定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

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異世界到着編

生活魔法ブーム

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 池掘り作業を終了した私と雄介は作業を終え玄関を開ける。

 「ただい・・・「待ったぁ!そこを動くなぁ!!」」

 優希が出迎えるため振り返った途端、物凄い勢いで私達を止めてきた。

 「うぇっ!?」二人ともビックリしてその場で硬直。優希は真面目な顔で、泥だらけの格好で家に入るなと行ってきた。

 おぉう、確かに泥まみれ・・・・。

 「あっごめん!じゃ、外で着替えてくるから着替え取ってきてよ」

 雄介が優希に着替えを頼んでいる。それじゃ俺もと、お願いしようとしたところで、優希がニヤと笑い、ルルちゃんを呼んできた。

 「さっ!ルルちゃんお願いね!」

 「うん!わかった!」

 ルルちゃんは元気に頷いて、私達の前にきて、雄介と私それぞれに手を向け『クリーン!』と元気よく叫んだ。すると、目の前が青い膜みたいな物に包まれたと思ったら直ぐに消え、何だかサッパリした感じだけが残った。

 私が?と首を傾げる横で、雄介が、おぉ!綺麗になってる!とビックリしながら、自分の姿を見回している。

 綺麗に?どれどれと私も自分の格好を見てみると、ズボンの膝や裾になどに付いていた泥汚れがなくなっており、洗濯直後の様に綺麗になっていた。

 なんか自分自身もスッキリしている感じがする。おぉ!凄い!

 「ルルちゃん・・・今のは・・・?」

 「これは生活魔法のクリーンていうの!」

 ルルちゃんが嬉しそうに教えてくれる。ちょっと自慢気なところが可愛い。

 「凄いなぁ、ルルちゃんは魔法使いなのかぁ」

 私が感心しながら、ルルちゃんの頭を撫でると、ルルちゃんは少し恥かしそうに誰でも出来ることを説明してくれた。

 「恥かしがることはないよ?我が家ではルルちゃんしか出来ないんだから。立派な魔法使いさんだ。」

 そんな私の言葉にルルちゃんは満面な笑顔でうんと頷いてくれた。




 夕食後のマッタリ時間となり、ルルちゃんに生活魔法について教えてもらう。

 生活魔法と言われているのは、主に身体や衣類、部屋などを綺麗にするのに使う「クリーン」、飲み水やその他生活に使う水を出す「ウォーター」、料理とかに使う火種を出す「マッチ」があるそうだ。

 「折角だから見せてくれるかな?」

 私が尋ねると、ルルちゃんがクリーン以外は苦手なんだけんどと、恥かし気ではあるが実演してくれる。

 その1 「ウォーター!」コップの上に手かざして気合のこもった声でルルちゃんが唱えると、指先からほんの少し離れたとこから、チョロチョロとコップ半分ほどの水が出てきた。

 「「「おぉ!!」」」

 その2 「マッチ!」人差し指を立ててウォーター同様に気合のこもった声でルルちゃんが唱えると、指先にほんの小さな炎がともる。

 「「「おぉぉ!!」」」

 それを食い入る様に見ていた優希と雄介が「異世界イエー!」とハイタッチし、私は「キテます!キテます!」と言っているサングラスのあの人を思い出していた。

 「ね!ルルちゃん!この魔法は誰でも出来るって言ってたけど、俺たちも出来るかな!」

 雄介が鼻息荒くルルちゃんに尋ね、ルルちゃんは驚きながらも両親に教えてもらった方法を教えてくれた。

 「えっと、お腹の中にぐるぐるした魔力を手にこう・・・持ってって、呪文を言いながらエイ!つてするの」

 ・・・うん。ルルちゃんは感覚派なんだね。

 それを聞いた雄介と優希は異世界魔法あるある!と納得したらしく、それぞれチャレンジし始めた。

 私にはサッパリ意味がわからないが、ルルちゃんのアドバイスに従い、お腹のぐるぐるした魔力なるものを意識してみる。

 ・・・・・これか?

 私はお腹というよりは、下腹部に近い下っ腹部分になんとなく違和感を感じて、それを意識してみる。
 
 う・・・ん、確かに何かが時計回りに回転している?
 私は、その時計回りに回っている渦から紐を出すイメージで、体の中を通して右手に持っていく。すると、右手が熱くなった感じがしたので、「ウォーター!」と叫んでみた。

 不発・・・残念。

 私は、なんとなくコレジャ無い感がしたので、目の前に蛇口があるのをイメージし、ウォーターと言いながらイメージした蛇口を捻ってみる。

 ジャー!!

 「うぉ!?」

 私は慌てて蛇口を締める様に手を捻り水を止めた。

 あちゃー、水浸しだ・・・。

 私は優希に怒られると思い、恐る恐る周りを見渡してみる。

 「「「・・・・」」」

 みんなが呆然と私を見ている中、優希の低い声が響き渡る。

 「・・・・あなた・・・何したの?」

 ゲ!ヤベエ!

 「いっいやスマン!直ぐ拭くから!ゴメン!」

 私は慌てて席を立とうとしたところをガシッと肩を掴まれ、いいからコッチ来いと部屋の乾いてる方に連れていかれる

 床は雄介とルルちゃんが拭いてくれるようだ。スマン。

 「で、あなた、一体なにしたのよ」

 優希は真面目な顔で聞いてくる。

 「えっ、いや、ルルちゃんの言ったとおりしただけだよ?」

 私は自分の感じた感覚と、蛇口をイメージしたことを話した。優希はイメージね!と嬉々としながら雄介とルルちゃんと共に練習に戻っていった。


 因みに、床の掃除をやることになったのは言うまでもない。
 
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