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第二章
Side ランス②
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「一旦飲み物でも飲んで落ち着こうか?」
「…う、うん」
こんなにあたふたしてるティア殿下ってホント初めて見る。飲み物を一口、二口と、口にしてから少しだけ落ち着きを取り戻したティアが意を決した様にその言葉を口にした…。
「や、やっぱり私って…そにょお~、エルの事が好きなのかな?」
「それは…ティア殿下にしか分からないんじゃあないかな?」
いや…まあ、本人が分かっていなかっただけで、周りから見ればすぐに分かると思うんだけどね…。
「うっ…だよね…じゃあ…ちょっとだけ聞いてくれる?」
「それは勿論。ゆっくりでいいからエルに思う事とかあったら聞かせてくれる?」
「…エルに思う事?」
「僕達は3歳の時に初めて会ったでしょ?」
「…うん」
「その時はエルに対して何も思わなかったの?」
「ええ~と、生誕祭の前日の事なんだけど…迷子になっていたミミちゃんという女の子に声を同時に掛けたのがエルとの出会いだったの。その時は確かエルの事…女の子だと思っていたっけ。それで一緒にミミちゃんのお母さんを捜してあげて―」
そっかぁ…2人は既に生誕祭の前に出会ってたんだね…。
「そう…なんだ。そ、それで?」
「生誕際当日にエルに…て、天使か女神が降臨したみたいとかキリッとしたカッコいい顔で言われちゃって…」(かぁ~…)
「…僕もそう思う。ティア殿下は天使か女神みたいに綺麗だと思うよ」
「ありがとうね?お世辞でも嬉しいよ」
僕の言葉じゃあ…表情は変わらない…か。
それにしてもエルってば。天使や女神が降臨したみたいって…がっつり口説いているじゃん!?しかもその時点で既にティア殿下堕ちているよねぇ!?
「生誕祭以来エルの事ばかり考える事が多くなって…エルの事を思うと心臓の鼓動が速くなったり…トクントクンって心地良いリズムを奏でたりしてるみたいで…だから会えない分、せめて手紙だけでもやり取りをと思って手紙を書いて送ったりしたんだけど…エルってば返事が遅くて…それでムカムカしたりして…」
エルの事を思うだけでそうなるんだね。
「で、最初の手紙の返事が来た時には凄く嬉しかったんだけど…レイラさんっていう可愛くて綺麗な女の子がいるんだけど、そのレイラさんを侍女にしたとか書いてあった時にはモヤモヤするというか、イライラしたというか…」
それって嫉妬だよねっ!?そんな感じになってるのに何故気付かないのっ!?ティアの感情の回線はどっかで切れてるのっ!?それこそエルが売り出したサ◯ウの切り餅だよね!?
「でも、そんな優しい所がまたいいというか…でもやっぱりレイラさんの事が気になるから、その~エリンにも手紙を書いてエルの近況報告を内緒で報告してもらうようにしたんだけど…あっ…これはエルには内緒だからねっ?ランスだから話したんだからね?」
ティアは人差し指を口元に持っていき内緒だよのポーズをしている…。その可愛いさにやっぱり僕はドキドキとしてしまう。
ただ…やってる事アウトじゃね?全部ティアに筒抜けみたいだよ、エル…?
「それでエリンからの報告だとレイラさんと一緒に寝てるとか一緒にお風呂まで入ってるとか言うから…たま~にたまにだよっ?丑の刻参りを何回か実行したりして…」
いや、怖い怖いよティア!?付き合ってもいない相手に丑の刻参りって!?好きな相手を呪ってどうするのさぁ?そんな事するよりもまずは自分の気持ちに気付こうよっ?病んでるやん!それ病んでる奴や~ん!?たま~にじゃないよ、全く…。
「だから…先日はどうしてもエルに会いたくなって…我慢出来ずにゴミと…失礼…陛下と領地の視察がてらエルの領地に行ってきたの」
また、陛下の事ゴミって言った!?ホント何があったの!?そこも詳しく聞きたいけど教えてくれないだろうな…。
「そして久しぶりにやっとエルに会えると思ってたら、ちょうど隣国のミリア殿下がエルに婚約を迫っている最中で…」
エルぅぅぅー!?君は隣国の殿下迄堕としたのっ!?プリンセスキラーな訳ぇ!?
