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第2話 お花畑思考達のやらかしによって陛下は大変ご機嫌斜めであらせられる。
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第1騎士団に護送され、到着した王城の謁見の間でロザリア嬢と俺は頭を垂れていた。
「面をあげよ、ロザリア公爵令嬢、第2王子アルトリウス」
厳かな低い声で、この場に最後にやって来た人物がロザリア嬢と俺にそう告げた。
この人物こそ、ヴァレンヌ王国現国王、レオン・ヴァレンヌ。俺とルカスの実の父親だ。ちなみに俺の母が正室でルカスの母は側室。
この謁見の間にはロザリア嬢の父親で宰相を務めているサイフィス公爵はもとより、俺の母の実家グランヴェル公爵家、ルカスの母方の実家であるボンヘッド侯爵家と主だった王国の貴族が既に集められていた。
「此度の愚息ルカスの愚行に関してはロザリア嬢に大変不愉快な思いをさせてしまった。アレの父親として謝罪したい」
レオン陛下は深刻な表情でロザリア嬢に謝罪した。国王が言葉で父親としてと言及したとはいえ、謝罪するのは奴がやらかしたことがいかに王国にとって大事であるかを表している。
「もったいないお言葉でございます、陛下。陛下の謝罪は承りますわ」
対してロザリア嬢は陛下の懸念を払拭する様な笑みを浮かべて答えた。
ロザリア嬢本人に悟られない様、目端で彼女の表情を軽く見つつ、その言葉を聞いた俺は一筋の冷や汗が背中に浮かんだ。
彼女が長年受けてきた王妃教育は血肉となってこの場でも存分に活かされているらしい。ロザリア嬢の今の表情は見事に目だけが笑っていない。
「うむ。アルトリウスもよく早々に此度の件を伝えてロザリア嬢を守ってくれた。おかげで我が国の次期王妃を失うという最悪の事態を避けることができた」
ロザリア嬢は幼少時から王妃教育の下地となる高位貴族子女が受ける淑女教育を受けていた。
厳しい候補者選抜の中、他の候補者達を抑えて彼女は王妃教育を受ける権利を獲得。現王妃の直接指導を経て、王妃教育をロザリア嬢は修了した。
そして昨年、最終試練を完遂して正式にロザリア嬢は次期王妃になることが決まり、大規模な式典が行われた。
彼女と次期王妃候補者達は元より、彼女達のために費やされた時間と教育にかけられた多大な血税を大馬鹿野郎の愚行でフイにするのは冗談で済まされるレベルではない。
それにロザリア嬢は次期王妃として既にこの国の外交の仕事を問題なくこなしている。
とても学園の定期試験赤点常連であったマリアンナ男爵令嬢が彼女の代わりを勤められるとは思えない。絶対に無理だ。
冗談抜きで、他国に失言から言質を取られて貪り尽くされる未来しか見えない。
愚兄達は穴だらけの計画でロザリア嬢を次期王妃から外そうとした位だからロザリア嬢が既に仕事で結果を出しているとは考えだにしていないのだろう。
騎士として内定していたアフォンの手によって、愛娘のロザリアが害されそうになったと知り、報告直後は激怒の青筋を立てていたらしいサイフィス公爵もこの場では毛ほども荒ぶっていたという様子を見せずに陛下の言葉に頷いている。
「陛下、発言をしてよろしいでしょうか?」
俺は息子ではあるが、この公の場では臣下の1人の第2王子である。公私の区別が必要な公の場であるため、発言の許可を俺は陛下から与えられなければならない。
公私の区別については陛下は言わずもがな、俺の実母の王妃は特に厳しいのである。
「よいぞ。アルトリウス、発言を許す」
陛下が快諾してくれたので、
「僭越ながら、私が手を貸さずともロザリア嬢は事態を収めることは可能であったと愚考します。また、お届けした記録結晶の映像からもわかりますが、本来、ロザリア嬢を守るべき者達の当時の対応には将来の王国を担う貴族としての在り方に疑念を抱きました」
