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第21話 異質な二人
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────クウェール原野付近、Cエリア。
空気が重い。草原を流れる風が止み、静寂が大地を包み込んでいる。遠くで鳥の囀りがかすかに聞こえるが、その音すらもどこか遠のいたように感じる。Bランク冒険者、エイギスとリストはその場に立ち尽くしていた。二人の目の前には、まるで悪夢のような光景が広がっている。
「マジ、かよ………」
エイギスの声は乾いていた。唉が渇き、唾を飲み込むことすら忘れたかのように、その言葉は辛うじて漏れ出た。彼の手に握られていた大剣────、普段はその重量感が手にしっくりと馴染むはずのそれが、今は無意味に感じられ、いつの間にか鞘に戻されていた。
隣にいるリストも同じだった。片手剣を握る手は力を失い、やがてその剣も、音もなく鞘に収まる。彼の顔には驚愕が浮かんでおり、口が半開きになったまま、呆然とその場に立ち尽くしている。
目の前に広がるのは、数十体の魔物たちの屍が、無惨に朽ちていく様だった。地面には黒々とした血が染み込み、まるで地獄のような光景が広がっている。その数はざっと見積もって60を超える。だが、それ以上に恐ろしいのは、その魔物たちが瞬きする間に次々と斬り伏せられていったという事実だった。動きは見えず、音もほとんどなかった。ただ、魔物たちが倒れていく。それは、まるで風が吹き抜けるような静寂の中で、次々と命が失われていくような異様な光景だった。
リストがようやく声を絞り出す。
「すげぇー…………」
その呟きは風に流され、消え入りそうに弱々しかった。
彼らの前に立っているのは、まだ若い一人の青年。その背中がわずかに動き、刀を持つ手には、かすかに返り血が残っている。その黒髪は風に揺れ、鋭い眼光が冷たい輝きを帯びている。青年は、今しがた60体以上の魔物を一人で斬り伏せたその姿とは思えないほど、落ち着いた呼吸をしている。
そして、その最後の一撃───。刀がわずかに空気を裂いた瞬間、最後の魔物が胴を斬り裂かれ、無造作に倒れた。まるで、生命というものが一瞬にして消し去られたかのようだった。彼の動きは無駄がなく、完璧だった。風が起こらぬほどの速さ、斬られる瞬間すら認識させないほどの鋭さ。それはもはや人間業ではない。
鬼神───、そう呼ぶに相応しいその姿に、エイギスとリストは震え上がった。
「.....ア、アイツって、この前、冒険者になったばかりの......」
エイギスが呆然としたまま、リストに問いかける。その声には疑念と驚愕が混じり、まるで現実を受け入れられないかのような響きがあった。
「.....そうだよ.....。確か、名前は────」
───────アカシ・ミライ。
その青年───アカシは、ようやく一息つくと、ゆっくりと深呼吸をした。瞼を軽く閉じ、呼吸を整える。そして、その場に立ったまま、低く囁くように唱えた。
「【メニュー・オープン】」
瞬間、アカシの目の前に、まるでゲームのようなUIが現れる。青白い光を放ちながら、浮かび上がったメニュー画面を淡々と操作するアカシ。彼は、メニューの中から「マップ」を選び、現在地と周辺のエリア構造を確認している。
その表情は冷静だが、どこか苛立ちが滲んでいた。
「アイツらマジでどこ行ったんだよ………」
マップを確認しても、見覚えのない地形ばかりが表示される。俺───アカシは、仲間であるクオラとセシルの3人で、このクエストに出向いたはずだった。しかし、クオラは一人で突っ走り、セシルは魔法を連発してどこかに消えた。彼女達は連携という概念を持たないのだろうか。まだ冒険者になったばかりの俺にとって、このエリアは未知の領域であり、土地勘もない。彼女達がいなければ、俺はここから帰る術さえもない。
「ダメだー、マップ見てもよく分かんねぇ。ちくしょう、探すしかねえな。もう、アイツら何やってんだよ……。おーいクオラ!セシルー!どこにいるんじゃーい!」
俺は苛立ちを抑えきれず、周囲に向かって声を張り上げた。しかし、その瞬間だった。視界の端に、閃光のような何かが飛び込んできた。
「っ!?」
反射的に目を閉じる瞬間、俺の眼球すれすれのところに飛び込んできたのは、一本の鋭利なハサミだった。ほとんど無意識のうちに俺の身体は動き、飛来したハサミを掴み取る。
時間が止まったかのように、一瞬だけ周囲が静まり返った。
「あっぶね…………なんこれ?ハサミ?」
手にしたそれは、驚くほど軽く、だが確かに危険を感じさせるものだった。こんな場所に、なぜハサミが飛んでくる?俺はゆっくりとその方向に目を向けた。そこには薄暗い森が広がっている。葉が生い茂り、視界は悪いが、何かが潜んでいる気配がする。魔物がこんな器用にハサミを投げてくるはずがない。誰かが、俺に向かって故意に投げたのか?
