男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴

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第二章

Side ランス①

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 もうすぐ王都で行われるティア殿下の5歳の生誕祭。僕と母様は少し早く王都へと向かった。母様が気を利かせてくれたんだと思う。僕がティア殿下とエルの事ばかり話しているから…。2人に一日でも早く会いたいと思う…。 

 久しぶりの王都は相変わらず賑やかだった…。僕達の領地よりも遥かに賑わっている。これはエルのお陰だよね?

 だって僕達の領地もその恩恵を受けているんだ。何で恩恵を僕達が受けているのかっていうと、それはエルが思いついたリバーシに独楽。この2つは急速に世界中にエルの名と共に広まり、今やなくてはならない娯楽品となっているんだけど、それの製作を僕達の領地で請け負っているからだ。

 エルが言うには一所ひとところだけ発展してしまうと廃れてしまう所が出て来てしまうとかなんとか…色々言っていた…。ホント僕と同じ歳とは思えないよね?

 それに手紙で知ったんだけど『しょうゆ』と『す』という調味料の製作にエルは着手しているそうで、もうすぐそれらが出来るとも書いてあった。味噌でも革命過ぎたんだけどね。

 そんなエルを知ってるからこそ僕も負けじと勉学に武芸にと頑張れるんだけど…エルとの差は大きく…余計に広がっていってるって感じてしまう時がある…。それでも…いつか僕もエルに追い付き、追い越したいと思う。そして自分を誇れる様になりたいと思う。それが今の僕が思う事だ…。 

 そんな事を考えながら母様と宿に向かった後、しばらく体を休める事になった。そして体が休まった頃合いを見て母様が僕に言った。

「じゃあ…そろそろ、ランス。ティア殿下に会いに行きましょうか?」 

「えっ!?」 

「ふふっ…早くティア殿下に会いたいんでしょう?」 

「そ、そんな事は…」

「だって顔に書いてあるもの…ふふふ」

  母様は優しく微笑みながら僕を慎ましいものを見る感じで見ている。どうやら母様には僕の気持ちは全部見透かされているみたい…。そんなに分かりやすかったかな? 

「さあ、では行きましょうか!」 

「う、うん」

 王城へ向かい、まずは陛下に挨拶から…。それにしてもいつ見ても陛下のお姿は威厳があってカッコいいよね?あの長いお髭と全てを見通すかの様な鋭い目。

 お年を取られてはいるけどそれを感じさせない覇気というのかな?それを感じる。それに頭に載せた王冠、そして背に装着している赤いマントがまたカッコいい!もしもティア殿下と結婚したとしたら、こんなにもカッコいい人が僕のお義父さんになるのか。くぅ~~~。憧れるぅぅ! 

 そんな憧れの陛下との挨拶を終えた後は母様と一緒に王城の中庭へと向かう。どうやらそこにティア殿下は居るみたい。王城の中庭にはカフェテラスって言って城の人達がお茶等を楽しむ場所があるんだ。これもエルが提案したらしいんだけど…。エルってどれだけ凄さを見せつけてくるのさ…。自信なくして泣いちゃうよ、僕 ?

 そんな事を思っているとティア殿下の姿が目に入った。今日は軍服っていうのかな?訓練の時に着る服をティア殿下は身に着けていてその姿は凛々しくてカッコいい。  

 服装から察するに…どうやらこの後、武術の訓練の時間みたい。訓練前に少しでも話せて良かったと思いながらティア殿下の元へ。そして、ボウ・アンド・スクレープ。最近母様に習った男性の挨拶の仕方だ。 

「ティア殿下お久しぶりですね?」 

「ティア殿下…お、お久しぶりです」 

 緊張して声が震えてしまうね。

「お久しぶりです。テレサ様 ランス様」 

 挨拶を軽く交わした後、母様は別行動をとられた。僕に気を利かせてくれたんだと思う。まずは何気ない話をして、それから話は陛下の話へ。 

「ホント陛下ってカッコいいよね?」 

「…はっ?」 

 あ、あれっ………?思ってた表情と反応が違う!?な、何で!?なんだかティアの目が若干虚ろに…。そして遠くの方の空を見上げる。

 陛下と何かあったの!?

「…ああ…うん…そう…だね…」

 絶対それ、本心じゃないよねっ!?ホント何があったの!? 

「え~と…その~ 陛下と何かあった…の?」 

「えっ…ううん…何でもないよ?ゴミ…ううん、失礼…陛下とは何もないよ?適切な適切な距離を保ってるからね?」

 ゴミ!?ゴミって言った!?しかもお父様って呼ぶのを躊躇われて塵と書いて陛下と言い直したよ!?それに適切って強調するかの様に何故2回も言ったの!?

 それって、全然大丈夫じゃあないよね!?ホント何があったの!?ティア殿下ってこんな感じだったっけ!?と、とりあえず陛下の話はしない方がいいよね?

 だったら他の話題を… 

「エ、エルはどうしてるかな?今頃こっちに向かってると思う?」 

「エ、エルって…あのエル…の事?」 

 え~と…エルって一人しか居ないよね?他にも居たっけ?居ないよね!?

 エルの名を出した途端、ティア殿下がモジモジしだして…頬迄赤くなってるし…

 そんなティア殿下の様子を見たら誰でも分かる。こんなの分からない人なんていないだろう…。ティア殿下ってエルの事が好き…だったんだな…。

「ティ…ティア殿下」 

「な、なにっ!?」

「エルと…何かありました?」

「ふぇっ!?にゃ…にゃんにもなかった…よ?」

 それ…何かあったやつぅぅぅぅぅぅーーーーー(宮川◯輔さん風)!絶対に何かあってるじゃん。

 それを考えるとチクチクと胸が痛み…張り裂けそうになる。

「あうあう…」 

「あ、あうあう…じゃないと思うけど…」 

 そっかあ…しょうがないよね…。エルって見た目もカッコいいし、中身も凄いしね。僕が女性だったら間違いなく惚れてると思う。

 でも…でも…まだ本人の口からは何があったのかとか婚約したとかそういうのを含めて何も聞いてない。

「ティア殿下…と、友達として聞くけど…エルの事が好き…なんだよね? ふ、2人は婚約…したの?」 

「………えっ?」

  えっ?って何!?こっちがえっ?なんだけど!?マジかっ!?自分の気持ちにすら気付いていなかったのっ!? 

「すすすすす、好きっ!?わわわわわわわわわわ、私がっ!?ええええええ、エリュをっ!?エリュとこんにゃく!?あわわわわわ…」 

 目の前であたふたあたふたしているティア殿下。そんなティア殿下を見て僕は…
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