【Lv.999】から始まる異世界攻略譚 ~落ちこぼれゲーマーの俺は、ユニークスキル「ゲーム」を使って異世界を無双攻略する~

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第17話 リヴァイアサン

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「リヴァイ…アサン?」

俺の疑問に、ラプラスは手元の学術書をゆっくり閉じ、重く息を吐いた。その声色にはいつもの軽快さが影を潜め、冷たい静寂が漂っていた。

「リヴァイアサン。永遠の命を持つ『水龍』だ。五大危険生物の一つに分類されていて、討伐難易度はSランク。これまで数多の実力者たちが挑んだが、誰一人として討伐に成功した者はいない……」

彼女の言葉は、冷静さを保ちながらもどこか哀感が滲んでいた。その眼差しは深淵を覗くようで、冷たい闇が広がるような錯覚を覚える。いつも淡々としたラプラスにしては珍しく、そこには抑えきれない憂いが見えた。

「以前も説明したが、魔物という存在は、極めて不明瞭な点が多い。彼らの行動原理は『人型生物を捕食すること』だ。だが、栄養補給のためではなく、純然たる殺意に基づいていると考えられている。さらに、倒された魔物は瞬く間に朽ち、蒸発するため、解剖や研究もままならない。そのため、魔物の正体や起源は謎に包まれている。最大の謎は、ヤツらには生殖本能が存在しないことだ。子孫を残すことなく、なぜ個体数が増え続けるのか。これが最大の疑問なんだ」

ラプラスの目が、まるで底知れぬ奈落に引き込まれるかのような深淵へと変わった。彼女の話を聞きながら、俺はその鋭い瞳に釘付けになった。

「そ、それって……つまり、誰かが魔物を作ってるってことか?」

自分でも驚くほどの恐怖心が声に表れていた。ラプラスはそのまま沈黙し、しばし俺を見つめ続けた。クオラとセシルも、手を止めてじっと耳を傾け、重々しい空気が周囲を覆った。

「さあね…正体は未だに不明だが、500年以上前から存在しているのは確かだ。君の言う『生物兵器説』も、一理あるだろう。しかし『異界生物説』も無視できない」

ラプラスは俺に視線を向け、続ける。その眼差しは言葉の重みをさらに強く感じさせた。

「だが、ボクが推すのは『魔物人間説』だ」

「は…!?」

その言葉が、まるで炸裂するように響いた。俺も、セシルも、クオラでさえも、呆然とその場に凍りついた。

「魔物が……人間だって?んな話聞いたことねぇーぞ」

クオラは肉を頬張る手を止め、眉をひそめながらラプラスに問いかける。

「ま、魔物が……に、人間だなんて……それ、エルフは、どうなんですか……?エレフならセーフですか?そうですよね?」

セシルはおびえたようにスプーンを置き、震えながらラプラスにすがるような視線を投げかけた。

「正確には『人型生物説』さ。エルフも獣人族も、その枠内に含まれている」

ラプラスは冷たく、何の感情もなく返答した。その一言に、セシルはまるで心が砕け散ったように「ひぃっ」と声を漏らした。

「ど、どういう根拠でそんなことを言ってるんだ?」

俺は言葉を探しながら、ラプラスに問いを投げた。その言葉には、混乱と疑念が混じっていた。

「………………いや?これはあくまで一つの説に過ぎない。証拠も不確かだ。ただの都市伝説のようなものだと、そう考えてもらって構わない」

ラプラスはしばらく考え込むように黙り込んだ後、ゆっくりと口を開いた。だが、その表情には確かな何かを秘めているような、妙な違和感が漂っていた。

「さて…………」

突然、彼女は学術書を手に立ち上がった。

「ボクには少々、確認したいことがある。君たちがクエストに行くのなら、せいぜい気をつけたまえよ~」

そう言いながら、ラプラスはその場を後にし、酒場の奥へと消えていった。彼女の後ろ姿を見送ると、俺たちは再び静寂に包まれた。


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───────────
────


ラプラスは、静かに重い学術書を片手に、酒場の狭い廊下を歩いていた。廊下の壁に掛けられた古びたランプが、薄暗い光をゆらゆらと揺らめかせ、彼女の影をぼんやりと映し出す。その足音さえも、廊下にこだますることなく、静寂の中に溶け込んでいた。歩みを進める彼女の手元で、ふとした瞬間に学術書の間から一枚の写真がゆっくりと滑り落ちた。

「ああ、しまった……」

低く呟き、ラプラスはすぐにしゃがみ込み、その写真を拾い上げる。小さな紙片を慎重に手に取り、彼女は指先で写真に積もったかすかな埃を払い落とした。淡い光が写真に反射し、そこに写された二人の幼い少女の姿が、次第に鮮明に浮かび上がる。

一人は、薄紫色の髪を短く刈り込んだ少女。もう一人は、白銀の長い髪を背中まで流し、頭にはまるで神話から抜け出たような二本の角を誇らしげに生やした少女。二人の無垢な表情には、幼さの中にもどこか鋭い影が差し込んでいる。

ラプラスは、しばらくの間その写真をじっと見つめ、まばたきさえ忘れるほどに見入っていた。そして、わずかに口元を動かし、ほとんど聞き取れない声で、ぽつりとつぶやいた。

「………………シラー。もしかすると、彼なら……」

その言葉は、まるで記憶の底から掘り起こされたかのような、重く、そして悲しげな響きを持っていた。ラプラスの顔には、深い憂いが影を落とし、どこか遠くを見つめるような瞳が、写真の向こうに映る過去の面影を追いかけていた。







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