恋愛経験ゼロの恋愛マスター

あさ

文字の大きさ
7 / 7
第3章

本来の意味

しおりを挟む
 日本語とは難しいもので、本来の意味とは違った意味で使ってしまう言葉などないだろうか。
 例えば「失笑する」これを笑いもできないほどあきれる。という意味で使ってはいないだろうか。
 実は本来の意味はこらえきれず吹き出してしまうなのだそうだ。
 ではここでクエスチョン。
 やぶさかではない。
 これは本来どういう意味なのだろうか ──────













 「あーあ。登君と環奈さんがそんなに仲良いなら私邪魔できないや。」
 川村先生は完全にいじけモードに入っていた。
 「私、もう帰るね。」
 そう言いながら俺達に背を向ける。
 だがその背中は語っていた。
 どうか引き止めてくださいと。
 「川村先生!待ってください!」
 「嫌だ!!」
 背は向けたまま、拒絶する。
 だが!その背中は語っていた!
 やった、引き止めてくれた。
 もう少し粘ってくれたら機嫌なおそ!と。
 いや、川村先生の背中語り過ぎでしょ。
 「川村先生。俺、今日のこと凄い楽しみにしてたんです!だから、このまま帰っちゃうなんてすげー悲しいです。」
 さらに言葉を続けて
 「だから機嫌直して、俺とデートしてください!」
 かなり気持ちを込めたつもりだ。
 その思いが伝わったのか、先生はくるっと回り俺達の方を向いて
 「んーー。まあ登君がそこまで言うなら、デートするのはやぶさかではないけど…」
 「ホントですか!良かったぁぁ~、いやぁぁ~~ホント良かったぁぁ~。先生がそんな風に思ってるなんて。」
 「えっ?ん?そんな喜ばれるようなこと私、言ったかな?」 
 先生の頭の上にはクエスチョンマークが浮かび上がっていた。





 やぶさかではない。
 仕方なくする。という意味で捉えられがちだが
 本来の意味は
 喜んでする。だ。
 だから、先生は喜んで俺とデートしたいらしい。
 あんなに不機嫌だったのに随分と上機嫌になられましたなぁ~。






 満足げな笑みを浮かべていると、先生は不服そうに
 「なんか納得いかない!」
 と言いながらスタスタと歩いていってしまった。
 「ちょ!先生、待ってください。」
 遠ざかっていく先生を追いかけていくがなかなか追いつけない。
 なぜまた不機嫌になってしまったのかそれだけがわからなかった。
 それを傍らで見ていた環奈は呆然と立ち尽くす俺の隣で
 「先輩ってバカですね。」
 容赦ない言葉と共に失笑していた。
 

  
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...