とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編

第55話 豚鬼騒動の顛末と俺が貰った報酬諸々の件

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回復薬ポーション各種を沢山譲ってもらったばかりか、武器の修繕だけでなく、改修までそちら持ちでお願いして申し訳ない」

俺の魔改造を受けて新生した愛用の槍を背負ってバルガスのとっつぁんが礼を言ってくるが、

「いや、恩人であるとっつぁんに返す恩としては、俺はまだ足りていないと思ってるのだが」

俺はそう笑って返す。

「いやいや、流石にこれ以上は過剰だ。なにせ俺は武器を貸しただけ、あの魔……豚鬼に止めを刺したのはユウ、お前さんじゃないか」

そうバルガスのとっつぁんは苦笑いを返して、冒険者ギルドへ帰っていった。

既に俺達があの豚鬼の魔王オーバーロードを討伐してから1週間が経っていた。



飛鳥に豚鬼魔王の長剣が振り下ろされる前に俺は【縮地】で飛鳥の前に到達、【障壁魔術シールド】を展開し、防御のためにケイロン用に試作していた大盾を地面に突き刺して備えた。

「やらせんぞ!」

バルガスのとっつぁんが愛槍を【投擲】した。

「!?」

とっつぁんの愛槍は狙いを過たず、豚鬼魔王の持つ長剣に命中し、破壊した。

更に回転して、その槍は俺の手元の地面に突き刺さった。

< System EX Stand by >

武器を破壊されて、豚鬼魔王が動揺しているのが伝わってきたので、俺は一気に畳み掛けるべく、普段はしているスキル【システム:EX】を使用。

ステータスの底上げを行って、豚鬼魔王に立ち向かうことにした。

したのだが、俺の身体は俺の意思を離れて別のなにかの意思に従う様に動きだした。

豚鬼魔王を倒すためとはいえ、早まったかという後悔の念が湧き起こるも、敵性存在を殲滅するか、180秒の制限時間が経過しない限り、このスキルは解除されない。

俺の身体は地面に突き刺さっている槍を引き抜いて、大盾を迂回、丸腰の豚鬼魔王へまず、一撃入れた。

「【石壁ストーンウォール】……【流星衝】……

口も勝手に動き、【魔術】と【槍術】スキルを発動した。

一撃受けてよろめいた豚鬼魔王の背後、数m先に【魔術】で石の壁を出現させた。

続けて、連続して無数の突きを放つ【槍術】スキルの【流星衝】で額、両目、喉、口、心臓、胸、両肩、両腕の関節、両手首など上半身を怒涛の連撃で貫いていく。

この【槍術】の武技スキルは【想技想像スキルクリエイト】で創ったものだ。

「っ!!!!???」

喉を潰されているため、あげられない悲鳴をあげようとする豚鬼魔王は腕をあげて、俺の槍撃を防ぐことさえできずに、喉から出血しながら背後の石壁に追い詰められた。

それでもなお続く槍の豪雨の様な連撃はその1撃1撃が豚鬼魔王の身体を貫通して、なおその背後の石壁を貫通。

豚鬼魔王の肉体ごと石壁は削られていく。

その身体の大半を穿たれて失い、両腕が根元から千切れ落ち、今にも千切れそうな首。その両目と口や身体中の傷口からは滝のように出血して、無残な姿で膝から崩れ落ちる豚鬼魔王。

……とどめだ」

自分の呟きが耳に届いたときには俺の身体は既に後方の宙を舞っていて、全身のバネを使った渾身の力で、手に持っていたバルガスのとっつぁんの愛槍を、死に体の豚鬼魔王へ容赦なく投擲していた。

俺の着地と同時に投擲した槍は豚鬼魔王に着弾、小爆発を起こした。

そして、バギンという音と共にその場に残ったのは2つに折れたとっつぁんの槍の残骸だけだった。



ちなみに豚鬼魔王の討伐証明となる魔石は俺が討伐したことにより、【空間収納】の中にスキル【自動回収】で自動転送されていた。

豚鬼魔王を討滅したことで、【システム:EX】も無事終了。

俺はその副作用で気絶してしまったが、後はとっつぁんとガーランドさんによって、事後処理が行われた。

俺が目を覚ましたときはケイロンの馬車に乗ってメルキオールへ帰投している途中であった。

ケイロンへの指示はクロエが引き継ぎ、俺は飛鳥とベルリアーナ嬢、ベルさんの2人から泣かれながらもお説教された。

先に気絶していたシルビア嬢は先に完全復活していたが、戦闘で装備していた全身鎧フルプレートメイルが破損して使えなくなったため、帰りは非戦闘員として働き、なにやら思い悩んでいるようだった。

気絶から回復後、飛鳥とベルさんのお説教が終了して、すぐに”コール”でミーネさんとヘリオスギルド総長へ報告。

無事を安堵されて、少しの小言を貰って、俺は解放された。そして、提出を厳命された報告書もメルキオール到着前に作成を終えた。



俺が今回の報酬としてもらったものは大きく3つ。

1つ目は白金貨1枚と魔銀貨2枚。依頼の報酬額としては過去最高額だそうだ。これは予期せぬ出現とはいえ、魔王を討伐し、メルキオールに降りかかる災害を未然に防いだことに因る。

中には当然、豚鬼魔王に関する口止め料も含まれている。更にはガーランドさん達、他の調査隊だった面子が報酬額の一部を辞退してこの金額になった。

他の面子はガーランドさん達のパーティーが魔銀貨4枚、イケメンのAランクベテランパーティーが魔銀貨2枚、バルガスのとっつぁんが魔銀貨1枚。俺は俺達が貰い過ぎであると抗議したが受け入れられなかった。

また、今回臨時とはいえ、同じパーティーだったシルビア嬢には魔銀貨1枚を渡した。最初は頑なに固辞しようとしていた。

しかし、彼女の装備していた全身鎧は修復が不可能だったので、破損した装備の代替品のための費用ということで強引だったが受け取ってもらった。

その一方で、ベルさんことベルリアーナ嬢にも報酬額を渡そうとしたのだが、彼女には固辞されて渡せず仕舞いだった。クロエがこのとき「彼女に渡しても意味がない」と言っていた意味を俺は後ほど知ることになった。

2つ目は探していたメルキオールで拠点となる住居。これは西地区の豪商達が住居を構えている閑静な屋敷街の一角にあるヘリオスギルド総長の屋敷の1つを譲り受けることになった。

しかも、屋敷の維持管理に関してはヘリオスギルド総長が俺達に関する守秘義務を俺の名義の魔術制約書ギアスロールで確約させた従者ギルドの使用人を雇い、その費用はメルキオール行政府がヘリオスギルド総長が退いても受け持つことを確約するというこの上ない好待遇だった。

ミーネさんが言うには、ヘリオスギルド総長が最大限の感謝の気持ちを表した形であり、今回の様な予期せぬとはいえ、自分達の不手際に巻き込んだことへの深い謝罪が込められているそうだ。

屋敷は増改築は自由ということも文書化してもらっているので、俺は自分専用の錬金術部屋のある工房を敷地内に増築、飛鳥の要望で茶室付きの武芸鍛錬のための道場を建築。

また、俺の趣味とクロエの強い要望で厨房も元の世界の台所に近づけて改良。極めつけは屋敷の全てのトイレ、使用人の宿舎のも含めて、俺が【魔術】と【錬金術】で元の世界のもの以上に使い勝手を向上させた”ウォシュレット”にした。

そして、3つ目は、

「ご主人様、昼食のご用意で整いました」

綺麗な白髪とメイド服のロングスカートをなびかせて、ベルさんが俺を呼びにきた。

彼女、ベルリアーナ・メルクリウス嬢の身柄を俺は3つ目の報酬として受け取ることになった。

彼女を物扱いして報酬として受け取ることには当然俺には抵抗があったのだが、これには彼女の事情もあった。

如何に彼女にとって俺が発情期による運命の相手とも言える存在であっても、俺は最近メルキオールにやってきた流れ者。しかも、保有戦力だけでもメルキオールを脅かすに充分以上の存在。

そんな俺にベルリアーナ嬢をただ嫁がせると、メルクリウス家が俺に屈したと捉えかねられず、メルクリウス家の政敵や彼女を自分の嫁、自分の息子の嫁にと望んでいた有力者が騒ぎたて、に危害を加えかねない。

それによって巻き起こる俺の報復による損害を未然に防ぐため、誰もが納得するメルキオールに貢献した報酬という形で彼女を俺に渡したという苦肉の策でこの方法を選んだらしい。

豚鬼という不倶戴天の敵を魔術ギルドが薬物ギルドと共謀して繁殖させ、村1つを壊滅させるという被害を出した。

その豚鬼達の巣窟となっていた村をし、首魁となっていたを討伐したである俺に報いるためメルクリウス家は愛娘のベルリアーナを嫁がせたという虚実を内包した分かりやすいプロパガンダを含んだ筋書きだ。

ベルリアーナを嫁がせることに文句があるなら、俺が挙げた功績以上のものを俺にベルリアーナを渡す前に挙げろという無茶振りが暗に含まれていた。

当然、そうそう野生の豚鬼将軍は発見できるものではない。

こうして、ベルさんは彼女の両親公認でうちに来た訳である。

俺が懸念しているベルさんと飛鳥、クロエ3人の仲は俺が思っていた以上に良好。

周囲に人目がないことを確認したベルさんは腕を絡めて来て、

「さぁ、参りましょう。ご主人様」

笑顔でそう言って俺を促した。
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