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スーツの下の化けの皮/二幕
第75話
しおりを挟む要望に応じて、2回目となる性交では避妊具を使わないことにした幸田は、姫季の開口部をひろげるため、まずは陰茎に刺激を与えた。
「……あっ、……うっ、そんなに強くされたら、イッちゃいそうなんだけど……っ」
「無理しなくていいよ。きみの先走りが必要なんだ。きょうは、中出しさせてもらうからね。……いいのだろう?」
「中に? い、いいよ全然っ!」
力んで返事をする姫季だが、耳まで赤くなっている。ひらいた膝のあいだから幸田の顔が見えるため、恥ずかしそうにカリッと指を噛むと、幸田から「ダメだよ」と注意を受けた。
「きみの手を傷つけないでくれ。大事な指だからね」
針仕事において、指先の感覚は重要である。幸田は姫季の手首を軽く掴むと、指にキスをした。
「……ごめん……なさい」
しょんぼりする姫季に、幸田は微笑した。陰茎を擦りあげる指に少し力を込めた瞬間、姫季はビクンッと腰をふるわせ、いっきに射精した。
「……うっ! あぁっ!」
体内へ指を挿入された姫季は、「ハァハァッ」と呼吸が乱れた。こんなとき、指先の感覚が大事なのは幸田のほうで、姫季の気持ちいい場所を探りながら内壁をひろげてゆく。すると、「あうっ!」と、いきなり過剰反応を示された。
「この辺りだったか」
「あっ、そこは……ダメっ」
「本当にダメなのか?」
幸田が指の動きを止めると、姫季は「うぅ~っ」と、呻いて顔をしかめた。いいから早くヤッちゃって!と、物欲しげな瞳で訴えてくる。ことばと態度は正反対につき、幸田は焦らず、ゆっくり準備を整えた。開口部の筋肉弛緩が十分だと判断するまで、姫季をあえがせた。
「やっ、やだよ、幸田さん……、それ以上ならさなくても、はいるだろ。おればっかりじゃ、恥ずかしいってば……」
「それもまた、可愛いけどな」
「……っ!? エロい!」
精神的な限界を感じる姫季は、頭の芯がクラクラして、降伏モードに陥った。幸田に身を委ね、刺激と快楽を受け入れると、視界にチカチカと光るものを捉えた。内奥に達した異質な温もりは、姫季の心身を確実に満たしている。それは幸福な感覚なのに、涙があふれてしまい、声をがまんして泣いた。
「姫季くん……」
幸田は、腰を振りながら姫季の記憶を新しいものへ変えてゆく。
✰つづく
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