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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編
第50話 俺のパーティーに関する持論が冒険者ギルドにパラダイムシフトを巻き起こす……かもしれない件
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一夜明けて、トーストと目玉焼き、ベーコン、サラダという朝食を摂り終えて、話し合いとなって全員が席に着いたときに、俺はベテラン冒険者達が集まっている絶好の機会だったので、パーティーに関する疑問をバルガスのとっつぁん達にぶつけてみた。
「冒険者ギルドでパーティを組む際に、戦闘時のそれぞれの役割について意識しているのだろうか?」
「役割? なんだそりゃ? それぞれ得意な武器で戦って敵を倒し、魔法しか効かない敵がいるから、その対策として、スキルの【魔術】を持つ魔術師を連れて行くのが一般的だが、なにかあるのか?」
という答えが冒険者ギルド本部のギルド長から返ってきて、ベテラン全員も頷いている。
従者ギルドから派遣されてきているベルさんの方を向いても、
「バルガスギルド冒険者ギルド長が仰ったことが一般的な認識です」
という言葉が返ってきた。話題の中心人物になりうるシルビア嬢に
「盾騎士の本分はなにかな?」
と尋ねると、
「仲間の盾となって敵の攻撃を受け止めることですが?」
という俺が望む答えに限りなく近い答えが返ってきたのだが、本人は分かっていないようだ。
「ふむ、なにやらユウから面白い話が聞けそうだな。食休みにちょうどいいから聞かせてくれないか?」
とっつぁんの言葉にこの場にいた俺以外が同意した……しまった、エスケイプ不可能。
「わかった。長話になるから、クロエとベルさんは全員に飲み物の用意をお願い」
「わかりました」『わかたのじゃ』
内心で嘆息しつつ、俺は2人に頼んだ。
■
「まずはパーティーを組む意味だが、これは依頼を完遂するためや討伐対象との戦闘に勝利するためであることに認識の違いはないと思う。今回俺は後者の戦闘についての考えを中心に話す」
そう言って、俺は話を切り出した。
戦闘において定石とされる役割は3つ。
敵の注意と攻撃を引きつけて他のメンバーにいく攻撃を受け止める[盾役]。
[盾役]が引きつけている敵に攻撃をする[攻撃役]。
[盾役]を含むパーティの怪我を治療し、継戦能力を維持する[回復役]。
「回復役と回復術師が同じ呼称だけれども、ここでは回復役をヒーラーと呼称するから注意してくれ」
俺の言葉に全員が頷いたのを確認して俺は話を続ける。
パーティーは基本はこの[盾役]、[攻撃役]、[回復役]の3つの役割を分担した3人が定石で安定すると考えられる。
[盾役]が敵の注意と攻撃を引き受け、[盾役]に意識が向いて隙だらけの敵に対して[攻撃役]が攻撃を加えて斃し、[回復役]が[盾役]を治療して[盾役]が倒れるのを防ぐ。
[盾役]にも”城塞”と”回避盾”といった考えがあるが、長くなるのでここでは割愛する。
[盾役]になれるのは必然的に盾をもつ職、騎士や重戦士、盾騎士、装甲騎士など耐久力が高い職が担当する。
[攻撃役]は剣を武器に戦う剣士や槍や斧でも戦う戦士、飛鳥の様に刀で戦うサムライ、体術で戦う格闘家。【魔術】が使える職、【弓術】が使える職もこの役割を担当する。
[回復役]は仲間を治療できる手段をもった職がである必要から、回復術師と薬師、俺の様な錬金術師が担当する。
これに前衛、中衛、後衛の距離の概念と更に戦闘を有利に進めるための[支援役]というのがある。
