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高等部 一年目 皐月 新入生歓迎会
026 新入生歓迎会 8
しおりを挟む**天野すばる視点**
呪文の人(留学生っぽい)が呼ばれてステージに向かった。
列を詰めるとステージ袖からミニシアターの座席が見えた。
入り口扉より上の真ん中の座席に、「怪人」の腕章をつけた大怪盗のコスプレをした俺の組の担任のリョースケが座っていた。
そしてリョースケの隣に、チャイナドレス着て広げた扇で顔を隠している人。
呪文の人が途中退場になったので次は俺の番。
ステージ中央に立って、なんとなくチャイナドレスの人を見上げる。
「あ・・・」
チャイナドレスの人が扇を少しずらして顔を出し、紅い唇に人差し指を当てて唇を動かした。
ナイショ
俺が頷くと、チャイナドレスを着た美女にしか見えない健太が微笑んで再び扇で顔を隠した。
俺は間違えることなく「平家物語」冒頭を暗唱した。
スタンプカードをゲットし、和やかに微笑んで拍手をする健太を見上げた。
「特待生、確保~」
観客席へ抜ける扉付近で颯っちが翔を捕まえている姿が見えた。
「やべっ」
俺は健太に手を振ると舞台袖に戻ってキャスト用出入口からミニシアターの外へ出た。
「はい、ご苦労さん。確保。」
「ふえっ?」
外へ出た途端、出入口の両側にいた上級生の捜査員二人に肩をポンポンされた。
そしてスタンプカードを没収されて、収容所に連行された。
収容所はちょっとしたカフェっぽくなっていて、隅っこの方の席でイチャイチャしている捜査員と逃走者のCPと逃走者と探偵、もしくは怪盗のCPが何組かいた。
「俺も健太とイチャイチャしたかった~」
と、俺が呟いてる側で
「チャイナドレスの君とお近づきになりたかった~」
と、翔の声。
「リア充どもめ!」
そして苦虫をかみつぶしたような顔と声音で、翔が吐き捨てるようにCP達を羨ましげに睨んでいた。
「すばる、淋しい独り身同士語り合おうぜ。」
翔は俺の腕を取って空いてる席に座った。
「俺、運命の番いるから独り身じゃないぞ?」
「う、ウソっ!」
「嘘じゃないぞ。」
「証拠は?」
「写真見る?
3年位前にパリで会った時のとっておきのがある。」
俺はそう言ってからスマホを出して画像を翔に見せた。
「よ、妖精?」
画像の中の3年前の健太は亜麻色の長いウェーブのカツラに花冠を載せて、薄い黄緑色のシフォンを何枚も重ねた可愛いドレス姿だ。
メイクも今日みたいな派手なやつじゃなくて、ナチュラル系の儚げ美少女メイクだ。
たまたま父ちゃんの指揮する楽団の演奏旅行に拉致られてパリに滞在してた時、健太の姉ちゃんのブランドの撮影とかパリコレに参加するとかで来てたのとスケジュールが合ったんだ。
母ちゃんに連れられて、演奏会の合間に撮影を見守り、パリコレも客席で見守ったんだ。
「なあ、ホントに番なのか?」
翔が画面をタップして、妖精な健太の写真を眺めながら言った。
「カメラに視線合ってないし、隠し撮りっぽくね?」
「・・・・・・」
図星・・・
翔ってば、探偵の素質あるな!
って感心している場合じゃない。
翔が俺に、犯人を追い詰める探偵のように更に言葉を重ねる。
「一緒に写ってる写真、一枚もないよな?」
「・・・・・・」
「すばる・・・」
翔が可哀想な人を見るような目で俺を見つめている。
「この子、お前の存在、知ってんのか?」
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