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8章 彼と彼女の約束
そして気づき始めた何か
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一方、伊織は彼に頭が上がらなくなっていた。
「だいたい、自分の身を優先しろとあれほど言っただろ」
「はい、すみません」
「あげくに敵がいるかもしれない方向に、ほいほいついて行って」
「誠に申し訳なく」
「おい、真面目に聞いてるか?」
「勿論でございますアルヴィン様」
やってきたアルヴィンは、初っぱなから説教を始めた。
その後ろで悠樹が「まだ本調子じゃないんだから……」と止めようとしたが、大柄なヴィクトールに「まぁまぁ」と言われながら部屋から引きずり出されていった。
助け手もいなくなり、伊織は諦めてアルヴィンのお説教を聞き続ける。
あの時、死んでもおかしくない状態だった伊織を助けてくれたのは、アルヴィンだった。
伊織には仕組みがよくわからないが、魔の時間を止めたものの、外部者に強制解除されると、術が暴走するのだという。
そしてたいていは術者に力がかえってしまう。
その影響を、アルヴィンは身代わりになって受け止めてくれたらしい。おかげで彼の服はあちこち切れて、血が染みついたままだ。本人は言わないが、直しきれない傷も残っているらしい。
そんな状態になっても、彼は伊織の回復を敢行したのだ。悠樹曰く『賭けだった』とのことなので、本当に不味かったらしい。
こうして悠樹と再会できたのも、無事事件が解決したのも、ひとえにアルヴィンのおかげである。
しかし、お説教も長く聞くとだんだん辛くなってくる。
まだ頭の奥が石を詰め込まれたように重くて、自然と返事が途切れて目を閉じてしまった。
お説教だと思わなければ、アルヴィンの声を聞き続けるのはそう悪くない。鳩尾に響くような低音ではない。人を振り向かせてやまない声でもない。水音のようにさらさらと、しみこんでくるのが心地いい。
その声が、不安げに揺れた。
「イオリ?」
呼びかけられて目を開くと、見覚えのある表情が近くにあった。
魔に取り込まれて、死にかけていた時のことを思い出す。あの時みたいに泣きそうな顔をしたアルヴィンがいて、伊織はひどく胸が苦しくなった。
なんだかすごく悪いことをしてるような気がした。だけど、どうしてそんな風に思うのかわからない。
無意識にアルヴィンに手をさしのべると、頬に触れる前に握られた。
あ……、と声を出しそうになった。
この手を握った感覚に覚えがある。懐かしくて、いつまでも握っていてほしいって思った手に似てる。
思い出したとたんに、なんだか顔が赤くなる。
いつまでも、だなんて何考えてるんだろうか。妙な考えを気づかれていないかとアルヴィンを見れば、彼と目が合う。
その瞬間、心臓が一段と大きく拍動した。
「イオリ、俺は」
視線をそらさないアルヴィン。
伊織は縫い止められた標本の虫みたいに、身動きができなかった。
そんな彼女に、アルヴィンはますます顔を近づけて言った。
「俺は分かってるんだからな。寝たふりして、説教を中断させようってんだろ」
「そ、そんなことしてない!」
抗議しながらも、伊織は妙にほっとしていた。だけどそんな事を言うために顔近づけなくてもいいのに……と、ちょっと頭の位置をずらして離れようとする。
するとアルヴィンはその分距離を詰めてくる。
な、なんで?
「なぜお前は自分の命を優先しない? お前が死んだら泣く人間だっている。ユーキはお前が死んだら、勇者にあるまじき願いを抱えて、嫌と言うほど苦悩することになる」
人を助けるために勇者になったはずのユーキ。それなのにミュルダールと同じように利己的な領主に出会う度、ユーキは姉を殺した人間のことを思い出すのだ。
そして魔に侵されてしまえと願ってしまうかもしれない。
「分かってる。分かってるけど……」
譲れることと譲れないことがある。
「だってあの時は」
その選択が最上に思えたのだから、仕方ない。
「言い訳するなら、約束したくなるようにするまでだ」
「何? 何するの?」
おびえながら問い返す伊織に、アルヴィンはうっすらと微笑む。
「……っ!」
思わず目を閉じた伊織は、額にひやりとしたものを感じる。すぐに離れていく感覚を追うように目を開けると、アルヴィンは人差し指に口付けていた。
特別綺麗でもない自分の指に、男の人が口づけ……。しかもその前は、まさか額に?
