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どうして美人でかわいい私の方が浮気されないといけないんですか?

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恋愛で、自信を失ったことはない。この容姿は、多くの男性には魅力的なようだった。好きになった男はみんなそれ以前に私のことが好きだったし、告白する以前にされていた。──それなのに。

今の彼氏とは順調だ。イケメンだし、優しいし、私を大事にしてくれる。他の誰よりも彼を愛することができた。
「ねえ、私って本当にあなたと一緒にいていい女なのかな」
ある日、そんなことを訊いた。
「どうしたの急に?」と彼は笑った。「君は完璧だよ」
「ちょっと見た目がいいだけだよ。」
「そんなことよりもうちょっとギュッとさせて」
「はぁ~い」
適度に甘えてくれる。「好きだよ」と言われるたびに、胸がギュッとなる。
愛されてる実感がある。彼なら私をわかってくれる──そう思うから、どんどん彼にのめりこんだ。
この日はイチャイチャしすぎてもうお互いに我慢できなかった。
「はぁ…はぁ…あぁっ!……んんっ!」
「好きだよっ、愛してるよ」
「わた……しもっ!愛してる!」
「かわいい!」
「んぁっ!」
「綺麗だよ!」
「だ、だめぇ!もう……ッちゃうっ!」
「一緒に、いこっ?」
「うん!もう……ぅっ!!」
二人の息は荒く、汗でベトベトだった。それでもまだ繋がったまま、余韻に浸っていた。このまま溶け合って一つになってしまうんじゃないか、なんて思った矢先、彼は私の頭を優しく撫でた。
「大丈夫?辛くない?」
「うん、大丈夫……」
「よかった」と彼は言った。
私は彼の胸に顔を押し付けた。幸せで満たされながら、私は目を閉じた。ずっとこのままがいいのに……そう思いながら眠りについた── 目が覚めると、いつもの彼に戻っていた。
彼はよく言った。「君は美人で、かわいい。でも性格もかわいい。だから好き。」
「君はどんな髪型でもかわいいし、どんな格好をしていても好き」
私は彼の言葉に安心していった。彼が私を愛してくれるならそれでいい。私はいつも彼の期待に応えた。彼のためにメイクも研究したし、服装にも気を遣った。ネイルの色やアクセサリーを変えるだけで彼は褒めてくれた。その度にもっと彼を喜ばせたいと思った──それなのに……

「ねぇ、こっちの店とかどう?」
「あ~すごくいいね。行ってみよう。」
見てしまった。彼が別の女性とデートしているところを。
私とは行ったことのない、オシャレなカフェに入っていくところだった。あのお店なら、私も知っている──彼氏である私が知らないところで、私以外の女に手を出していたのだ。
私はその日から彼のことが信じられなくなった。きっと浮気相手と別れたくて別の女に手を出したのだろう……そう思った。そして彼への気持ちがどんどん冷めていった。
ある日、彼が私に言った。「次のデートどこ行きたい?」
「うーん、どこでもいいよ」
「じゃあさ、あそこ行かない?」
彼が見せてくれたのは高級レストランのホームページだった。こんな場所でデートできるなんて……私は彼との格差を見せつけられたようで、苛立ちを覚えた。
「……ちょっと高すぎるよ」と私は言った。
「そうかなぁ?美味しいらしいよ?ほら、夜景も綺麗だし、コース料理にデザートまでついてるんだって!」「……私はもっと気軽に入れるところがいい。」と私は答えた。「あと、そのお店は雰囲気もいいし、料理も盛り付けがすごいから映えるし……」
すると彼は少しムッとした表情になった。
「じゃあ今度のデートはそこで決まりね!」と言いながら、私の意見なんて聞かずに予約してしまったのだ。……やっぱり浮気相手に教えてもらったお店だったんだ。そう思うとさらに気分が落ち込んだ。私は決めた。次のデートで、彼と別れることを── 当日、私たちはレストランで食事した。彼は美味しいと言って喜んでくれたが、正直味なんてわからなかったし、緊張してそれどころではなかった。
デザートが運ばれてきた時に彼が言った。「これ食べようよ!すごく美味しいらしいよ!」私は断ったけど、無理やり一口食べた。……たしかにとても美味しかったが私の頭はもう別れ話のことでいっぱいだった。食事を終えて、私たちは店を出た。「美味しかったねー」と彼が言った。私は頷きながら考えていた。
もう単刀直入に言おう。それが一番早いはずだ──私は覚悟を決めた。
「ねえ、別れようよ」私がそう言うと、彼は驚いたようだった。そして困惑した表情をしていた。「……どうして?」と彼が言った。そんな質問に意味なんてないのに……そう思いながら答えた。
「だって、浮気してるでしょ?私だけじゃないんでしょ?他に本命がいるんでしょ?」
すると彼は笑ったのだ。笑って言うのだ。「そんなことあるわけないじゃん!」彼は言った。
その瞬間、胸が締め付けられた気がした……それでも私は続けた。「……噓つかないで!私以外に何人抱いてるの?本命は誰なの?」
私が問い詰めると、彼は笑ったまま答えた。
「何言ってるんだよ、本当にいないよ!」と笑いながら言うのだ。信じられるわけがなかった──だってあんなに楽しそうにデートしてたんだよ?
「じゃ、じゃぁこの写真は何⁉」
もう壊れていいと思った。証拠写真の提示。これが一番手っ取り早い。そう思ってスマホを取り出した。
私が見せたのは、私と彼がキスしている写真だった。ラブホテルに二人で入っていく瞬間の写真だ。彼は「あちゃー」と言いながら頭をかいた。
「これは……その……」と彼は言葉を詰まらせた──私は確信した。やっぱり浮気なんだ!
「どうして…どうして…」
悲しみの言葉が口から出てくる。これまで恋愛で苦労したことなど無かった私は、好きな人に裏切られることがこんなに辛いなんて知らなかった……
「私のこと美人でかわいいって言ったよね⁉どうして美人でかわいい私の方が浮気されないといけないの?」
「たしかに、君は美人でかわいいよ」と彼は言った。まるで他人事のように。
「じゃあ、なんで浮気されてるのよ!」と私は叫んだ。涙が止まらなかった。
「落ち着いてよ」と言いながら彼は私の頭を撫でた──私を愛してくれているはずの彼が、今は悪魔に見えた。「もう……いやだ……」と小さい声で言いながら私は彼に背を向けた。
もう、何もかも失った気がした──それでも最後に一つだけ確認したいことがあった。
「……ねぇ?」振り返って彼を見る。相変わらず彼は冷静だった。
「最後に…シてもいい?」
彼は少し考えてから言った。「……いいよ」
部屋に着くと、私は彼に抱き着いた。──自分でも何やってるかわからない……でももうどうでもよかったのだ彼が私を求めてくれた、それだけで十分だ。
「お願い、愛して……」と彼の耳元で囁いた──
「ぁんっ!……はぁっ、あぁ!」
激しくされていると、次第に私の思考も蕩けていった。
「好きっ!大好きぃ!!もっとぉおお!!」
もう頭の中は真っ白だった。何も考えられなかった──ただ彼と一緒にいたかっただけなのに。それなのに……
──幸せだ。このまま時が止まればいいのにと思った。
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