者が追い返されてしまいました。通常以下のポーションはここの在庫も冒険者ギルドも在庫切れで、薬品ギルドに上級ポーションの打診をしたのですが、魔術師ギルドと同様で門前払いにされました」
北門の衛兵の人が悔しそうに教えてくれた。
「あいつらあああ!」
「これは明日は緊急ギルド長会議を開かねばなるまいな」
バルガスのとっつぁんは憤り、ヘリオスギルド総長は暗い笑みを浮かべていた。
人命がかかった時間との勝負なのに、ここで無為に時間を浪費するのも馬鹿らしいので、自重を辞めて、俺は動くことにした。全ては俺の安眠、快眠、心の平穏のために。
「【最上級回復】」
包帯を巻かれたいた少年は一瞬光に包まれ、次の瞬間には怪我は完治。
「んなっ」
とっつぁんは絶句したが、俺は未だ呆然自失状態の少年の胸倉を掴んで、その眼を真っ向から睨む。
「俺達はこれからお前の仲間を助けに行く。お前はここでその馬鹿面を晒し続けるつもりか? 付いてくるなら、俺が5つ数える前に決めろ。時間が勝負だ。遅くなればそれだけお前の仲間は死に近づく。1……2……」
「おれも行く! おれを連れて行ってください!!」
瞳に光を取り戻した少年はガシッ胸倉を掴んでいる俺の両手を握って俺が3を数える前に返答した。俺は掴んでいた手を離し、バルガス冒険者ギルド長とヘリオスギルド総長に方を向く。
「お聞きの通りです。俺達は急行して彼の仲間達の救出に向かいます」
俺の言葉にバルガス冒険者ギルド長は俺が【最上級回復】を平然と使ったことに唖然としていたが、
「くっくっく、本当に面白いな君はいいだろう。認めよう。彼の仲間の救出の指揮は私の名の下に君が執りたまえ。そして、戦力としてそこの男も連れて行きなさい。今はそんな顔をしているが実力は折り紙つきだからね」
ヘリオスギルド総長はそう言って、バルガス冒険者ギルド長を指して言った。
「バルガス冒険者ギルド長!」
「! はっ!」
ヘリオスギルド総長が声高に呼ぶと固まっていたバルガス冒険者ギルド長が再起動した。
「そこの少年の仲間の救出まで、冒険者バルガスに戻り、ユウの指揮下に入れ。そして、補佐せよ」
「了解しました。不肖、バルガス、微力を尽くします」
「というわけで、頑張ってくれたまえ」
ヘリオスギルド総長は笑みを浮かべて俺にそう言った。
「ありがとうございます」
俺はヘリオスギルド総長に頭を下げ、やる気に満ちたバルガス冒険者ギルド長もとい、バルガスのとっつぁんと斥候職の少年、キリオと共にメルキオールの北門を出発した。
■
夜間の街道を爆走するケイロンの牽く馬車、いや装甲馬車。まだ試作品なれども、運用試験に丁度いいと判断。俺は北門まで乗っていた箱馬車をしまって、これを出した。
中は通常の馬車よりも広く取っている。座席は横3列縦3列の補助席付きのリクライニングシート。サスペンションもつかっているので、車体にかかる振動も減り、走破力はこの世界の現存馬車より優れている。
さて、キリオの話では彼のパーティは片道徒歩で3日の北方の村の採集依頼を終えて、行きで立ち寄った村で今夜は一泊して、明日メルキオールに到着する予定だったらしい。
しかし、帰りに立ち寄った村は死体が散乱している無残な状態で壊滅しており、生存者はいなかった。
戦闘の痕跡があったことから、外敵の存在に危機感を覚えて皆と相談し、危険を顧みずメルキオールへの到着を優先することに決まって、村を離れた。
俺だったら周囲に残敵がいないか確認した上で安全を確保して交代で損壊していない家屋を借りて村で仮眠をとってから翌朝移動を開始する。
そして、メルキオールまで徒歩でおよそ半日の地点で街道を北上する豚鬼の50匹超えの集団と遭遇し、戦闘に入ったそうだ。
集団をなんとか突破しようとするも、多勢に無勢。キリオ少年のパーティは徐々に押され始めてしまう。
そんな中、パーティのリーダーがメンバーの中で1番足が速いキリオを単独突破させて救援を送ってもらう賭け出たという流れらしい。
「マスター、間モ無ク目標地点二到達シマス」
「わかった。ありがとう、ケイロン。では先ほど話した作戦で」
離した作戦とはシンプルだ。オークの集団に一当てして注意を逸らし、その隙にキリオの仲間を回収。
ケイロン装甲馬車はそのままメルキオールに帰還して、俺とバルガスのとっつぁんが豚鬼共の足止めとして残る。
今頃メルキオールを出発している救助隊が到着するまで持ち堪える。
ケイロン装甲馬車もキリオ達をミーネさんに預け次第引き返してくる算段になっている。
『ぬぬ、仕方あるまいの』
「優さん、すぐに戻りますから、無理だけはしないでくださいよ」
クロエは不満そうに、飛鳥は心配そうに言う。
「やはり、おれも残った方が……」
キリオはそう言うが、
「悪いがそれは許可できないな。豚鬼は単体でもランクCの戦士系クラスでギリギリ。集団となると、ランクAパーティでも下手するとヤバイ相手なんだぜ」
バルガスのとっつぁんがそう言う。
「それだったら、この人は後衛職の錬金術師じゃないですか!」
キリオは声を荒げた。まぁ、君の言い分は普通であれば間違ってないよ。俺がその普通であればね。
クロエと飛鳥がキリオに向ける視線は既に氷点下だ。
「馬鹿者! 目的を履き違えるな! 俺達の最優先目的はお前の仲間の救出だろうが!! ユウの指示に従えないお荷物はいらん。ここで大人しく留守番していろ!」
バルガスのとっつぁんが激昂して、キリオの胸ぐらを掴んで頭突きをかました。あれは痛い。
「……わかりました」
キリオは涙目で渋々了承し、とっつぁんは彼を解放した。
「マスター、保護対象及ビ敵対勢力ヲ確認シマシタ。保護対象ハ全員重傷デス」
ケイロンから報告があがる。
「わかった。ケイロンは弓矢による援護をしつつ、敵対勢力に接近してくれ」
「了解!」
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