「.....誰か、いるのか?」
俺は警戒しながら声をかける。すると、森の奥から、ゆっくりと人影が浮かび上がり、その者が静かにこちらへ歩み寄ってくるのが見えた。
少年のような小柄な体が、まるで霧と一体化して浮かび上がるかのように、ゆっくりと俺の前へと近づいてくる。木漏れ日が薄暗く照らす中、彼の白髪は一瞬輝きを放ち、無機質なほどに白い肌が露わになった。だが、ただ美しいというだけではない。彼の全体から発せられる異様な気配が、すぐに俺の神経を緊張させた。
「凄いね。僕のハサミを防ぐなんて♪」
その声は、冷たい冬の風のように耳をかすめる。気配を感じる間もなく、少年は俺のすぐ目の前に立っていた。彼の赤い瞳が、まるで血そのもののように深く、真っ直ぐに俺を見つめている。その瞳は四白眼。眼球の大部分が白く、瞳孔の周囲だけが真紅に染まっていた。不気味という言葉では片づけられない、どこか狂気すら感じさせるその視線が、俺を貫いていた。
その白い肌にはツギハギの痕が走り、まるで壊れた人形を繕ったような姿だ。その笑みは、皮肉にも人間的な感情を失ったかのように無機質で、しかし歪んだものだった。彼の細い指は、小さなハサミを握っており、その刃先が鈍く光を反射している。だが、その異様な外見以上に、彼の立ち振る舞いには何か禍々しいものが感じられた。
────サヤ・ゲイン。
彼もまた、クウェールでの緊急クエストに派遣された冒険者の一人。だが、彼は他の冒険者とは大きく異なる存在だった。彼のランクは【Eランク】、冒険者としては最低のランク。しかし、何故か冒険者ギルドのNo.2、サブ・ギルドマスター自らが彼を派遣した異例の存在。魔術師タイプ、属性、ユニークスキル、いずれも不明。
「え、えっとー……誰っすか?」
俺は相手の異様さを察しながらも、冷静に言葉を発した。だが、内心は警戒の色を隠せなかった。この場の空気は張り詰め、彼がただの冒険者ではないことを本能で感じ取っていた。
「やあやあやあ、僕の名前はサヤ・ゲインで~す♪サーヤって呼んでくださいね~♪」
サヤと名乗る少年は、まるでその場を楽しむかのように、歌うような口調で自己紹介をした。その声は軽やかで、不自然に明るかった。だが、その笑みはどこか空虚で、目の奥には何の感情も宿っていない。ただ、見せかけの人形が動いているような錯覚を覚えるほどに、感情のない笑顔だった。
「は、はあ………。あのー、なんかハサミ飛んできましたよ?」
俺は先ほど掴んだハサミを差し出した。まだこの異様な状況に対応しきれていない自分を感じつつも、なんとか対話を続けようと努めていた。
「あっ、ごめんなさ~い♪魔物倒そうとしたら、間違えて飛ばしちゃいました~♪」
彼の口調はあまりにも軽すぎる。まるで、事の重大さを理解していないかのように聞こえるが、彼がただの無邪気な子供であるはずがない。反省の色は一切感じられず、むしろその笑顔の裏に潜む何かが、じわじわとこちらに迫ってくるような不快感が胸に広がった。俺を狙ってハサミを投げた、そう考えるのが自然だが、確証はない。
「イヒ、イヒヒヒヒヒヒ♪」
