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006 ステータス情報

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 リージョンってのは、ようするにひとつの空間で、そのエリア内だけに用意されている攻略条件を満たせばクリアとなる。ファンタジーゲームでいうところのダンジョンみたいなものだが、[リージョンフライハイト]のシステム上、いちどクリアしたリージョンは消滅し、二度と画面にはあらわれない。つまり、リージョンの隅々すみずみまでしっかり歩きまわらないと、見逃みのがしてしまうアイテムが存在する。

  アイテムの種類
  武器/防具/貴重品/消費系

 よくあるパターンとそう変わらないが、このゲームの特徴は戦闘がメインではないため、種別に分類したとき武器の数がいちばん少ない。ざっくりと〈剣〉〈斧〉〈杖〉〈弓〉の4種類があるだけで、プレイヤーが初期装備に選ぶことができるのは、どれかひとつである。ゲームのとちゅうで変更することはできないため、選択した武器によって、リージョンごとに発生するイベントもちがってくる。また、他のプレイヤーと協力して進むタイプのゲームではなく、ひとりで謎解きを楽しむのが基本スタイルだ。ただし、同じリージョンにいるプレイヤーと交流は可能につき、自分と異なる武器を装備している人から情報提供してもらうことは、攻略手段としてはありだろう。といっても、イベントの種類は膨大ぼうだいに用意されているから、いくら事前に第三者からアドバイスをもらっても、まったく同じルートに突入するとはかぎらない。

「なんというか、だからこそ、素直すなおにヒントを見ちまったほうが、胸クソなバッドエンドを回避できるんだがな……」

 トイレから部屋に戻ると、ヒントを開示かいじしてイベント発生条件を満たしているプレイヤーに話しかける。


『よう、レアな貴重品について知りたくないか』


 会話時のアイコンは砂時計を使っているが、ゲーム内での俺は〈剣〉を装備した戦士だ。むろん[伝説の剣]を装備しているわけではない。ごくふつうのミスリルソードである。貴重品である伝説の剣は、プレイヤーのみが武器として入手できる特権とっけんってわけだ。

 さあ、どうする。今回のプレイヤーは勇者イベントに突入するかどうか。……装備している武器はマジックメイス、つまり〈杖〉だな。リージョンマスターの権限で、ステータスを確認させてもらうぜ。(ピッ)

   
  レベル──85 命中率──70
  攻撃力──45 素早さ──60
  防御力──50 魔力───80
  精神力──90 運────05
  武器/杖/マジックメイス
    


 杖は魔法タイプだから、レベルに対して攻撃力と防御力が伸びないのはしかたないとして、このプレイヤーの運、やけに低いな……。レベル80を過ぎれば40くらいが平均値のはずだが……。参考までに、これが俺のステータスだ。(ピッ)
 
  
  レベル──90 命中率──90
  攻撃力──95 素早さ──80
  防御力──85 魔力───50
  精神力──65 運────50
  武器/剣/ミスリルソード
  
 
  万能タイプに見えるだろうが、能力の最大値は武器ごとに変わるため、俺の場合、これでも弱いほうだったりする。剣と斧は直接攻撃、杖と弓は魔法攻撃に特化しているが、俺のリージョンで勇者イベントをクリアすると、伝説の剣が手に入るため、ステータスの最大値は特殊扱いになる。

 ついでに説明しておくと、消費系のアイテムは、安達あだちら開発スタッフ側のペースで、ゲーム内のショップに追加される。ふだんから取り扱いのあるアイテムは以下のとおりだ。

  HP回復系
  МP回復系
  状態異常回復

 ……わかりやすだろう。ゴールドコインと交換できるアイテムは、以上3パターンのみだ。特殊なものは、各イベント時の戦利品に含まれているんだな。


✓つづく
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