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〘61〙完全復活
しおりを挟む新体制となった夜鷹坂に、元気な声が響いた。
「ハル、おはよう! って、もう昼だけどな!」
「ヒョウエ、からだ、だいじょうぶになったの!?」
「なった、なった。色々ごめん!」
以前のように、なんの合図もなしに部屋の障子戸をスラッと開けて踏みこんでくるヒョウエとは、ひと月ぶりに顔を合わたハルチカは、互いに笑顔で会話した。ヒョウエは、男娼の平常着(小袖)を身につけているため、仕事にも復帰するようだ。今夜から、控えの間で客を待つ。アカラギの適切な介抱もあり、思っていたよりも早く傷が癒えたヒョウエは、びらっと衿をひらき、すっかりよくなった肌をハルチカに見せた。
「どうだ、きれいだろ。傷痕なんて、どこにもない。」
「そう……だね。本当によかった。」
ヒョウエの外的な回復はよろこばしいが、心の痛みはどうなのか。ほんの少し気になったハルチカは、数秒ほど沈黙した。絶対的な権力を誇示するタカムラは、ヒョウエにとって育ての親に等しい存在である。父性をあわせもつ男に体罰を執行され、肉体的にも精神的にも調教される気分は、身の毛がよだつほど戦慄だったはずだ。実際、お仕置き部屋から救出されたヒョウエは、廃人のように無気力化していた。アカラギがどんなことばをかけたのか、ハルチカの頭では想像できなかった。
「たいへんだったね。おれ、心配で心配で……、」
「ハルこそ、ダンナになにもされなかったか?」
「……え、」
「されたの?」
「う、うん。」
「そっか、そうだよな。……性交?」
ヒョウエに顔をのぞき込まれたハルチカは、「うしろやぐら」と、小声でうちあけた。一瞬、目を丸くしたヒョウエは、「あはははッ!」と、大笑いした。
「笑うことないだろッ。おれだって、必死だったんだからな!」
「あははッ、ぷぷッ! なんか、ごめん。でも、ダンナの珍子は別格だから、挿入されると最高に気持ちよくてさ。おれ的には、痛いとか、きついとか、そんなのどうでもよくなっちまうんだけど、ハルは、ちがうよな。……性教育されたラギのほうが好みとか?」
当たらずとも遠からずな発言をするヒョウエは、ハルチカの小袖の裾を持ちあげ、陰部に触れてきた。
「な、なにするの?」
「ハルの、やわらかいな。きれいに毛も剃ってあるし、なめらかだ。ちょっと、しゃぶってみてもいい?」
「え? わッ、やめ……ッ!」
畳のうえに尻もちをついたハルチカは、ヒョウエの頭が股のあいだにもぐり込んでくると、「うわーッ!?」と、絶叫した。ちょうど通りかかったアカラギが、障子戸の隙間から顔をだし、ヒョウエに襲われるハルチカと目が合った。
「哥さん! 助けて!」
助け舟に腕をのばすと、アカラギは「おまえら、もっと静かにやれよ」といって、パシンッと障子戸をしめた。
「え……、え? ええーッ!?」
そんな莫迦なと思いつつ、ヒョウエは「いただきまーす」と云って、ハルチカの陰茎をパクッと咥えた。「ぎゃーッ」という悲鳴が耳障りに聞こえたアカラギは、廊下をもどってきて、呆然となるハルチカからヒョウエを引き離した。
「ハルチカ、またあとでな!」
ずるずるとアカラギに腕を引かれて立ち去るヒョウエは、ひらひらと反対側の手をふる。それから、階段の手前で立ちどまったアカラギに、ぎゅっ、と抱きついた。
「ラギ、助けてくれてありがとう。おれ、またがんばるからさ。……ハルのこと、大事にしてあげて。あいつ、ラギのことが好きなんだと思う。ちがったら、ごめん。両思いなら、応援する。」
トキツカサの件で、ハルチカやアカラギを巻き込んでしまったヒョウエは、ふたりの幸福を願った。
✓つづく
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