サヤは突然、薄気味悪い笑い声を上げた。高く、甲高いその笑い声が、空気を切り裂くように耳に刺さった。背筋が冷たくなる。この笑い声、何かが狂っている。間違いない、この少年はまともじゃない。
「(あー、なんかこれ、またやべー人だわ)じゃ、じゃあ、俺行きますね……。失礼しまーす……」
ここにいるべきじゃない。この異様な状況から距離を取らなければならない。俺はゆっくりと後退しながら、相手を刺激しないように気を遣い、言葉を選んだ。クオラとセシルを見つける方が今は最優先だ。俺がこの場にいる理由などないし、この少年が何者であろうと、深く関わってはいけないと直感が告げていた。
「ふんふん……。話は聞いてますよ~♪アカシ・ミライ、なかなかですな~♪」
サヤは、俺の名前を口にしながら、不気味な笑みをさらに深めた。彼の眼差しは、まるで獲物を見定めるかのようで、その視線は背後から釘付けにされるような圧力があった。その笑みには、何か別の意味が込められているようで、俺はその意図を探ることもできず、ただ胸騒ぎを覚えるしかなかった。
「けど、まだも~ちょい時間がいるかな~♪」
その言葉は謎めいており、意味を理解する暇もなく、彼の姿は音もなく森の中へと消えていった。まるで霧のように、その存在そのものが一瞬にして消え去り、森の静けさだけが戻ってきた。
風が再び頬を撫で、冷たい空気が肺に染み渡る。俺は立ち尽くし、彼が消えた方角をしばらく見つめた。まるで、その場にいたことすら幻だったかのような静寂が戻ったが、俺の心には不安がじわじわと広がっていた。
「何なんだ、あいつは……」
その疑問が頭を離れず、気を引き締め直すように深呼吸し、俺は再び歩き出した。今はとにかく、クオラとセシルを見つけなければ。
空気が重い。草原を流れる風が止み、静寂が大地を包み込んでいる。遠くで鳥の囀りがかすかに聞こえるが、その音すらもどこか遠のいたように感じる。Bランク冒険者、エイギスとリストはその場に立ち尽くしていた。二人の目の前には、まるで悪夢のような光景が広がっている。
「マジ、かよ………」
エイギスの声は乾いていた。唉が渇き、唾を飲み込むことすら忘れたかのように、その言葉は辛うじて漏れ出た。彼の手に握られていた大剣────、普段はその重量感が手にしっくりと馴染むはずのそれが、今は無意味に感じられ、いつの間にか鞘に戻されていた。
隣にいるリストも同じだった。片手剣を握る手は力を失い、やがてその剣も、音もなく鞘に収まる。彼の顔には驚愕が浮かんでおり、口が半開きになったまま、呆然とその場に立ち尽くしている。
目の前に広がるのは、数十体の魔物たちの屍が、無惨に朽ちていく様だった。地面には黒々とした血が染み込み、まるで地獄のような光景が広がっている。その数はざっと見積もって60を超える。だが、それ以上に恐ろしいのは、その魔物たちが瞬きする間に次々と斬り伏せられていったという事実だった。動きは見えず、音もほとんどなかった。ただ、魔物たちが倒れていく。それは、まるで風が吹き抜けるような静寂の中で、次々と命が失われていくような異様な光景だった。
リストがようやく声を絞り出す。
「すげぇー…………」
その呟きは風に流され、消え入りそうに弱々しかった。
