【R18】一匹狼は愛とか恋とか面倒くさい

藍生らぱん

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高等部 一年目 卯月

012 1年S組委員長・牧島良彦の心労 1

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学食イベント? 巻き込まれ委員長視点

────────

入学式から一週間経った頃、転校生がやって来た。

僕──牧島まきしま良彦よしひこが所属する1年S組は成績上位者の特別クラスで、成績優秀な生徒の他に、アルファ性のスポーツ特待生や留学生、帰国子女が振り分けられている。

転校生は初等部の低学年の時にご両親の仕事の都合でヨーロッパに渡り、各国を転々としていたらしい。

「天野すばる、ヨロシクな!」

アルファらしい均整の取れた体躯に不釣り合いな真っ黒いアフロヘアにグルグル眼鏡・・・

突拍子もない出で立ちに歓声を上げたのはスポーツ特待生のクラスメイト達だった。

特待生の中でも有名な、陸上部のスプリンター、早田はやたかける君とは席が隣ということもあって、すぐに打ち解けていた。

僕はβだけど学年一位の成績だったせいでS組の委員長になってしまった。

担任の城山先生から天野君が慣れるまでのお世話を頼まれたこともあって3人で学食へ向かった。

そこで、生徒会親衛隊の阿鼻叫喚の大騒ぎになった事件が起こってしまった。

学食の利用の仕方やマナーを教えながらランチを食べ終わった時、
「颯っちだ!」
急に天野君が立ち上がって二階席に向かって走り出した。
「ヤバいんじゃね?」
一般生徒立ち入り禁止の二階席にただのクラス委員長の僕は入れない。

二階席は生徒会役員と専門委員会の委員長と副委員長、各部の部長、主将、副部長、副主将、そしてその番の皆様だけだ。

早田君も特待生とは言え平の部員、当然行ける筈もなく、ハラハラと二階席を見上げることしか出来ない。
「ねえ、天野君が口走ってた名前、神月君だったりしないよね?」
「ビンゴっぽいぞ・・・」
天野君のアフロ頭が吹き抜け寄りのカウンター席に座る美少年に近付いている。
生徒会長の鬼柳院様がその美少年──神月颯君の隣の席に座っていた。

鬼柳院様はどうやら甘味をエサに神月君を口説いていたようだ。
神月君の親衛隊のお兄様方が神月君を逃がすフォーメーションを取り始めている。

そこへ乱入したのは天野君だ。
天野君は鬼柳院様の貢ぎ物を毒味?
そして毒味した甘味を神月君に給餌しょうとしたけれど、神月君に拒否された。

ベテラン給仕スタッフの皆様方の連携もあって無事に一階に降り立った神月君、そして後続を阻むように階段下の降り口に肉壁が出来上がる。

「「「「「おお~」」」」」
あっという間に肉壁を作ったお兄様方に賞賛の歓声が上がる。

肉壁に進路を阻まれた天野君と鬼柳院様が抗議しているみたいだけれど、神月君が安全地帯に入らない限りビクともしない。

不意に、階段の中段辺りで野次馬をしていた生徒達の先頭にいた生徒会庶務の双子、各務君達がフラリとバランスを崩して天野君と鬼柳院様にぶつかった。

遠目だったけど、肉壁の足の隙間から天野君と鬼柳院様が折り重なるように倒れているのが見えた。

サッと肉壁が無くなり、各務君達が嬉々としてスマホを倒れた二人にむけて何か言っている。

各務君達がスマホを奪おうとする鬼柳院様から逃れるように学食から出て行った。
それを追う鬼柳院様。
そして、真っ青な顔でヨロヨロと歩き出す天野君。

階段での出来事を間近で見ていた親衛隊の子たちが
「アフロコロス・・・」
「アフロに制裁」
物騒な言葉を繰り返す。

何があったの!

その時、一斉にスマホのメール受信音が鳴り響いた。
スマホの受信画面には生徒会からのお知らせの通知。

通知をタップすると鬼柳院様と天野君のキスシーンの画像が
・・・

「「「「「イヤー!!」」」」」

生徒会長親衛隊の阿鼻叫喚の雄叫びが学食を中心に暫くの間、鳴り止まなかった。

そしてその日、天野君は教室に戻らなかった。
    
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