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第3章 自由連合同盟都市国家メルキオール 地方城塞都市カイロス編
第76話 白輝聖竜ルールミナスと闇黒魔竜クロノエクソスの件
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「おい、大丈夫か?」
俺は突然吐血したルールミナスに問いかけた。
『申し訳ありません。これは癒えないこの古傷による発作みたいなものです』
そうルールミナスはこちらを安心させるためか、微笑みを返して、件の古傷を4つ足立ちから2つ足立ちになることで見せてくれた。
それは右下の腹部にあり、そこだけ鱗がなく、長剣を突き刺した様な刺し傷があった。その傷口は◆の形になっていて、傷が開いたのか、赤い血液が噴き出している。
ルールミナスがうつ伏せになっていたため、見えなくて分からなかったが、傷口から下の右足部分は長年の出血の血が固まったのか、目に映っていた綺麗な白ではなく、異様にドス黒い赤に染まっていた。
「その傷は?」
『大昔、私が初代オディオ王国国王に襲われた時に、彼の者が持つ聖剣に貫かれて、つけられた傷です。今に至るまで、私の体の奥まで達しているこの傷は癒えていません』
そう自嘲するようにルールミナスは言った。
『もしや、その傷は、あのとき、あの外道につけられたものか!?』
メイド幼女姿のクロエがルールミナスに駆け寄った。
『貴女は?……』
怪訝な顔で人間形態のクロエを見るルールミナス。
『我じゃ! 我じゃ! ルー!
ううむ、この姿では分からぬか、致し方ない。すまぬ、ご主人! 魔力をたくさん借りさせてもらうのじゃ!』
芳しくないルールミナスの反応を見て、クロエは俺に一方的に言い放ち、メイド幼女から幼竜に変わり、更に、肉体安定化のために繋げていた魔力経路が繋がっている俺から大量の魔力を吸収。
クロエは幼竜から急成長し、ルールミナスに匹敵する巨大な黒い鱗に覆われた成竜になった。
『あっ、あっ、貴女は、まさか…まさか…姉様!?』
ルールミナスは驚きと喜びが混ざった声を上げて、両目から涙を流し始めた。
その一方で、
ゴフッ、お・の・れ、クロエ!
一気に俺の全魔力を根こそぎ持っていきやがって!
豆○ビ錬金術師の「持って行かれた……!!」ってレベルじゃねぇか。
おかげで俺は魔力枯渇状態だ。
ぬう……急激な体内魔力変化で体が動かん。
クロエは、生まれ変わってから継続していた俺からの魔力供給で最近になって、ようやく今の肉体が安定した。
実は既に、いつでもクロエは今の成竜状態になることができるようになっていたのだ。
しかし、その成竜状態になったときのサイズが問題だった。この黒い巨体はとにかく目立つ、超目立つ。
メルキオールの屋敷の敷地内で、成竜に変身しようものなら、屋敷の周囲の住民が大混乱して、メルキオール行政府軍が討伐のために派遣されかねない。
また、頭の螺子をどこかに全て置き忘れてきた連中が竜の存在を聞きつけて、クロエを竜素材と見做し、その希少性と金に目が眩んで襲撃をしかけてきかねない。
その危険を回避するために、クロエは成竜状態になるのを控えていたのだ。
「だ、大丈夫ですか? 優さん!?」
魔力枯渇で倒れかかった俺を、傍にいた飛鳥が一緒にいたベルと協力して支えてくれた。
「ご主人様、これをお飲みください」
ベルがろくに動けない俺に完全回復魔力薬を飲ませてくれた。
魔力は回復したが、肝心の身体機能の回復が追いついていないため、俺はまだ喋ることすらままならない。
『ありがとう、飛鳥、ベル』
仕方がないので、飛鳥とベルに支えられながら、俺は【念話】で2人に礼を伝えた。その傍らで、
<シリアスさんは逃げ出した>
『姉様、よくぞご無事で!』
『心配をかけたのじゃ、ルー。それよりも、その傷はやはり、あのとき、あの下衆がつけたものか?』
『……はい。普通の傷と違う様で、約300年近く経った今でも、完全に塞がることがありません』
人間サイズであれば、タッタッタッタッタッ……ヒシッといった感じで、本人たちは感動的な姉妹(?)の再会のワンシーンなのだろうが、生憎、クロエ達の今のサイズは怪獣サイズ。人間サイズの俺達から見ると、
ドドドドドドドドドド……ドグシャアッという轟音の嵐の後に、大怪獣同士が大激突して、取っ組み合い、お互いに滝の様な涙を流している様にしか見えない。
感動的な再会のワンシーン? そんなものはそこでシリアスさんが逃走に失敗して、息をしていないから、どうなったか分かるだろう?