彼らの前に立っているのは、まだ若い一人の青年。その背中がわずかに動き、刀を持つ手には、かすかに返り血が残っている。その黒髪は風に揺れ、鋭い眼光が冷たい輝きを帯びている。青年は、今しがた60体以上の魔物を一人で斬り伏せたその姿とは思えないほど、落ち着いた呼吸をしている。
そして、その最後の一撃───。刀がわずかに空気を裂いた瞬間、最後の魔物が胴を斬り裂かれ、無造作に倒れた。まるで、生命というものが一瞬にして消し去られたかのようだった。彼の動きは無駄がなく、完璧だった。風が起こらぬほどの速さ、斬られる瞬間すら認識させないほどの鋭さ。それはもはや人間業ではない。
鬼神───、そう呼ぶに相応しいその姿に、エイギスとリストは震え上がった。
「.....ア、アイツって、この前、冒険者になったばかりの......」
エイギスが呆然としたまま、リストに問いかける。その声には疑念と驚愕が混じり、まるで現実を受け入れられないかのような響きがあった。
「.....そうだよ.....。確か、名前は────」
───────アカシ・ミライ。
その青年───アカシは、ようやく一息つくと、ゆっくりと深呼吸をした。瞼を軽く閉じ、呼吸を整える。そして、その場に立ったまま、低く囁くように唱えた。
「【メニュー・オープン】」
瞬間、アカシの目の前に、まるでゲームのようなUIが現れる。青白い光を放ちながら、浮かび上がったメニュー画面を淡々と操作するアカシ。彼は、メニューの中から「マップ」を選び、現在地と周辺のエリア構造を確認している。
その表情は冷静だが、どこか苛立ちが滲んでいた。
「アイツらマジでどこ行ったんだよ………」
マップを確認しても、見覚えのない地形ばかりが表示される。俺───アカシは、仲間であるクオラとセシルの3人で、このクエストに出向いたはずだった。しかし、クオラは一人で突っ走り、セシルは魔法を連発してどこかに消えた。彼女達は連携という概念を持たないのだろうか。まだ冒険者になったばかりの俺にとって、このエリアは未知の領域であり、土地勘もない。彼女達がいなければ、俺はここから帰る術さえもない。
「ダメだー、マップ見てもよく分かんねぇ。ちくしょう、探すしかねえな。もう、アイツら何やってんだよ……。おーいクオラ!セシルー!どこにいるんじゃーい!」
俺は苛立ちを抑えきれず、周囲に向かって声を張り上げた。しかし、その瞬間だった。視界の端に、閃光のような何かが飛び込んできた。
「っ!?」
反射的に目を閉じる瞬間、俺の眼球すれすれのところに飛び込んできたのは、一本の鋭利なハサミだった。ほとんど無意識のうちに俺の身体は動き、飛来したハサミを掴み取る。
時間が止まったかのように、一瞬だけ周囲が静まり返った。
「あっぶね…………なんこれ?ハサミ?」
手にしたそれは、驚くほど軽く、だが確かに危険を感じさせるものだった。こんな場所に、なぜハサミが飛んでくる?俺はゆっくりとその方向に目を向けた。そこには薄暗い森が広がっている。葉が生い茂り、視界は悪いが、何かが潜んでいる気配がする。魔物がこんな器用にハサミを投げてくるはずがない。誰かが、俺に向かって故意に投げたのか?
