恋愛経験ゼロの恋愛マスター

あさ

文字の大きさ
1 / 7
第1章

恋愛相談所開設

しおりを挟む
 今日もまた、一人の少女がこの恋愛相談所にやって来た。
 俺は深くため息をついて
 「こちらにお掛けになってください。」
 と言い椅子を引いてその少女を座らせた。
 なぜ俺がこんなことをしているのかというと────













 高校二年生の春、俺神坂 登(かみさか のぼる)は中学校からの親友である板垣 学(いたがき まなぶ)と他愛もない雑談をしていた。
 「なあ、あの前の席に座ってるポニーテールの子可愛いよな!」
 「ん?あっ、佐藤さん?学はああいうのがタイプか。」
 「いやっ!タイプっつーかなんつーか。」
 「なんだよ。気になるんだろ?話かけてこいよ。」
 「えっ?はっ?無理だよ!無理無理。」
 そう、板垣 学とはこういう奴なのである。
 肝心なとこでチキンなのだ。
 だからちょっとだけアドバイスしてやったのだ。
 「なあ、学。」
 「なんだよ。」
 「昨日佐藤さん休んだろ。」
 「ああ!ほんと昨日は目の保養がなくて辛かったぜ。」
 「今、春で学年変わったばっかりだから佐藤さん、あんま友達いないと思うんだよ。」
 「そんなことないだろ!あんな可愛いんだぞ!」
 これ……めっちゃ惚れてるな。学。
 「いやでも、佐藤さんってあんま活発なタイプじゃないだろ?」
 「それはそうだけど……」
 「だからさあ、昨日の授業のノート借りれてないと思うんだよ。」
 「そ!そういうことか!!」
 ここで学はピンと来たらしい。
 学はダッシュでロッカーに昨日のノートを取りに行き、佐藤さんの元へ駆けていった。
 「佐藤さん!これ!昨日のノート!良かったら使って!!」
 「えーと、私……友達から借りて写したんだけど……」
 「えっ……嘘……」
 学はまるでこの世の終わりかのような絶望の表情を浮かべその後、はっ!と気づいたように俺に怒りの眼差しを向けてきた。
 俺は気まずくなり窓に目をやった。
 しかし事は思わぬ方向に進展する。
 「ぷっ!」
 佐藤さんが吹き出したのだ。
 「板垣 学君だよね?私に気使ってくれたんだよね、ありがとう。」
 笑みをこぼしながらそう言う佐藤さんを見て、学は顔を赤らめながら
 「結局失敗に終わっちゃったけどね!」てへっ!と最後変顔をすると
 佐藤さんはクスクスと笑っていた。
 なぜ変顔をしたのか俺にはわからないが、その後学と佐藤さんは連絡先を交換して現在は交際をしている。
 これだけなら、ほっこりして良い話なのだが……
 学と佐藤さんの噂は瞬く間に学年に広まり、学は友達にどういう経緯で付き合ったんだよ?と聞かれ
 「全部、登のおかげかな!」
 と答えてしまったらしい。
 その結果神坂 登に相談すれば必ず成就するらしいと言う噂が流れ、今に至る。



















 いや!俺!一回も恋愛したことないんですけど!!










 そんな心の声は誰にも届かず、今日も相談を受けている。



                 つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...