【R18】一匹狼は愛とか恋とか面倒くさい

藍生らぱん

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高等部 一年目 皐月→水無月 体育祭

081 剣道部の日常 壱

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**剣道部モブ・視点**

俺は剣道部の三年生で、ヒラ部員をしている千葉辰作しんさく

ヒラだけど、一応、これでも有段者なんだ。
うちはレギュラー陣の層が厚くて、レベルが高いから、なかなかレギュラーにはなれない。
でも、練習で全国レベルのレギュラーとかかり稽古とか、練習試合できるから、それがいい経験になるんだよな。

ある日、帰国子女?の転校生が剣道部にやって来た。
「アノ、ここ、クロミネクン、いるクラブですカ?」
「ああ、黒峯はうちのレギュラーだよ。」
「アノ、入部、デキマスカ?」
「入部テストあるけど、剣道したことある?」
「あ、少しlittle・・・」

入部希望の紙に学年と名前を書いてもらう。
なんだ、黒峯と同じ組じゃないか。
「乾君は、黒峯と仲いいの?」
「全然・・・」
「・・・・・・」
「ボク、強くなって、クロミネ、倒す。」
「倒すの? 仲良くなりたいんじゃなくて?」
「クロミネ、ボクのテキ・・・」
「そうなんだ?」
「倒してギャフンと言ワセテヤルネ! デモ、暴力ダメ。スポーツで、正々堂々!」

黒峯目当ての入部希望者はたまにいるけれど、お近づきになりたいんじゃなくて、倒したいって、新しいパターンだな。
でも、その前に入部試験、受からないとね。

「じゃあ、入部試験なんだけど、まず一人分の防具一式と同じ重しが入ったリュック背負って裸足で校庭10週。そのあとそのままクラブ棟の階段、5階まで往復10回。時間制限90分以内。OK?」
「イエッサー!」
監視はマネージャーに頼んで、俺はかかり稽古に向かった。

90分後、満身創痍な出で立ちで、乾君が藤原先生に担がれながら入部の挨拶をしていた。
ギリギリでも、たった一回で合格とは根性あるなぁ・・・

そこへ黒峯が遅れてやって来た。
遅刻だけど、生徒会の仕事があるからね。
「乾?」
道場の片隅に倒れている乾君に黒峯が心底嫌そうな目を向けた。
「くろみね、俺は正々堂々、お前を倒す!」
「そうなんだ? がんばって。」
興味なさそうな黒峯の態度に乾君は「ぐぬぬぬ、覚えてろよ!」と、床にへばりついた状態で言ってた。

そんな乾君を尻目に黒峯は走り込みに行った。
20分程度で、息も乱すことなく走り込みを終えた黒峯は、涼しい顔でマネージャーから渡されたスポドリを受け取って水分補給。
それを呆然と見つめる乾君。

君とは鍛えている年季が違うからね、仕方ないよ。

その後はかかり稽古。
黒峯は防具と面をつけると綺麗なフォームで主将相手に打ち込みを始めた。
そんな黒峯の後ろ姿を乾君はじっと見つめていた。

翌日から、剣道の経験、と言っても、殺陣を少しかじっただけの乾君は初心者として同じ二年生のマネージャーから基礎を教わっている。
マネージャーの佐々木君は剣道初段の有段者なんだけど、みんなの世話する方が楽しい、って中等部の途中からマネージャーに転向した子なので基礎はしっかりしてる。
それに佐々木君は教えるのが上手いので、乾君はメキメキと上達していった。
スタミナ無くて、小休止を挟みながらだけどね。

今の時期、体育祭の練習や準備もあるから、部活動は自由参加になっている。
でも、体育祭の前後には地区大会と都大会が控えているから、レギュラー陣は毎日試合を想定した練習をしていた。

最近、黒峯は部活の時に外している眼鏡をいつもきちんとつけていることが多い。
流石に面を付ける時は外しているようだけど、何故か壁際で、壁に向かって付けてるし、それを隠すように主将の林原が寄り添ってる。

「最近、主将ってば、健太の用心棒になってる。」
「いや、本人は騎士ナイトのつもりかも。」
「姫を護る護衛騎士!」
「俺も姫の騎士になりたい!」
三年のレギュラー陣が主将に立ち位置変われとワイワイギャーギャー騒ぎ出した。
「先輩方、五月蠅い。」
黒峯の一言に場が静かになる。
「千葉先輩、ちょっといいですか?」
面をつけ終わった黒峯に名指しで呼ばれた俺は軽い足取りで側に寄った。
「何、何?」
「先輩、乾と仲良さそうですね?」
「ああ、最初に声かけられたからね。その縁かな?」
「実は俺、乾にだけは素顔を見られたくないんです。」
「何で?」
「あいつ、シアンのファンなんです。」
「え、マジ? 黒峯のこと倒すって息巻いて入部したんだよ? 気付いてないってこと? 節穴なの?」
「ええ、その通り、乾は今、シアン捜しつつ、俺を敵認定して倒そうとしています。」

うわぁ・・・乾君てば、とんでもない大バカ者だったんだね・・・

「わかった。協力するよ。何すればいい?」
「面を付ける時間帯は外で体力づくりするように佐々木たちマネージャーの皆とメニュー組んで監視お願いします。あいつの視線気にしながら面の付け外しするの面倒くさくなって来たんで・・・」
「わかったよ。じゃあさ、バレンタインの時に手作りの義理チョコお願いしてもいいかな?」
「千葉、ズルイ!」
「俺も義理でもいいから黒峯の手作りチョコ欲しい!」
「みんなの分、作りますよ。でも、手間をかける分、千葉先輩とマネージャーたちの分はみんなより多めにしますからね。」
「やった~!」
「千葉のお陰でおこぼれ貰える~」
「早く来年にならないかなぁ~」
レギュラー陣はホクホク顔で練習に戻った。
「黒峯・・・」
立ち上がろうとした黒峯にさり気なく手を差し出す林原。
「ありがとう。」
それが当たり前のように自然に手をかりて立ち上がる黒峯。

これがうちのデフォルト。


*****

余談

校庭の外周は600m位

剣道部の通常の練習メニューに重し入りリュックを背負っての裸足で走り込みと階段昇降はありません
入部テスト時のみ、本当にやる気のある者だけを残す為のふるいです

大和は体力作りの為、走り込みのみ重し入りリュックを背負って裸足で走ってます
他の部員はジャージだったり道着だったり、裸足かシューズかは自由

段位持ちはそれなりの年数の経験とスタミナがあるので、入部テスト無しで入部できます
マネージャーは家事能力と人間性重視の、顧問と部員による面接採用

健太と林原は三段
レギュラー陣は二段から三段

剣道部が走り込みで走るコースは校庭周りの遊歩道で、学園の庭師さんと園芸部と美化委員会が共同で整備しています
景観がいいので、他の部の部員も走ってます
雨天時や夏場は屋内競技場のトラックを走ってます
健太は走る派ですが、マッチョ系部員は走るだけでなく自主的に階段昇降も毎日欠かさずしています

剣道部のマネージャーは四人
有段者は佐々木のみで、他の三人は家事能力とスポーツトレーナー的な能力に長けています

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