また、ルールミナスの傷口から噴き出している血と血溜まりになった血、彼女とクロエの両目から滝の様に流れ落ちて、虹を作っている涙は人族にとっては【錬金術】の希少な素材である。
ベルと俺は2匹が流す涙で仲間達が溺れないように【魔術】の【障壁】で防ぎ続け、とてつもなくもったいないので、俺はルールミナスの血と2匹の竜が流している涙を【空間収納】に確保している。
『グフッ、ゴフッ、』
綺麗な虹を作っていた4本の滝がようやく消えた後、再びルールミナスが吐血した。
『ルー!?』
『ケフッ、ケフッ、……申し訳ありません姉様。再会できて本当に嬉しいのですが、この塞がらない傷の所為で……私はもう長くはありません。それが、そこにいる親友のヘリオスを呼んだ理由の1つです』
「!」
ヘリオスさんが驚きで、息を飲んだ。
『そんな! ご主人なんとかならんのか?』
クロエが縋る様に俺を見た。
しかし、俺にもできることと、できないことがある。
【鑑定】で、ルールミナス傷を診たのだが、初代オディオ王国国王の持っていた聖剣の凶悪な能力で【完治不可】、【継続損傷】がルールミナスに付与されていた。
不幸中の幸いで、傷はルールミナスの”竜炉”に達していなかったが、深手には変わりない。
竜族の生命力は並の生物のそれを遥かに凌駕しているだけでなく、
竜族は【自動回復】を持っている。
しかし、ルールミナスが受けた傷は【継続損傷】が【自動回復】の回復量を上回っているため、徐々にその膨大な生命力を削られていき、長い年月を経て、その命の灯が消えようとしているのだった。
『いいのです。姉様、私はもうこのまま朽ちてしまっても……』
そう言って、ルールミナスは力なく笑った。
俺は突然吐血したルールミナスに問いかけた。
『申し訳ありません。これは癒えないこの古傷による発作みたいなものです』
そうルールミナスはこちらを安心させるためか、微笑みを返して、件の古傷を4つ足立ちから2つ足立ちになることで見せてくれた。
それは右下の腹部にあり、そこだけ鱗がなく、長剣を突き刺した様な刺し傷があった。その傷口は◆の形になっていて、傷が開いたのか、赤い血液が噴き出している。
ルールミナスがうつ伏せになっていたため、見えなくて分からなかったが、傷口から下の右足部分は長年の出血の血が固まったのか、目に映っていた綺麗な白ではなく、異様にドス黒い赤に染まっていた。
「その傷は?」
『大昔、私が初代オディオ王国国王に襲われた時に、彼の者が持つ聖剣に貫かれて、つけられた傷です。今に至るまで、私の体の奥まで達しているこの傷は癒えていません』
そう自嘲するようにルールミナスは言った。
『もしや、その傷は、あのとき、あの外道につけられたものか!?』
メイド幼女姿のクロエがルールミナスに駆け寄った。
『貴女は?……』
怪訝な顔で人間形態のクロエを見るルールミナス。
『我じゃ! 我じゃ! ルー!
ううむ、この姿では分からぬか、致し方ない。すまぬ、ご主人! 魔力をたくさん借りさせてもらうのじゃ!』
芳しくないルールミナスの反応を見て、クロエは俺に一方的に言い放ち、メイド幼女から幼竜に変わり、更に、肉体安定化のために繋げていた魔力経路が繋がっている俺から大量の魔力を吸収。
クロエは幼竜から急成長し、ルールミナスに匹敵する巨大な黒い鱗に覆われた成竜になった。
『あっ、あっ、貴女は、まさか…まさか…姉様!?』
ルールミナスは驚きと喜びが混ざった声を上げて、両目から涙を流し始めた。
その一方で、
ゴフッ、お・の・れ、クロエ!
一気に俺の全魔力を根こそぎ持っていきやがって!