実際にロザリア嬢は護身用に鉄扇を隠し持っていたので、あのアフォンの斬撃は俺が介入しなくても、軽く返り討ちにできた。
しかし、ロザリア嬢に自衛力があろうとも、あの場にいながら、彼女を守るべく、動くべきだった者達があの時に動かなかったのは別問題だ。
ルカスも俺も王族ではあるが、まだ立太子式が行われていないため、王太子ではない。
だから、ルカスと俺の今の立ち場は次期王妃になるのが確定しているロザリア嬢よりも下になる。ルカスの存在は彼等が動かなかった理由にならない。
「ふむ、宰相はどう思うか?」
陛下は俺の言葉を聞いて思案顔になって、側にいる強面宰相、サイフィス公爵に意見を求めた。
「娘のロザリアがアルトリウス殿下のご助力なしに、今回の件を同様に収拾できたかと問われれば、私は否と答えます」
サイフィス公爵は躊躇うことなくそう言い切った。さらに、
「たしかに収拾はできたかもしれません。しかし、我が公爵家の報告に上がった使用人は今回のルカス殿下の娘への蛮行を言葉のみで伝えて来ました。しかしその一方で、アルトリウス殿下の使いの者は当家の者よりも早く着き、しかも、アルトリウス殿下ご指示で明確な証拠となる記録結晶を複数持参してきました」
俺の対応を賞賛した。
この場にいる貴族達からどよめきが起こり、彼の娘であるロザリア嬢も驚きで目を見開いている。
鉄面皮と噂される現宰相が人をここまで褒めることは珍しい。
「事態の収拾において、この動かぬ証拠は大いに役立つことは明らかにございます。また、その1つの映像にあったロザリアを守るべきときに動かなかった家の者達は精査の後、報告致します。陛下の御手を煩わせて大変申し訳ございませんが、彼等に相応の処分のご判断をお願い致します。アルトリウス殿下、娘を助けていただきありがとうございます」
サイフィス公爵は陛下の言葉に応えるのに続いて俺に向かって頭を下げた。
「さて、此度の件のルカス達の処分であるが……」
陛下が話しを進めようとしたところで、突然、入り口の扉が大きな音と共に開け放たれた。そして、
「父上! なぜ全く悪くない私達が処分を受けなければならないのですか!? 悪いのはマリアンナを虐げたそこにいるロザリアです。すぐにロザリアを牢に入れてください!」
謹慎しているはずの話題の大馬鹿が大声で謁見の間に入ってきた。王命無視とは流石お花畑思考、頭がわいていらっしゃる。
この場にいる貴族達は場を弁えないルカスの行動に眉をひそめて、揃って冷たい目線を向けている。
例外はルカスの母方の親族であるボンヘッド侯爵達で、彼等苦笑してルカスを見つめているが、その瞳は全く笑っていない。
「はぁ、近衛よ。そこの狼藉者を捕らえよ」
「父上? 何をする貴様等!?ええい、離せ!!」
嘆息と共に嘆く陛下に命じられた近衛騎士達が喚いて暴れるルカスを取り押さえた。
「私はお前に自室での謹慎を命じたはずだが、何故ここにいる? それに何度公私の区別をつけよと私に言わせるつもりなのだ? ルカス」
ルカスを威圧しつつ、陛下は怒りが混ざった声音ではルカスに問いかける。
「しかし、父上「まだ言うか。もうよい。お前は黙れ」うっ……」
許されることではないが陛下に反論しようとしたルカスは被せてきた陛下の背筋が冷える冷気を帯びた言葉で黙らされた。
「まったく、これ以上、お前とお前の取り巻きがしでかした愚行に割く時間が惜しい。この場でお前達の処分を言い渡す。現時刻をもって、ルカス第1王子は廃嫡とし、王籍より抹消。終生、ロンメル修道院で過ごせ。
同じく、マリアンナ男爵令嬢はカサンドラ修道院送りとする。ロザリア嬢に危害を加えようと、彼女を庇った第2王子アルトリウスに剣を向けた第一騎士団団長の息子であるアフォンは内定していた騎士爵位を永久に剥奪するとともに、利き腕を潰して犯罪奴隷とし、王家直下の施薬院での労働を命じる。
