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村づくり 初級編
村の現状 2
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「俺たちが、森の外にあるトーワ村での買い出しから帰ってきたのが五日前だった」
「帰って来て最初に見たのが、壊された門と塀、それと食い散らされた遺体が惨たらしく散乱していたよ」
ディダンがふぅと息を吐き、苦しそうな顔でこれまでの経緯を話し始めた。
「最初、何が起きたのか判らなくて、全員その場に立ち尽くしていてな・・・」
マシューは何も言わず、黙って話を聴く。
「暫くしてやっと事態が飲み込めて、村の中で生存者がいないか探し始めたんだ」
「それで見つかったのが、あの三人か」
マシューは包帯を巻いて横たわっている三人をみてディダンに問いかける。
「あぁ、ポーションで何とかって感じだがな。意識を取り戻した後に聞いた話だと、俺たちが来る数日前にゴブリン供に襲撃されたって言うじゃないか」
「あぁ、俺たちは、ここに来る途中で子供を抱えているゴブリンを見かけてよ、急いでここまで来たんだが襲撃された後だった」
マシューがディダンに変わり、近況を話し始める。
「本来は生存者を探すべきだったと思うが、攫われたエルフがいる可能性が高かったからな、直ぐにゴブリン達の後を追って、奴らの巣を強襲、攫われたエルフ達を救出したんだよ」
ディダンは驚きつつ、ラナの姿を見て「そうだったのか、ラナとエリサだけでも助かって良かった」と安堵して息を吐き出す。
「いや、助かった娘達は十五名?、十六名?だったかな?」
「えぇ!それは本当か!?」
ディダンは、マシュー達が助け出したラナとエリサの二人を村に送り届けに来てくれたのだと思っていたが、マシューがさらっと数十人助けたと言うので思わず大声を出してしまい、
「ディダン、何かあったの!?」
怪我をした三名の看病していた女性が、ディダンの声に驚いて駆け寄って来た。
「サラ!ラナ達以外にも助かった仲間がいたぞ!マシューさん達が助けてくれたんだ!」
ディダンはサラの手を取って嬉しそうに報告し、サラも「えぇ!私もさっきラナに聴いたところよ!」と二人とも安堵の息をついて、お互いに微笑んだ。
一方、ヤーク達と門の方へ向かっていたラルフは、途中で雄介達と合流し、雄介に場所を教えてから改めてヤーク達と門の方へ向かった。
「なぁ、一つ聞きたいんだが」
「なんだ?」
歩きながらラルフはヤーク達に話しかける。
「いや、この村には魔物を排除する結界は無かったのかと思ってな」
ラルフの質問にヤーク達は眉間に皺を寄せてお互いの顔を見合わせてから頷く。
「それなんだが・・・ちょっと見てもらえるか?」
門に着いたラルフ達は、ハミルとジンに周辺の見張りを頼み、ヤークと二人で門の外にある一本の柱へ向かった。
「俺達の村は四方の柱に風の魔石をはめて、魔物避けの結界を張っていたんだ」
魔石のはめ込まれた柱は二メートル程の高さがあり、その天辺付近に灰色の石がはまっていた。
ラルフは柱を見上げて、はめ込まれている魔石を見て首を傾げる。
「なぁ、風の魔石って空の様な青色だよな?」
「あぁ、俺たち村の住人は、この魔石に毎日魔力を込めて維持してたんだが、俺たちが見たときは灰色になっていて、魔力を流しても反応しないんだ」
普通、魔力のなくなった魔石は透明になって砕けてしまうが、この魔石は灰色で原型を保っている。
「うーん。俺はこの手の事は専門外だから正直解んねぇなぁ」
「そうか、ラルフも解らんか」
「ただ、今回の襲撃の原因がコレなのは確かだな。ただ、これが何だか解んねぇけど、ゴブリン程度の知能で出来たとは思えねぇんだよなぁ」
ラルフはうーんと唸りながら頭を掻きつつ首をひねる。
「まぁ、ここで悩んでもしょうがねぇな、仲間の魔法使いに聞いてみるか」
ラルフはヤークに振り返り、この魔石を取り外しても良いか尋ねる。
「あー、俺の一存では何とも・・・後でみんなと相談して良いか?」
「あぁ、そうしてくれ」
現状では解決できないと判断した二人は村に戻るため、元来た道を戻り始めた。
ラルフから休憩場所を聴いた雄介達は、そこがラナの家だと解ったエリサの案内で瓦礫が散乱している道を進んでいた。
「エリサ、大丈夫か?」
気の利いたセリフのひとつも言えない自分に内心苦笑いしつつ、雄介は前を歩いているエリサに話しかけた。
「うん・・・泣いたら少しスッキリした」
「そうか・・・」
やはり気の利いたセリフが出て来ない雄介は、これ以上話しを振る事が出来ず、休憩場所であるラナの家に到着した。
「帰って来て最初に見たのが、壊された門と塀、それと食い散らされた遺体が惨たらしく散乱していたよ」
ディダンがふぅと息を吐き、苦しそうな顔でこれまでの経緯を話し始めた。
「最初、何が起きたのか判らなくて、全員その場に立ち尽くしていてな・・・」
マシューは何も言わず、黙って話を聴く。
「暫くしてやっと事態が飲み込めて、村の中で生存者がいないか探し始めたんだ」
「それで見つかったのが、あの三人か」
マシューは包帯を巻いて横たわっている三人をみてディダンに問いかける。
「あぁ、ポーションで何とかって感じだがな。意識を取り戻した後に聞いた話だと、俺たちが来る数日前にゴブリン供に襲撃されたって言うじゃないか」
「あぁ、俺たちは、ここに来る途中で子供を抱えているゴブリンを見かけてよ、急いでここまで来たんだが襲撃された後だった」
マシューがディダンに変わり、近況を話し始める。
「本来は生存者を探すべきだったと思うが、攫われたエルフがいる可能性が高かったからな、直ぐにゴブリン達の後を追って、奴らの巣を強襲、攫われたエルフ達を救出したんだよ」
ディダンは驚きつつ、ラナの姿を見て「そうだったのか、ラナとエリサだけでも助かって良かった」と安堵して息を吐き出す。
「いや、助かった娘達は十五名?、十六名?だったかな?」
「えぇ!それは本当か!?」
ディダンは、マシュー達が助け出したラナとエリサの二人を村に送り届けに来てくれたのだと思っていたが、マシューがさらっと数十人助けたと言うので思わず大声を出してしまい、
「ディダン、何かあったの!?」
怪我をした三名の看病していた女性が、ディダンの声に驚いて駆け寄って来た。
「サラ!ラナ達以外にも助かった仲間がいたぞ!マシューさん達が助けてくれたんだ!」
ディダンはサラの手を取って嬉しそうに報告し、サラも「えぇ!私もさっきラナに聴いたところよ!」と二人とも安堵の息をついて、お互いに微笑んだ。
一方、ヤーク達と門の方へ向かっていたラルフは、途中で雄介達と合流し、雄介に場所を教えてから改めてヤーク達と門の方へ向かった。
「なぁ、一つ聞きたいんだが」
「なんだ?」
歩きながらラルフはヤーク達に話しかける。
「いや、この村には魔物を排除する結界は無かったのかと思ってな」
ラルフの質問にヤーク達は眉間に皺を寄せてお互いの顔を見合わせてから頷く。
「それなんだが・・・ちょっと見てもらえるか?」
門に着いたラルフ達は、ハミルとジンに周辺の見張りを頼み、ヤークと二人で門の外にある一本の柱へ向かった。
「俺達の村は四方の柱に風の魔石をはめて、魔物避けの結界を張っていたんだ」
魔石のはめ込まれた柱は二メートル程の高さがあり、その天辺付近に灰色の石がはまっていた。
ラルフは柱を見上げて、はめ込まれている魔石を見て首を傾げる。
「なぁ、風の魔石って空の様な青色だよな?」
「あぁ、俺たち村の住人は、この魔石に毎日魔力を込めて維持してたんだが、俺たちが見たときは灰色になっていて、魔力を流しても反応しないんだ」
普通、魔力のなくなった魔石は透明になって砕けてしまうが、この魔石は灰色で原型を保っている。
「うーん。俺はこの手の事は専門外だから正直解んねぇなぁ」
「そうか、ラルフも解らんか」
「ただ、今回の襲撃の原因がコレなのは確かだな。ただ、これが何だか解んねぇけど、ゴブリン程度の知能で出来たとは思えねぇんだよなぁ」
ラルフはうーんと唸りながら頭を掻きつつ首をひねる。
「まぁ、ここで悩んでもしょうがねぇな、仲間の魔法使いに聞いてみるか」
ラルフはヤークに振り返り、この魔石を取り外しても良いか尋ねる。
「あー、俺の一存では何とも・・・後でみんなと相談して良いか?」
「あぁ、そうしてくれ」
現状では解決できないと判断した二人は村に戻るため、元来た道を戻り始めた。
ラルフから休憩場所を聴いた雄介達は、そこがラナの家だと解ったエリサの案内で瓦礫が散乱している道を進んでいた。
「エリサ、大丈夫か?」
気の利いたセリフのひとつも言えない自分に内心苦笑いしつつ、雄介は前を歩いているエリサに話しかけた。
「うん・・・泣いたら少しスッキリした」
「そうか・・・」
やはり気の利いたセリフが出て来ない雄介は、これ以上話しを振る事が出来ず、休憩場所であるラナの家に到着した。
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