[支援役]は仲間に能力補助をかけてステータスの底上げをし、敵に能力阻害をかけて弱体化や妨害を行う。罠などで動きを封じるのもこの役割の担当。仕事が増えるが[回復役]が兼任するのもありではある。
能力補助と能力阻害は【魔術】に多くあるから大体は魔術師が[支援役]を兼任したり、受け持つことが多い。
さて、距離の概念の話に移る。まず、前衛は文字通り、もっとも敵と接触する位置で戦闘で激戦区となる。ここは[盾役]が主に配置される場所で、近接武器を使う[攻撃役]が加わる場所でもある。
ここに配置されたパーティーメンバーは中衛以降に敵を通してはいけない。
また、敵が[盾役]、[攻撃役]、[回復役]の構成だった場合、[攻撃役]は後衛にいる敵の[回復役]を早期に撃破するのが戦闘を早く終えるポイントになる。
「[回復役]を潰せば治療手段がなくなるから、継戦能力を奪えるということだな?」
「ああ、だが、これは自分達にも言えることだから、[盾役]は意地でも敵の攻撃から[回復役]を守る必要がある」
バルガスのとっつぁんの問いかけに俺はそう答える。
次に中衛。ここはパーティー内に複数[盾役]がいる場合、交代のため待機する[盾役]の位置であると同時にこの位置の[盾役]は直接、後衛を弓矢や【魔術】などの間接攻撃から守る役割を持つ。
攻撃範囲の広い槍や遠距離攻撃可能な弓矢、【魔術】を武器とする[攻撃役]の配置位置でもあり、[支援役]も前衛の敵味方と後衛の味方のことを考えてこの位置が最適だ。
パーティー人数によってはこの中衛はなく、前衛と後衛の組み合わせになることもある。
最後に後衛。この位置は継戦能力維持に必須の[回復役]の配置位置であり、遠距離攻撃可能な[攻撃役]の配置位置でもある。
この位置に[盾役]を配置するのは無意味に思えるかもしれないが、状況によっては後方からの奇襲もありうるので、一概に無意味とはいえない。ただ、その様な状況は稀であるので、効果的とはいえないだろう。
以上のことから、俺が考える最もバランスのいい最小のパーティー構成は4人で、前衛に[盾役]と[攻撃役]、後衛に遠距離攻撃の「攻撃役」と「支援役」を兼任した[回復役]。
この4人に戦略性の幅と役割の負担軽減のために人数を5名追加して、前衛にメインとなる[盾役]近接攻撃武器の[攻撃役]を2名。中衛に交代要員の[盾役]と中距離攻撃が可能な[攻撃役]と補助と阻害を担当する[支援役]。後衛にメインの[盾役]を回復させる[回復役]と遠距離攻撃を行う[攻撃役]2名の9名だ。
削るとしたら、最初に[攻撃役]を1名→中衛の[支援役]→中衛の[攻撃役]→前衛の[攻撃役]1名→中衛の[盾役]の順だ。
俺の説明に納得する者、考え込む者、様々な表情を見せている。
「ふむ、ではユウのパーティーにさっきの役割を照らし合わせたならば……」
「俺のパーティーでは前衛の[盾役]がケイロン、同[攻撃役]は飛鳥。後衛の[攻撃役]にクロエ、同[回復役]兼[支援役]が俺だ」
バルガスのとっつぁんの問いにかけに俺は即答する。
「ちなみに、今回の臨時で加わった2名を加えた場合は、中衛の交代要員の[盾役]にシルビア嬢、同[攻撃役]にクロエ、後衛[攻撃役]にベルリアーナ嬢となる。他のメンバーの役割は前述と同じだ」
「なるほどなぁ……」
バルガスのとっつぁんは納得して頷く。
「後、注意点としては、パーティへの指示出しはできる限り後衛のメンバー、次点で中衛の[支援役]が望ましいと付け加えておく」
「あん?その理由はなんだ?」
