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新人狩人編
第十話 邂逅
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「という感じで……これは私のペット、アルラウネのフェーちゃんです」
「よろしくおねがいします」
「二人はお友達なの?」
「まぁ、そんなところです」
二人と一匹(?)で挨拶を交わしたが、少し気まずくなった。
そんな気まずい雰囲気を壊したのは、勢いよく開かれた玄関が最初だった。
「ただいま!」
元気よく彩花が叫んだ。
同時に、詩織が椅子を引いて立ち上がり玄関にいる彩花に向かって歩いた。詩織は彩花の顔を睨むように覗き込むと一瞥し、背中を向けた。
「お母さんが言ってた…お客さん…ですか?」
「そうだ。話はお前の部屋で聞くとしよう」
「えっ?いきなり…ですね」
「ご婦人、娘さんの部屋に行かせてもらう」
「どうぞどうぞ、お茶とお菓子持っていくわね」
「入ること確定してるの?!」
彩花がバッグを置いて叫んだ。
* * *
「私は樋口詩織、お前より一歳年上だ。グループではあのアルラウネと一緒に戦闘員をやっている」
「ぎ、グループの戦闘員です……か、そんなお偉い方がなぜ私のような一戦闘員の家に…」
詩織は彩花に近づくと、彼女の顎を引いて目を無理やり合わせた。そして、
「なぜ魔法少女を部下にしているのか聞くためだよ」
塗りつぶされた暗い目で彩花の顔を覗き込む。先程まで見せていた笑顔からは想像も出来ない表情だ。
続けて彼女は言を継いだ。
「戦闘員として魔法少女を狩って早七年、幾人もの魔法少女や組織の戦闘員を見てきた」
ため息を付きながら、
「しかし魔法少女を部下にしながら組織に属する人は初めて見た」
吐き捨てるように言った。
「友達……だからです」
「ふん」
「……えと、ごめんなさい?」
「その魔法少女とやらはどこに?」
彩花は反射的に答えそうになったが、何か嫌な予感がしたのではぐらかすことにした。今の詩織は空腹時の獣のような目をしている。
「今はどこにいるか…わからないです」
「連絡先を教えろ」
「電話番号でいいですか?」
詩織はスマホを突き出すと、操作しろと言う。
代表的なソーシャルネットワークサービス「ポイントーク」の画面を見せてきた。
「お前と、その魔法少女の連絡先を追加しろ」
「わ、私のを電話番号で追加してくれたら送りますよ」
「………?」
鳩が豆鉄砲を食ったように首を傾げている。
もしや───
「使い方、わからないんですか?」
「わかるに決まってる!使う必要がないから使わないだけだ」
「じゃあ電話番号教えるので」
この時、少しからかいたいという気持ちが芽生えた。仕事熱心そうな彼女故に、機械音痴なところがギャップだ。
「詩織さん、そんな顔をしないでください」
半泣きになりながらスマホを差し出している。
───可愛い。
彩花はこの瞬間を写真に抑えたいという気持ちを奥底にしまいながら、自身の電話番号を入力し友達を追加した。
「出来ました」
「あっ…ありがとう、助かった」
「使い方わからないなら教えますよ?」
「必要ない……困ったら連絡する」
ぎこちない笑顔を作り、彩花は思わず笑いを堪えられず吹き出してしまう。一瞬で表情が曇り、なぜ笑ったのかを小一時間問い詰められた。
* * *
翌週の土曜日。
「御守」
「なに?」
「初陣だよ」
「あたし初耳なんだけど」
彩花は決めポーズの一環としてコートをかっこよく羽織った。
呆然としている御守をよそに、いそいそと着替える。
「個人勢の魔法少女がかなり被害を出してるみたいなの。だから私たちが倒す」
「ま、魔法少女を?」
「そう!バッジは持ってきたよね」
胸元からバッジを取り出すと見せつける。
「もちろん!」
''一時間後、本社前集合''
「よろしくおねがいします」
「二人はお友達なの?」
「まぁ、そんなところです」
二人と一匹(?)で挨拶を交わしたが、少し気まずくなった。
そんな気まずい雰囲気を壊したのは、勢いよく開かれた玄関が最初だった。
「ただいま!」
元気よく彩花が叫んだ。
同時に、詩織が椅子を引いて立ち上がり玄関にいる彩花に向かって歩いた。詩織は彩花の顔を睨むように覗き込むと一瞥し、背中を向けた。
「お母さんが言ってた…お客さん…ですか?」
「そうだ。話はお前の部屋で聞くとしよう」
「えっ?いきなり…ですね」
「ご婦人、娘さんの部屋に行かせてもらう」
「どうぞどうぞ、お茶とお菓子持っていくわね」
「入ること確定してるの?!」
彩花がバッグを置いて叫んだ。
* * *
「私は樋口詩織、お前より一歳年上だ。グループではあのアルラウネと一緒に戦闘員をやっている」
「ぎ、グループの戦闘員です……か、そんなお偉い方がなぜ私のような一戦闘員の家に…」
詩織は彩花に近づくと、彼女の顎を引いて目を無理やり合わせた。そして、
「なぜ魔法少女を部下にしているのか聞くためだよ」
塗りつぶされた暗い目で彩花の顔を覗き込む。先程まで見せていた笑顔からは想像も出来ない表情だ。
続けて彼女は言を継いだ。
「戦闘員として魔法少女を狩って早七年、幾人もの魔法少女や組織の戦闘員を見てきた」
ため息を付きながら、
「しかし魔法少女を部下にしながら組織に属する人は初めて見た」
吐き捨てるように言った。
「友達……だからです」
「ふん」
「……えと、ごめんなさい?」
「その魔法少女とやらはどこに?」
彩花は反射的に答えそうになったが、何か嫌な予感がしたのではぐらかすことにした。今の詩織は空腹時の獣のような目をしている。
「今はどこにいるか…わからないです」
「連絡先を教えろ」
「電話番号でいいですか?」
詩織はスマホを突き出すと、操作しろと言う。
代表的なソーシャルネットワークサービス「ポイントーク」の画面を見せてきた。
「お前と、その魔法少女の連絡先を追加しろ」
「わ、私のを電話番号で追加してくれたら送りますよ」
「………?」
鳩が豆鉄砲を食ったように首を傾げている。
もしや───
「使い方、わからないんですか?」
「わかるに決まってる!使う必要がないから使わないだけだ」
「じゃあ電話番号教えるので」
この時、少しからかいたいという気持ちが芽生えた。仕事熱心そうな彼女故に、機械音痴なところがギャップだ。
「詩織さん、そんな顔をしないでください」
半泣きになりながらスマホを差し出している。
───可愛い。
彩花はこの瞬間を写真に抑えたいという気持ちを奥底にしまいながら、自身の電話番号を入力し友達を追加した。
「出来ました」
「あっ…ありがとう、助かった」
「使い方わからないなら教えますよ?」
「必要ない……困ったら連絡する」
ぎこちない笑顔を作り、彩花は思わず笑いを堪えられず吹き出してしまう。一瞬で表情が曇り、なぜ笑ったのかを小一時間問い詰められた。
* * *
翌週の土曜日。
「御守」
「なに?」
「初陣だよ」
「あたし初耳なんだけど」
彩花は決めポーズの一環としてコートをかっこよく羽織った。
呆然としている御守をよそに、いそいそと着替える。
「個人勢の魔法少女がかなり被害を出してるみたいなの。だから私たちが倒す」
「ま、魔法少女を?」
「そう!バッジは持ってきたよね」
胸元からバッジを取り出すと見せつける。
「もちろん!」
''一時間後、本社前集合''
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