「.....誰か、いるのか?」
俺は警戒しながら声をかける。すると、森の奥から、ゆっくりと人影が浮かび上がり、その者が静かにこちらへ歩み寄ってくるのが見えた。
少年のような小柄な体が、まるで霧と一体化して浮かび上がるかのように、ゆっくりと俺の前へと近づいてくる。木漏れ日が薄暗く照らす中、彼の白髪は一瞬輝きを放ち、無機質なほどに白い肌が露わになった。だが、ただ美しいというだけではない。彼の全体から発せられる異様な気配が、すぐに俺の神経を緊張させた。
「凄いね。僕のハサミを防ぐなんて♪」
その声は、冷たい冬の風のように耳をかすめる。気配を感じる間もなく、少年は俺のすぐ目の前に立っていた。彼の赤い瞳が、まるで血そのもののように深く、真っ直ぐに俺を見つめている。その瞳は四白眼。眼球の大部分が白く、瞳孔の周囲だけが真紅に染まっていた。不気味という言葉では片づけられない、どこか狂気すら感じさせるその視線が、俺を貫いていた。
その白い肌にはツギハギの痕が走り、まるで壊れた人形を繕ったような姿だ。その笑みは、皮肉にも人間的な感情を失ったかのように無機質で、しかし歪んだものだった。彼の細い指は、小さなハサミを握っており、その刃先が鈍く光を反射している。だが、その異様な外見以上に、彼の立ち振る舞いには何か禍々しいものが感じられた。
────サヤ・ゲイン。
彼もまた、クウェールでの緊急クエストに派遣された冒険者の一人。だが、彼は他の冒険者とは大きく異なる存在だった。彼のランクは【Eランク】、冒険者としては最低のランク。しかし、何故か冒険者ギルドのNo.2、サブ・ギルドマスター自らが彼を派遣した異例の存在。魔術師タイプ、属性、ユニークスキル、いずれも不明。
「え、えっとー……誰っすか?」
俺は相手の異様さを察しながらも、冷静に言葉を発した。だが、内心は警戒の色を隠せなかった。この場の空気は張り詰め、彼がただの冒険者ではないことを本能で感じ取っていた。
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俺は先ほど掴んだハサミを差し出した。まだこの異様な状況に対応しきれていない自分を感じつつも、なんとか対話を続けようと努めていた。
「あっ、ごめんなさ~い♪魔物倒そうとしたら、間違えて飛ばしちゃいました~♪」
彼の口調はあまりにも軽すぎる。まるで、事の重大さを理解していないかのように聞こえるが、彼がただの無邪気な子供であるはずがない。反省の色は一切感じられず、むしろその笑顔の裏に潜む何かが、じわじわとこちらに迫ってくるような不快感が胸に広がった。俺を狙ってハサミを投げた、そう考えるのが自然だが、確証はない。
「イヒ、イヒヒヒヒヒヒ♪」
サヤは突然、薄気味悪い笑い声を上げた。高く、甲高いその笑い声が、空気を切り裂くように耳に刺さった。背筋が冷たくなる。この笑い声、何かが狂っている。間違いない、この少年はまともじゃない。
「(あー、なんかこれ、またやべー人だわ)じゃ、じゃあ、俺行きますね……。失礼しまーす……」
ここにいるべきじゃない。この異様な状況から距離を取らなければならない。俺はゆっくりと後退しながら、相手を刺激しないように気を遣い、言葉を選んだ。クオラとセシルを見つける方が今は最優先だ。俺がこの場にいる理由などないし、この少年が何者であろうと、深く関わってはいけないと直感が告げていた。
「ふんふん……。話は聞いてますよ~♪アカシ・ミライ、なかなかですな~♪」
サヤは、俺の名前を口にしながら、不気味な笑みをさらに深めた。彼の眼差しは、まるで獲物を見定めるかのようで、その視線は背後から釘付けにされるような圧力があった。その笑みには、何か別の意味が込められているようで、俺はその意図を探ることもできず、ただ胸騒ぎを覚えるしかなかった。
「けど、まだも~ちょい時間がいるかな~♪」
その言葉は謎めいており、意味を理解する暇もなく、彼の姿は音もなく森の中へと消えていった。まるで霧のように、その存在そのものが一瞬にして消え去り、森の静けさだけが戻ってきた。
風が再び頬を撫で、冷たい空気が肺に染み渡る。俺は立ち尽くし、彼が消えた方角をしばらく見つめた。まるで、その場にいたことすら幻だったかのような静寂が戻ったが、俺の心には不安がじわじわと広がっていた。
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