めまいがしそうだった。実際に頭に血が上って、くらくらした。
これはアルヴィンに抗議すべきなんだろうかと伊織は思い悩む。
いつもなら抗議していただろう。けれど嫌じゃないような気がして、どうしても言葉がでてこない。どうしてかを突き詰めてかんがえようとして、伊織は愕然とする。
まさか、自分は弟と同い年の彼にそんな感情を……。
「お前が死ねば、俺も死ぬ。誰かを犠牲にしろとは言わない。ただ最後まで生きることを諦めるな、イオリ」
愛の告白にも似た宣誓に、伊織は息まで止まりそうになった。
そんな彼女に、アルヴィンが「わかりましたは?」と問いかけてきた。
「う、あ、はい……」
伊織の答えを聞いて、アルヴィンは満足そうに笑いながら引き上げて行った。
一人になった伊織は、今の出来事をぐるぐると考え続けた。
そんなに悩んだのに、次に会った時も、翌日王宮へ戻った後も、アルヴィンは何も言わなかった。対応も今まで通りかわりない。
だから伊織は、この出来事を幻覚かアルヴィンの気の迷いだったんだろうと、そう思うようになっていたのだ。
***
伊織の帰還日がやってきた。
姉との離別を、悠樹はいつまでも惜しんでくれた。
「姉ちゃんあっちに戻ったからって油断すんなよな。次に呼ぶまで、事故に遭ったりしないでくれよ。車道とかよそ見しながら渡んなよな」
今回の件で、姉に過保護になったらしい悠樹が何度も繰り返してくる。子供じゃないんだからそんなことしないと言っても、なかなか信用してくれない。
「車って何だ?」
アルヴィンはいつも通りのほほんとした表情で、悠樹に尋ねていた。
こっちはまだ、脈拍が早くなったりするっていうのに、そうさせた本人はなにもかも忘れ去ったみたいだ。悔しい。
「イオリ様、次の機会までお元気で」
悠樹の斜め後ろに立つフレイが、手向けの言葉をくれた。
少し頬がこけたように見える。仕方ない。
本人自身は伊織を守ろうとしてくれたし、伊織が捕らえられた場所を最初に知らせたのも彼だ。けれど自分の父親が陰謀を企てたことで、心労がたたったのだろう。しかも傷の度合いだけなら伊織よりひどかったのだ。
そういえばフレイにも手にキスされたことがあったのだ、と伊織は思い出す。
ミュルダールの城で、物語の騎士みたいに手の甲に口付けられた。あの時は急に別の場所へ移動させられたり、アルヴィンと引き離されそうになったりとせわしなくて、恥ずかしいと思う暇さえなかった。
そうだよねと伊織は自分に言い聞かせる。
他の人だってしてる事だ。別にアルヴィンが特別なわけじゃない。
そう思いながらちらりとアルヴィンの方を見てしまう。すると視線が合って、アルヴィンが目を細めて微笑んだ。
その笑顔は、なんだか反則だと思った。顔が綺麗だから思わず見とれそうになる。
そのとき、あの重たい扉が開いた。中から出てきた魔法使いの男性が、シーグに「準備ができました」と報告している。
そして伊織は、見送る人々に手を振りながら召還された時にいた暗い部屋の中へと入ろうとした。
「イオリ」
さらに声を掛けられて、伊織の心臓が飛び出しそうなほど跳ね上がる。
「な、な、なんでしょ?」
「これをやる」
「え? あ、ありがと」
差し出されたのは、見覚えのある石がついたペンダントだ。
エンブリア・イメル。あの時伊織を助けてくれた石だ。けれど召喚されてからもらったお守りの石は、壊れて目覚めた後には壊れてしまっていた。
「でも、どうして?」
元の世界に戻るのに、守り石はいらないだろう。
「こっちの世界の物を一つくらい持っていってもいいだろう。記念にな」
首をかしげる伊織をおいて、アルヴィンは部屋を出て行く。
それを待って扉が閉められ始めた。
なぜか慌てている悠樹の顔が、アルヴィンに何かを問い詰めているシーグの顔やフレイの笑顔が見えなくなっていく。
閉じる直前にアルヴィンが振り返った。
しばらく会えないのだと思うと、なんだか切なくなった。
中では四隅に置かれた炎と、床に描かれた魔方陣だけがうっすらと光を放っている。
やがて部屋にいる魔法使いたちが呪文を唱え始め……。
伊織の視界が白一色に染まった。
