スーツの下の化けの皮

み馬

文字の大きさ
上 下
78 / 93
スーツの下の化けの皮/二幕

第75話

しおりを挟む


 要望に応じて、2回目となる性交では避妊具を使わないことにした幸田は、姫季の開口部をひろげるため、まずは陰茎に刺激を与えた。

「……あっ、……うっ、そんなに強くされたら、イッちゃいそうなんだけど……っ」

「無理しなくていいよ。きみの先走りが必要なんだ。きょうは、中出なかだしさせてもらうからね。……いいのだろう?」

「中に? い、いいよ全然っ!」

 りきんで返事をする姫季だが、耳まで赤くなっている。ひらいた膝のあいだから幸田の顔が見えるため、恥ずかしそうにカリッと指を噛むと、幸田から「ダメだよ」と注意を受けた。

「きみの手を傷つけないでくれ。大事な指だからね」

 針仕事において、指先の感覚は重要である。幸田は姫季の手首を軽くつかむと、指にキスをした。

「……ごめん……なさい」

 しょんぼりする姫季に、幸田は微笑した。陰茎をりあげる指に少し力を込めた瞬間、姫季はビクンッと腰をふるわせ、いっきに射精した。

「……うっ! あぁっ!」

 体内へ指を挿入された姫季は、「ハァハァッ」と呼吸が乱れた。こんなとき、指先の感覚が大事なのは幸田のほうで、姫季の気持ちいい場所を探りながら内壁をひろげてゆく。すると、「あうっ!」と、いきなり過剰反応を示された。

「この辺りだったか」
「あっ、そこは……ダメっ」
「本当にダメなのか?」

 幸田が指の動きを止めると、姫季は「うぅ~っ」と、うめいて顔をしかめた。いいから早くヤッちゃって!と、物欲ものほしげな瞳で訴えてくる。ことばと態度は正反対につき、幸田はあせらず、ゆっくり準備を整えた。開口部の筋肉弛緩しかんが十分だと判断するまで、姫季をあえがせた。

「やっ、やだよ、幸田さん……、それ以上ならさなくても、はいるだろ。おればっかりじゃ、恥ずかしいってば……」

「それもまた、可愛いけどな」

「……っ!? エロい!」

 精神的な限界を感じる姫季は、頭の芯がクラクラして、降伏モードに陥った。幸田に身を委ね、刺激と快楽を受け入れると、視界にチカチカと光るものを捉えた。内奥ないおうたっした異質な温もりは、姫季の心身を確実に満たしている。それは幸福な感覚なのに、涙があふれてしまい、声をがまんして泣いた。

「姫季くん……」

 幸田は、腰を振りながら姫季の記憶を新しいものへ変えてゆく。


✰つづく
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

赤毛の阿蘇利くん

BL / 完結 24h.ポイント:163pt お気に入り:39

あなたの妻にはなれないのですね

恋愛 / 完結 24h.ポイント:49,068pt お気に入り:403

突然訪れたのは『好き』とか言ってないでしょ

BL / 完結 24h.ポイント:546pt お気に入り:24

最愛の人がいるのでさようなら

恋愛 / 完結 24h.ポイント:64,602pt お気に入り:650

俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:589pt お気に入り:38

言ってはいけない言葉だったと理解するには遅すぎた。

BL / 完結 24h.ポイント:844pt お気に入り:460

性感マッサージに釣られて

恋愛 / 完結 24h.ポイント:525pt お気に入り:17

天使の分け前

BL / 完結 24h.ポイント:887pt お気に入り:1,855

しっとりほっこりBL短編集

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:3

処理中です...