【Lv.999】から始まる異世界攻略譚 ~落ちこぼれゲーマーの俺は、ユニークスキル「ゲーム」を使って異世界を無双攻略する~

𝔐𝔞𝔡-𝔈𝔫𝔡

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第9話 重い女

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ズドォォン……!ズシン……!

大地が、生き物のように震えた。深い密林の奥から発せられた轟音は、まるで重厚な太鼓の響きが広がるかのように、あたり一帯に重く響き渡った。森に巣食う小動物たちは恐怖に駆られて枝葉を掻き分け、一斉に逃げ去り、鳥たちは急いで空へ舞い上がった。周囲のざわめきが、近隣の街クウェールにも伝わり、街の住人たちは不安げな視線を密林の方角に向けていた。

メキメキ……と耳障りな音が、森中に響き渡る。樹木の幹が見えざる力に蝕まれるように、次々と軋みを上げ、崩れ落ちていく。まるで天から降り注ぐ隕石が大地を穿つように、地表には無数のクレーターが刻まれていた。

「野郎、ブッ殺してやるぁぁぁ!!」

狂乱の声が空気を裂く。その声の主であるセシルは、目の前の風景を破壊するかのように、手当たり次第に魔法を放ち始めた。彼女の背中から漏れ出す不安定な魔力が、周囲の空気を重く、圧倒的な威圧感で満たしている。

俺は樹木の影からその様子を見守っていた。息を呑みながらも体は微かに震え、心臓の鼓動が激しく響いている。

「マジでなんなんだよ、アイツ……。ヤバすぎるだろ……」

セシルの魔法は、次々と重力のような圧力を放出し、森の中を破壊していく。

重さ……。セシルは『魔力』を『重圧』に変えて、それを操っているのか?

冷静に分析しようと努めるが、心の底では焦燥が膨れ上がる。ここでじっとしている余裕はない。

「おい!セシル!!」

俺は意を決して、樹木の陰から飛び出した。体中が緊張で強張り、冷や汗が頬を伝う。

「い、一旦落ち着けよ、な?こんなこと続けてたら森が壊滅するぞ?ラプラス達みたいにランク下がっちゃうんじゃないか?」

焦燥感を隠しきれず、必死に説得を試みる。しかし、セシルの目やはりは虚ろで、俺の声など届いていない様子だった。彼女の指先が微かに震え、そのまま杖の先端を俺に向ける。

「【ブラッディ・グラヴィティ】」

呟かれたその言葉と同時に、杖に埋め込まれた蒼い宝石が怪しい光を放ち始めた。

次の瞬間、圧倒的な重力が俺の全身に襲いかかった。

「……ぐ!お、重いッ……!」

体中にかかる重圧に耐えられず、俺は膝をつき、両手をついて地面に這いつくばった。周囲の大地は凹み、俺を中心に深いクレーターが広がっていく。

「アハハハハハハハハ!ほらほらもっと!もっと!もっと惨めに膝をつけぇぇぇ!!」

セシルの不気味な笑い声が、森に冷たく響き渡る。彼女の目には理性の光など微塵も残っておらず、その細い腕で杖を握りしめ、俺に向けて続けざまに魔力を放ってくる。

俺のステータスは、体力、防御力を含め、すべてが999だ。しかし、それは無限ではない。極端に高いだけで、ダメージを受けない訳ではない。

【ステータス・オープン】

俺は震える声で呪文を唱え、自分のステータスを確認した。体力ゲージは975。この短時間で24ものダメージを受けている。流石はエルフといった所か。彼女の魔力の強さが、それだけ圧倒的だという証だ。

クソ、ダメだ……!動けない……!

体中にかかる重圧が俺を地面に押し留める。このままではまずい……なんとかこの状況を攻略しなければ。しかし、彼女は敵ではない。あくまで同じパーティの仲間だ。だからこそ、無闇に反撃して彼女を傷つける訳にもいかない。

考えろ……考えろ、俺……。ファイヤーでも放つか?いや、それで彼女にダメージを与えたらどうする。ならサンダー?バカか、それも一緒だ。ファイターモードに切り替える?いや、そもそも身動きが取れないから、ファイターでも無意味だ。

今、俺がやらなければならないのは、彼女の暴走を止めることだ。しかし、魔力や筋力ではどうにもならない。

そう、言葉だ。言葉で彼女を説得するしかない。必要なのは、コミュ力だ。しかし、元々学校で陰キャコミュ障だった俺が、彼女を言葉巧みに説得し、暴走を抑えるというのはちとハードルが高い。いくらステータス最強の俺でも、コミュ力のステータスは底辺に等しい。

解決策が浮かばない。どうすれば……、どうすれば……。

そんなとき、呪文も唱えていないのに、勝手にゲーム画面の表示が俺の目前に現れた。

そこには、従来通り「RPG」、「ファイター」の項目が並び─────、

「ん?これは────」

今まで存在しなかったはずの【ギャルゲー】の項目が、新たに追加されていた。

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