「ホントは1ミリも思い出したくはないんだけど、おっぱい星人が降臨して場をカオスに仕上げやがって…」
おっぱい!?おっぱい星人って言った!?殿下ともあろう女の子がそんなおっぱいだなんて口にしないでぇ!? ある意味ご褒美だけども。
えっ…ホントにその時、何があったの?それって一体誰の事っ!?
「まあ、そこは忘れる事にして…。何日間かエルと一緒に過ごして…釣りをしながらエルの横顔を見つめていたり、て、手を繋ぎたくて…でも、繋げなくて…手をエルの手に差し出したり引っ込めたりしていたら…お互いの手が触れて…そしたら手をキュッと握ってくれたり…一緒に味噌田楽って食べ物を食べた時には、エルの口元に味噌が付いてたから、つい無意識に指でそれを掬い取って、自分の口にパクって…」
甘――――――――い!!!聞いただけでも甘すぎる!苦い物が飲みたくなるっ!!!逆に何でそれで付き合っていないわけ?かなりお熱だよね!?それは恋人達の甘い時間だよっ!?
「それからも…考える事はエルの事ばかりで…」
「それっ、完全に惚れてるよね?なんならもう、既に堕とされて堕とされまくっているよね?エルの事ばかり考えるのはエルの事が大好きだから考えるんだよ?」
「…やっぱり?この気持ちがそうなの?」
「…自覚しようよ、ティア殿下」
「こ、こういう気持ちは…は、初めてで…自分でもどうすればいいか分からなくて…」
「ティア殿下はどうしたいの?」
「え~と…書物に書いてあるみたいに…薬で眠らせてから、一生監禁して…「ストップストップ!それ間違った書物だからねっ!?」…えっ?」
思考が危ういよっ!?何…薬で眠らせて一生監禁しようとしてるのさ!?
「どうしたいかなんて…分からないよ」
話を聞く限りじゃあ、エルの気持ちは分からないけどティア殿下はかなり惚れているのが分かる。でも…だからといって…相手に好きな人がいたからといって諦める理由にはならないよね?
「ティアで… ティア」
「んっ、な~に、ランス? 私はこれからどうすればいいのか、何かいいアドバイスでもあるの?」
「僕は…」
「うんうん」
「ティア…君が好きです」
「………えっ?」
「…う、うん」
こんなにあたふたしてるティア殿下ってホント初めて見る。飲み物を一口、二口と、口にしてから少しだけ落ち着きを取り戻したティアが意を決した様にその言葉を口にした…。
「や、やっぱり私って…そにょお~、エルの事が好きなのかな?」
「それは…ティア殿下にしか分からないんじゃあないかな?」
いや…まあ、本人が分かっていなかっただけで、周りから見ればすぐに分かると思うんだけどね…。
「うっ…だよね…じゃあ…ちょっとだけ聞いてくれる?」
「それは勿論。ゆっくりでいいからエルに思う事とかあったら聞かせてくれる?」
「…エルに思う事?」
「僕達は3歳の時に初めて会ったでしょ?」
「…うん」
「その時はエルに対して何も思わなかったの?」
「ええ~と、生誕祭の前日の事なんだけど…迷子になっていたミミちゃんという女の子に声を同時に掛けたのがエルとの出会いだったの。その時は確かエルの事…女の子だと思っていたっけ。それで一緒にミミちゃんのお母さんを捜してあげて―」
そっかぁ…2人は既に生誕祭の前に出会ってたんだね…。
「そう…なんだ。そ、それで?」
「生誕際当日にエルに…て、天使か女神が降臨したみたいとかキリッとしたカッコいい顔で言われちゃって…」(かぁ~…)
「…僕もそう思う。ティア殿下は天使か女神みたいに綺麗だと思うよ」
「ありがとうね?お世辞でも嬉しいよ」
僕の言葉じゃあ…表情は変わらない…か。
それにしてもエルってば。天使や女神が降臨したみたいって…がっつり口説いているじゃん!?しかもその時点で既にティア殿下堕ちているよねぇ!?