ルカスを諌めるどころか、今回の悪事に積極的に協力した従者であるバカス・ギル子爵令息とロイ・グイル子爵令息も廃嫡とし、アフォンと同じく犯罪奴隷とする。2人の強制労働は追って沙汰を下す。平民の……」
普段は温厚で寛容な陛下の堪忍袋の尾もこれまで積もりに積もったルカスの愚行で遂に忍耐の限界を超え、盛大にブチキレてしまった様だ。
学園の授業をサボるのは当たり前。権力を自分たちの成績の改竄や横暴にしか振るわないなど王族として恥ずかしい行いを繰り返しきたルカス。
親としても恥ずかしいルカスの行動の数々を義務とはいえ、監視の報告で、ほぼ毎日耳にさせられれば仕方ないかもしれない。
この場にいるルカスの母、側妃と彼女の実家であるボンヘッド侯爵、その一派の顔色が陛下の下したルカス達の処断を耳にして一気に蒼白に染まった。
それもそのはず。なぜなら彼等はこれまでルカスが第1王子だったことをいいことに好き勝手に悪事に手を染めてきた連中だからだ。
近い内に執り行われる立太子式の後に何かよからぬことをしようとしていたことは俺はもとより陛下と宰相も既に知っている。
また、その証拠となる文書と密談の映像記録も確保されて陛下の下に届いている。
「……陛下。発言の許可をお願いします」
顔色が悪いままのルカスが声を振り絞って、発言許可を求めた。
「ふむ、よいぞ。申してみよ」
陛下は冷たい眼差しのまま彼を一瞥すると、許可を下した。
「ありがとうございます。陛下、何故私に処分は離宮での永蟄居ではなく、修道院送りなのですか?」
下された処分がまるで理解できないといった表情のルカスが陛下に尋ねた。
「はぁ……アルトリウス」
陛下は嘆息すると、俺を呼んだ。
「はい」
とても嫌な予感がする。俺はこのまま謁見の間から逃げ出したい。だが、現実は厳しく、扉は固く閉ざされて護衛付き。無念。
「ルカスの罪状と処分について、分かっていない者達にも分かるように説明せよ
」
そして、陛下は俺にルカスへの説明を丸投げした。
「面をあげよ、ロザリア公爵令嬢、第2王子アルトリウス」
厳かな低い声で、この場に最後にやって来た人物がロザリア嬢と俺にそう告げた。
この人物こそ、ヴァレンヌ王国現国王、レオン・ヴァレンヌ。俺とルカスの実の父親だ。ちなみに俺の母が正室でルカスの母は側室。
この謁見の間にはロザリア嬢の父親で宰相を務めているサイフィス公爵はもとより、俺の母の実家グランヴェル公爵家、ルカスの母方の実家であるボンヘッド侯爵家と主だった王国の貴族が既に集められていた。
「此度の愚息ルカスの愚行に関してはロザリア嬢に大変不愉快な思いをさせてしまった。アレの父親として謝罪したい」
レオン陛下は深刻な表情でロザリア嬢に謝罪した。国王が言葉で父親としてと言及したとはいえ、謝罪するのは奴がやらかしたことがいかに王国にとって大事であるかを表している。
「もったいないお言葉でございます、陛下。陛下の謝罪は承りますわ」
対してロザリア嬢は陛下の懸念を払拭する様な笑みを浮かべて答えた。
ロザリア嬢本人に悟られない様、目端で彼女の表情を軽く見つつ、その言葉を聞いた俺は一筋の冷や汗が背中に浮かんだ。
彼女が長年受けてきた王妃教育は血肉となってこの場でも存分に活かされているらしい。ロザリア嬢の今の表情は見事に目だけが笑っていない。
「うむ。アルトリウスもよく早々に此度の件を伝えてロザリア嬢を守ってくれた。おかげで我が国の次期王妃を失うという最悪の事態を避けることができた」
ロザリア嬢は幼少時から王妃教育の下地となる高位貴族子女が受ける淑女教育を受けていた。
厳しい候補者選抜の中、他の候補者達を抑えて彼女は王妃教育を受ける権利を獲得。現王妃の直接指導を経て、王妃教育をロザリア嬢は修了した。