豆○ビ錬金術師の「持って行かれた……!!」ってレベルじゃねぇか。
おかげで俺は魔力枯渇状態だ。
ぬう……急激な体内魔力変化で体が動かん。
クロエは、生まれ変わってから継続していた俺からの魔力供給で最近になって、ようやく今の肉体が安定した。
実は既に、いつでもクロエは今の成竜状態になることができるようになっていたのだ。
しかし、その成竜状態になったときのサイズが問題だった。この黒い巨体はとにかく目立つ、超目立つ。
メルキオールの屋敷の敷地内で、成竜に変身しようものなら、屋敷の周囲の住民が大混乱して、メルキオール行政府軍が討伐のために派遣されかねない。
また、頭の螺子をどこかに全て置き忘れてきた連中が竜の存在を聞きつけて、クロエを竜素材と見做し、その希少性と金に目が眩んで襲撃をしかけてきかねない。
その危険を回避するために、クロエは成竜状態になるのを控えていたのだ。
「だ、大丈夫ですか? 優さん!?」
魔力枯渇で倒れかかった俺を、傍にいた飛鳥が一緒にいたベルと協力して支えてくれた。
「ご主人様、これをお飲みください」
ベルがろくに動けない俺に完全回復魔力薬を飲ませてくれた。
魔力は回復したが、肝心の身体機能の回復が追いついていないため、俺はまだ喋ることすらままならない。
『ありがとう、飛鳥、ベル』
仕方がないので、飛鳥とベルに支えられながら、俺は【念話】で2人に礼を伝えた。その傍らで、
<シリアスさんは逃げ出した>
『姉様、よくぞご無事で!』
『心配をかけたのじゃ、ルー。それよりも、その傷はやはり、あのとき、あの下衆がつけたものか?』
『……はい。普通の傷と違う様で、約300年近く経った今でも、完全に塞がることがありません』
人間サイズであれば、タッタッタッタッタッ……ヒシッといった感じで、本人たちは感動的な姉妹(?)の再会のワンシーンなのだろうが、生憎、クロエ達の今のサイズは怪獣サイズ。人間サイズの俺達から見ると、
ドドドドドドドドドド……ドグシャアッという轟音の嵐の後に、大怪獣同士が大激突して、取っ組み合い、お互いに滝の様な涙を流している様にしか見えない。
感動的な再会のワンシーン? そんなものはそこでシリアスさんが逃走に失敗して、息をしていないから、どうなったか分かるだろう?
また、ルールミナスの傷口から噴き出している血と血溜まりになった血、彼女とクロエの両目から滝の様に流れ落ちて、虹を作っている涙は人族にとっては【錬金術】の希少な素材である。
ベルと俺は2匹が流す涙で仲間達が溺れないように【魔術】の【障壁】で防ぎ続け、とてつもなくもったいないので、俺はルールミナスの血と2匹の竜が流している涙を【空間収納】に確保している。
『グフッ、ゴフッ、』
綺麗な虹を作っていた4本の滝がようやく消えた後、再びルールミナスが吐血した。
『ルー!?』
『ケフッ、ケフッ、……申し訳ありません姉様。再会できて本当に嬉しいのですが、この塞がらない傷の所為で……私はもう長くはありません。それが、そこにいる親友のヘリオスを呼んだ理由の1つです』
「!」
ヘリオスさんが驚きで、息を飲んだ。
『そんな! ご主人なんとかならんのか?』
クロエが縋る様に俺を見た。
しかし、俺にもできることと、できないことがある。
【鑑定】で、ルールミナス傷を診たのだが、初代オディオ王国国王の持っていた聖剣の凶悪な能力で【完治不可】、【継続損傷】がルールミナスに付与されていた。
不幸中の幸いで、傷はルールミナスの”竜炉”に達していなかったが、深手には変わりない。
竜族の生命力は並の生物のそれを遥かに凌駕しているだけでなく、
竜族は【自動回復】を持っている。
しかし、ルールミナスが受けた傷は【継続損傷】が【自動回復】の回復量を上回っているため、徐々にその膨大な生命力を削られていき、長い年月を経て、その命の灯が消えようとしているのだった。
『いいのです。姉様、私はもうこのまま朽ちてしまっても……』
そう言って、ルールミナスは力なく笑った。
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