「だいたい、自分の身を優先しろとあれほど言っただろ」
「はい、すみません」
「あげくに敵がいるかもしれない方向に、ほいほいついて行って」
「誠に申し訳なく」
「おい、真面目に聞いてるか?」
「勿論でございますアルヴィン様」
やってきたアルヴィンは、初っぱなから説教を始めた。
その後ろで悠樹が「まだ本調子じゃないんだから……」と止めようとしたが、大柄なヴィクトールに「まぁまぁ」と言われながら部屋から引きずり出されていった。
助け手もいなくなり、伊織は諦めてアルヴィンのお説教を聞き続ける。
あの時、死んでもおかしくない状態だった伊織を助けてくれたのは、アルヴィンだった。
伊織には仕組みがよくわからないが、魔の時間を止めたものの、外部者に強制解除されると、術が暴走するのだという。
そしてたいていは術者に力がかえってしまう。
その影響を、アルヴィンは身代わりになって受け止めてくれたらしい。おかげで彼の服はあちこち切れて、血が染みついたままだ。本人は言わないが、直しきれない傷も残っているらしい。
そんな状態になっても、彼は伊織の回復を敢行したのだ。悠樹曰く『賭けだった』とのことなので、本当に不味かったらしい。
こうして悠樹と再会できたのも、無事事件が解決したのも、ひとえにアルヴィンのおかげである。
しかし、お説教も長く聞くとだんだん辛くなってくる。
まだ頭の奥が石を詰め込まれたように重くて、自然と返事が途切れて目を閉じてしまった。
お説教だと思わなければ、アルヴィンの声を聞き続けるのはそう悪くない。鳩尾に響くような低音ではない。人を振り向かせてやまない声でもない。水音のようにさらさらと、しみこんでくるのが心地いい。
その声が、不安げに揺れた。
「イオリ?」
呼びかけられて目を開くと、見覚えのある表情が近くにあった。
魔に取り込まれて、死にかけていた時のことを思い出す。あの時みたいに泣きそうな顔をしたアルヴィンがいて、伊織はひどく胸が苦しくなった。
なんだかすごく悪いことをしてるような気がした。だけど、どうしてそんな風に思うのかわからない。
無意識にアルヴィンに手をさしのべると、頬に触れる前に握られた。
あ……、と声を出しそうになった。
この手を握った感覚に覚えがある。懐かしくて、いつまでも握っていてほしいって思った手に似てる。
思い出したとたんに、なんだか顔が赤くなる。
いつまでも、だなんて何考えてるんだろうか。妙な考えを気づかれていないかとアルヴィンを見れば、彼と目が合う。
その瞬間、心臓が一段と大きく拍動した。
「イオリ、俺は」
視線をそらさないアルヴィン。
伊織は縫い止められた標本の虫みたいに、身動きができなかった。
そんな彼女に、アルヴィンはますます顔を近づけて言った。
「俺は分かってるんだからな。寝たふりして、説教を中断させようってんだろ」
「そ、そんなことしてない!」
抗議しながらも、伊織は妙にほっとしていた。だけどそんな事を言うために顔近づけなくてもいいのに……と、ちょっと頭の位置をずらして離れようとする。
するとアルヴィンはその分距離を詰めてくる。
な、なんで?
「なぜお前は自分の命を優先しない? お前が死んだら泣く人間だっている。ユーキはお前が死んだら、勇者にあるまじき願いを抱えて、嫌と言うほど苦悩することになる」
人を助けるために勇者になったはずのユーキ。それなのにミュルダールと同じように利己的な領主に出会う度、ユーキは姉を殺した人間のことを思い出すのだ。
そして魔に侵されてしまえと願ってしまうかもしれない。
「分かってる。分かってるけど……」
譲れることと譲れないことがある。
「だってあの時は」
その選択が最上に思えたのだから、仕方ない。
「言い訳するなら、約束したくなるようにするまでだ」
「何? 何するの?」
おびえながら問い返す伊織に、アルヴィンはうっすらと微笑む。
「……っ!」
思わず目を閉じた伊織は、額にひやりとしたものを感じる。すぐに離れていく感覚を追うように目を開けると、アルヴィンは人差し指に口付けていた。
特別綺麗でもない自分の指に、男の人が口づけ……。しかもその前は、まさか額に?