そして昨年、最終試練を完遂して正式にロザリア嬢は次期王妃になることが決まり、大規模な式典が行われた。
彼女と次期王妃候補者達は元より、彼女達のために費やされた時間と教育にかけられた多大な血税を大馬鹿野郎の愚行でフイにするのは冗談で済まされるレベルではない。
それにロザリア嬢は次期王妃として既にこの国の外交の仕事を問題なくこなしている。
とても学園の定期試験赤点常連であったマリアンナ男爵令嬢が彼女の代わりを勤められるとは思えない。絶対に無理だ。
冗談抜きで、他国に失言から言質を取られて貪り尽くされる未来しか見えない。
愚兄達は穴だらけの計画でロザリア嬢を次期王妃から外そうとした位だからロザリア嬢が既に仕事で結果を出しているとは考えだにしていないのだろう。
騎士として内定していたアフォンの手によって、愛娘のロザリアが害されそうになったと知り、報告直後は激怒の青筋を立てていたらしいサイフィス公爵もこの場では毛ほども荒ぶっていたという様子を見せずに陛下の言葉に頷いている。
「陛下、発言をしてよろしいでしょうか?」
俺は息子ではあるが、この公の場では臣下の1人の第2王子である。公私の区別が必要な公の場であるため、発言の許可を俺は陛下から与えられなければならない。
公私の区別については陛下は言わずもがな、俺の実母の王妃は特に厳しいのである。
「よいぞ。アルトリウス、発言を許す」
陛下が快諾してくれたので、
「僭越ながら、私が手を貸さずともロザリア嬢は事態を収めることは可能であったと愚考します。また、お届けした記録結晶の映像からもわかりますが、本来、ロザリア嬢を守るべき者達の当時の対応には将来の王国を担う貴族としての在り方に疑念を抱きました」
実際にロザリア嬢は護身用に鉄扇を隠し持っていたので、あのアフォンの斬撃は俺が介入しなくても、軽く返り討ちにできた。
しかし、ロザリア嬢に自衛力があろうとも、あの場にいながら、彼女を守るべく、動くべきだった者達があの時に動かなかったのは別問題だ。
ルカスも俺も王族ではあるが、まだ立太子式が行われていないため、王太子ではない。
だから、ルカスと俺の今の立ち場は次期王妃になるのが確定しているロザリア嬢よりも下になる。ルカスの存在は彼等が動かなかった理由にならない。
「ふむ、宰相はどう思うか?」
陛下は俺の言葉を聞いて思案顔になって、側にいる強面宰相、サイフィス公爵に意見を求めた。
「娘のロザリアがアルトリウス殿下のご助力なしに、今回の件を同様に収拾できたかと問われれば、私は否と答えます」
サイフィス公爵は躊躇うことなくそう言い切った。さらに、
「たしかに収拾はできたかもしれません。しかし、我が公爵家の報告に上がった使用人は今回のルカス殿下の娘への蛮行を言葉のみで伝えて来ました。しかしその一方で、アルトリウス殿下の使いの者は当家の者よりも早く着き、しかも、アルトリウス殿下ご指示で明確な証拠となる記録結晶を複数持参してきました」
俺の対応を賞賛した。
この場にいる貴族達からどよめきが起こり、彼の娘であるロザリア嬢も驚きで目を見開いている。
鉄面皮と噂される現宰相が人をここまで褒めることは珍しい。
「事態の収拾において、この動かぬ証拠は大いに役立つことは明らかにございます。また、その1つの映像にあったロザリアを守るべきときに動かなかった家の者達は精査の後、報告致します。陛下の御手を煩わせて大変申し訳ございませんが、彼等に相応の処分のご判断をお願い致します。アルトリウス殿下、娘を助けていただきありがとうございます」
サイフィス公爵は陛下の言葉に応えるのに続いて俺に向かって頭を下げた。
「さて、此度の件のルカス達の処分であるが……」
陛下が話しを進めようとしたところで、突然、入り口の扉が大きな音と共に開け放たれた。そして、
「父上! なぜ全く悪くない私達が処分を受けなければならないのですか!? 悪いのはマリアンナを虐げたそこにいるロザリアです。すぐにロザリアを牢に入れてください!」
謹慎しているはずの話題の大馬鹿が大声で謁見の間に入ってきた。王命無視とは流石お花畑思考、頭がわいていらっしゃる。
この場にいる貴族達は場を弁えないルカスの行動に眉をひそめて、揃って冷たい目線を向けている。
例外はルカスの母方の親族であるボンヘッド侯爵達で、彼等苦笑してルカスを見つめているが、その瞳は全く笑っていない。
「はぁ、近衛よ。そこの狼藉者を捕らえよ」
「父上? 何をする貴様等!?ええい、離せ!!」
嘆息と共に嘆く陛下に命じられた近衛騎士達が喚いて暴れるルカスを取り押さえた。
「私はお前に自室での謹慎を命じたはずだが、何故ここにいる? それに何度公私の区別をつけよと私に言わせるつもりなのだ? ルカス」
ルカスを威圧しつつ、陛下は怒りが混ざった声音ではルカスに問いかける。
「しかし、父上「まだ言うか。もうよい。お前は黙れ」うっ……」
許されることではないが陛下に反論しようとしたルカスは被せてきた陛下の背筋が冷える冷気を帯びた言葉で黙らされた。
「まったく、これ以上、お前とお前の取り巻きがしでかした愚行に割く時間が惜しい。この場でお前達の処分を言い渡す。現時刻をもって、ルカス第1王子は廃嫡とし、王籍より抹消。終生、ロンメル修道院で過ごせ。
同じく、マリアンナ男爵令嬢はカサンドラ修道院送りとする。ロザリア嬢に危害を加えようと、彼女を庇った第2王子アルトリウスに剣を向けた第一騎士団団長の息子であるアフォンは内定していた騎士爵位を永久に剥奪するとともに、利き腕を潰して犯罪奴隷とし、王家直下の施薬院での労働を命じる。
ルカスを諌めるどころか、今回の悪事に積極的に協力した従者であるバカス・ギル子爵令息とロイ・グイル子爵令息も廃嫡とし、アフォンと同じく犯罪奴隷とする。2人の強制労働は追って沙汰を下す。平民の……」
普段は温厚で寛容な陛下の堪忍袋の尾もこれまで積もりに積もったルカスの愚行で遂に忍耐の限界を超え、盛大にブチキレてしまった様だ。
学園の授業をサボるのは当たり前。権力を自分たちの成績の改竄や横暴にしか振るわないなど王族として恥ずかしい行いを繰り返しきたルカス。
親としても恥ずかしいルカスの行動の数々を義務とはいえ、監視の報告で、ほぼ毎日耳にさせられれば仕方ないかもしれない。
この場にいるルカスの母、側妃と彼女の実家であるボンヘッド侯爵、その一派の顔色が陛下の下したルカス達の処断を耳にして一気に蒼白に染まった。
それもそのはず。なぜなら彼等はこれまでルカスが第1王子だったことをいいことに好き勝手に悪事に手を染めてきた連中だからだ。
近い内に執り行われる立太子式の後に何かよからぬことをしようとしていたことは俺はもとより陛下と宰相も既に知っている。
また、その証拠となる文書と密談の映像記録も確保されて陛下の下に届いている。
「……陛下。発言の許可をお願いします」
顔色が悪いままのルカスが声を振り絞って、発言許可を求めた。
「ふむ、よいぞ。申してみよ」
陛下は冷たい眼差しのまま彼を一瞥すると、許可を下した。
「ありがとうございます。陛下、何故私に処分は離宮での永蟄居ではなく、修道院送りなのですか?」
下された処分がまるで理解できないといった表情のルカスが陛下に尋ねた。
「はぁ……アルトリウス」
陛下は嘆息すると、俺を呼んだ。
「はい」
とても嫌な予感がする。俺はこのまま謁見の間から逃げ出したい。だが、現実は厳しく、扉は固く閉ざされて護衛付き。無念。
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」
そして、陛下は俺にルカスへの説明を丸投げした。
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