君の瞳は月夜に輝く

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幕開け

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 時間も半ばに差し掛かったころ、テオ君が
「あ!僕先生に呼ばれてるんだった!僕もう行くね!」と言ってきたから、僕は
「それは急がなきゃ!行ってらっしゃい!課題、教えてくれてありがとうね!」と笑顔で送り出した。うん。やっぱり敬語なしのほうが気楽でいいよね!

 でも、すごいな。テオ君教え方が丁寧すぎて古語学の課題が終わっただけでなく、文法がどこでつまずいていてどこを重点的に復習したらいいかも分かって…もしかしたら授業よりも実りある時間だったかもしれない…。これはテストで得点アップ、さらには成績アップ間違いなし…!

 今まで取ったこともないような高い数字が印刷された成績表を家族に見せる場面を思い浮かべつつ、うきうきで次の教科に取り掛かろうとする。
 その瞬間背中にピリッと電流が流れたような感じがして思わず背筋が伸びる。この感じ…もしかして…!!

 いつものごとく後ろかと思ってワクワクしながら振り向くが思っていた人影は見当たらず、気のせいかと前を向く。

「うわ!!!!」
びっくりした!!びっくりした!!びっくりしすぎて椅子から転げ落ちちゃった!だっていつの前か目の前の椅子座ってるもん!びっくりした!!

「すまない…。そんなに驚かすつもりはなく…。」
「急に瞬間移動使って現れないでくださいよ...!心臓に悪いです…!」

 椅子に座り直し、改めてリュークさんの目を見てみる。今日は大丈夫そうだな…。前のは何だったんだろう…。気絶するかもってあんな…うしろから…だ、だきし……目を覆うなんて…!結局あんなことしなくても大丈夫じゃないか!おかげでリュークさんといると変な気分になるようになっちゃったし…。
 …だめだ!これ以上考えることをやめよう!

「リュークさんもお勉強ですか?」自分の頭をリセットするためにリュークさんに話しかけてみる。
「いや、俺は…その、調べ物をしに。研究のためのな。」
「研究!?どんなことをしてるんですか?」
「それは、言えないが…。」
「そう、なんですね…。あ、でも僕もシャーマール先生の研究をお手伝いしてるんですよ!なんでも人の考えを読めるようになるとか。」
「人の考えを、読む。か、大方エドガー先生に触発されたんだろうな…。」
「あぁ…そんなこと言ってたような気がします…。」
「研究の手伝いって具体的にどんなことをしてるんだ?」
「今は仲良くなろうとしてます。親睦深めるっていうのかな?なんでも現段階では親密さが重要なんだとかで。」
「親密さ、か。あの先生には難しい話だろうな。人見知り激しいし。」
「もしかしてシャーマール先生と仲いいんですか?」
「いや、魔術の研究の関係で少し話すくらいだ…。お前のとこのアランとも話すぞ。」
「え!?そうなんですか!?てっきり仲悪いのかと…。」
「周りがそう言ってるからだな。実際は結構話すぞ。そういえば、昔お前の家に一度遊びに行ったときも庭にいたダンゴムシの話してただけなのに喧嘩してるんじゃないかと騒がれたことあったな…。その後色々あってうやむやになったけど。」

 そんなことあった気がするな。僕が初めてリュークさんを見たときか…。でもあれはちらと見かけただけの僕でもそう思ったよ…。だって、二人とも無表情で下を向いてて、周りには暗いオーラ漂ってたし。険悪を絵にかいたようだったもん…。周りの人もひそひそ何か話しててちょっと心配そうな顔して二人のこと見てるし、その感じが怖くて思わず逃げ出しちゃったもん…。そうか、あれダンゴムシの話してたんだ…。

「そっか。僕あれを見て、リュークさんが家に来なくなったこともあっててっきり兄と仲が悪いんだと思ってました。」
「お前もあの時いたのか?」
「えぇ!あ、でもそのあと体調崩しちゃってずっと寝込んでたんですけどね。」
「そうだったのか…。ん、お前それ。」

 リュークさんの視線の先を見てみると僕の魔術論の課題が書かれたノートがあった。

「この魔術…。」
「あ、それですか?友達に教えてもらったんです。」
「そいつ魔術に相当詳しいだろ。じゃないとこの術式は普通でてこない。昔の術式だ…。そいつ名前は?」
「な、名前ですか?えっと、テオ=リーレンですけど…。」
「テオ、リーレン…か。」もしかしてリュークさんテオ君に興味持っちゃったかな…。なんか、なんでだろうちょっとやだな…。


「リュークさんって!夏休み何か予定あるですか?」
「俺は研究が忙しいからな…。」
「そっか…。夏祭りとかも行かないんですか…?」
「あぁ、行かないな。そもそも人が多いところが苦手でな。」

 そうなのか…。もしかしたらもしかすると一緒に行けるかもとか思ってたけど、そもそも苦手なのか…。

「じゃ、じゃあ闘技会はどうですか?出場とか…。」
「あいにく興味がないものでな…。」
「で、出ないんですか…?僕リュークさんが戦ってるかっこいいところ見てみたかったのに…。」
「かっこいい…?」
「賞品とか豪華なんですよ!あとは…色々スカウトが来たりとか…。うーん。まぁ出る・出ないは本人の意思ですしね…。」

 他にもいろいろ話そうと思ったけど、授業の終わりを告げるチャイムが鳴ってしまう。

「あ、次の授業教室遠いんだった…。教科書も取りに行かなきゃだし…。僕もう行きますね…。」
くそ、授業め!!お前さえなければ、教室さえ遠くなければ、もう少しリュークさんと話せれたのに…。んもう!!

 後ろ髪をひかれつつその場を去ろうとする、が
「あ、おい待て。」と手首を掴まれる。
「え…。」
 突然のことにびっくりして思わず振り向くとリュークさんと目が合ってしまう。お、思ったより、ちかい…。

 じっと見つめられて、顔が熱くなっていくのが分かる。心臓も痛いくらいにドキドキ言ってて、掴まれているところから心地いいようなくすぐったいようなぞわぞわした感じが広がる。周りの音という音が消えてさらにドキドキという音が余計に大きく聞こえる。あまりの恥ずかしさに目をそらしたいけれど、リュークさんの黒く、それでいて澄み切っている瞳から目が離せなくなる。
 ぼ、僕どうしちゃったんだろう…。

 なんて突然のことに慌ててると、リュークさんが急に 
「あ、やっぱり何でもなかった…。すまない…。俺ももう行かなければ。じゃあ、またな。」と言って僕の頭をポンポンと撫で、いつものように瞬間移動で消えていった…。















「………………え?」
 
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