2 / 7
第1章
相談
しおりを挟む
「私………先輩が好きなんです!!」
瞳を潤わせて顔を上気させ懸命に告白する可愛い後輩。
華奢な体に、綺麗で長いストレートな髪、凛とした顔に見えるのは切れ長な目のせいだろうか───────
今日もまた一人、少女がこの恋愛相談所にやって来た。
今日の悩める少女は俺の一学年下、つまり高校一年生の清水 小鳥(しみず ことり)ちゃんです!
「私、成瀬先輩が好きなんです!!」
成瀬先輩とは三年生の先輩でサッカー部のキャプテンをしている。イケメンで人当たりも良く、先生からの評判も良い。
と、まあここまで聞いてわかる通りこの成瀬先輩かなりモテやがります。
今回結構難しいそうだな……
「あの、清水さん、いつから成瀬先輩の事好きになったの?」
まずは当たり障りのないことから聞いていく。
多分一目惚れです!と答えるだろう。
「入学式で一目惚れしました!」
ね。知ってた。
「じゃあさ、成瀬先輩の誕生日って知ってる?」
「えっ、えーと……」
彼女の表情が曇ったのを確認して
「知らないだね?」
「はい……」
「じゃあ、まずはそこからだね。頑張れ!」
「はい!ありがとうございます!また来てもいいですか?」
「いつでもおいで。」
じゃあまた来ますと頭を下げて恋愛相談所を出ていく清水さん。
ちょっと時間が経ってからまたドアがノックされる音が聞こえる。
「どうぞ。」
俺がそう言うと、ゆっくりと扉が開き
「私……………先輩が好きなんです!!」
顔を赤らめ上目遣いで告白するのは……
「あの、からかうのやめてもらえますか。川村先生。」
川村先生は俺らのクラスの担任で古典を教えている。
まだ二十代前半でとても綺麗な人である。
男女問わず人気があり、特に恋人のいない男子には心の支えとなっていることだろう。
「やめられないわねーーだって登君の反応可愛いんだもの。」
「ちょっ、だからそういうのホント止めてくださいって」
「もしかして照れちゃった?」
そう言いながら徐々に俺に近づいてくる川村先生。
川村先生が近づくたびに、柑橘系の匂いが鼻腔をくすぐり思わず
「なんなんですか!ほんと!」
と大きな声を出してしまった。
先生はちょっとたじろぎ、立ち止まって
「もう~冗談だよ~ホント登君は可愛いな~」
そう言いながら俺の頭をくしゃくしゃとなで回す。
全然反省してないなこの人。
「でさ。登君。」
急に真面目なトーンになる。
「はい?」
「毎日、こういう相談受けるの大変じゃない?」
「そうですね。精神的苦痛で倒れそうです。」
「そうだよね、私のせいでごめんね。」
珍しくしおらしくなる。
確かにこの恋愛相談所開設は川村先生が一枚噛んでるのだが……
「別に先生のせいってわけじゃ……自分で決めたことですし……」
しゃべった後何となく決まりが悪くなり、立ち上がり窓から首を出して野球部の練習してる方向に目をやる。
「ありがとう。登君…………やっぱり好きだな」
後半、野球部員達による掛け声でよく聞こえず
「何て言いました?」
「ううん。何でも。」
質問には答えず、少し悲しげに微笑む彼女はとても儚げでいつもより魅力的に感じた。
「そろそろ暗くなるし帰ろっか!」
「はい。」
明日も相談を受けなきゃいけないと思うとうんざりするし先生との絡みもうんざりだがどこか悪い気がしないのは日の落ちる寸前の夕日のせいなのか、はたまた先生の悲しいげな微笑みのせいなのかはわからない。
ただ一つ言えることは─────────────
つづく
瞳を潤わせて顔を上気させ懸命に告白する可愛い後輩。
華奢な体に、綺麗で長いストレートな髪、凛とした顔に見えるのは切れ長な目のせいだろうか───────
今日もまた一人、少女がこの恋愛相談所にやって来た。
今日の悩める少女は俺の一学年下、つまり高校一年生の清水 小鳥(しみず ことり)ちゃんです!
「私、成瀬先輩が好きなんです!!」
成瀬先輩とは三年生の先輩でサッカー部のキャプテンをしている。イケメンで人当たりも良く、先生からの評判も良い。
と、まあここまで聞いてわかる通りこの成瀬先輩かなりモテやがります。
今回結構難しいそうだな……
「あの、清水さん、いつから成瀬先輩の事好きになったの?」
まずは当たり障りのないことから聞いていく。
多分一目惚れです!と答えるだろう。
「入学式で一目惚れしました!」
ね。知ってた。
「じゃあさ、成瀬先輩の誕生日って知ってる?」
「えっ、えーと……」
彼女の表情が曇ったのを確認して
「知らないだね?」
「はい……」
「じゃあ、まずはそこからだね。頑張れ!」
「はい!ありがとうございます!また来てもいいですか?」
「いつでもおいで。」
じゃあまた来ますと頭を下げて恋愛相談所を出ていく清水さん。
ちょっと時間が経ってからまたドアがノックされる音が聞こえる。
「どうぞ。」
俺がそう言うと、ゆっくりと扉が開き
「私……………先輩が好きなんです!!」
顔を赤らめ上目遣いで告白するのは……
「あの、からかうのやめてもらえますか。川村先生。」
川村先生は俺らのクラスの担任で古典を教えている。
まだ二十代前半でとても綺麗な人である。
男女問わず人気があり、特に恋人のいない男子には心の支えとなっていることだろう。
「やめられないわねーーだって登君の反応可愛いんだもの。」
「ちょっ、だからそういうのホント止めてくださいって」
「もしかして照れちゃった?」
そう言いながら徐々に俺に近づいてくる川村先生。
川村先生が近づくたびに、柑橘系の匂いが鼻腔をくすぐり思わず
「なんなんですか!ほんと!」
と大きな声を出してしまった。
先生はちょっとたじろぎ、立ち止まって
「もう~冗談だよ~ホント登君は可愛いな~」
そう言いながら俺の頭をくしゃくしゃとなで回す。
全然反省してないなこの人。
「でさ。登君。」
急に真面目なトーンになる。
「はい?」
「毎日、こういう相談受けるの大変じゃない?」
「そうですね。精神的苦痛で倒れそうです。」
「そうだよね、私のせいでごめんね。」
珍しくしおらしくなる。
確かにこの恋愛相談所開設は川村先生が一枚噛んでるのだが……
「別に先生のせいってわけじゃ……自分で決めたことですし……」
しゃべった後何となく決まりが悪くなり、立ち上がり窓から首を出して野球部の練習してる方向に目をやる。
「ありがとう。登君…………やっぱり好きだな」
後半、野球部員達による掛け声でよく聞こえず
「何て言いました?」
「ううん。何でも。」
質問には答えず、少し悲しげに微笑む彼女はとても儚げでいつもより魅力的に感じた。
「そろそろ暗くなるし帰ろっか!」
「はい。」
明日も相談を受けなきゃいけないと思うとうんざりするし先生との絡みもうんざりだがどこか悪い気がしないのは日の落ちる寸前の夕日のせいなのか、はたまた先生の悲しいげな微笑みのせいなのかはわからない。
ただ一つ言えることは─────────────
つづく
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる