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番外:サイドストーリー&後日談
SS8(最終話) 精霊王達の夜話
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書き終わった手紙を封筒に入れ、封蝋の上から印璽を押す。
「これでよし……っと!」
オーランジェは、満足げに頷いた。
「うふふ、お父さま。喜んでくださるかしら。オーランジェってば、本当に物分りの良い娘よねー」
魔王の城の三階の一室。
オーランジェは、既に三か月ほどもこの部屋に滞在している。
はっきり言って、不自由など全くない。
必要なものがあれば、メイドさんがすぐに用意してくれる。
なにせ、魔王妃の姪なのだ。
下にも置かぬ扱い。至れり尽くせりである。
「さて、夜も遅いことですし、そろそろ休ませていただこうかしら」
そう呟いた途端、オーランジェは眉間に皺を寄せ、椅子から立ち上がって周囲を見回す。
「どなたか、いらっしゃいますの?」
しんと静まり返る部屋。
無論どこからも返事は返ってこない。
ただ、カンテラの明かりと、それに照らし出されている彼女自身の陰が微かに揺れていた。
「……気のせいですわね」
オーランジェの部屋に無断で立ち入った者は、理由の如何を問わず、魔王直々に八つ裂きにする旨の触れが出ている。
お陰で、魔物達はオーランジェの部屋どころか、三階そのものに近づこうともしない。
誰かがいることなど、あろう筈もない。
オーランジェは苦笑すると、静かにベッドに横たわり、カンテラの明かりを消す。
そして、
「明日も良い日でありますように」
暗い部屋、窓から差し込む星明りに照らし出される、石造りの天井を見上げながら、そう呟いた。
◇ ◇ ◇
オーランジェの視線の先。
この時、実はそこに、二人の人物がいた。
無論、オーランジェには、その姿が見えていない。
一人は白い貫頭衣を纏った、緑色の髪の少年。
長く伸びた前髪が片目を覆い隠し、隠れていない方の瞳はエメラルドの色をしている。
そしてもう一人は、たくましい青年。
しかし、上半身裸のその肩の上に載っている頭は、蒼い毛並みの狼のもの。
天井近くにふわふわと浮かんでいるこの二人の名は、ジニとフェンリル。風と氷の精霊王である。
「しかし……エルフの癖に、我らの姿を見る事も出来んとはな」
「あはは、まあまあ、オーランジェはハーフだもの、仕方ないよ」
不満げに牙を剥き出しにするフェンリルを、ジニが笑いながら宥める。
「で、こいつが全ての元凶なのだな?」
「元凶っていう言い方は感心しないね。少なくともオーランジェには何の責任も無い訳だし。ねぇ、ウニバス」
ジニが何もない空間に向かって同意を求めると、ジワリとそこに人影が浮かび上がった。
それは少女。
赤い瞳と長い黒髪が印象的な、美しい少女である。
ただ……着ているものは、その美しさに似つかわしくない。
熊のぬいぐるみを抱えて、水色ストライプのよれよれのパジャマに、頭にはナイトキャップを被っている。
それも、先っぽにボンボンのついたやつだ。
「ウニとしては、元凶ぐらい言ってやっても良いと思うぞ。この娘のお陰で、どえらい苦労をさせられたのだからな」
溜め息混じりに応じる少女に、ジニは笑って言い返す。
「あはは、それこそ自業自得って奴じゃないか」
「その言い方は無いと思うぞ。お主の愛し子の願いを叶えてやったのだ。感謝の言葉の一つも聞きたいものだな」
少女の名はウニバス。
この世界のルール。原因と結果。その理を司る精霊王である。
不満げに口を尖らせるウニバスの姿を眺めて、ジニは唐突に話題を変えた。
「で、ジェラールとライトナがデキてるって、本当なの?」
「そんなことがあると思うのか?」
「うん、まったく思わない」
「わかってるのなら聞くでないわ。……あれはドナ・バロットの勘違い。ジェラールが、深夜にライトナの部屋に入っていくのを見たというだけの話だ」
「何のために?」
「決まっておる。ライトナを通して、このウニと話をするためだ」
「あはは、人気者はつらいね。よっ、神様」
「茶化すでないわ。ジェラールはオリビアの転生先を教えて欲しい。そう言っておったぞ」
「転生? ある訳ないだろうが、そんなもの。もし、そんなものがあるなら、人間の数は減りもせず増えもしない」
フェンリルが話に割り込んで肩を竦め、ジニはただ苦笑する。
「人間は弱いのさ。そういうあやふやな物にでも、縋りたくなるんだよ。ジェラールはオリビアの事を深く愛していたからね」
「ふん、不憫なことだ。既に居なくなってしまったものに、心を捕らえられたまま、生きていかねばならんのだからな」
ジニには、フェンリルのこの辺りの感覚が、とてもドライなように思える。
嘆きも悲しみもしないが、ジニはオリビアの墓から永く離れられずにいたのだ。ジェラールの想いはよくわかる。
「……で、ウニバス。これでオリビアの願いは叶えられたんだよね?」
「うむ、調律は全て終わっておるが、どこに綻びがあるか分かったものではないのでな。オーランジェが天寿を全うするまでは、注意深く見守っていく必要がある」
「……悪いね」
「感謝や賞賛は受けるが、お主に詫びられる覚えはないな。これはオリビアとウニの約束だからな。よもや、ここまで困難だとは思わなんだが……」
「困難? 一応聞いておくけど、オリビアはただ、オーランジェの幸せを願ったってだけなんだよね?」
「うむ、オーランジェが健やかに育ち、自分とジェラールのように深く愛し合える者と出会うこと。それがお前の愛し子の最期の願いだ」
「でもウニバス。それなら、君の力をもってすれば、ちっとも困難だとは思えないんだけど?」
「ウニもそう思っておった。ところが蓋を開けてみたら、このオーランジェという娘に纏わりついている因果の糸は、惨たらしい死へと結びついておったのだ。それも徹底的に……だ」
「因果を調律すれば、済む話ではないのか?」
「ウニも最初はそう思っておったよ」
フェンリルの問い掛けに、ウニバスは静かに首を振る。
「じゃがダメじゃった。どんなに調律しても、オーランジェは不幸な死からは逃れられない。魔王が率いる魔物の群れがヌークアモーズへと押し寄せた時点で必ず死ぬのだ。ならば、その元凶を断つしかない。そこでウニは、且つてただ一人、魔王に勝てる可能性のあった者の因果に手を掛けた。アシュレイという名の青年じゃ。そして、彼が魔王に成り代わるように仕向け、魔物の群れが押し寄せる未来そのものを消し去ったのじゃ」
「ちょ! ちょっと待って! ウニバス! それじゃ、過ぎ去った因果に手をつけたの!? そんなことしたら、それ以降の因果は滅茶苦茶に乱れるじゃないか!」
「うむ、乱れた。それはもう乱れに乱れたのだ。取り繕うのに、どれだけ調律を続けたか分からん。半べそかきながら調律を続けたのだが、そこまでしても、幾つかは綻びとして残ってしまった」
「綻び?」
「例えば、意味の分からん悪霊などという物が産まれて、ドナ・バロットに取り付いた。他には何度か調律をやり直したせいで、オリビアの妹は最初からアシュレイの記憶を断片的に持っておったし、ボインボインだった彼女の乳が、壊滅的な絶壁になったのもそのせいだ」
「ミーシャの乳のくだりは、自分の胸にしまっておいて欲しかったよ!」
ジニは思う。
次にミーシャに呼ばれた時、どんな顔をして良いのか分からない。
「まあ、結果は思った通りだった。オーランジェから、魔物に襲われて死ぬという未来は取り除かれた」