「前衛の[攻撃役]はその役割上、目の前の敵を倒すことに集中しないといけない。[盾役]が目の前の敵を意識から外すのは論外。中衛[盾役]は交代したら、指示出しができなくなるので同じく論外。後衛だったら、前衛と中衛を突破されない限り、最後まで指示出しができる。中衛[支援役]は敵味方への阻害と補助を担当する関係上全体を見渡す必要があるが、危険度が後衛より高いから次点の扱いだ」
あくまで一意見として、今後の参考にして欲しいと言って俺はこの話しを〆て、次の依頼の目的のために動き始めた。
「冒険者ギルドでパーティを組む際に、戦闘時のそれぞれの役割について意識しているのだろうか?」
「役割? なんだそりゃ? それぞれ得意な武器で戦って敵を倒し、魔法しか効かない敵がいるから、その対策として、スキルの【魔術】を持つ魔術師を連れて行くのが一般的だが、なにかあるのか?」
という答えが冒険者ギルド本部のギルド長から返ってきて、ベテラン全員も頷いている。
従者ギルドから派遣されてきているベルさんの方を向いても、
「バルガスギルド冒険者ギルド長が仰ったことが一般的な認識です」
という言葉が返ってきた。話題の中心人物になりうるシルビア嬢に
「盾騎士の本分はなにかな?」
と尋ねると、
「仲間の盾となって敵の攻撃を受け止めることですが?」
という俺が望む答えに限りなく近い答えが返ってきたのだが、本人は分かっていないようだ。
「ふむ、なにやらユウから面白い話が聞けそうだな。食休みにちょうどいいから聞かせてくれないか?」
とっつぁんの言葉にこの場にいた俺以外が同意した……しまった、エスケイプ不可能。
「わかった。長話になるから、クロエとベルさんは全員に飲み物の用意をお願い」
「わかりました」『わかたのじゃ』
内心で嘆息しつつ、俺は2人に頼んだ。
■
「まずはパーティーを組む意味だが、これは依頼を完遂するためや討伐対象との戦闘に勝利するためであることに認識の違いはないと思う。今回俺は後者の戦闘についての考えを中心に話す」
そう言って、俺は話を切り出した。
戦闘において定石とされる役割は3つ。
敵の注意と攻撃を引きつけて他のメンバーにいく攻撃を受け止める[盾役]。
[盾役]が引きつけている敵に攻撃をする[攻撃役]。
[盾役]を含むパーティの怪我を治療し、継戦能力を維持する[回復役]。
「回復役と回復術師が同じ呼称だけれども、ここでは回復役をヒーラーと呼称するから注意してくれ」
俺の言葉に全員が頷いたのを確認して俺は話を続ける。
パーティーは基本はこの[盾役]、[攻撃役]、[回復役]の3つの役割を分担した3人が定石で安定すると考えられる。
[盾役]が敵の注意と攻撃を引き受け、[盾役]に意識が向いて隙だらけの敵に対して[攻撃役]が攻撃を加えて斃し、[回復役]が[盾役]を治療して[盾役]が倒れるのを防ぐ。
[盾役]にも”城塞”と”回避盾”といった考えがあるが、長くなるのでここでは割愛する。
[盾役]になれるのは必然的に盾をもつ職、騎士や重戦士、盾騎士、装甲騎士など耐久力が高い職が担当する。
[攻撃役]は剣を武器に戦う剣士や槍や斧でも戦う戦士、飛鳥の様に刀で戦うサムライ、体術で戦う格闘家。【魔術】が使える職、【弓術】が使える職もこの役割を担当する。
[回復役]は仲間を治療できる手段をもった職がである必要から、回復術師と薬師、俺の様な錬金術師が担当する。
これに前衛、中衛、後衛の距離の概念と更に戦闘を有利に進めるための[支援役]というのがある。
[支援役]は仲間に能力補助をかけてステータスの底上げをし、敵に能力阻害をかけて弱体化や妨害を行う。罠などで動きを封じるのもこの役割の担当。仕事が増えるが[回復役]が兼任するのもありではある。
能力補助と能力阻害は【魔術】に多くあるから大体は魔術師が[支援役]を兼任したり、受け持つことが多い。
