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04 ありふれた話の裏側。無知は盾にはならない。とある子爵の一生の話
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さて、なんで特殊な辺境伯である俺と子爵令嬢であるアリシアが婚約していたかに触れねばなるまい。
オッド子爵家の子爵家としての歴史は浅く、元々男爵だった先代オッド子爵が先代国王にその才を見出されて子爵の爵位を得た。
この時に彼の弟がオッド男爵となって領地を継ぎ、分家化。オッド子爵は法衣貴族として王家に仕えることになった。
先代オッド子爵の功績に偽りはなく、男爵位から、正しく子爵位を得るに相応しいものだったのは疑いようがない。
しかし、さらにこれに本当に極一部の高位貴族にしか知らされていないある隠された事実がある。
それは先代オッド子爵は先々代国王の落胤で、先代国王の異母弟、現国王陛下の叔父にあたる人物だったのだ。
先々代国王は好色クズを絵に描いたような人物で、公務を当時の王妃達に押し付けて、気に入った女性であれば既婚者でも平気で食い散らかして、捨てていた真性の糞外道だ。
国王という最高権力者に対し、被害者の女性達は泣き寝入りするしかなかった。精神的ショックで自害した女性も数多く、先々代国王は王国史に名を刻んでいる疑いようのない暗君だ。
先代オッド子爵の母親も、その被害者の1人で、彼女は男爵令嬢だった。
行儀見習いとして後宮で先々代王妃に仕えていたところで国王の毒牙にかかってしまったらしい。
先々代王妃と同僚の女官達は気配り上手な彼女を大いに気に入っていたので先々代国王の蛮行を知って大激怒。
既に先代国王が誕生していたので、事態が発覚すると、すぐさま国王は去勢されて離宮に幽閉。数日後には病死が発表された。
なんでこれまでしなかったのかと言うと、被害者が最高権力者の国王が相手故に、泣き寝入りして証言しなかったので咎めることすらできず、物証がなかったためである。ここで言う物証は被害者女性の名誉の為割愛する。
先代オッド子爵の母親は一度だけの望まぬ行為を強要され、先々代国王の子を身籠ってしまった。
しかも、彼女には男爵領に入り婿の婚約者がいたのだった。
不憫な彼女を先々代王妃は生活保障を約束して、先代オッド子爵の母を王位継承者争いに巻き込まないため、気に入っていた彼女を男爵領に返した。
並の貴族男子であれば別の男の子を身篭った婚約者との婚姻を破棄するのだが、彼女の婚約者は違った。
生まれてきた子を自分の子としてきちんと育ってた。どこぞの暗君とは漢としての格が違いすぎる。
後に彼女との間に生まれた兄弟との関係もその子供、先代オッド子爵は良好。
王家の血を引くとは知らされずに年齢に見合わぬ聡明さで健やかに育った。
運命の転機は社交の場に始めて出ることになったときだ。
先々王妃とまだ戴冠していない先代国王に母と父に連れられた先代オッド子爵は面会し、自身の出自を明かされたのだった。
この後、先代オッド子爵は周囲が驚くほど精力的に活動して、早々に父から爵位を受け継ぎ、男爵領を豊かにしていく。
彼の弟、後にオッド男爵となる人物もそんな兄に背中を追い、適切に彼を補佐をして成長し、個人でも頭角を表しだした。
彼等の兄弟仲は現在の貴族の兄弟のあり方として手本にされるほど、その仲は良好だった……一部の腐女子と貴腐人の間では今尚語り継がれるカップリングだそうだ。
先代国王が戴冠した1年後に先代オッド子爵はその功績から子爵位を得る。
事前にきちんと話し合っていたため、弟がオッド男爵となって、領地経営を継承。先代オッド子爵は王城勤務の文官法衣貴族となった。
文官の下っ端から順調に功績を重ねる中で先代オッド子爵は先輩の娘の子爵令嬢と恋愛結婚した。
二児を授かり、長男と次男も後に結婚して長男は嫡男、次男は一男一女を授かる。
当時先代国王達が頭を悩ませていたのが、四辺境伯と中央貴族、王族との軋轢。
唯一、東のセイロン家は王家と辺境伯家との橋渡し役となって友好的。しかしながら、次代の王太子(現国王)の代もセイロン家嫡子(俺の父)と親しいがその後の代に不安がある。
ここで先代オッド子爵はこれから生まれてくるだろう自分の孫娘(アリシア)とセイロン家嫡子に生まれた子(俺のことだ)を政略結婚させることを先代国王に提案。
当時の四辺境伯はもとより、次代の辺境伯と王太子も交えて、この政略結婚は決まった。
俺が生まれ、アリシアが生まれたことでこの政略結婚は婚約という形で一応の形を成した。
この時に改めて、政略結婚を結んだ子供の両親には周知と証拠文書の作成が成されている。
まぁ、今回のメン公爵とオッド子爵の所為でぶち壊しになるんだが。
先代オッド子爵だが、アリシアの誕生後に夫人と息子(オッド子爵の兄)一家と共に弟の領地に行き、父母の墓参りをしようと王都を旅だったが、再び彼等が王都の土を踏むことはなかった。
道中で発生した流行り病に感染して全滅してしまったのだ。遺体は防疫処理がされた上で彼等が本来訪れようとしていた墓地に既に男爵位を息子に譲って隠居していた先代オッド子爵の弟の手によって埋葬された。