そこまで言ってウニバスは、はぁ……と深い溜め息を吐いた。
「ところが、今度はレイモンドという男が産まれてきたのだ。魔王が存在していた時には、その母親が早くに亡くなっていたおかげで存在しなかったのだが……。この男がどれだけ因果を調律しようとも、形を変えてオーランジェを必ず不幸に陥れるのだ」
「……あいつかぁ」
ジニはミーシャの傍で、魔王の身体に宿っていたレイモンドの姿を見ている。
「因果を地道に調律しても埒が明かん。そう考えたウニは、直接介入することにしたのじゃ。異世界から勇者を召喚し、聖剣を与えてジェラールを焚きつけ、レイモンドを騙して指輪を与え魔王の身体という袋小路に追い詰めた。そこまでして、やっとレイモンドの因果をオーランジェから引き離すことが出来たのだ」
「じゃあ、オーランジェは、もう大丈夫ってこと?」
「うむ、さっきも言った通り、調律は済んでおる。二人の勇者にも、詫びという訳では無いが、各々に幸せになれる伴侶との因果を結んでおいた。怪我の功名とでもいうべきじゃが、そのおかげで、オーランジェの伴侶となるべき者も見つかった」
「おいおい、調律するのはかまわんが、我が愛し子、クシャーナも、ちゃんと幸せになれるように、着地させてくれ」
「わかった、わかった。そっちも善処はする」
フェンリルが口を挟むと、ウニバスは面倒臭げに手をひらひらとふった。
ドライだと思っていたが、フェンリルも自分の愛し子のことはかわいいらしい。
「いずれにせよ、オーランジェの伴侶となるべき者も、まだこの世に誕生してはおらんのだ。もうしばらくは注意深く調律し続けねばなるまい。まったく、星の間をのんびりと揺蕩う生活に戻れるのはいつのことやら……」
盛大に肩を落とすウニバスから視線を外して、ジニはオーランジェの寝顔を覗き込む。
彼の愛し子、その生き写しとも思える寝顔。
それを覗き込みながら、ジニはニコリと微笑んでこう言った。
「明日もきっと良い日になるさ。ねぇ、オリビア、そうだよね」
亡霊剣士の肉体強奪リベンジ――完
「これでよし……っと!」
オーランジェは、満足げに頷いた。
「うふふ、お父さま。喜んでくださるかしら。オーランジェってば、本当に物分りの良い娘よねー」
魔王の城の三階の一室。
オーランジェは、既に三か月ほどもこの部屋に滞在している。
はっきり言って、不自由など全くない。
必要なものがあれば、メイドさんがすぐに用意してくれる。
なにせ、魔王妃の姪なのだ。
下にも置かぬ扱い。至れり尽くせりである。
「さて、夜も遅いことですし、そろそろ休ませていただこうかしら」
そう呟いた途端、オーランジェは眉間に皺を寄せ、椅子から立ち上がって周囲を見回す。
「どなたか、いらっしゃいますの?」
しんと静まり返る部屋。
無論どこからも返事は返ってこない。
ただ、カンテラの明かりと、それに照らし出されている彼女自身の陰が微かに揺れていた。
「……気のせいですわね」
オーランジェの部屋に無断で立ち入った者は、理由の如何を問わず、魔王直々に八つ裂きにする旨の触れが出ている。
お陰で、魔物達はオーランジェの部屋どころか、三階そのものに近づこうともしない。
誰かがいることなど、あろう筈もない。
オーランジェは苦笑すると、静かにベッドに横たわり、カンテラの明かりを消す。
そして、
「明日も良い日でありますように」
暗い部屋、窓から差し込む星明りに照らし出される、石造りの天井を見上げながら、そう呟いた。
◇ ◇ ◇
オーランジェの視線の先。
この時、実はそこに、二人の人物がいた。
無論、オーランジェには、その姿が見えていない。
一人は白い貫頭衣を纏った、緑色の髪の少年。
長く伸びた前髪が片目を覆い隠し、隠れていない方の瞳はエメラルドの色をしている。
そしてもう一人は、たくましい青年。
しかし、上半身裸のその肩の上に載っている頭は、蒼い毛並みの狼のもの。
天井近くにふわふわと浮かんでいるこの二人の名は、ジニとフェンリル。風と氷の精霊王である。
「しかし……エルフの癖に、我らの姿を見る事も出来んとはな」
「あはは、まあまあ、オーランジェはハーフだもの、仕方ないよ」
不満げに牙を剥き出しにするフェンリルを、ジニが笑いながら宥める。
「で、こいつが全ての元凶なのだな?」
「元凶っていう言い方は感心しないね。少なくともオーランジェには何の責任も無い訳だし。ねぇ、ウニバス」
ジニが何もない空間に向かって同意を求めると、ジワリとそこに人影が浮かび上がった。
それは少女。
赤い瞳と長い黒髪が印象的な、美しい少女である。
ただ……着ているものは、その美しさに似つかわしくない。
熊のぬいぐるみを抱えて、水色ストライプのよれよれのパジャマに、頭にはナイトキャップを被っている。
それも、先っぽにボンボンのついたやつだ。
「ウニとしては、元凶ぐらい言ってやっても良いと思うぞ。この娘のお陰で、どえらい苦労をさせられたのだからな」
溜め息混じりに応じる少女に、ジニは笑って言い返す。
「あはは、それこそ自業自得って奴じゃないか」
「その言い方は無いと思うぞ。お主の愛し子の願いを叶えてやったのだ。感謝の言葉の一つも聞きたいものだな」
少女の名はウニバス。
この世界のルール。原因と結果。その理を司る精霊王である。
不満げに口を尖らせるウニバスの姿を眺めて、ジニは唐突に話題を変えた。
「で、ジェラールとライトナがデキてるって、本当なの?」
「そんなことがあると思うのか?」
「うん、まったく思わない」
「わかってるのなら聞くでないわ。……あれはドナ・バロットの勘違い。ジェラールが、深夜にライトナの部屋に入っていくのを見たというだけの話だ」
「何のために?」
「決まっておる。ライトナを通して、このウニと話をするためだ」
「あはは、人気者はつらいね。よっ、神様」
「茶化すでないわ。ジェラールはオリビアの転生先を教えて欲しい。そう言っておったぞ」
「転生? ある訳ないだろうが、そんなもの。もし、そんなものがあるなら、人間の数は減りもせず増えもしない」
フェンリルが話に割り込んで肩を竦め、ジニはただ苦笑する。
「人間は弱いのさ。そういうあやふやな物にでも、縋りたくなるんだよ。ジェラールはオリビアの事を深く愛していたからね」
「ふん、不憫なことだ。既に居なくなってしまったものに、心を捕らえられたまま、生きていかねばならんのだからな」
ジニには、フェンリルのこの辺りの感覚が、とてもドライなように思える。
嘆きも悲しみもしないが、ジニはオリビアの墓から永く離れられずにいたのだ。ジェラールの想いはよくわかる。
「……で、ウニバス。これでオリビアの願いは叶えられたんだよね?」
「うむ、調律は全て終わっておるが、どこに綻びがあるか分かったものではないのでな。オーランジェが天寿を全うするまでは、注意深く見守っていく必要がある」
「……悪いね」
「感謝や賞賛は受けるが、お主に詫びられる覚えはないな。これはオリビアとウニの約束だからな。よもや、ここまで困難だとは思わなんだが……」
「困難? 一応聞いておくけど、オリビアはただ、オーランジェの幸せを願ったってだけなんだよね?」
「うむ、オーランジェが健やかに育ち、自分とジェラールのように深く愛し合える者と出会うこと。それがお前の愛し子の最期の願いだ」
「でもウニバス。それなら、君の力をもってすれば、ちっとも困難だとは思えないんだけど?」
「ウニもそう思っておった。ところが蓋を開けてみたら、このオーランジェという娘に纏わりついている因果の糸は、惨たらしい死へと結びついておったのだ。それも徹底的に……だ」
「因果を調律すれば、済む話ではないのか?」
「ウニも最初はそう思っておったよ」
フェンリルの問い掛けに、ウニバスは静かに首を振る。
「じゃがダメじゃった。どんなに調律しても、オーランジェは不幸な死からは逃れられない。魔王が率いる魔物の群れがヌークアモーズへと押し寄せた時点で必ず死ぬのだ。ならば、その元凶を断つしかない。そこでウニは、且つてただ一人、魔王に勝てる可能性のあった者の因果に手を掛けた。アシュレイという名の青年じゃ。そして、彼が魔王に成り代わるように仕向け、魔物の群れが押し寄せる未来そのものを消し去ったのじゃ」
「ちょ! ちょっと待って! ウニバス! それじゃ、過ぎ去った因果に手をつけたの!? そんなことしたら、それ以降の因果は滅茶苦茶に乱れるじゃないか!」
「うむ、乱れた。それはもう乱れに乱れたのだ。取り繕うのに、どれだけ調律を続けたか分からん。半べそかきながら調律を続けたのだが、そこまでしても、幾つかは綻びとして残ってしまった」
「綻び?」
「例えば、意味の分からん悪霊などという物が産まれて、ドナ・バロットに取り付いた。他には何度か調律をやり直したせいで、オリビアの妹は最初からアシュレイの記憶を断片的に持っておったし、ボインボインだった彼女の乳が、壊滅的な絶壁になったのもそのせいだ」
「ミーシャの乳のくだりは、自分の胸にしまっておいて欲しかったよ!」
ジニは思う。
次にミーシャに呼ばれた時、どんな顔をして良いのか分からない。
「まあ、結果は思った通りだった。オーランジェから、魔物に襲われて死ぬという未来は取り除かれた」
そこまで言ってウニバスは、はぁ……と深い溜め息を吐いた。
「ところが、今度はレイモンドという男が産まれてきたのだ。魔王が存在していた時には、その母親が早くに亡くなっていたおかげで存在しなかったのだが……。この男がどれだけ因果を調律しようとも、形を変えてオーランジェを必ず不幸に陥れるのだ」
「……あいつかぁ」
ジニはミーシャの傍で、魔王の身体に宿っていたレイモンドの姿を見ている。
「因果を地道に調律しても埒が明かん。そう考えたウニは、直接介入することにしたのじゃ。異世界から勇者を召喚し、聖剣を与えてジェラールを焚きつけ、レイモンドを騙して指輪を与え魔王の身体という袋小路に追い詰めた。そこまでして、やっとレイモンドの因果をオーランジェから引き離すことが出来たのだ」
「じゃあ、オーランジェは、もう大丈夫ってこと?」
「うむ、さっきも言った通り、調律は済んでおる。二人の勇者にも、詫びという訳では無いが、各々に幸せになれる伴侶との因果を結んでおいた。怪我の功名とでもいうべきじゃが、そのおかげで、オーランジェの伴侶となるべき者も見つかった」
「おいおい、調律するのはかまわんが、我が愛し子、クシャーナも、ちゃんと幸せになれるように、着地させてくれ」
「わかった、わかった。そっちも善処はする」
フェンリルが口を挟むと、ウニバスは面倒臭げに手をひらひらとふった。
ドライだと思っていたが、フェンリルも自分の愛し子のことはかわいいらしい。
「いずれにせよ、オーランジェの伴侶となるべき者も、まだこの世に誕生してはおらんのだ。もうしばらくは注意深く調律し続けねばなるまい。まったく、星の間をのんびりと揺蕩う生活に戻れるのはいつのことやら……」
盛大に肩を落とすウニバスから視線を外して、ジニはオーランジェの寝顔を覗き込む。
彼の愛し子、その生き写しとも思える寝顔。
それを覗き込みながら、ジニはニコリと微笑んでこう言った。
「明日もきっと良い日になるさ。ねぇ、オリビア、そうだよね」
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