めまいがしそうだった。実際に頭に血が上って、くらくらした。
これはアルヴィンに抗議すべきなんだろうかと伊織は思い悩む。
いつもなら抗議していただろう。けれど嫌じゃないような気がして、どうしても言葉がでてこない。どうしてかを突き詰めてかんがえようとして、伊織は愕然とする。
まさか、自分は弟と同い年の彼にそんな感情を……。
「お前が死ねば、俺も死ぬ。誰かを犠牲にしろとは言わない。ただ最後まで生きることを諦めるな、イオリ」
愛の告白にも似た宣誓に、伊織は息まで止まりそうになった。
そんな彼女に、アルヴィンが「わかりましたは?」と問いかけてきた。
「う、あ、はい……」
伊織の答えを聞いて、アルヴィンは満足そうに笑いながら引き上げて行った。
一人になった伊織は、今の出来事をぐるぐると考え続けた。
そんなに悩んだのに、次に会った時も、翌日王宮へ戻った後も、アルヴィンは何も言わなかった。対応も今まで通りかわりない。
だから伊織は、この出来事を幻覚かアルヴィンの気の迷いだったんだろうと、そう思うようになっていたのだ。
***
伊織の帰還日がやってきた。
姉との離別を、悠樹はいつまでも惜しんでくれた。
「姉ちゃんあっちに戻ったからって油断すんなよな。次に呼ぶまで、事故に遭ったりしないでくれよ。車道とかよそ見しながら渡んなよな」
今回の件で、姉に過保護になったらしい悠樹が何度も繰り返してくる。子供じゃないんだからそんなことしないと言っても、なかなか信用してくれない。
「車って何だ?」
アルヴィンはいつも通りのほほんとした表情で、悠樹に尋ねていた。
こっちはまだ、脈拍が早くなったりするっていうのに、そうさせた本人はなにもかも忘れ去ったみたいだ。悔しい。
「イオリ様、次の機会までお元気で」
悠樹の斜め後ろに立つフレイが、手向けの言葉をくれた。
少し頬がこけたように見える。仕方ない。
本人自身は伊織を守ろうとしてくれたし、伊織が捕らえられた場所を最初に知らせたのも彼だ。けれど自分の父親が陰謀を企てたことで、心労がたたったのだろう。しかも傷の度合いだけなら伊織よりひどかったのだ。
そういえばフレイにも手にキスされたことがあったのだ、と伊織は思い出す。
ミュルダールの城で、物語の騎士みたいに手の甲に口付けられた。あの時は急に別の場所へ移動させられたり、アルヴィンと引き離されそうになったりとせわしなくて、恥ずかしいと思う暇さえなかった。
そうだよねと伊織は自分に言い聞かせる。
他の人だってしてる事だ。別にアルヴィンが特別なわけじゃない。
そう思いながらちらりとアルヴィンの方を見てしまう。すると視線が合って、アルヴィンが目を細めて微笑んだ。
その笑顔は、なんだか反則だと思った。顔が綺麗だから思わず見とれそうになる。
そのとき、あの重たい扉が開いた。中から出てきた魔法使いの男性が、シーグに「準備ができました」と報告している。
そして伊織は、見送る人々に手を振りながら召還された時にいた暗い部屋の中へと入ろうとした。
「イオリ」
さらに声を掛けられて、伊織の心臓が飛び出しそうなほど跳ね上がる。
「な、な、なんでしょ?」
「これをやる」
「え? あ、ありがと」
差し出されたのは、見覚えのある石がついたペンダントだ。
エンブリア・イメル。あの時伊織を助けてくれた石だ。けれど召喚されてからもらったお守りの石は、壊れて目覚めた後には壊れてしまっていた。
「でも、どうして?」
元の世界に戻るのに、守り石はいらないだろう。
「こっちの世界の物を一つくらい持っていってもいいだろう。記念にな」
首をかしげる伊織をおいて、アルヴィンは部屋を出て行く。
それを待って扉が閉められ始めた。
なぜか慌てている悠樹の顔が、アルヴィンに何かを問い詰めているシーグの顔やフレイの笑顔が見えなくなっていく。
閉じる直前にアルヴィンが振り返った。
しばらく会えないのだと思うと、なんだか切なくなった。
中では四隅に置かれた炎と、床に描かれた魔方陣だけがうっすらと光を放っている。
やがて部屋にいる魔法使いたちが呪文を唱え始め……。
伊織の視界が白一色に染まった。
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