この流れでオッド子爵は爵位を継承、今に至る。
オッド子爵家の子爵家としての歴史は浅く、元々男爵だった先代オッド子爵が先代国王にその才を見出されて子爵の爵位を得た。
この時に彼の弟がオッド男爵となって領地を継ぎ、分家化。オッド子爵は法衣貴族として王家に仕えることになった。
先代オッド子爵の功績に偽りはなく、男爵位から、正しく子爵位を得るに相応しいものだったのは疑いようがない。
しかし、さらにこれに本当に極一部の高位貴族にしか知らされていないある隠された事実がある。
それは先代オッド子爵は先々代国王の落胤で、先代国王の異母弟、現国王陛下の叔父にあたる人物だったのだ。
先々代国王は好色クズを絵に描いたような人物で、公務を当時の王妃達に押し付けて、気に入った女性であれば既婚者でも平気で食い散らかして、捨てていた真性の糞外道だ。
国王という最高権力者に対し、被害者の女性達は泣き寝入りするしかなかった。精神的ショックで自害した女性も数多く、先々代国王は王国史に名を刻んでいる疑いようのない暗君だ。
先代オッド子爵の母親も、その被害者の1人で、彼女は男爵令嬢だった。
行儀見習いとして後宮で先々代王妃に仕えていたところで国王の毒牙にかかってしまったらしい。
先々代王妃と同僚の女官達は気配り上手な彼女を大いに気に入っていたので先々代国王の蛮行を知って大激怒。
既に先代国王が誕生していたので、事態が発覚すると、すぐさま国王は去勢されて離宮に幽閉。数日後には病死が発表された。
なんでこれまでしなかったのかと言うと、被害者が最高権力者の国王が相手故に、泣き寝入りして証言しなかったので咎めることすらできず、物証がなかったためである。ここで言う物証は被害者女性の名誉の為割愛する。
先代オッド子爵の母親は一度だけの望まぬ行為を強要され、先々代国王の子を身籠ってしまった。
しかも、彼女には男爵領に入り婿の婚約者がいたのだった。
不憫な彼女を先々代王妃は生活保障を約束して、先代オッド子爵の母を王位継承者争いに巻き込まないため、気に入っていた彼女を男爵領に返した。
並の貴族男子であれば別の男の子を身篭った婚約者との婚姻を破棄するのだが、彼女の婚約者は違った。
生まれてきた子を自分の子としてきちんと育ってた。どこぞの暗君とは漢としての格が違いすぎる。
後に彼女との間に生まれた兄弟との関係もその子供、先代オッド子爵は良好。
王家の血を引くとは知らされずに年齢に見合わぬ聡明さで健やかに育った。
運命の転機は社交の場に始めて出ることになったときだ。
先々王妃とまだ戴冠していない先代国王に母と父に連れられた先代オッド子爵は面会し、自身の出自を明かされたのだった。
この後、先代オッド子爵は周囲が驚くほど精力的に活動して、早々に父から爵位を受け継ぎ、男爵領を豊かにしていく。
彼の弟、後にオッド男爵となる人物もそんな兄に背中を追い、適切に彼を補佐をして成長し、個人でも頭角を表しだした。
彼等の兄弟仲は現在の貴族の兄弟のあり方として手本にされるほど、その仲は良好だった……一部の腐女子と貴腐人の間では今尚語り継がれるカップリングだそうだ。
先代国王が戴冠した1年後に先代オッド子爵はその功績から子爵位を得る。
事前にきちんと話し合っていたため、弟がオッド男爵となって、領地経営を継承。先代オッド子爵は王城勤務の文官法衣貴族となった。
文官の下っ端から順調に功績を重ねる中で先代オッド子爵は先輩の娘の子爵令嬢と恋愛結婚した。
二児を授かり、長男と次男も後に結婚して長男は嫡男、次男は一男一女を授かる。
当時先代国王達が頭を悩ませていたのが、四辺境伯と中央貴族、王族との軋轢。
唯一、東のセイロン家は王家と辺境伯家との橋渡し役となって友好的。しかしながら、次代の王太子(現国王)の代もセイロン家嫡子(俺の父)と親しいがその後の代に不安がある。
ここで先代オッド子爵はこれから生まれてくるだろう自分の孫娘(アリシア)とセイロン家嫡子に生まれた子(俺のことだ)を政略結婚させることを先代国王に提案。
当時の四辺境伯はもとより、次代の辺境伯と王太子も交えて、この政略結婚は決まった。
俺が生まれ、アリシアが生まれたことでこの政略結婚は婚約という形で一応の形を成した。
この時に改めて、政略結婚を結んだ子供の両親には周知と証拠文書の作成が成されている。
まぁ、今回のメン公爵とオッド子爵の所為でぶち壊しになるんだが。
先代オッド子爵だが、アリシアの誕生後に夫人と息子(オッド子爵の兄)一家と共に弟の領地に行き、父母の墓参りをしようと王都を旅だったが、再び彼等が王都の土を踏むことはなかった。
道中で発生した流行り病に感染して全滅してしまったのだ。遺体は防疫処理がされた上で彼等が本来訪れようとしていた墓地に既に男爵位を息子に譲って隠居していた先代オッド子爵の弟の手によって埋葬された。
この流れでオッド子爵は爵位を継承、今に至る。
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