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高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク
056 GW 3日目 6
しおりを挟む**天野すばる視点**
「黒峯君に嫌われた・・・」
「未来の大女優が男・・・」
帰りの車の中、叔父さんと向井さんは二人してどんよりと項垂れていた。
帰り際、健太達と同乗したエレベーター内で向井さんは健太に
「俺、男なので女優にはなれませんのでスカウトはお断りします。」
と地声でカミングアウトされて断られた。
叔父さんの方はインタビュー撮影中の不用意な行動が原因で健太のじいちゃんの不興を買ってガン無視されてたし、更に不用意な一言で健太に嫌われたらしい。
「叔父さん、健太に何言ったの?」
「スタントに興味あるって聞いて危険だと思って・・・」
「あ~」
叔父さん、過保護だもんな。
俺に傾倒してるときも凄く心配性でウザかった。
幼稚舎時代、健太は京夜と颯っちと一緒に毎日ヒーローごっこをしていた。
健太と京夜が悪役で、颯っちがレッド。
たまに真琴がピンク、左近と右京がイエローとグリーン、俺がブルーで遊んで貰った。
陽翔と冬馬は一緒に遊びたいなら黙って下っ端してればいいのに、二人して「レッド」に拘って颯っちの邪魔をしていたっけ。
悪役の健太と京夜を倒して格好いい所を見せたかったみたいだけど、逆に倒されてた。
健太と京夜は颯っちが楽しめればいいというスタンスだったのでノリノリで悪役を熟し、陽翔と冬馬を倒してから、気持ち良く颯っちに倒されていた。
子供ながら健太と京夜が中心のヒーローごっこは本格的だった。
それにいつも悪役なのに格好よかった。
健太達は色んな武道が学べる道場に通ってて、格闘術とか武術に加えてプロの殺陣師にも稽古つけて貰ってるって言ってた。
遊びから格闘術に興味を持たせて、楽しみながら颯っちに護身術を身に付けさせていたんだ。
危険からただ過保護に守って遠ざけるのでなく、危険が目前に迫った時に自力で判断して動けるように。
自分で自分の身を守れるように。
小さい頃からそうやって颯っちを守ってきた健太。
そんな健太を心配して見守るだけならいいけど、叔父さんは過保護に自分のテリトリーに囲おうとするのが見え見えだったから嫌われたんだろうな。
俺は健太の地雷踏まないように気を付けようっと!
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