定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

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村づくり 初級編

山田雄介 西へ! 8

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 ラルフ達から別れた雄介は、木々の間を慎重に進み、オークのいる場所まで百メートル程の距離まで近ずいた。

 木の陰からそっと覗くと、ちょうどオークの一体が捕まえたイノシシを皮ごと引き千切りながら貪り食っている姿が確認できた。

 (うぇぇ、エグいなぁ)

 雄介は顔を顰めつつ、銃の安全装置を三点バーストに切り替え、もう少し近ずける場所を探して迂回を始める。

 オーク達の動きに警戒しつつ慎重に迂回していくと「グチャ」だの「ベチャ」だのあまり想像したく無い効果音が聞こえてくる。

 (これ以上近ずくと外した時が怖いな)

 雄介はその場で膝打ちの姿勢をとり、草むらの陰からそっと覗き込む。

 距離はおおよそ八十メートルで風はなし。

 よし!と雄介は気合いを入れて、もう一度弾倉と予備弾倉を確認し銃を構える。

 照門から見えるのはオークの背中。

 一撃で倒す事に拘らずに、先ずは四体の動きを止めるため、背中を向けているオークを狙撃する。

 タタタッ!

 背中を向けていたオークの背骨を中心に青い血が飛び散る。

 タタタッ!

 その左隣にいたオークの右腕から右膝辺りの血が飛び散り、オークは悲鳴を上げてのたうち回る。

 雄介は即座に立ち上がり、最初に撃たれたオークの奥にいた一体目掛けて引き金を引く。

 タタタッ!

 一発は相手の右肩に当たるが、丁度立ち上がるタイミングと合った事で、残り二発が外れた。

 チッ!と舌打ちしながら、残りの一体へ照準を向けようとするが、他のオークが邪魔で狙いが定まらない。

 「「ブゴォォ!!」」

 奥にいたオークの二体が雄介に気が付き、雄叫びを上げながら走り寄ってくる。

 (ウオ!デカい!しかも速い!)

 二メートルを超える巨体とは思えない速度で迫ってくるオークに、一瞬引け腰になるが、気合いを入れて引金を引く。

 タタタッ!タタタッ!タタタッ!

 走り寄ってくる二体のオークの胴体へ撃ち込まれた弾丸は、貫通したのかオーク達の勢いは止まらずに雄介に迫ってくる。

 「うおぉ!マジかよ!」

 雄介は咄嗟に草むらから飛び出して、向かってくるオークの左側へ距離を取るように走り出す。

 突然飛び出してきた雄介に、オーク達は方向転換が遅れて雄介との距離が離れる。

 走りながら弾道を交換した雄介は、足を滑らせながら急停止し、狙いもそこそこにオーク達へ銃を発砲する。

 タタタッ!タタタッ!タタタッ!

 再び銃弾を浴びたオークの一体は足に被弾し、そのまま前のめりに倒れ、もう一体は心臓の辺りに青い血を流しながら数本進んでから前のめりに倒れた。

 「ふぅ、やったか?」

 あぁ、このセリフ一度言ってみたかったぁ。と不謹慎なことを考えながら、油断なく銃を構えながらオークへそーっと近ずいて行く。

 「おーい雄介、油断すんなよ?まだ生きてんぞ」

 「うおっ!ビックリしたぁ!脅かさないで下さいよ!」

 いつの間にか来ていたラルフは、雄介に声をかけつつ、腕と足を撃ったオークに止めを刺している。

 そんなラルフを見て雄介は「ふぅ」と息を吐き出し、肩の力を抜いた。




 「オーライ!オーライ!、ハイ!そこじゃ!」

 ユンボのエンジン音に負けない大声で、ダンゴにショベルを降ろす位置を指定された私は、慎重に地面を彫り始める。

 「なんじゃ?えらいユックリじゃの?雄介やエリサはもっと速く動かしてるぞ?」

 「そんなこと言われても、こっちにくる前に軽く練習した程度なんですから、無茶を言わんで下さい」

 私は慎重にレバーを操作しながら、ダンゴに文句を言う。

 「ふん!エリサなんぞ、ここに来て直ぐに覚えたぞ、ほら!早く持ち上げんか!」

 「こーゆー機械の操作は若さと才能が必要なんですよ!」

 地面に食い込んだシャベルが土を抱えて持ち上がり、ダンゴの方へスイングして土を降ろす。

 「全く、お前さんも若返ったじゃろが。本当はワシが操縦したいんじゃ!クッ足が届かん事が恨めしい」

 掘り出した土を土嚢に入れながらダンゴがぶちぶち文句を言っていると、西の空からイーグルの姿が見えてきた。

 「お!イーグル君が帰ってきた!」

 「うむ。今日はここまでとしとくか」

 私とダンゴはイーグル君を出迎えるため、ユンボのエンジンを切って家の方へ向かった。




 「優希ママさん、ミリー、お使い完了したぞ!」

 「はい、ご苦労さま。みんな元気だった?」

 初めてのお使いが上手く出来た事に満足顔のイーグルに冷たい飲み物を渡しつつ、優希はみんなの様子を聞いていた。

 「うむ。元気だったぞ、それにラルフに頼まれて、偵察任務も行って魔物を見つけたのだ」

 イーグルは冷たい飲み物を美味しそうに飲みながら、衝撃的な話をする。

 「えぇ!魔物?」

 私が驚いていると、イーグルが頷き「うむ。オークが四体ほどいたな」と胸を張って答えた。

 魔物と聞いて一瞬緊張した顔をしたミリーだったが、魔物の正体がオークと聞いて安堵のため息を吐く。

 「オーク四体程度なら、マシュー達がいれば先ず大丈夫ね」

 「ミリー、それほんと?」

 優希が心配した顔でミリーに聞くと、ミリーは余裕の表情で二人なら二、三十体いても大丈夫と太鼓判を押してくれた。

 「それなら安心ね(だな)」

 ミリーの話を聞いて、私と優希は顔を見合わせて安堵のため息をついた。
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