さて、距離の概念の話に移る。まず、前衛は文字通り、もっとも敵と接触する位置で戦闘で激戦区となる。ここは[盾役]が主に配置される場所で、近接武器を使う[攻撃役]が加わる場所でもある。
ここに配置されたパーティーメンバーは中衛以降に敵を通してはいけない。
また、敵が[盾役]、[攻撃役]、[回復役]の構成だった場合、[攻撃役]は後衛にいる敵の[回復役]を早期に撃破するのが戦闘を早く終えるポイントになる。
「[回復役]を潰せば治療手段がなくなるから、継戦能力を奪えるということだな?」
「ああ、だが、これは自分達にも言えることだから、[盾役]は意地でも敵の攻撃から[回復役]を守る必要がある」
バルガスのとっつぁんの問いかけに俺はそう答える。
次に中衛。ここはパーティー内に複数[盾役]がいる場合、交代のため待機する[盾役]の位置であると同時にこの位置の[盾役]は直接、後衛を弓矢や【魔術】などの間接攻撃から守る役割を持つ。
攻撃範囲の広い槍や遠距離攻撃可能な弓矢、【魔術】を武器とする[攻撃役]の配置位置でもあり、[支援役]も前衛の敵味方と後衛の味方のことを考えてこの位置が最適だ。
パーティー人数によってはこの中衛はなく、前衛と後衛の組み合わせになることもある。
最後に後衛。この位置は継戦能力維持に必須の[回復役]の配置位置であり、遠距離攻撃可能な[攻撃役]の配置位置でもある。
この位置に[盾役]を配置するのは無意味に思えるかもしれないが、状況によっては後方からの奇襲もありうるので、一概に無意味とはいえない。ただ、その様な状況は稀であるので、効果的とはいえないだろう。
以上のことから、俺が考える最もバランスのいい最小のパーティー構成は4人で、前衛に[盾役]と[攻撃役]、後衛に遠距離攻撃の「攻撃役」と「支援役」を兼任した[回復役]。
この4人に戦略性の幅と役割の負担軽減のために人数を5名追加して、前衛にメインとなる[盾役]近接攻撃武器の[攻撃役]を2名。中衛に交代要員の[盾役]と中距離攻撃が可能な[攻撃役]と補助と阻害を担当する[支援役]。後衛にメインの[盾役]を回復させる[回復役]と遠距離攻撃を行う[攻撃役]2名の9名だ。
削るとしたら、最初に[攻撃役]を1名→中衛の[支援役]→中衛の[攻撃役]→前衛の[攻撃役]1名→中衛の[盾役]の順だ。
俺の説明に納得する者、考え込む者、様々な表情を見せている。
「ふむ、ではユウのパーティーにさっきの役割を照らし合わせたならば……」
「俺のパーティーでは前衛の[盾役]がケイロン、同[攻撃役]は飛鳥。後衛の[攻撃役]にクロエ、同[回復役]兼[支援役]が俺だ」
バルガスのとっつぁんの問いにかけに俺は即答する。
「ちなみに、今回の臨時で加わった2名を加えた場合は、中衛の交代要員の[盾役]にシルビア嬢、同[攻撃役]にクロエ、後衛[攻撃役]にベルリアーナ嬢となる。他のメンバーの役割は前述と同じだ」
「なるほどなぁ……」
バルガスのとっつぁんは納得して頷く。
「後、注意点としては、パーティへの指示出しはできる限り後衛のメンバー、次点で中衛の[支援役]が望ましいと付け加えておく」
「あん?その理由はなんだ?」
「前衛の[攻撃役]はその役割上、目の前の敵を倒すことに集中しないといけない。[盾役]が目の前の敵を意識から外すのは論外。中衛[盾役]は交代したら、指示出しができなくなるので同じく論外。後衛だったら、前衛と中衛を突破されない限り、最後まで指示出しができる。中衛[支援役]は敵味方への阻害と補助を担当する関係上全体を見渡す必要があるが、危険度が後衛より高いから次点の扱いだ」
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