「生誕祭以来エルの事ばかり考える事が多くなって…エルの事を思うと心臓の鼓動が速くなったり…トクントクンって心地良いリズムを奏でたりしてるみたいで…だから会えない分、せめて手紙だけでもやり取りをと思って手紙を書いて送ったりしたんだけど…エルってば返事が遅くて…それでムカムカしたりして…」
エルの事を思うだけでそうなるんだね。
「で、最初の手紙の返事が来た時には凄く嬉しかったんだけど…レイラさんっていう可愛くて綺麗な女の子がいるんだけど、そのレイラさんを侍女にしたとか書いてあった時にはモヤモヤするというか、イライラしたというか…」
それって嫉妬だよねっ!?そんな感じになってるのに何故気付かないのっ!?ティアの感情の回線はどっかで切れてるのっ!?それこそエルが売り出したサ◯ウの切り餅だよね!?
「でも、そんな優しい所がまたいいというか…でもやっぱりレイラさんの事が気になるから、その~エリンにも手紙を書いてエルの近況報告を内緒で報告してもらうようにしたんだけど…あっ…これはエルには内緒だからねっ?ランスだから話したんだからね?」
ティアは人差し指を口元に持っていき内緒だよのポーズをしている…。その可愛いさにやっぱり僕はドキドキとしてしまう。
ただ…やってる事アウトじゃね?全部ティアに筒抜けみたいだよ、エル…?
「それでエリンからの報告だとレイラさんと一緒に寝てるとか一緒にお風呂まで入ってるとか言うから…たま~にたまにだよっ?丑の刻参りを何回か実行したりして…」
いや、怖い怖いよティア!?付き合ってもいない相手に丑の刻参りって!?好きな相手を呪ってどうするのさぁ?そんな事するよりもまずは自分の気持ちに気付こうよっ?病んでるやん!それ病んでる奴や~ん!?たま~にじゃないよ、全く…。
「だから…先日はどうしてもエルに会いたくなって…我慢出来ずにゴミと…失礼…陛下と領地の視察がてらエルの領地に行ってきたの」
また、陛下の事ゴミって言った!?ホント何があったの!?そこも詳しく聞きたいけど教えてくれないだろうな…。
「そして久しぶりにやっとエルに会えると思ってたら、ちょうど隣国のミリア殿下がエルに婚約を迫っている最中で…」
エルぅぅぅー!?君は隣国の殿下迄堕としたのっ!?プリンセスキラーな訳ぇ!?
「ホントは1ミリも思い出したくはないんだけど、おっぱい星人が降臨して場をカオスに仕上げやがって…」
おっぱい!?おっぱい星人って言った!?殿下ともあろう女の子がそんなおっぱいだなんて口にしないでぇ!? ある意味ご褒美だけども。
えっ…ホントにその時、何があったの?それって一体誰の事っ!?
「まあ、そこは忘れる事にして…。何日間かエルと一緒に過ごして…釣りをしながらエルの横顔を見つめていたり、て、手を繋ぎたくて…でも、繋げなくて…手をエルの手に差し出したり引っ込めたりしていたら…お互いの手が触れて…そしたら手をキュッと握ってくれたり…一緒に味噌田楽って食べ物を食べた時には、エルの口元に味噌が付いてたから、つい無意識に指でそれを掬い取って、自分の口にパクって…」
甘――――――――い!!!聞いただけでも甘すぎる!苦い物が飲みたくなるっ!!!逆に何でそれで付き合っていないわけ?かなりお熱だよね!?それは恋人達の甘い時間だよっ!?
「それからも…考える事はエルの事ばかりで…」
「それっ、完全に惚れてるよね?なんならもう、既に堕とされて堕とされまくっているよね?エルの事ばかり考えるのはエルの事が大好きだから考えるんだよ?」
「…やっぱり?この気持ちがそうなの?」
「…自覚しようよ、ティア殿下」
「こ、こういう気持ちは…は、初めてで…自分でもどうすればいいか分からなくて…」
「ティア殿下はどうしたいの?」
「え~と…書物に書いてあるみたいに…薬で眠らせてから、一生監禁して…「ストップストップ!それ間違った書物だからねっ!?」…えっ?」
思考が危ういよっ!?何…薬で眠らせて一生監禁しようとしてるのさ!?
「どうしたいかなんて…分からないよ」
話を聞く限りじゃあ、エルの気持ちは分からないけどティア殿下はかなり惚れているのが分かる。でも…だからといって…相手に好きな人がいたからといって諦める理由にはならないよね?
「ティアで… ティア」
「んっ、な~に、ランス? 私はこれからどうすればいいのか、何かいいアドバイスでもあるの?」
「僕は…」
「うんうん」
「ティア…君が好きです」
「………えっ?」
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