35 / 99
高等部 一年目 皐月 新入生歓迎会
閑話 妖精と女神と勇者とモブと
しおりを挟む**逃走者モブ視点**
鳳堂学園高等部には滅多にお目にかかれない「妖精」がいる。
妖精がその姿を初めて顕現させたのは、去年の新入生歓迎会だった。
亜麻色の緩いウェーブの髪をハーフアップに纏めた美少女怪盗のコスプレをして、演劇部のミニシアターで問題の受付をしていた。
クチコミで情報が回り、ミニシアターは大行列となった。
しかし妖精が誰だったのか謎のまま、次に姿を現わしたのは学園祭だった。
演劇部の公式写真集のモデルとして。
写真集の販売ブースは長蛇の列となり、小一時間で完売した。
俺は運良く買えた!
しかし、それを最後に妖精は完全に姿を消した。
妖精を忘れられない俺を含めた在校生の多くは、唯一の手掛かりである演劇部の公演がある度にチケットを買って観劇した。
演劇部の部員にしつこく聞き込みに行って出禁になった愚か者も何人かいる。
そして今日、新入生歓迎会。
妖精の再来を夢見て、ミニシアターのロビーに集まる人影の多さが半端ない。
しかし、妖精はいなかった。
けれどその代わりに、チャイナドレスを纏った「女神」が降臨していた!!
そして、女神の左腕には「怪人」の腕章?!
俺達はスタンプカードを集めに各所に散った。
「依頼」を切っ掛けにお近づきになりたい、という下心があることを潔く認めよう。
何とか一回分のスタンプカードを集めて俺はミニシアターに舞い戻った。
腕章を外した女神は、城山先生の指示で撮影中だ。
まさか、今年は女神の写真集?!
絶対にゲットする事を心に誓う!
スタンプカードを握りしめ、いつ声を掛けようかと緊張しながら様子を覗う。
俺だけでなく、他の奴等もだ。
「依頼、お願い!」
ギャラリーをかき分けて、女神に一番に声をかけた勇者は新入生だった。
見た目は天使なのに二人の最高位αの威嚇フェロモンを纏った、稀少な最高位Ω、神月颯!
「没収~」
女神の声!!
「ハズレ?」
「ハズレ♡」
女神の蠱惑的な微笑と声音にギャラリーの半分が前屈みになった。
俺は何とか耐えた!
「依頼お願いします!」
次にスタンプカードを差し出した勇者も新入生だった。
「今、ハズレだって分かったのに依頼するのか?」
女神のカメラマンをしていた城山先生が勇者に声をかけた。
「はい!」
「せっかく集めたのに、没収になるぞ?」
「構いません、俺の集めたスタンプカード、受け取って下さい!」
勇者が女神に熱い視線を送る。
「じゃあ、遠慮なく没収~♡」
女神は没収したスタンプカードを側にいた城山先生に預けると、スタンプカードを貢いだ勇者に「スマホ出せ。」だと?!
「はいっ」
女神はスマホのカメラを起動すると、勇者の隣に並んで二人の自撮りを一枚撮って渡した。
「ありがとうございます!」
勇者に夢と希望と勇気を貰った俺達は
「「「俺のも受け取って下さい!」」」
と叫んでいた。
手持ちのカードを、俺は女神に捧げるとここに誓おう!
「並べ!」
城山先生の指示に従って俺達は一列に並んだ。
「俺には依頼しないのか?」
城山先生の問いに
「先生はハズレだって情報あったんで結構です。」
と俺は、スタンプカードを集めていた時に逃走者チームの情報共有アプリに入った情報を思い出してそう答えたのだった。
──────────
妖精時代の健太
3年前 身長155位
1年前 身長168位
同じ年齢のαの平均より低め
現在の健太
身長175位
ヒール履いて180位
前世と同じ位の身長になった
颯 168
伸び代は数センチ残ってる、はず
京夜 185
伸びても190は超さないと思う
すばる 165
伸び代はある
夏休み中に健太に追いつきたい
左近右京 170
真琴 172
陽翔 183
冬馬 180
早田 182
城山 188
城山と真琴以外はまだまだ伸び代有り
3
あなたにおすすめの小説
学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
どうしてそうなるんだよ!!!
藤沢茉莉
BL
俺様な会長、腹黒な副会長、無口な書記、双子の庶務……不本意ながら生徒会役員に選ばれてしまった見た目不良なお人好し主人公が、バラバラな生徒会をなんとかまとめようと奮闘する話。
多忙のため少々お休み中。
誤字脱字ほか、気になる箇所があれば随時修正していきます。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
【完結】ままならぬ僕らのアオハルは。~嫌われていると思っていた幼馴染の不器用な執着愛は、ほんのり苦くて極上に甘い~
Tubling@書籍化&コミカライズ決定
BL
主人公の高嶺 亮(たかみね りょう)は、中学生時代の痛い経験からサラサラな前髪を目深に切り揃え、分厚いびんぞこ眼鏡をかけ、できるだけ素顔をさらさないように細心の注意を払いながら高校生活デビューを果たした。
幼馴染の久楽 結人(くらく ゆいと)が同じ高校に入学しているのを知り、小学校卒業以来の再会を楽しみにするも、再会した幼馴染は金髪ヤンキーになっていて…不良仲間とつるみ、自分を知らない人間だと突き放す。
『ずっとそばにいるから。大丈夫だから』
僕があの時の約束を破ったから?
でも確かに突き放されたはずなのに…
なぜか結人は事あるごとに自分を助けてくれる。どういうこと?
そんな結人が亮と再会して、とある悩みを抱えていた。それは――
「再会した幼馴染(亮)が可愛すぎる件」
本当は優しくしたいのにとある理由から素直になれず、亮に対して拗れに拗れた想いを抱く結人。
幼馴染の素顔を守りたい。独占したい。でも今更素直になれない――
無自覚な亮に次々と魅了されていく周りの男子を振り切り、亮からの「好き」をゲット出来るのか?
「俺を好きになれ」
拗れた結人の想いの行方は……体格も性格も正反対の2人の恋は一筋縄ではいかない模様です!!
不器用な2人が周りを巻き込みながら、少しずつ距離を縮めていく、苦くて甘い高校生BLです。
アルファポリスさんでは初のBL作品となりますので、完結までがんばります。
第13回BL大賞にエントリーしている作品です。応援していただけると泣いて喜びます!!
※完結したので感想欄開いてます~~^^
●高校生時代はピュアloveです。キスはあります。
●物語は全て一人称で進んでいきます。
●基本的に攻めの愛が重いです。
●最初はサクサク更新します。両想いになるまではだいたい10万字程度になります。
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
【完結】俺とあの人の青い春
月城雪華
BL
高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。
けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。
ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。
けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。
それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。
「大丈夫か?」
涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。
推し活で出会った人と
さくら優
BL
二次元男性アイドルにハマっている川瀬理人は、ぼっち参戦したライブで隣の席になった人と翌日偶然再会。食事に誘われ、初の推し友に浮かれる理人だったのだけれど――
※この物語はフィクションであり、実際の人物·団体·既存のコンテンツとは関係ありません。
義兄が溺愛してきます
ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。
その翌日からだ。
義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。
翔は恋に好意を寄せているのだった。
本人はその事を知るよしもない。
その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。
成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。
翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。
すれ違う思いは交わるのか─────。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる