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村づくり 初級編
山田一家の悲喜交々 5
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貯水池でダンゴと別れた私は、アンナ、年少組と一緒に池の周りの土を掘り起こしながら花の種を蒔いていた。
「洋一お父さん、今蒔いている種は何の花?」
ルルが指で土に穴を開けてその中に種を入れながら聞いてきた。
私は、種の入っている袋の裏に書かれている品種を読み上げる。
「えーと、花の名前は百日草って言って、開花期間が長くて次々と咲いていくんだって。これを読む限りだと、これから寒くなる迄咲き続けるみたいだよ?」
他の年少組も私の説明を聴いていたらしく、へぇと感心しながら「どんなお花が咲くのかな」と楽しそうに種を蒔いている。
そんな姿に癒されていると、アンナがこちらに近ずいてきている雄介を見つけて声をかける。
「あ!雄介兄さんだ。お兄さんどうかしたの?」
アンナが雄介の様子に首を傾げながら問いかけるが、「うん?何にもないよ?ちょっとみんなを手伝いにね」と言って微笑みながら私の横に来て手伝いを始めた。
「雄介、明日の準備は大丈夫なのか?」
「え?あ、うん、大丈夫」
「そっか」
なんか気不味い。
様子がおかしい雄介が気になるが、仕方なしに種まきを続ける。
「なぁ、オヤジ」
「うん?」
雄介の方に振り返ると、雄介は正面の土を弄りながら黙っている。
私はその姿に一瞬小さな頃の雄介を思い出し、あぁと一人納得する。
「雄介、エルフの村への遠征だけど、俺や母さんには出来ない事だ、だから頼むな」
「あぁ」
その後、二人とも黙って作業を続けたが気不味さは無かった。
そんなに大きな池では無いため、太陽が沈み始めた頃には一周分の種まきが終わり、それぞれが満足顔で家路に着く。
夕飯は明日の出発もあるので簡単にすませ、優希達は遠征用の食事の仕込みを始めていた。
私はひとり、テントに入り机の引き出しを開ける。
中にはパイプとタバコの葉、パイプ用マッチ、ダンパーなどのパイプを吸うための道具一式が入っている。
私はため息をつきながら「また吸う機会が無くなっちゃたなぁ」と一人呟いて、引き出しを戻した後、ブランデーをグラスに注いで外の椅子に腰掛ける。
優希が妊娠してから禁煙して二十年、今更紙タバコを吸う気にはなれないが、若い頃から憧れていたパイプを定年退職後から始めようと密かに準備していたのだが、転移騒ぎで始められず、更には『若返り』で見た目も身体も二十代後半か三十代前半になっており、パイプを咥えても似合わない事このうえない。
あー、ニエル様はこのまま禁煙しろと言っているのか。
それに、パイプと相性の良いブランデーも今の顔立ちだと何となく似合わない。
そんな似合わないブランデーグラスを掲げながら、定年退職後の唯一の楽しみを奪われた感じがして素直に喜べない自分がいた。
「それじゃ、行ってきます!」
まだ朝日が完全に昇りきらない時間帯に、ラナの挨拶が響き渡る。
ラルフはラナの挨拶を機に私達に片手をあげて「じゃ、ちょっくら行ってくるわ」と言って先頭を歩き出す。
マシューはミリーと軽くハグをしてラルフの後に続き、ラナ、エリサはエルフ娘達に手を振りながらマシューの後に、そして殿の雄介が移動を始める。
残るメンバーはそれぞれに「行ってらしゃい」「気をつけて」と声をかけている中、
「雄介!二人の事を頼んだわよ」
「あぁ!任せて。それじゃ、行ってきます!」
優希の言葉にしっかりと頷いた後、私の方に顔を向けた雄介は力のこもった目で私を見つめ、無言で頷く。
「頼んだ」
その力強い目に私は短く答え、一緒に強く頷く。
「じゃ」
雄介はラルフ達の方へ振り返りながら片手を上げて歩き始めた。
雄介達の姿が森の中に消えて行った後、「行っちゃったね」と優希にしがみつきながら、レイチェルが寂しそうにポツリと呟く。
「レイチェル、みんなすぐに帰ってくるから大丈夫よ。だからそんな寂しそうな顔をしないの。ね」
