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高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク
062 GW 最終日 2
しおりを挟む**健太視点**
チェックアウト後、ホテルから学園までの帰り、颯と京夜と俺は亮輔の車で送ってもらう事になった。
祖父母と両親、叔母夫妻たちは宅間さんや他のお手伝いさん達に休暇に入って貰ったので、このまま数日ホテルでのんびり過ごしつつ、仕事もするらしい。
ホテルの駐車場で、亮輔のオフロードのゴツイ車に颯は
「先生の車、凄え、格好いい!」
と大はしゃぎだった。
「先生の見た目と車のギャップが凄い!」
「ははは、どんな車に乗ってると思ってたんだ?」
「シャンパン片手に高級車!」
「どこの金持ちのバカ息子だよ!」
「バカ息子ってより、ナンバーワンホストっぽい!」
颯の言葉に亮輔は
「では、お嬢様、お手をどうぞ。」
と、綺麗な所作で俺に手を差し出した。
「おお~! 先生、格好いい!」
颯の言葉に京夜の目が嫉妬で妖しく光るのが見えた。
寄宿舎に帰ったらお仕置きコースか?
明日から授業あるし、程々にしとけよ?
と、京夜に視線で語っておく。
取り敢えず、俺は亮輔のエスコートで助手席に乗った。
颯は亮輔のエスコートを真似して京夜に手を差し出して、
「お嬢様、お手をどうぞ!」
と、ドヤ顔・・・
京夜が何とも言えない顔でその手を取って車の後部座席に乗り込むと、グイッと颯を抱き寄せた。
「お前~っ」
って言いながら、車が走行中、ずっと颯を抱きしめて悶えていた。
面白いの見れたな・・・
**???サイド**
「終わりました。お昼食べてきますね。」
ゴールデンウイーク最終日、生徒会室で新入生歓迎会の会計監査の書類にハンコをついてから早乙女真琴は立ち上がった。
「お疲れ~」
サンドイッチ片手にパソコンのキーボードを打ち込みながら和泉冬馬が言った。
「真琴ちゃ~ん、ついでに提出もお願い。」
「わかりました。」
出来上がったばかりの書類を持って真琴は事務室に向かった。
ゴールデンウイーク中でも部活動があるので、生徒会も学園の職員も無人になる事はない。
今回は副会長の真琴と会計の冬馬が居残り組だ。
その分、夏休みは居残り免除になる。
書類の提出を終えると、真琴は数ヶ月先の夏休みの予定を考えながら、クラブ棟のカフェに向かった。
クラブ棟のカフェに向かう階段の降り口の前に通りかかった時、丁度そこから降りて来た生徒とぶつかった真琴は尻餅をついてしまった。
「痛たた・・・」
「sorry!」
ボサボサの赤毛混じりのくすんだ金髪をした少年が真琴の目の前に申し訳なさそうに跪いていた。
ジャージ姿に黒縁眼鏡、一昔前の草臥れた苦学生のような出で立ちだ。
真琴は少年の差し出した手を借りて立ち上がった。
そして少年を頭のてっぺんから爪先まで一瞥する。
「もしかして、転校生の乾君?」
数日前に冬馬が入寮に立ち会った帰国子女でαの転校生の身上書を真琴は思い出した。
「yes、乾大和、です。」
大和の見た目にそぐわないイケボに真琴は既視感を覚えた。
「私は生徒会副会長の早乙女です。クラスは違うけど、同じ二年生です。よろしく。」
「よ、ヨロシク?お願いシマス?です。」
「日本語、苦手みたいですね。」
クスクスと笑う真琴を大和はじっと見つめた。
「カワイイ」
「えっ?」
真琴は思わず大和の顔を見上げた。
「サオトメさんって、カワイイ、ですネ。」
真琴は頬を染めて大和の眼鏡の奥の碧眼に暫し見蕩れた。
「君、もしかして・・・?」
****
「意外にチョロかったな・・・」
階段を昇ってカフェの方へ向かう真琴の後ろ姿を一瞥した乾大和は、ため息混じりに呟いた。
「堕とし甲斐無くてつまんねー」
寄宿舎へ戻る為にクラブ棟の外に出た大和はブラブラと歩きながら校庭で部活動に精を出す生徒たちを見遣った。
「一流選手は流石にフォームが綺麗だな。」
参考になるなと独り言ちる。
「健太~!」
不意に進行方向から金髪の坊主頭の少年が駆けて来て通り過ぎて行った。
美少年なのに坊主頭というギャップに思わず目で追うと、少年は数十メートル後方にいた黒髪の少年に飛びかかっていた。
「・・・」
黒髪の少年はヒョイッと坊主頭の少年を避けると、何事も無かったかのように足早にトランクを引き摺って大和が向かっている寄宿舎とは別の棟へと向かって行った。
「待ってよ~」
それを追う坊主頭の少年。
黒髪の少年の顔は見えなかったが、姿勢と歩き方が洗練されているのが遠目でもわかった。
「あの歩き方、背格好、何処かで・・・」
既視感を覚えて記憶を辿る。
「・・・もしかして・・・」
──もし、そうなら・・・
「ケンタって言ってたな・・・」
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