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後日談 ヴァレンヌ王国のその後
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第1王子のルカスと取り巻きのお花畑どもがいなくなって、ヴァレンヌ王国に混乱があったのかといえば、全くなかった。
結局、第1王子のルカスの予備として生かされていた俺は正しくその役目を果たすことになったのだが、予想していた反対勢力による問題も起きなかった。
その際たる原因はヴァレンヌ王国で禁止されている奴隷貿易を元第1王子の母方の実家の侯爵家が主導で行なっていたことにある。それが明るみに出て、侯爵家は取り潰しになった。
詳しい調査により、直接関わっていた隠居している先代侯爵と現侯爵、次期侯爵の3人と配下の貴族達は処刑。女性の侯爵夫人達と幼い子供達は連座で、貴族籍を永久剥奪の上、各地の修道院に散り散りに送られた。
この騒動がトドメでルカスを推していたボンヘッド侯爵勢力は完全消滅。
ちなみに、ルカスの生母である側妃はルカスがロンメル修道院に送られた翌日に体調を崩したため、知る人ぞ知る北の離宮に送られて、数日後に病死したと発表された。
残念ながら、陛下と側妃の間は愛情がない政略結婚であったのは周知の事実。
俺の母である王妃本人は陛下の支えになるつもりなら、陛下の寵愛を競うのも吝かではなかったそうだ。
しかし、側妃には王妃とともに陛下を支えるつもりはなく、徒らに自分と競って立場の責務を果たさず、権力を濫用し、陛下の名を貶めるばかりであったと母は嘆いていた。
そして、ルカスとマリアンナが修道院へ旅だってから一週間後、俺は王太子となると同時にロザリア嬢と婚約が成立した。
ロザリア嬢の肩書きは次期王妃から王太子妃となり、彼女は公私に渡って積極的に俺を支えてくれて、いつのまにか俺の隣に彼女がいるのが当然というのが周囲の認識になっていた。
「今日も義姉上と仲睦じいですね兄上」
今年学園に入学する実弟のジェラールが俺達を見て笑みを浮かべて、無邪気に告げる。
ジェラールは俺と同じ王妃を母とする弟だ。けれども、生まれてすぐ王太子教育は施されないことが決まった。その代わりに臣籍降下して新たな公爵家を起こすことが決まっている。
以前、俺よりもジェラールの方が優れた王になると思い、陛下にジェラールと共に話す機会があったときに進言したが、即座に本人は俺の過大評価といって固辞。さらに、
「アル兄上は自身を顧みて、一度爆発した方がいいと思います」
と黒い笑顔を俺に向けて言った……解せぬ。
「どうかしました? アルトリウス様?」
腕を絡めたロザリアは小首を傾げて尋ねてきた。キツそうな見た目の美人ながら、親しくなってみると彼女がその見た目に反して、非常に穏やかな性格であるのが分かる。まぁ、仕事モードになるとその限りではない。
また、非常にアクティブなお嬢さんで、仕事に余裕を作って、時々俺と一緒にお忍びで城下に下りて、市井の様子を直接目にして政策の参考にしている。
「次はいつあの店に顔を出そうかなと」
城下町にある馴染みの大衆食堂を思い浮かべてロザリアに応えた。
「そのときはもちろん、私もご一緒させていただきますわ。そうと決まりましたら、次のお仕事にやる気が湧いてきました。頑張りましょうね」
「そうだな。宰相も唸らせる成果を出せば自由な時間も取れるだろうね」
やる気が殺る気に聞こえたが、気の所為だろう。
まぁ、次の仕事の相手は王国に戦争を仕掛けて鎧袖一触された国の外交官。手加減などぬるいことは言わずに全力で王国有利の条約を結ばせよう。クックック……。
「……兄上、今度はどんなよからぬことを企んでいらっしゃるのですか?」
ジェラールがジト目で俺を見て言う。
「企むとは人聞きの悪い。次の仕事に対するやる気が漲っただけだよ」
心外だとばかり俺は反論したが、
「ご自覚がないのでしょうが、兄上がその泣く子が更に大泣きしそうな怖い笑顔を浮かべた後行動は大抵、後始末が大変な事態になっているんですよ。宰相から兄上に自重するよう言付かっています」
ジェラールはため息とともにそう告げる。ぬぅ、そうか義父のサイフィス公爵に負担を掛けていたか。
「あら、アルトリウス様。今度はどんなことをお考えですか?」
ロザリアが思考の海に浸り始めた俺の意識を呼び戻した。
「ああ、宰相の頭皮がストレスで後退したり、円形ハゲになったときに備えて、ギルドで育毛剤の調合をしておこうかと」
「ぶっ」
俺の返答にジェラールは鉄面皮にサイフィス公爵がそうなったときの姿を想像したのか、盛大に吹き出した。
一方、ロザリアは口に手を当て、更に扇で口元を隠して上品に笑っていた。
「兄上……」
ジェラールが再びジト目を俺に向けてきた。何故だ。別に俺は悪くねぇ。吹き出して笑ったのはお前だろう。
「まぁまぁ、ところでジェラール様。ヴィクトリア・ガデス公爵令嬢と懇意にされているとのお話を私、よく耳にしていますが、真偽はどうなのでしょうか?」
ロザリアがジェラールを宥めて話題を変えてくれた。ありがたい。
「なっ、なんのことでしょうか?」
弟よ。どもった時点でバレバレだぞ。
ガデス公爵家はヴァレンヌ王国の建国時から続く四公爵家の1つ。ヴィクトリア嬢はガデス公爵家の末姫で、上に兄と姉がいる。
兄は公爵家を既に継いで、子供もいる。姉の方もサイフィス公爵家の嫡男、ロザリアの兄に嫁いで、俺の義姉になっている。
ヴィクトリア嬢はキリッとした軍人気質なところがある麗人。貴族男子より男前な性格で、異性よりも同性にモテている。
本人はノーマルなのだが、そっち方面にガチな後輩、心酔して歳上なのに彼女を『お姉様』と慕う先輩が非公式なファンクラブを作っている。
「文官達の間では彼女をアルトリウス様の側室にという声が出始めています」
ガデス公爵領は今年は近年稀に見る大干ばつによる大凶作で飢え死にする領民が出るおそれがあった。
しかし、その予兆にいち早く気づけた俺が陛下に提言して救援物資を集めてガデス公爵領に輸送。既に空腹で意識混濁している領民が大勢出ていたギリギリのタイミングで間に合った。
おそらく、その礼とヴァレンヌ王家とガデス公爵家との繋がりをより強めるための提案なのだろう。
「……」
ジェラールが隠そうとしているが、消沈しているのがわかまぁ、無理もないか。
「ヴィクトリア嬢がジェラールの想い人ならばその話がこない様に俺も動くがどうなんだ? まだ、陛下から明確な話は俺には来ていない。だが、来てしまえば、王命だから拒否できないぞ。それに、俺が受けなくとも、ヴィクトリア嬢の嫁ぎ先は公爵令嬢だから欠くことはないだろう。現状、座してジェラールに行く可能性は極めて低い。どうする?」
「アルトリウス様、何故ジェラール様にそう仰るのですか?」
ロザリアが不意に訊いてきた。
「ヴィクトリア嬢は上がってくる情報から優秀だと聞いているから、俺の勘違いで、ジェラールが彼女をなんとも思っていないなら、ヴィクトリア嬢を俺は側室に迎えることを前向きに考えているから」
「え!?」
ジェラールが驚きの声をあげた。
「他所に優秀な人材取られるわけにはいかないからな。今のところ、俺はヴィクトリア嬢に対して、恋慕情はない。ロザリアがいるからな。ただ、ここで下手な意地をジェラールが張るなら、俺がヴィクトリア嬢をもらうが、どうする?」
俺はジェラールに笑みを浮かべて、そう問いかけた。すると、
「わっ私はヴィクトリア嬢を慕っています。兄上は彼女に手を出さないでください!」
耳まで真っ赤にしてジェラールが答えた。
「次は本人にその思いを伝えなよ……というわけでして、父上と母上、ご助力をお願いします。ジェラールが立てる新公爵家を支える名目であればガデス公爵も納得すると思います」
発言後、俺はロザリアが淹れてくれた紅茶を口にした。相変わらず美味いな。
「よかろう。私からはガデス公爵家にジェラールとの婚約を打診しておこう。ジェラールよ。あくまで婚約であることを忘れずに見事ヴィクトリア嬢の心を射止めて見せよ」
魔術で姿を隠して俺たちの話を聴いていた父レオンと母アリスフィアが姿を現した。
「そうね。私の方もガデス公爵夫人とヴィクトリア嬢を呼んでお茶会をしましょう。当然、ロザリアにも同席してもらいますよ」
「はい、慎んで承ります」
笑みを浮かべて父が応え、母はロザリアと協力体制を構築した。
「え?え?」
ジェラールは突然姿を現した父母に驚いた。おさまらない羞恥と興奮が加わり、事態の急展開についていけていない様だ。
権力の濫用? いやいや、これは新公爵家当主への先行投資でヴァレンヌ王国安泰のためだ。問題ない。
「落ち着けジェラール。とりあえず、ロザリアが淹れてくれた紅茶を飲んで落ち着け」
「はっはい……グ、ゲホッゲホ」
俺の言葉に従って、ジェラールは紅茶を飲み干して咽せた。
その様子を見て、父が嘆息すると、母が微笑みながら「貴方が私とお茶を初めて飲んだときも同じ様に咽せてましたね」と宥めた。
この後、ジェラールがヴィクトリア嬢を順当に射止めたとは行かず、ひと騒動あるのだが、それはまた別の話。
後の世に俺とロザリアはヴァレンヌ王国がヴァレンヌ帝国と名を変える切っ掛けをつくった中興の祖として歴史に名を残すことになった。
結局、第1王子のルカスの予備として生かされていた俺は正しくその役目を果たすことになったのだが、予想していた反対勢力による問題も起きなかった。
その際たる原因はヴァレンヌ王国で禁止されている奴隷貿易を元第1王子の母方の実家の侯爵家が主導で行なっていたことにある。それが明るみに出て、侯爵家は取り潰しになった。
詳しい調査により、直接関わっていた隠居している先代侯爵と現侯爵、次期侯爵の3人と配下の貴族達は処刑。女性の侯爵夫人達と幼い子供達は連座で、貴族籍を永久剥奪の上、各地の修道院に散り散りに送られた。
この騒動がトドメでルカスを推していたボンヘッド侯爵勢力は完全消滅。
ちなみに、ルカスの生母である側妃はルカスがロンメル修道院に送られた翌日に体調を崩したため、知る人ぞ知る北の離宮に送られて、数日後に病死したと発表された。
残念ながら、陛下と側妃の間は愛情がない政略結婚であったのは周知の事実。
俺の母である王妃本人は陛下の支えになるつもりなら、陛下の寵愛を競うのも吝かではなかったそうだ。
しかし、側妃には王妃とともに陛下を支えるつもりはなく、徒らに自分と競って立場の責務を果たさず、権力を濫用し、陛下の名を貶めるばかりであったと母は嘆いていた。
そして、ルカスとマリアンナが修道院へ旅だってから一週間後、俺は王太子となると同時にロザリア嬢と婚約が成立した。
ロザリア嬢の肩書きは次期王妃から王太子妃となり、彼女は公私に渡って積極的に俺を支えてくれて、いつのまにか俺の隣に彼女がいるのが当然というのが周囲の認識になっていた。
「今日も義姉上と仲睦じいですね兄上」
今年学園に入学する実弟のジェラールが俺達を見て笑みを浮かべて、無邪気に告げる。
ジェラールは俺と同じ王妃を母とする弟だ。けれども、生まれてすぐ王太子教育は施されないことが決まった。その代わりに臣籍降下して新たな公爵家を起こすことが決まっている。
以前、俺よりもジェラールの方が優れた王になると思い、陛下にジェラールと共に話す機会があったときに進言したが、即座に本人は俺の過大評価といって固辞。さらに、
「アル兄上は自身を顧みて、一度爆発した方がいいと思います」
と黒い笑顔を俺に向けて言った……解せぬ。
「どうかしました? アルトリウス様?」
腕を絡めたロザリアは小首を傾げて尋ねてきた。キツそうな見た目の美人ながら、親しくなってみると彼女がその見た目に反して、非常に穏やかな性格であるのが分かる。まぁ、仕事モードになるとその限りではない。
また、非常にアクティブなお嬢さんで、仕事に余裕を作って、時々俺と一緒にお忍びで城下に下りて、市井の様子を直接目にして政策の参考にしている。
「次はいつあの店に顔を出そうかなと」
城下町にある馴染みの大衆食堂を思い浮かべてロザリアに応えた。
「そのときはもちろん、私もご一緒させていただきますわ。そうと決まりましたら、次のお仕事にやる気が湧いてきました。頑張りましょうね」
「そうだな。宰相も唸らせる成果を出せば自由な時間も取れるだろうね」
やる気が殺る気に聞こえたが、気の所為だろう。
まぁ、次の仕事の相手は王国に戦争を仕掛けて鎧袖一触された国の外交官。手加減などぬるいことは言わずに全力で王国有利の条約を結ばせよう。クックック……。
「……兄上、今度はどんなよからぬことを企んでいらっしゃるのですか?」
ジェラールがジト目で俺を見て言う。
「企むとは人聞きの悪い。次の仕事に対するやる気が漲っただけだよ」
心外だとばかり俺は反論したが、
「ご自覚がないのでしょうが、兄上がその泣く子が更に大泣きしそうな怖い笑顔を浮かべた後行動は大抵、後始末が大変な事態になっているんですよ。宰相から兄上に自重するよう言付かっています」
ジェラールはため息とともにそう告げる。ぬぅ、そうか義父のサイフィス公爵に負担を掛けていたか。
「あら、アルトリウス様。今度はどんなことをお考えですか?」
ロザリアが思考の海に浸り始めた俺の意識を呼び戻した。
「ああ、宰相の頭皮がストレスで後退したり、円形ハゲになったときに備えて、ギルドで育毛剤の調合をしておこうかと」
「ぶっ」
俺の返答にジェラールは鉄面皮にサイフィス公爵がそうなったときの姿を想像したのか、盛大に吹き出した。
一方、ロザリアは口に手を当て、更に扇で口元を隠して上品に笑っていた。
「兄上……」
ジェラールが再びジト目を俺に向けてきた。何故だ。別に俺は悪くねぇ。吹き出して笑ったのはお前だろう。
「まぁまぁ、ところでジェラール様。ヴィクトリア・ガデス公爵令嬢と懇意にされているとのお話を私、よく耳にしていますが、真偽はどうなのでしょうか?」
ロザリアがジェラールを宥めて話題を変えてくれた。ありがたい。
「なっ、なんのことでしょうか?」
弟よ。どもった時点でバレバレだぞ。
ガデス公爵家はヴァレンヌ王国の建国時から続く四公爵家の1つ。ヴィクトリア嬢はガデス公爵家の末姫で、上に兄と姉がいる。
兄は公爵家を既に継いで、子供もいる。姉の方もサイフィス公爵家の嫡男、ロザリアの兄に嫁いで、俺の義姉になっている。
ヴィクトリア嬢はキリッとした軍人気質なところがある麗人。貴族男子より男前な性格で、異性よりも同性にモテている。
本人はノーマルなのだが、そっち方面にガチな後輩、心酔して歳上なのに彼女を『お姉様』と慕う先輩が非公式なファンクラブを作っている。
「文官達の間では彼女をアルトリウス様の側室にという声が出始めています」
ガデス公爵領は今年は近年稀に見る大干ばつによる大凶作で飢え死にする領民が出るおそれがあった。
しかし、その予兆にいち早く気づけた俺が陛下に提言して救援物資を集めてガデス公爵領に輸送。既に空腹で意識混濁している領民が大勢出ていたギリギリのタイミングで間に合った。
おそらく、その礼とヴァレンヌ王家とガデス公爵家との繋がりをより強めるための提案なのだろう。
「……」
ジェラールが隠そうとしているが、消沈しているのがわかまぁ、無理もないか。
「ヴィクトリア嬢がジェラールの想い人ならばその話がこない様に俺も動くがどうなんだ? まだ、陛下から明確な話は俺には来ていない。だが、来てしまえば、王命だから拒否できないぞ。それに、俺が受けなくとも、ヴィクトリア嬢の嫁ぎ先は公爵令嬢だから欠くことはないだろう。現状、座してジェラールに行く可能性は極めて低い。どうする?」
「アルトリウス様、何故ジェラール様にそう仰るのですか?」
ロザリアが不意に訊いてきた。
「ヴィクトリア嬢は上がってくる情報から優秀だと聞いているから、俺の勘違いで、ジェラールが彼女をなんとも思っていないなら、ヴィクトリア嬢を俺は側室に迎えることを前向きに考えているから」
「え!?」
ジェラールが驚きの声をあげた。
「他所に優秀な人材取られるわけにはいかないからな。今のところ、俺はヴィクトリア嬢に対して、恋慕情はない。ロザリアがいるからな。ただ、ここで下手な意地をジェラールが張るなら、俺がヴィクトリア嬢をもらうが、どうする?」
俺はジェラールに笑みを浮かべて、そう問いかけた。すると、
「わっ私はヴィクトリア嬢を慕っています。兄上は彼女に手を出さないでください!」
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「次は本人にその思いを伝えなよ……というわけでして、父上と母上、ご助力をお願いします。ジェラールが立てる新公爵家を支える名目であればガデス公爵も納得すると思います」
発言後、俺はロザリアが淹れてくれた紅茶を口にした。相変わらず美味いな。
「よかろう。私からはガデス公爵家にジェラールとの婚約を打診しておこう。ジェラールよ。あくまで婚約であることを忘れずに見事ヴィクトリア嬢の心を射止めて見せよ」
魔術で姿を隠して俺たちの話を聴いていた父レオンと母アリスフィアが姿を現した。
「そうね。私の方もガデス公爵夫人とヴィクトリア嬢を呼んでお茶会をしましょう。当然、ロザリアにも同席してもらいますよ」
「はい、慎んで承ります」
笑みを浮かべて父が応え、母はロザリアと協力体制を構築した。
「え?え?」
ジェラールは突然姿を現した父母に驚いた。おさまらない羞恥と興奮が加わり、事態の急展開についていけていない様だ。
権力の濫用? いやいや、これは新公爵家当主への先行投資でヴァレンヌ王国安泰のためだ。問題ない。
「落ち着けジェラール。とりあえず、ロザリアが淹れてくれた紅茶を飲んで落ち着け」
「はっはい……グ、ゲホッゲホ」
俺の言葉に従って、ジェラールは紅茶を飲み干して咽せた。
その様子を見て、父が嘆息すると、母が微笑みながら「貴方が私とお茶を初めて飲んだときも同じ様に咽せてましたね」と宥めた。
この後、ジェラールがヴィクトリア嬢を順当に射止めたとは行かず、ひと騒動あるのだが、それはまた別の話。
後の世に俺とロザリアはヴァレンヌ王国がヴァレンヌ帝国と名を変える切っ掛けをつくった中興の祖として歴史に名を残すことになった。
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