優希がレイチェルの頭を優しく撫でながら話しかけている姿をみて、私は息を吸って、
「さぁみんな!朝ごはんを食べようか!」と元気よく声をかけた。
「洋一お父さん、今蒔いている種は何の花?」
ルルが指で土に穴を開けてその中に種を入れながら聞いてきた。
私は、種の入っている袋の裏に書かれている品種を読み上げる。
「えーと、花の名前は百日草って言って、開花期間が長くて次々と咲いていくんだって。これを読む限りだと、これから寒くなる迄咲き続けるみたいだよ?」
他の年少組も私の説明を聴いていたらしく、へぇと感心しながら「どんなお花が咲くのかな」と楽しそうに種を蒔いている。
そんな姿に癒されていると、アンナがこちらに近ずいてきている雄介を見つけて声をかける。
「あ!雄介兄さんだ。お兄さんどうかしたの?」
アンナが雄介の様子に首を傾げながら問いかけるが、「うん?何にもないよ?ちょっとみんなを手伝いにね」と言って微笑みながら私の横に来て手伝いを始めた。
「雄介、明日の準備は大丈夫なのか?」
「え?あ、うん、大丈夫」
「そっか」
なんか気不味い。
様子がおかしい雄介が気になるが、仕方なしに種まきを続ける。
「なぁ、オヤジ」
「うん?」
雄介の方に振り返ると、雄介は正面の土を弄りながら黙っている。
私はその姿に一瞬小さな頃の雄介を思い出し、あぁと一人納得する。
「雄介、エルフの村への遠征だけど、俺や母さんには出来ない事だ、だから頼むな」
「あぁ」
その後、二人とも黙って作業を続けたが気不味さは無かった。
そんなに大きな池では無いため、太陽が沈み始めた頃には一周分の種まきが終わり、それぞれが満足顔で家路に着く。
夕飯は明日の出発もあるので簡単にすませ、優希達は遠征用の食事の仕込みを始めていた。
私はひとり、テントに入り机の引き出しを開ける。
中にはパイプとタバコの葉、パイプ用マッチ、ダンパーなどのパイプを吸うための道具一式が入っている。
私はため息をつきながら「また吸う機会が無くなっちゃたなぁ」と一人呟いて、引き出しを戻した後、ブランデーをグラスに注いで外の椅子に腰掛ける。
優希が妊娠してから禁煙して二十年、今更紙タバコを吸う気にはなれないが、若い頃から憧れていたパイプを定年退職後から始めようと密かに準備していたのだが、転移騒ぎで始められず、更には『若返り』で見た目も身体も二十代後半か三十代前半になっており、パイプを咥えても似合わない事このうえない。
あー、ニエル様はこのまま禁煙しろと言っているのか。
それに、パイプと相性の良いブランデーも今の顔立ちだと何となく似合わない。
そんな似合わないブランデーグラスを掲げながら、定年退職後の唯一の楽しみを奪われた感じがして素直に喜べない自分がいた。
「それじゃ、行ってきます!」
まだ朝日が完全に昇りきらない時間帯に、ラナの挨拶が響き渡る。
ラルフはラナの挨拶を機に私達に片手をあげて「じゃ、ちょっくら行ってくるわ」と言って先頭を歩き出す。
マシューはミリーと軽くハグをしてラルフの後に続き、ラナ、エリサはエルフ娘達に手を振りながらマシューの後に、そして殿の雄介が移動を始める。
残るメンバーはそれぞれに「行ってらしゃい」「気をつけて」と声をかけている中、
「雄介!二人の事を頼んだわよ」
「あぁ!任せて。それじゃ、行ってきます!」
優希の言葉にしっかりと頷いた後、私の方に顔を向けた雄介は力のこもった目で私を見つめ、無言で頷く。
「頼んだ」
その力強い目に私は短く答え、一緒に強く頷く。
「じゃ」
雄介はラルフ達の方へ振り返りながら片手を上げて歩き始めた。
雄介達の姿が森の中に消えて行った後、「行っちゃったね」と優希にしがみつきながら、レイチェルが寂しそうにポツリと呟く。
「レイチェル、みんなすぐに帰ってくるから大丈夫よ。だからそんな寂しそうな顔をしないの。ね」
優希がレイチェルの頭を優しく撫でながら話しかけている姿をみて、私は息を吸って、
「さぁみんな!朝ごはんを食べようか!」と元気よく声をかけた。
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